'고사카이 후보쿠/연애곡선'에 해당되는 글 2건

  1. 2018.05.01 연애곡선 - 일본어
  2. 2018.05.01 연애곡선 - 한국어

연애곡선(恋愛曲線)

고사카이 후보쿠(小酒井不木)(1926)

일본어 원문


 親愛なるA君!

 君の一代の盛典(せいてん)を祝するために、僕は今、僕の心からなる記念品として、「恋愛曲線」なるものを送ろうとして居る。かような贈り物は、結婚の際は勿論のこと、その他は如何なる場合に於ても、日本は愚(おろ)か、支那でも、西洋でも、否(いな)、世界開闢(かいびゃく)以来、未(いま)だ曾(かつ)て何人(なんぴと)によっても試みられなかったであろうと、僕は大(おおい)に得意を感ぜざるを得ない。貧乏な一介の医学者たる僕が、たとい己(おの)れの全財産を傾けて買った品であっても、百万長者の長男たる君には、決して満足を与え得ないだろうと信じた僕は、熟考に熟考を重ねた結果、この恋愛曲線を思いつき、これならば十二分に君の心を動かすことが出来るだろうと予想して、この手紙を書きながらも、僕は、生れてから始めて経験するほどの、胸の高鳴りを覚えつゝあるのだ。君が結婚しようとする雪江さんは、僕もまんざら知らぬ仲ではないから、君たちの永遠の幸福を祈ってやまぬ僕は、こゝに君に向って恭(うや/\)しく恋愛曲線を捧げ、以て微意を表したいと思うのである。君は、僕のような武骨一点張りの科学者が、恋愛などという文字を使用することにすら、滑稽を覚えるかも知れぬが、然(しか)し僕は君の考えて居るほど「冷血」ではなく、多少の温かい血は流れて居るつもりだ。流れて居ればこそ、君の結婚に対して無関心では居られなくなり、頭脳を搾って、縁起のよかるべき名をもった、この贈り物を考え出したのである。

 明日に迫った君の結婚に、今夜差迫って手紙を書くということは甚だ礼を欠いているかも知れないが、恋愛曲線の製造が今夜でなくては行い得ないものだから、気を揉みながらも、やっと明日の朝、君の手許に届けることになってしまった。定(さだ)めし君は、多忙を極めて居るであろうが、然し僕は、君がどんなに多忙な中でも、僕のこの手紙を終りまで読んでくれるであろうと堅く信じて居る。だから僕は、御迷惑序(ついで)に、恋愛曲線の何ものであるかということを十分説明して置きたいと思うのだ。一口に言えば、恋愛の極致を曲線として表現したものであるが、開闢以来誰にも試みられなかったであろう贈り物の由来を物語って置かぬということは、君も物足らなかろうし、僕も頗(すこぶ)る心残りがするから煩雑ながら、我慢して読んでくれたまえ。

 この恋愛曲線の由来を最も明暸に理解して貰うためには、先ず一通り、君の結婚に対する僕の心持を述べて置かねばならぬ。君を最後に見てから約半ヶ年、その間、絶えて音沙汰をしなかった僕が、突然、君に、世にも珍しいこの贈物をするに就ては、何か深い理由(わけ)があるだろうと、早くも君は察するであろう。いや、聡明な君は、一歩進んで、その理由が何であるかをも或は知り抜いて居るであろう。

 君の所謂(いわゆる)「冷たい血しか流れて居らぬ」僕が恋の敗北者であるということを、君は百も承知の筈である。だから、僕に対して恋の勝利者である君は、僕の贈り物が、一面に於て如何に悲しい思い出をもって充(みた)されて居るかをも十分認めてくれるであろう。尤も君は多くの女に失恋させた経験こそあれ自身には失恋の痛苦を味わったことがなかろうから、或は同情心を起してくれぬかもしれない。全く君は女に対して不思議な力を持った男である。君の眼から見たら、たった一人の女を奪われて、失恋の淵に沈む僕のような男の存在はむしろ奇怪に思われるであろう。然し、何と思われたってかまわない。僕はやっぱり君のその不思議な力がうらやましくてならぬ。殊(こと)に君の金力に至っては、羨ましいのを通り越してうらめしい。その金力の前に、先ず雪江さんの両親が額(ぬか)ずき、ついで雪江さんも額ずくことを余儀なくされたのだ。……いや、こういう言葉を使うのは如何にも僕が君に対して恐しい敵意を持って居るかのように見えるかもしれぬが、僕は元来意志の弱い人間で、人に敵意を持てないのだ。若し真に敵意を持って居るならば、こうした贈り物はしない筈である。君に対して頗(すこぶ)る礼を失するかも知れぬが、現になお雪江さんに対して、強い愛着の念を持って居る僕が、雪江さんの良人となる君に、どうして敵意を挟(さしはさ)むことが出来よう。僕は、この手紙を書き乍(なが)らもやはり君たち二人の真の幸福について考えつゝあるのだ。

 半ヶ年前に、失恋の痛手を負った僕は、その後世間の交渉を絶って、研究室に閉じこもり、ひたすら生理学的研究に従事した。それからというものは、研究そのものが僕の生命であり、又恋人であった。時には、雨の日の前に古い肋膜炎の跡が痛み出すように、心の古傷も疼(うず)き出すことがあったが、何事も過去のことゝ諦めて、研究に邁進し、やっと近頃悲しい記憶を下積にすることが出来、君たちの結婚の日取までうっかり忘れるところであったが、先日はからずも、ある人から、君が愈(いよい)よ明日結婚するという手紙を貰い、それがため、下積みにされた記憶が、非常な勢(いきおい)で浮(うか)み上り、遂に今回の贈り物を計画するに至ったのである。

 君は実業家であるから、科学者なるものがどんな生活を営み、どんなことを考え、どんな研究を行って居るかということを恐らくは知るまいと思う。外見上では、科学者の生活はいかにも冷たいものであり、又その研究事項はいかにも殺風景極まるものであるが、真の科学者は常に人類同胞を念頭に置き、人類に対する至上の愛を以て活動しつゝあるのであって、従って、真の科学者には――似而非(えせ)科学者はいざ知らず……恐らく、誰よりも温かい血が流れて居るべき筈である。実際誰よりも温い血が流れて居なくては真の科学者たることは出来ないのだ。

 さて僕が、失恋の痛苦を味ってから選んだ研究題目は何であるかというに、君よ、笑うなかれ、心臓の生理学的研究だ。然し僕は、ブロークン・ハートに因(ちな)んで、この題目を選んだ訳では決して無い。それほどの茶気は僕には無いのだ。破れた心臓の修理を行うために、先ず心臓の研究に取りかゝったと言えば頗(すこぶ)る小説的であるが、僕はたゞ、学生時代から心臓の機能に非常に興味を持って居たから、好きな題目を選んだのに過ぎない。ところがこの偶然選んだ研究題目がはからずも役に立って、君の一生に最も目出度かるべき儀式に、恋愛曲線を贈り得るに至ったのである。

 恋愛曲線! これから愈(いよい)よ恋愛曲線の説明に移ろうと思うが、その前に一言、心臓が普通どんな方法で研究されて居るかを述べて置かねばならない。心臓の機能を完全に知るためには、心臓を体外へ切り出して検査するのが最もよい方法である。心臓は、たといこれを体外へ切り出しても、適当な条件を与うれば、平気で搏動を続けるものだ。単に下等な動物の心臓ばかりでなく、一般温血動物から人間に至るまで、その心臓は身体を離れても独立に、拡張、収縮の二運動を繰り返すのだ。心臓を切り出せばその個体は死ぬ、個体は死んでも心臓は動き続ける! 何と不思議な現象ではないか。試みに今、君の心臓を取り出して搏(う)たせて見たら、どんな状態(ありさま)だろうか、又、試みに今、雪江さんの心臓を切り出して搏たせて見たら、どんな状態だろうか。更に君の心臓と雪江さんの心臓とを並べ搏たせたならば、どんな現象が見らるゝだろうか。君! 手足や胴体を具(そな)えた人間には兎角(とかく)偽りが多いが心臓は文字通り赤裸々だから、誰(たれ)憚(はゞか)らぬ搏ち方をするにちがいない、結婚を目の前に控えた君たちの心臓を思って、このような愚にもつかぬ想像をめぐらせながら、僕は今、この手紙を書きつゝあるのだ。

 思わずも記述がわき道へはいったが、動物は勿論人間の心臓も、その個体が死んだ後でさえ、これを切り出して適当な条件の下に置けば再び動き出すものだ。クリアブコという人は、死後二十時間を経た人間の死体から、心臓を切り出して、これを動かして見たところが約一時間、たしかに動き続けたということだ。人間が死んでも、心臓だけが、二十時間も余計に生きて居るということは見様(みよう)によって、如何に心臓が生に対する執着の強いものだかということを知るに足ろう。むかしの人が恋愛のシムボルとしてハートを選んだのも、偶然でないような気がする。だから、考え様によっては、心臓にこそ、人生のあらゆる神秘が蔵せられて居るといってよいかも知れない。かくて、人生の神秘を探ろうと思った僕が、心臓を研究の対象としたのも、故無きに非ずと言えるだろう。

 恋愛曲線の由来を語るには、如何にして心臓を切り出し、如何なる方法で心臓を搏たせるかということをも一応述べて置かねばならぬ。君の多忙であるということは重々御察しするが、手紙を書きつつある僕も、この手紙を書き終ると共に恋愛曲線を製造しなければならぬから、可なり心が急(せ)くのだ。然し、僕は繰返して言うとおり、君に十分理解してほしく、出来るなら、君の心臓の表面に、この手紙の文句を刻みつけたいと思うほどだから、暫らく我慢して読んでくれたまえ。

 始め僕は蛙の心臓を切り出して研究したけれども、医学は言う迄もなく人間を対象とする学問であるから、なるべく人間に近い動物を選びたいと思い、後には主として、兎の心臓について研究を進めた。然し、蛙の心臓よりも、兎の心臓の方が、その取り扱い方は遙に複雑であるから、可なり熟練を要する仕事であり、はじめは助手を要するほどであったが、後には一人で何事も出来るようになった。先ず兎を、家兎(かと)固定器に仰向けにしばりつけてエーテル麻酔をかける。兎が十分麻酔した時機を見はからって、メスと鋏とを以て、胸壁の心臓部を出来るだけ広く切り取り、然る後心臓嚢を切り開くと、そこに、盛んに活動しつゝある心臓があらわれる。胸中深く秘(ひそ)められた心臓は、外気に晒(さら)されても、何喰わぬ顔して動き続けて居る。君! 全く心臓は曲物(くせもの)だよ。「ハートはままにされない」と誰かゞ言ったが、全くその通りだ。愈よ心臓があらわれると、今度はそれを切り取るのだが、そのまゝメスをあてゝは出血のために手術が出来なくなるから、大静脈、大動脈、肺静脈、肺動脈等の大血管を悉(こと/″\)く糸をもってしばり、然る後にメスを以てそれ等の大血管を切り離すのだ。

 切り出した心臓は、すぐさま、一旦摂氏三十七度内外に温めたロック氏液を盛った皿の中に入れるのだ。栗の実ほどの大きさをした兎の心臓は、さすがにぐったりして一時搏動を中止する。そこで、手早く、肺動脈と肺静脈の切り口をしばり、大動脈と大静脈の切り口にガラス管を結びつけ、更に取り出して特別に設けられた一尺立方ほどの箱の中の、適当な場所にガラス管を結びつけ、摂氏三十七度に温めたロック氏液を通ずると、心臓はみごとに搏ち出すのだ。このロック氏液というのは一プロセントの塩化(えんか)ナトリウム、〇・二プロセントの塩化カルシウム、〇・二プロセントの塩化カリウム、〇・一プロセントの重炭酸ナトリウムの水溶液であって、ほゞ血液中の塩類成分の量に一致して居るから、心臓は血液を送りこまれて居ると同じ状態になって、その搏動を続けるのだ。然し、たゞこの液を通ずるだけでは、心臓も遂には疲れて来る。いかに生に執着の強い心臓でも、外からエネルギーを仰がなければ、動き続けることは出来ない。卑近な言葉で言えば、食物が欠乏しては動けない。そこで通常この液の中へ、エネルギーの源(もと)即ち心臓の食物として、少量の血清アルブミンか又は葡萄糖を加えると、心臓は長い間搏動を続けるのである。一番よいのは、ロック氏液の代りに血液を通過せしめることであるが、通常の実験にはロック氏液だけで十分だ。なお心臓を自由に活動せしめるには酸素を必要とするから、通常ロック氏液に酸素を含ませて通過せしめるのだ。

 心臓を働かせる箱の中の空気の温度も、やはり摂氏三十七度内外にしてある。そうしてロック氏液は箱の上から流すようになって居り、心臓を通過した液は箱の下へ落ち去るようになって居る。箱の中で、心臓だけが働いて居る光景は、到底君には想像も及ばぬ程、厳粛な感じを与えるものだ。切出された心臓は立派な一個の生物だ。薔薇のような紅い地色に黄の小菊の花弁を散らしたような肉体を持つ魔性の生物は、渚に泳ぎ寄る水母(くらげ)のように、収縮と拡張の二運動を律動的に繰返すのだ。又、じっとその運動を眺めて居ると、心臓は恰(あたか)も自分の自由意志をもって動いて居るかのように思われる。ある時はその心臓に小さな目鼻が出来て、母体から切り離されたことを恨んで居るかのように見え、ある時は又浮世の空気に触れたことを喜ぶかのように見え、更にある時は、心臓だけを切り出して生物本来の心臓機能を研究しようとする科学者の愚を笑って居るかのようにも見える、然し、これはただ僕の幻覚に過ぎぬのであって、元来心臓は体内にあっても体外に切り出されても、その全力を尽して働くもので all or nothing(皆(かい)か然(しか)らずんば無(む))の法則が厳然として行われつゝあるのだ。即ち心臓は、一旦働らこうと決心したならば全力を尽して働くのだ。いわば心臓ほど忠実な働き工合をするのは、めったに見られないのだ。この点がまた、恋愛のシムボルたるに最も適して居ると僕は思う。即ち、どんな刺戟が来ても、刺戟の多寡によって搏ち方をちがえるということをせず、搏つならば全力を尽して搏ち、搏たぬ時は決して搏たぬという心臓の性質は、ちょうど金力やその他の外力にはびくともせぬ真の恋愛の性質に比較すべきであろうと思う。真に恋する同志には、たといどんな障碍物がその間に横(よこた)わって居(お)ろうとも、かのラジオの電波が通うように、その心臓の搏動の波は互に通い合うと思う。実際、君は知って居るかどうかは知らぬが、心臓は、動く度毎に電気を発生するもので、その電気を研究するために、電気心働計なるものが考案されて居る。そうしてこの電気心働計こそは僕の所謂恋愛曲線の製造元なのだ。

 だが、電気心働計の説明にうつる前に、以上の如く切り出した心臓の運動を、如何にして分析し研究するかということを語って置かねばならない。たゞ肉眼で観察したゞけでは、精確な比較研究をすることが出来ぬから、どうしてもその運動を適当に記録しなければならない。その運動を記録したものが即ち「曲線」なのだ。従って恋愛曲線なる語は、恋愛運動の記録ということを意味するのだ。君は、地震が地震計によって曲線として記録されることを聞いたであろう。今、煤(すゝ)を塗った紙を円筒に巻きつけて、それを規則的に廻転せしめ、運動する物体から突出した細い挺子(てこ)の先をその紙に触れしめると、その物体の運動するに従って、特殊な曲線が白くあらわれる。心臓の運動もこれと同じ方法によって煤紙に書かせることが出来るのであるけれど、僕は特に心臓の発生する電気に興味を持ったので、主として前記の電気心働計を使って、研究の歩を進めたのだ。

 すべて筋肉が運動する際には、必ず多少の電気が発生する。所謂動物電気なるものがこれであるが心臓も筋肉で出来た臓器であるから搏動ごとに電気が発生する訳だ。そうしてその電気の発生の有様を、曲線であらわそうとする器械が電気心働計なるものだ。この器械を最初に発明した人はオランダのアイントーウェンという人だ。曲線といっても、前に述べたような簡単なものではなく、その原理は聊(いさゝ)か複雑である。心臓から出る電気を一定の方法によって導き、それを蜘蛛の糸よりも細い、白金(プラチナ)で鍍金(めっき)した石英糸に通過せしめ、糸の両側に電磁石を置くと、糸を通過する電流の多寡によって、その糸が左右に振れるから、その糸をアーク燈で照すと、糸の影が左右に大きく振れ、それを細い隙間をとおして、写真用の感光紙に直接感ぜしめ、然る後現像すれば、心臓の電気の消長を示す曲線が、白くあらわれる訳である。感光紙は活動写真のフィルムのように巻きつけて具えられてあるから、二十分、三十分間の心臓運動の模様も、自由に連続的に曲線としてあらわすことが出来るのである。僕が君に送らんとする恋愛曲線も、この感光紙にあらわれた曲線に外ならない。

 さて、僕は先ず、僕の研究の準備として、切り出した心臓について、諸種の薬物の作用を研究したのだ。即ち、最初にロック氏液を心臓に通じて、常態の曲線を写真に撮り、然る後試験しようと思う薬品をロック氏液に混じて通じ、そのときに起る心臓の変化を曲線として撮影するのである。肉眼で見て居るだけでは、あまり変化がないようであるけれども、曲線を比較して見ると、明かな変化を認め、それによって、その薬物が心臓に如何なる風に作用したかを知ることが出来るのだ。ジギタリス剤、アトロピン、ムスカリン等の猛毒からアドレナリン、カンフル、カフェイン等の薬剤に至るまで心臓に作用する毒物薬物の殆どすべてにわたって、僕は一々の曲線を作り上げたのだ。然し、これだけのことは、別に新らしい研究ではなく、すでに多くの人によって試みられた所であって、要するに僕の本研究の対照試験に過ぎなかった。

 然らば僕の本研究は何物であるかというに、一口にいえば、各種の情緒と心臓機能との関係だ。即ち俗にいう喜怒哀楽の諸情が発現したとき、心臓はその電気発生の状態に如何なる変化を来すかということだ。誰しも経験するとおり、驚いた時や怒ったときには、心臓の鼓動が変化する。僕はそれを切り出した心臓について、所謂(いわゆる)客観的に観察したいと思ったのだ。恐怖の際に血中にアドレナリンが増加するという事実は既に他の学者の認めたところであるから、恐怖の際の血液を、切り出した心臓に通じたならば、アドレナリンを通じたときと、同じ変化が曲線の上にあらわれるべき筈だ。この事実から類推するときは、恐怖以外の他の諸情緒の際にも、血液に何等かの変化があるべき筈で、従って、動物に喜怒哀楽の諸情を起さしめ、その時の血液を、切り出した心臓に通じて、電気心働計によって曲線を撮ったならば、各種の情緒発現の際、血液中にどういう性質の物質があらわれるかを推定することが出来る訳である。

 然し、このような研究には、言う迄もなく幾多の困難が伴うものだ。理想的に言えば、心臓を切り出した同じ動物を怒らせたり、苦しませたりして、その血液を通じなくてはならぬが、それは出来ない相談だ。で、致し方がないから、甲の兎の心臓、乙の兎の種々の情緒発現時に於ける血液を採って、それを通じて研究することにした。次になお一層困難なことは、兎を怒らせたり、悲しませたりすることだ。兎は元来無表情に見える動物であるから、その顔付から、喜怒哀楽の情を認めることは出来ず、従って、怒らせたつもりでも兎は案外怒っても居らず、又楽しませたつもりでも、兎は案外楽しんで居らぬかも知れぬのには、はたと当惑せざるを得なかった。

 そこで、僕は兎の実験を中止して、犬について行(や)って見ることにした。即ち甲の犬の心臓を切り出して、然る後乙の犬を怒らせ又は楽しませて、その血液を採って通過せしめたのだ。それによって曲線を作ることは出来たけれど、やっぱり、理想的ではないのだ。というのは、折角犬を楽しませてもいざ血を採るとなると大いに怒(いか)るので、結局怒りの曲線に近いものが出来、それかといって犬を麻酔せしむれば、無情緒の曲線しか取れない訳で、たゞ憤怒(ふんぬ)の際、又は恐怖の際の曲線だけが比較的理想に近いものとなった訳である。

 こういう訳であるから、諸種の情緒発現の際の血液が心臓に及ぼす影響を理想的に曲線に描かしめるためには、人間について実験するより外はないのである。人間ならば、怒った時の血液、悲しい時の血液、嬉しい時の血液が比較的容易に採取し得られるからだ。さり乍(なが)ら、人間の実験で困ることは人間の心臓が容易に手に入(い)り難いことだ。死んだ人の心臓でも滅多(めった)に手に入り難いのであるから、況(いわ)んや生きた人の心臓をやだ。で、已(や)むを得ないから僕は兎の心臓で実験することにした。又、血液の点に就て言っても、誰も喜んで血液を提供してくれるものはないから、僕は自分自身の血液で実験することにした。即ち僕は、色々な小説を読んで或は悲しみ、或は憤(いきどお)り、或は嬉しい思いをして、その度毎に注射針(しん)をもって、左の腕の静脈から五瓦(グラム)ずつの血液を取って、実験をしたのだ。兎の場合でも犬の場合でもそうだが、すべて血液を採るときは、凝固を防ぐために、注射針の中へ、一定量の蓚酸(しゅうさん)ナトリームを入れて置くのだ。

 かくて得た曲線を研究して見ると、嬉しい時、悲しい時、苦しい時などによって、その曲線に明かに差異が認められた。恐怖の時の曲線は、やはりアドレナリンを流した時の曲線に類似し、快楽の時の曲線はモルヒネを流した時の曲線に類似して居たが、それはたゞ類似して居るというに過ぎないのであって、微細な点に至っては、それ/″\特殊な差異が認められるのであった。そうして、後に、僕は練習によって、どれが恐怖の曲線か、どれが愉快の曲線か、どれがアドレナリンの曲線か、どれがモルヒネの曲線かということを、曲線を見たゞけで区別することが出来るようになった。なお又、この曲線は兎の心臓を用いても、犬の心臓を用いても、又新たに羊の心臓を用いても、同じような変化を来すものであることを経験したのである。

 然し君、学問研究に従事するものは、誰しも研究上の欲が深くなるもので、兎と犬と羊とについて同じような結果が出たならば、それで満足すべきであるのに、僕は一歩進んで何とかして人間の心臓について実験を試みたいと思うようになったのだ。前に書いたとおり、人間の心臓は、死後二十時間を経ても、なお且つ搏動せしめることが出来るから、せめて死体の心臓でもよいから手に入れたいものだと、病理解剖の教室や、臨床科の教室の人に頼んで置いたのである。

 するとこゝに、運よくも、ある女の心臓を一個手に入れることが出来た。その女は十九歳の結核患者であった。彼女は、恋する男に捨てられて、絶望のあまり健康を害し、内科に入院して不帰の客となったのだが、生前彼女の口癖のように、「私の心臓にはきっと大きなひびが入って居ます。どうか、死んだら、くれ/″\も心臓を解剖して医学の参考にして下さい」と言ったそうだ。ちょうど僕の友人がその受持だったので、彼女の遺言に従って、僕がその心臓を貰ったのだ。

 いま迄、兎や犬や羊の心臓を切り出すことに馴れて居た僕も、たとい死体であるとはいえ、その女の蝋のように冷たく且(かつ)白い皮膚に手を触れてメスをあてた時は、一種異様の戦慄が、指先の神経から全身の神経に伝播(でんぱん)した。然し、薄い脂肪の層、いやに紅い筋肉層、肋骨と、順次に切り進んで胸廓(きょうかく)を開き、心嚢(しんのう)を破って心臓を出した時分には、僕はやはりいつもの冷静に立ち帰って居た。もとより彼女の心臓にひゞは入って居なかったけれども、心臓は著しく痩せて居た。これ迄、動物の生きた心臓のみを目撃して来た僕にとっては、はじめ、心臓らしい気さえ起らなかった。死後十五時間を経て居たが、異様にひやりとしたので、僕は切り出した心臓を手につかんだまゝ暫らくぼんやりした。はっと我に返って、暖かいロック氏液の中へ入れてよく洗い、次で箱の中へ装置して、ロック氏液を流すと、はじめ心臓は宛(あたか)も眠って居るかのようであったが、暫くしてぱくり/\と動き出し、間もなく、威勢よく搏ち出した。予期したことではあるが、僕にはその女が蘇生したように思われ、何ともいえぬ荘厳な感に打たれて、僕はいつの間にか実験ということを忘れて、その微妙な運動を見つめた。そうして、その心臓の持主について考えた。失恋! 何という悲しい運命であろう。僕はその時、人ごとならず思ったよ。僕も同じく失恋の苦しみを味う人間ではないか。嘗(かつ)てこの持主の生きて居た時分この心臓はいかにはげしく、又、いかに悲しく搏ったことであろう。その古い、苦しい記憶も、今はロック氏液によって洗い去られたと見え、何のこだわりもなく収縮、拡張の二運動を繰返して居る。恐らく彼女の失恋以後、一日として、この心臓は平静な搏ち方をしなかったであろう。搏て! 搏て! ロック氏液はいくらでもあるから、搏って、搏って搏ちつくすがよい。

 ふと、気がついて見ると、心臓は著しくその力を弱めた。無理もない。搏ちかけてから凡(およ)そ一時間を経て居たのだ。思わぬ空想に時を費して、情緒研究を忘れて居た僕は、科学者としての冷静を失ったことを恥じつゝ、折角貴重な材料を得ながら、これを無駄にするのは勿体ないと考えた。そうして、咄嗟(とっさ)の間に思いついたのが、失恋の情緒の研究だ。失恋をした人の心臓へ、失恋をした僕の血液を通じて曲線をとったならば、それこそ理想的な失恋曲線が得られるのではないか。

 僕は手早く、例によって、左の腕より血液を取り、それをこの心臓の中へ流しこんで、電気心働計を働かせた。だん/\弱って来た心臓は、僕の血液に触れるなり、急に勢(いきおい)を増して、凡(およ)そ三十回ほどはげしく搏動したが、又忽(たちま)ち力を弱めて、今度はぱったりやんでしまった。即ち、心臓は死んだのである。永久に死んだのである。でも、曲線だけは、鮮かに現像され、分析研究して見たところ、悲哀とも、苦痛とも、憤怒とも、恐怖とも、どれにも類しない。又、どれにも類して居るような性質を持って居た。

 さて、失恋曲線を作った僕は、失恋の反対の情緒たる恋愛曲線を得たいものだと思うに至った。蓋(けだ)し、飽(あ)くことを知らぬ科学者の欲望である。然し、嘗(かつ)ては恋愛を感じても、今は失恋をしか感じない僕が、どうして恋愛曲線を作ることが出来よう。これは及びもつかぬことである。こう考えて諦めようとすればする程、愈(いよい)よ作って見たくて仕様がなくなった。そうして、後にはこれが一種の強迫観念になってしまった。といって、君に対して甚(はなは)だ失礼な言葉ではあるが、君とはちがって雪江さん以外に、何人にも恋を感じなかった僕が、今更(いまさら)、誰に真実の恋を感ずることが出来よう。実際、僕は、真実の恋を雪江さん以外の人には感じ得ないのだ。して見れば、到底恋愛曲線は得られない訳だ。と思っても、やはり一旦強迫観念となったものは容易に去らない。で、致し方がないから、失恋を転じて恋愛となすべき方法はないものかと、僕は頻(しき)りに考(かんがえ)をめぐらしたよ。そうして、考えて、考えて、僕は一時発狂するかと思うほど考えたのである。

 ところが、はからずも、先日、ある人から、君と雪江さんとが、愈(いよい)よ結婚するという通知を受取ったのである。すると、恰(あたか)も焼け杭(ぐい)に火のついたように、失恋の悲しみは、僕の体内で猛然として燃え出した。いわば、僕は失恋の絶頂に達したのである。と、その時、僕はこの絶頂に達した失恋をそのまま応用して、恋愛曲線を書くことが出来るという信念を得たのである。

 君は数学で、マイナスとマイナスとを乗ずるとプラスになるということを習ったであろう。僕はこの原理を応用して、失恋を恋愛に変えようと思ったのだ。即ち、失恋の絶頂に達した僕の血液を、失恋の絶頂に達した女の心臓に通過せしめたならば、その時に描いた曲線こそは、恋愛の極致をあらわすものだと僕は考えたのだ。こういうと君は、失恋の絶頂に達した女を何処(どこ)から連れて来るかと訊ねるであろう。然し、その心配は無用である。何となれば、僕が以上の如き原理を考え出したのも、実は失恋の絶頂に達した女を見つけたが為であって、その女こそは、外ならぬ、君と雪江さんとの結婚を知らせて来た手紙の主なのである。

 君は定めし思い当ることがあるであろう。その手紙の主こそ、君の結婚によって、失恋の極致に達したのだ。君は多くの女を愛したことがあるから、女の気持も多少わかって居るだろうが、その女も僕が雪江さん一人を思って居るように、一人の男にしか真実の恋を感じないので、君たちの結婚によって失恋の絶頂に達したのだ。同じく君たちの結婚によって失恋を感じた僕とその女とが一つの曲線を作り上げたら、それこそ、前に述べた原理によって、まさしく恋愛曲線ではなかろうか。而(しか)も、その女は絶望のあまり死のうとして居るのだ。君よ、死にまさる強さが世にあろうか。僕はその女の決心をきいて僕の失恋の度のむしろ弱かったことを恥じた。僕はその女のために非常に勇気づけられた。そうして今夜その女に直接逢って、彼女の決心をきゝ、僕の胸中を述べると女は、喜んで死に就(つ)くから、是非、心臓を切り出して、僕の血液をとおし、出来た曲線を記念として君の許に送ってくれといってやまない。そこで僕も決心して、愈(いよい)よ恋愛曲線の製造に取かゝろうとしたのだ。

 君! 僕は今この手紙を、研究室の電気心働計の側に置かれた机の上で認(したゝ)めつゝあるのだ。まさか生理学研究室で、深夜恋愛曲線の製造が行われようと思うものはあるまいから、誰にも妨げられずに計画を遂行することが出来るのだ。夜は森閑として更けて行く。実験用に飼ってある犬が、庭の一隅で先刻(さっき)二声三声吠えた後は、冬近い夜の風が、研究室のガラス窓にかすかな音を立てゝ居るだけだ。僕に心臓を提供した女は、今、僕の足許に深い眠に陥って居る。先刻(さっき)、僕が恋愛曲線製造の順序と計画を語り終ると、彼女は喜び勇んで、多量のモルヒネを嚥(の)んだのだ。彼女は再び生き返らない。彼女がモルヒネを嚥(の)むなり、僕はロック氏液の加温を始め、電気心働計の用意を終り、それから、この手紙を書きにかゝったのだ。モルヒネを嚥(の)んでから、彼女はうれしそうに、僕の準備する姿を見て居たが、この手紙を書きにかゝる頃、遂に眠りに陥ちた。何という美しい死に方だろう。今彼女は軽い息をして居るが、もう二度と彼女の声を聞くことが出来ぬかと思うと、手紙書く手が頻(しき)りに顫える。僕は定めし、取りとめのないことを書いたであろうが、今それを読み返して居る暇がない。僕はこれから、彼女の心臓を切り出さねばならないから。


 四十分かゝった。やっと今彼女の心臓を切り出して箱の中に結びつけ、ロック氏液をとおしつゝあるのだ。手術の際、彼女の心臓はなお搏動を続けて居た。これは彼女の生前の希望に従ったのである。彼女は恋愛曲線を完全ならしめるために、心臓のまだ動いて居るときに切り出してくれと希望したのだ。メスを当てるとき、若しや彼女が、眼を覚しはしないかと思ったが、心臓を切り出されるまで、彼女は安らかな眠りを続けて居た。いまもまだ軽く息をして居るのではないかと思われる程だ。電燈の光に照された彼女の死の姿は、たゞ/\美しいというより外はない。

 心臓は今、さも/\快げに動いて居る。早く僕の血を通してくれといわんばかりに動いて居る。さあ、愈(いよい)よこれから、僕の血液を採る順序であるが、恋愛曲線を完成させたいのと彼女の悲壮な希望を満足させるために、僕も、未(いま)だ嘗(かつ)て試みなかった血液流通法を試みようと思うのだ。今までは注射針(しん)を以て左の腕の静脈から血を採って居たが、今回だけは、僕の左の橈骨(とうこつ)動脈にガラス管をさしこみ、その儘(まゝ)ゴム筒(かん)でつないで、僕の動脈から、僕の血液が直接彼女の心臓の中に流れこむようにしようと思うのだ。彼女が生きた心臓を提供してくれた厚意に対しこれだけのことをするのはあたりまえのことだ。なお又、恋愛曲線を完成するためにも必要なことだ。


 二十分かゝった。

 やっと、僕の動脈血を彼女の心臓の中に送りこむことが出来た。血液は威勢よく走り出るので、少しも凝固を起さず、実験は間然(かんぜん)するところが無い。心臓は勇ましく躍る。その躍る姿を眺めて居ると、左手に少しの痛みをも覚えない。左手の傷から少しずつ血が滲(にじ)む。その血を拭(ぬぐ)うためペンを措(お)いて、ガーゼで拭(ふ)かねばならぬ。おや、紙を血でよごした。許してくれ。彼女の心臓へ注(つ)ぎこまれる血は再び帰って来ない。僕の血液は刻一刻減って行く。頭脳がはっきりして来た。暫らく、ペンを休めて、彼女の心臓を観察し、懐旧の思(おもい)に耽(ふけ)ろう。


 十分間過ぎた。

 全身に汗が滲み出た。貧血の為だろう。さあ、これからスイッチを捻(ひね)ってアーク燈をつけ、感光紙を廻転せしめよう。僕は居ながらにしてスイッチの捻(ひね)れるように準備して置いたのだ。電燈がついて居ても曲線製造には差支(さしつか)えない。


 電気心働計が働いて居る。心働計の音以外に、耳に妙な音が聞える。これも貧血の為だ!

 曲線は今作られつゝある。君に捧ぐべき恋愛曲線が今作られつゝあるのだ。然し僕は、その曲線を現像することが出来ない。何となれば、僕はこのまゝ僕の全身の血液を注ぎ尽すつもりだから。血液が出尽したとき、僕がたおれると、アーク燈や、写真装置や、室内電燈スイッチが皆悉(こと/″\)く切れるようにしてあるから、間もなく二人の死体は闇に包まれるであろう。


 ペンを持つ手が甚(はなは)だしく顫える。眼の前(さき)が暗くなりかけた。で、僕は、最後の勇を揮(ふる)って、君に最後の一言を呈する。実はこの手紙を書く前に、教室主任と同僚にあてゝ手紙を書いたから、これが僕の最後の遺書となる訳だ。恋愛曲線は、明朝同僚の手で現像されて、君の許に送られるから、永久に保存してくれたまえ。

 君は最早(もはや)、僕に心臓を提供した女が何人であるかを推知して居るであろう。僕は今無限の喜びを感じて居る。自分で曲線を見ることこそ出来ぬが、真の恋愛曲線の出来つゝあることを僕はかたく信じて疑わない。僕の血が尽きたときは彼女の心臓は停止するのだ。これが恋愛の極致でなくて何であろう。

 ……おや、僕の血が少くなったと見え、彼女の心臓は今、まさに停止しようとして居る。君! 君との、愛なき金力結婚を厭い、彼女の真の恋人だった僕のところへ走って来た雪江さんの心臓は今、まさに停止しようとしている……

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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)

연애곡선(恋愛曲線)

고사카이 후보쿠(小酒井不木)(1926)

번역 : 홍성필

친애하는 A군!

자네의 인생 최대의 축제를 축하하기 위해 나는 지금 내 정성어린 기념품으로서 ‘연애곡선’이라는 것을 보내려 하고 있네. 이와 같은 선물은 결혼식 때는 물론 기타 어떠한 경우에 있어서도 일본은 고사하고 중국이나 서양, 아니 천지개벽 이후 아직 누구 손에 의해서도 시도되지 않았으리라 하고 나는 매우 자랑스럽지 않을 수 없네. 가난한 일개 의학자인 내가 아무리 자신의 전 재산을 걸고 산 물건이라 하더라도 백만장자 2세인 자네한테는 절대 만족을 줄 수 없을 것이라고 믿은 나는 심사숙고한 끝에 이 연애곡선을 생각해냈고, 이것이라면 충분히 자네 마음을 움직일 수 있을 것이라믿으며 이 편지를 쓰면서 나는 태어나서 처음으로 이처럼 가슴 뛰는 설렘을 느껴본다네. 자네가 결혼하려 하는 유키에(雪江) 씨는 나와 모르는 사이도 아니기에 자네들의 영원한 행복을 바라 마지않는 나로서는 여기에 자네를 위해 정중하게 연애곡선을 바치며 이로써 내 마음을 전하고자 한다. 자네는 나와 같은 고집쟁이 과학자가 연애라는 문자를 사용하는 것조차 우스워할지도 모르지만, 그러나 나는 자네가 생각하는 만큼 ‘냉혈인간’은 아니며, 다소 따뜻한 피는 흐르고 있다고 본다네. 그렇기에 자네 결혼에 있어서 무관심할 수 없어 고심한 끝에 듣기에도 좋은 이름을 가진 이 선물을 생각해낸 것이지.

자네 결혼이 내일로 다가왔는데 오늘 밤 서둘러 편지를 쓴다는 것은 지극히 결례일지도 모르지만 연애곡선 제조가 오늘 밤이 아니면 불가능하기에 조급해하면서도 간신히 내일 아침 자네한테 보내게 되고 말았네. 아마도 자네는 매우 분주하겠으나 하지만 나는 자네가 아무리 분주하더라도 내가 보내는 이 편지를 끝까지 읽어 주리라고 굳게 믿고 있네. 그래서 나는 민폐를 끼치는 김에 연애곡선이 무엇인지를 충분히 설명해두려고 하네. 한 마디로 말하자면 연애의 극치를 곡선으로 표현한 것인데, 유사 이래 아무도 시도해보지 않은 선물의 유래를 말하지 않는다면 자네도 좀 허전하겠고 나도 매우 아쉽기에 다소 번잡하더라도 참고 읽어주길 바라네.

이 연애곡선의 유래를 가장 명확하게 이해하기 위해서는 우선 전반적으로 자네 결혼에 대한 내 심정부터 말해야만 하겠지. 자네를 마지막으로 본 것이 약 6개월 전. 그 동안 아무런 소식이 없었던 내가 갑자기 자네한테 느닷없이 이처럼 기이한 선물을 하게 된 데에는 무슨 깊은 사정이 있을 것이라고 짐작하겠지. 아니, 총명한 자네는 나아가 그 이유가 무엇인지도까지도 어쩌면 알고 있는지도 모르겠군.

자네의 이른바 “차가운 피밖에 안 흐르는” 내가 사랑의 패배자라는 사실을 자네는 충분히 알고 있을 것이야. 그래서 나에 대해 사랑의 승리자인 자네는 내 선물이 슬픈 추억으로 가득 차 있다는 사실을 알아주기 바라네. 물론 자네는 많은 여자를 울린 경험이 있다고는 하나, 본인 스스로는 실연의 고통을 맛본 적이 없을 테니 어쩌면 동정심을 일으켜줄지도 모르지. 실로 자네는 여자에 대해 신기한 능력을 가진 사내이야. 자네 눈으로 보기에는 단 한 명의 여자를 빼앗기고 실연의 늪 속으로 빠져 들어간 남자 존재를 오히려 이상하게 생각하겠지. 그러나 어떻게 생각해도 좋다. 나는 역시 자네의 그 신기한 능력이 부럽기 짝이 없다네. 특히 자네의 재력에 있어서는 부러운 것을 지나쳐서 혐오스럽기까지 하다네. 그 재력 앞에서 먼저 유키에 씨 부모님이 무릎 꿇고, 결국 유키에 씨도 무릎을 꿇지 않을 수 없게 만들고 말았지. ……아니, 이런 말을 하는 것은 마치 내가 자네에 대해 끔찍한 적개심을 가지고 있는 것처럼 보일지도 모르겠지만, 나는 원래 의지가 약한 인간이라서 어느 누구한테 적개심을 품지 못한다네. 만약 정말로 자네를 증오하고 있다면 이와 같은 선물은 하지 않았을 것일세. 자네에 대해 매우 결례일지는 모르겠으나 실제로 여전히 유키에 씨에 대해 강한 애착을 가지고 있는 내가 유키에 씨의 남편이 되고자 하는 자네를 어찌 증오할 수 있겠는가. 나는 이 편지를 쓰면서도 여전히 자네 둘의 진정한 행복에 대해 생각하고 있다네.

6개월 전에 실연의 상처를 입은 나는 그 후 세상과 담을 쌓고 연구실에 틀어박혀 그저 생리학 연구에 종사했었지. 그 때부터는 연구 자체가 내 생명이자 연인이었네. 때로는 비 내리는 날 오래 전에 앓았던 늑막염 자리가 다시 아파오면 마음 속 옛 상처도 함께 통증이 느껴질 때가 있었으나 모두 지나간 일이라며 포기하고는 연구에 매진하여 겨우 요즘 들어 슬픈 기억이 가라앉았기에 하마터면 자네들 결혼날짜까지 잊을 뻔했지만, 얼마 전 공교롭게도 어떤 사람으로부터 자네가 드디어 내일 결혼한다는 편지를 받고는 그 때문에 가라앉았던 기억들이 무척이나 빠른 속도로 되살아났기에 결국 이번 선물을 계획하기에 이르렀다네.

자네는 실업가이니 과학자이니 하는 사람이 어떤 생활을 하고 어떤 것을 생각하며 어떤 연구를 하는지 아마도 모르고 있을 테지. 외견상 과학자의 생활은 매우 무미건조하고 그 연구내용 또한 삭막하기 짝이 없지만 참된 과학자는 항상 인류에 대한 생각을 염두에 두고 인류에 대한 끊임없는 애정을 가지고 활동하고 있으며, 따라서 참된 과학자에게는 - 사이비 과학자는 또 모르지만……아마 누구보다도 따뜻한 피가 흐르고 있어야 하네. 실제로 누구보다 따뜻한 피가 흐르지 않고서는 참된 과학자일 수가 없지.

자, 내가 실연의 고통을 맛보고 나서 선택한 연구주제가 무엇인가 하니, 자네, 웃지 말게나. 심장의 생리학적 연구라네. 그러나 나는 ‘broken heart’라는 말에서 따온 것은 절대 아니야. 그 정도 센스는 내게 없네. 찢어진 심장을 수리하기 위해 우선 심장 연구를 시작했다고 하면 매우 소설적이긴 하겠으나 나는 다만 학생시절부터 심장 기능에 매우 흥미를 가지고 있었기에 좋아하는 주제를 고른 것에 지나지 않네. 그런데 이렇게 우연히 선택한 연구주제가 놀랍게도 도움이 되어 자네 인생에 있어서 가장 기뻐할만한 행사장에 연애곡선을 보내게 된 것이지.

연애곡선! 이제부터 드디어 연애곡선의 설명에 들어가고자 하는데, 그 전에 한 마디. 심장이 보통 어떤 방법으로 연구되고 있는지를 살펴보아야 하네. 심장 기능을 완전히 이해하기 위해서는 심장을 몸 밖으로 꺼내서 검사하는 것이 가장 좋은 방법이지. 심장은 아무리 그것을 몸 밖으로 꺼내도 적당한 조건만 갖추어 주면 아무렇지도 않게 박동을 계속하거든. 단순히 하등동물의 심장만이 아니라 일반 온혈동물에서 사람에 이르기까지 그 심장은 몸을 떠나도 독립적으로 확장과 수축의 두 가지 운동을 되풀이한다네. 심장을 꺼내면 그 개체는 죽는다. 개체는 죽더라도 심장은 계속해서 움직인다! 이 무슨 불가사의한 현상인가. 시험 삼아 지금 자네의 심장을 꺼내어 뛰게 하면 어떤 상태일까, 또는 시험 삼아 지금 유키에 씨의 심장을 꺼내어 뛰게 어떤 상태일까. 나아가 자네 심장과 유키에 씨 심장을 나란히 놓고 뛰게 하면 어떤 현상을 볼 수 있을까. 자네! 손발이나 몸통을 갖춘 인간한테는 지극히 위선이 많지만 심장은 말 그대로 적나라하니 분명 아무런 거리낌 없이 박동 칠 게야. 결혼을 눈앞에 둔 자네들의 심장을 생각하며 이런 허황된 상상을 하며 나는 지금 이 편지를 쓰고 있네.

잠시 샛길로 빠졌으나 동물은 물론 인간 심장도 그 개체가 죽은 후에도 이를 채취하여 적당한 조건 하에 두면 또다시 움직이기 시작하는 법이네. 클리어브고라는 사람은 사후 20시간을 지난 인간 시체로부터 심장을 잘라내어 이를 움직여봤는데 약 1시간 동안 틀림없이 계속 박동 쳤다는 것이야. 인간이 죽어도 심장만이 20시간이나 더 살아있다는 것이 보기에 따라서는 얼마나 심장이 생에 대한 집착이 강한지를 알고도 남음이 있을 걸세. 옛날 사람이 연애의 상징으로서 하트모양을 선택한 것도 우연이 아닌 것 같네. 그래서 생각하기에 따라서는 심장이야말로 인생의 모든 신비가 담겨 있다고 해도 과언이 아닌 것 같더군. 또한 인생의 신비를 찾으려던 내가 심장 연구를 대상으로 한 것도 우연이 아니라고 할 수 있으리라.

연애곡선의 유래를 말하기 위해서는 어떻게 해서 심장을 꺼내고 어떠한 방법으로 심장을 뛰게 만드는가를 일단 언급해야 하네. 자네가 분주하다는 것은 충분히 할고 있으나 편지를 쓰고 있는 나도 이 편지를 다 쓰자마자 연애곡선을 제조해야 하므로 상당히 마음이 급하다네. 그러나 나는 다시 말하지만 자네가 충분히 이해해주기를 바라며, 가능하다면 자네 심장 표면에 이 편지를 새겨주고 싶을 정도이니 조금만 참고 읽어 주게나.

처음 나는 개구리 심장을 꺼내어 연구했으나 의학은 말할 것도 없이 인간을 대상으로 하는 학문이므로 가급적 인간에 가까운 동물을 고르고 싶다는 생각을 하여, 나중에는 주로 토끼 심장에 대한 연구를 계속했네. 그러나 개구리 심장보다 토끼 심장이 다루기가 더욱 복잡하므로 상당히 숙련을 요하는 일이었으며, 처음에는 조수가 필요했을 정도였으나 나중에는 혼자서도 모든 일을 할 수 있게 되었지. 우선 토끼를 고정기 위에 눕힌 후 묶어놓고는 에테르 마취를 한다. 토끼가 충분히 잠이 든 것을 확인하고 메스와 가위를 사용하여 흉벽 심장부를 가급적 넓게 잘라낸 다음 심장낭(心臟囊)을 절개하면 그 곳에는 힘차게 활동하는 심장이 드러난다. 가슴 속에 숨겨진 심장은 외풍에 닿더라도 태연하게 활동을 계속한다. 자네! 정말 심장은 알 수 없는 놈이야. “하트는 내 마음대로 할 수 없다”고 어떤 이가 그랬다고 하는데, 정말 맞는 말이네. 드디어 심장이 나타나자 이번에는 그것을 잘라내는데, 그대로 메스를 대면 출혈 때문에 수술을 하지 못하게 되니, 대정맥, 대동맥, 폐정맥, 폐동맥 등 대혈관을 하나하나 실로 묶은 다음 메스로써 그 대혈관들을 절단한다.

채취한 심장은 곧바로 일단 섭씨 37도 내외로 데운 로크씨액이 든 접시 속에 집어넣는다. 밤 열매만한 토끼 심장은 역시 힘없이 일시적으로 박동을 중단한다. 그 때 재빨리 폐동맥과 폐정맥 입구를 묶고 대동맥과 대정맥 입구에 유리관을 연결시키고는 곧바로 꺼낸 다음 특별히 만들어진 30입방센티 정도 되는 상자 속 적당한 장소에 유리관을 연결시킨 다음 섭씨 37도로 데워진 로크씨액을 주입시키면 놀랍게도 심장은 움직이기 시작한다. 이 로크씨액이라는 것은 염화나트륨 1프로센트, 염화칼슘 0.2퍼센트, 염화칼륨 0.2, 중탄산나트륨 0.1퍼센트 수용액으로서 거의 혈액 중 염류성분 양에 일치하기 때문에 심장은 혈액이 공급되는 것과 동일한 상태가 되어 그 박동을 계속하는 것이다. 하지만 그저 이 액을 주입시키기만 하면 심장은 결국 지치고 만다. 아무리 생에 대한 집착이 강한 심장이라도 외부로부터 에너지를 받지 않는다면 움직일 수가 없다. 쉽게 말하자면 음식이 없다면 움직이지 않으므로 보통 이 액 중에는 에너지의 근원, 즉 심장의 음식으로서 소량의 혈청알부민 또는 포도당을 넣으면 심장은 오랫동안 박동을 계속한다. 가장 좋은 방법은 로크씨액 대신 혈액을 통과시키도록 하는 것이지만 일반 실험에서는 로크씨액 만으로 충분하다. 한편 심장을 자유롭게 활동시키기 위해서는 산소를 필요로 하므로 일반 로크씨액에 산소를 섞어 통과시킨다.

심장을 움직이게끔 하는 상자 속 공기 온도도 역시 섭씨 37도 내외로 맞추어 놓는다. 그리고 로크씨액은 상자 위로부터 흘러들어가게 해 놓았으며 심장을 통과한 액체는 상자 밑으로 떨어진다. 상자 속에서 심장만이 움직이고 있는 광경은 도저히 자네가 상상도 못할 정도로 엄숙한 느낌을 주는 것이라네. 채취된 심장은 훌륭한 하나의 생물이다. 장미처럼 붉은 바탕에 노란 국화 꽃잎을 뿌려놓은 듯한 육체를 갖는 기이한 생물체는 바닷가에서 헤엄치는 해파리처럼 수축과 확장의 두 운동을 율동적으로 되풀이한다네. 그리고 가만히 그 운동을 바라보면 심장은 마치 자신의 자유의지를 가지고 있는 것처럼 느껴지지. 어떤 때는 그 심장에 작은 눈과 코가 생기고 모체로부터 떼어내진 것을 원망하는 것 같이 보이기도 하고, 또 어떤 때는 세상 공기에 닿은 것을 기뻐하는 것처럼도 보이고, 나아가 또 어떤 때는 심장만을 떼어내어 본래 심장기능을 연구하려 하는 과학자의 어리석음을 비웃는 것처럼도 보인다. 그러나 이것은 어디까지나 내 상상에 지나지 않을 뿐, 원래 심장은 몸 안에 있거나 몸 밖으로 꺼내져도 온힘을 다해 일하는 것으로서 all or nothing 법칙이 엄연히 이루어지고 있는 것이라네. 즉, 심장은 일단 일하기로 마음을 먹으면 전력을 다 해 일한다네. 말하자면 심장만큼 충실히 일을 하는 것은 좀처럼 찾아볼 수 없을 걸세. 이 점이 또한 연애의 상징으로서 가장 적합하다고 나는 생각하네. 다시 말해서 어떤 자극이 와도 자극 과다에 의해 박동방법이 변하는 것이 아니라 박동할 때는 전력을 다해 뛰고, 박동하지 않을 때는 절대 뛰지 않는다는 심장의 성질은 마치 재력이나 기타 외부의 압력에도 끄떡하지 않는 연애가 갖는 성격과 비등할 수 있다고 생각하네. 진심으로 사랑하는 동지에게는 아무리 어떤 장애물이 그 사이를 막고 있더라도 여느 무선 전파가 오고 가는 것처럼 그 심장 박동의 파도는 서로 오간다고 느껴진다는 말일세. 실제로 자네가 알고 있는지는 모르겠으나 심장은 움직일 때마다 전기가 발생하기에, 그 전기를 연구하기 위해 전기심동계 같은 것이 개발되고 있다네. 그리고 이 전기심동계야말로 내가 계획한 이른바 연애곡선을 만들어 내는 것일세.

그러나 전기심동계의 설명으로 가기 전에 위와 같이 채취한 삼장 운동을 어떻게 분석하여 연구하는가를 설명해야 하겠지. 단지 육안으로 관찰할 뿐이라면 정확한 비교연구가 불가능하기에 반드시 그 운동을 적당하게 기록하여야 하네. 그 운동을 기록한 것이 즉 ‘곡선’이지. 따라서 연애곡선이라는 말은 연애운동의 기록이라는 것을 의미하네. 자네는 지진이 지진계에 의해 곡선으로서 기록되는 것을 들은 적이 있겠지. 지금 그을음을 바른 종이를 원기둥에 감아놓고 그것을 규칙적으로 회전시켜서 운동하는 물체가 돌출한 가느다란 지렛대 끝을 그 종이에 닿게 하면 그 물체의 운동에 따라 특수한 곡선이 하얗게 나타나네. 심장운동도 이와 같은 방법에 의해 종이 위에 쓸 수 있지만, 나는 특히 심장에서 발생하는 전기에 관심이 있기에 주로 위에서 언급한 전기심동계를 사용하여 연구를 진행했네.

모든 근육이 운동할 때에는 반드시 어느 정도의 전기가 발생하지. 이른바 동물전기 같은 것이 바로 그것인데 심장도 근육으로 만들어진 장기이므로 박동마다 전기가 발생하네. 그리고 그 전기가 발생하는 모습을 곡선으로 나타내려는 기계가 전기심동계라네. 이 기계를 처음으로 발명한 사람은 네덜란드의 아인트웨인이라는 사람일세. 곡선이라고 해도 앞에서 말한 것처럼 단순한 게 아니야. 그 원리는 다소 복잡하네. 심장에서부터 나오는 전기를 일정한 방법에 의해 도출해 내고 그것을 거미줄보다도 가느다란 백금으로 도금한 석영(石英) 실로 통과시켜 실의 양쪽 끝에 전자석을 두면 실을 통과하는 전류의 힘에 의해 그 실이 좌우로 흔들리므로 그 실을 아크 등으로 비추면 실 그림자가 죄우로 크게 흔들리고, 그것을 가느다란 틈새를 통해서 사진용 감광지에 직접 비춰서 이를 현상하면 심장의 전기 강도를 나타내는 곡선이 하얗게 드러나게 되네. 감광지는 영화 필름처럼 감겨 있으므로 20분, 30분 동안의 심장운동 모습도 연속적으로 곡선에 나타낼 수 있네. 내가 자네에게 보내고자 하는 곡선도 그 감광지에 나타낸 곡선 다름 아니라네.

자, 나는 우선 내 연구 준비로서 채취한 심장에 대해 여러 종류의 약물 작용을 연구했다네. 즉, 처음에 로크씨액을 심장으로 연결하고 평상시의 곡선을 사진에 찍고, 그 다음 시험하려는 약품을 로크씨액에 섞어 통과시키고는 그 때 일어나는 심장 변화를 곡선으로서 촬영하는 것이네. 육안으로만 보면 그리 변화가 없는 것처럼 보이지만, 곡선을 비교하면 명확한 변화를 확인할 수 있으며, 이것에 의해 그 약물이 심장에 어떻게 작용했는가를 알 수 있지. 지기타리스, 아토로빈, 무스카린 등 맹독에서부터 아드레날린, 컨플, 카페인 등 약제에 이르기까지 심장에 작용하는 독성약품 대부분에 걸쳐 나는 하나하나의 곡선을 만들어냈네. 하지만 여기까지는 특히 새로운 연구는 아니며, 이미 많은 사람들에 의해 시도된 것이기에, 말하자면 내 본 연구에 대한 대조시험에 지나지 않았네.

그렇다면 내 본 연구는 무엇인가 하니, 한 마디도 말하자면 각종 정서와 심장기능과의 관계일세. 그러니까 소위 말하는 희로애락의 감정이 발생했을 때 심장은 그 전기발생 상태에 어떠한 변화를 미치는가 하는 점이지. 누구나 경험하는 바와 같이 놀랐을 때나 화가 났을 때에는 심장 박동이 변화하지. 나는 그것을 채취한 심장에 대해서 이른바 객관적으로 관찰하려 했네. 공포를 느낄 때 혈중 아드레날린이 증가한다는 사실은 이미 다른 학자들이 인정했으니, 공포를 느낄 때의 혈액을 잘라낸 심장 속에 주입시키면 아드레날린이 통과했을 때 같은 변화가 곡선으로 나타나야만 하네. 이 사실을 근거로 유추할 때에는 공포 외에 다른 감정일 때에도 혈액에 어떠한 변화가 있어야 하며, 따라서 동물에 희로애락의 감정을 일으키도록 하고 그 때의 혈액을 잘라 낸 심장한테 주입하여 전기심동계에 의해 곡선을 찍는다면 각종 감정일 때 혈액 속에 어떠한 성질의 물질이 나타나는가를 추정할 수는 셈이지.

그러나 이와 같은 연구에는 두말할 것도 없이 수많은 어려움이 동반하네. 이상적으로 말한다면 심장을 잘라내었을 때 똑같은 동물이 화가 나도록 만든다거나 고통을 주거나 해서 그 혈액을 주입시켜야 하는데 이는 불가능하네. 그러므로 하는 수 없이 ‘갑’ 토끼 심장과 ‘을’ 토끼 심장 등 여러 종류의 감정 발생에 있어서의 혈액을 채취하고 그것을 통해 연구하기로 했네. 다음으로 한층 더 어려운 점은 토끼를 화나게 하거나 슬프게 만드는 일이라네. 토끼는 본래 무표정하게 보이는 동물이므로 그 표정으로 희로애락을 확인할 수는 없기에, 화를 내게 해도 토끼는 화가 나지 않았을 수도 있고, 또한 즐겁게 한다고 해도 토끼는 의외로 즐거워하지 않을지도 모른다는 생각을 하자 당황하지 않을 수 없었네.

그래서 나는 토끼 실험을 중지하고 개에 대해서 해보기로 했네. 즉 ‘갑’ 개의 심장을 떼어낸 다음 ‘을’ 개를 화나게 하거나 즐겁게 한 다음 그 혈액을 채취하여 주입시키는 것일세. 이 방법으로 곡선을 만들 수는 있었으나 역시 이상적이지 않았네. 그 이유는 기껏 개를 즐겁게 해주어도 막상 피를 채취할 때에는 크게 화를 내기에 결국 분노 곡선에 가까운 것이 생기고, 그렇다고 하여 개를 마취시킨다면 무감정일 때의 곡선밖에 안 나오기에 그저 화를 낼 때 또는 공포를 느낄 때의 곡선만이 비교적 이상적인 것에 가까운 그림이 나오더군.

이와 같은 이유로 각종 감정을 나타낼 때 혈액이 심장한테 미치는 영향을 이상적인 곡선으로 그리기 위해서는 인간에 대한 실험 외에 없네. 인간이라면 화가 났을 때의 혈액, 슬플 때의 혈액, 기쁠 때의 혈액이 비교적 쉽게 채취할 수 있기 때문이지. 그렇다고는 하나 인간을 이용한 실험에서 어려운 점은 인간 심장이 쉽게 얻을 수 없다는 점일세. 죽은 사람의 심장조차도 좀처럼 손에 넣을 수 없는데 하물며 산 사람의 심장이라니. 그러므로 부득이 하게 나는 토끼 심장으로 실험하기로 했네. 혈액에 관해서 또한 아무도 흔쾌히 혈액을 제공해주지 않으므로 나는 나 자신의 혈액을 사용해서 실험하기로 했네. 즉, 나는 여러 소설을 읽고 때로는 슬퍼하고, 때로는 분노하고, 때로는 기쁨을 느끼며 그 때마다 주사바늘로 왼쪽 정맥에서 5그램 씩 혈액을 뽑으며 실험했네. 토끼나 개 경우에도 그랬으나 모든 혈액을 채취할 때는 응고를 막기 위해 주사바늘 속에 일정량의 수산(蓚酸)을 넣어두었네.

이렇게 해서 얻어진 곡선을 연구해보면 기쁠 때, 슬플 때, 괴로울 때 등에 의해 그 곡선에 분명한 차이가 인정되네. 공포를 느낄 때의 곡선은 역시 아드레날린을 주입시켰을 때의 곡선과 흡사하고 쾌락을 느낄 때에는 모르핀을 주입시켰을 때의 곡선과 유사했지만, 그것은 단지 유사하다는 데에 지나지 않았기에 미세한 점에 이르러서는 각각 특수한 차이가 인정되었네. 그리고 나중에 나는 연습에 의해 어떤 것이 공포 곡선인지, 무엇이 유쾌함의 곡선인지, 무엇이 아드레날린 곡선인지, 무엇이 모르핀 곡선인지를 그림만 보고도 구별할 수 있게 되었지. 한편 이 곡선은 토끼 심장을 써도 개 심장을 써도, 그리고 새롭게 양 심장을 써도 같은 변화를 초래한다는 사실을 경험했네.

그러나 자네. 학문 연구에 종사하는 자는 누구나 연구 상 욕심이 깊어지기 마련이기에, 토끼나 개나 양에 대해서 같은 결과가 나왔다면 그것으로 만족해야 했지만, 나는 한 발자국 더 나아가 어떻게 해서든 인간의 심장에 대해서도 실험을 해보려고 한 것일세. 앞에 적은 대로 인간 심장은 사후 20시간을 지나도 계속 박동시킬 수 있었기에, 시체 심장이라도 좋으니 얻을 수 있었으면 좋겠다며 병리해부학 교실이나 임상과 교실 사람한테 부탁해두었지.

그랬더니 운 좋게 어떤 여성 심장 하나를 얻을 수 있었다네. 그녀는 19세의 결핵환자였네. 그녀는 사랑하는 남자에게 버림받고 절망한 나머지 건강을 해하여 내과에 입원하고는 끝내 회복되지 못했지만, 그녀는 생전에 입버릇처럼 “제 심장에는 분명 크게 금이 가 있을 거예요. 제가 죽으면 제발 꼭 심장을 해부해서 학문적으로 도움이 되게 해 주세요.”라고 말했다더군. 마침 내 친구가 그 담당이었기에 그녀의 유언에 따라 내가 그 심장을 받았네.

지금까지 토끼나 개, 고양이 심장을 끄집어내는 데에 익숙했던 나도 아무리 시체라고는 하지만 그 여자의 양초와 같은 차갑고 흰 피부를 만지고 메스를 댔을 때는 일종의 전율이 손끝 신경에서부터 온몸으로 전해왔지. 그러나 얇은 지방층, 유독 붉은 근육층, 늑골이라는 순서로 절개하여 흉곽을 벌리고 심낭을 찢어 심장을 꺼냈을 때쯤 나는 역시 여느 때와 같은 냉정한 모습으로 돌아와 있었네. 일단 그녀의 심장에는 금이 가 있지는 않았으나 현저하게 왜소했네. 지금까지 살아있는 동물들의 심장만을 목격해 온 나로서는 처음에 심장 같지도 않더군. 사후 15시간이 지났으나 이상할 정도로 차가웠기에 나는 채취한 심장을 손에 쥔 채로 멍하니 넋을 잃었지. 순간 정신이 들어 미지근한 로크씨액 안에 넣고 잘 씻은 다음 상자 속 장치를 통해 로크씨액을 주입하였더니, 처음에 심장은 마치 잠을 자듯이 가만히 있었지만 잠시 후 꿈틀꿈틀 하고 움직이기 시작하고, 잠시 후에는 힘차게 박동하기 시작했네. 예상은 했었지만 나는 그 여성이 소생한 것처럼 느껴져 말로 표현할 수 없는 감동을 받아 나는 어느새 실험을 잊고 그 미묘한 운동을 바라보았지. 그리고 그 심장 주인에 대해 생각했네. 실연! 얼마나 슬픈 운명이란 말인가. 나는 그 때 남 이야기 같지가 않았다네. 나도 역시 실연의 고통을 맛보고 있는 인간 아닌가. 과거 이 심장 주인이 살아 있었을 때 이 심장은 얼마나 처절하게, 얼마나 슬프게 뛰었을까. 지난날의 괴로운 기억도 지금은 로크씨액에 의해 씻겼는지 마음 편히 수축과 확장의 두 운동을 되풀이하고 있더군. 아마도 그녀는 실연한 다음 단 하루도 이 심장은 평온하게 박동하지 않았을 것일세. 뛰어! 뛰어라! 로크씨액은 얼마든지 있으니 뛰어라! 마음껏 뛰고 또 뛰어라.

문득 정신을 차리자 심장은 현저하게 그 힘이 약해졌다. 그럴 만도 하다. 박동을 시작하고 이제 1시간이 지나려 하고 있었네. 예정에도 없던 못한 상상을 하느라 시간을 낭비하고 감정연구를 잊고 있던 나는 과학자로서의 냉정함을 잃었다는 사실에 대해 부끄러워하면서, 기껏 귀중한 재료를 얻었으면서도 이를 허비하는 것은 아깝게 느껴졌네. 그리고 갑자기 떠오른 생각이 실연 감정 연구였지. 실연한 사람의 심장에 실연을 한 내 피를 주입시켜 곡선을 그린다면 그야말로 이상적인 곡선을 얻을 수 있지 않을까.

나는 재빨리 여느 때처럼 왼쪽 팔에서 혈액을 뽑고는 그것을 그 심장 속으로 주입시키고 전기심동계를 작동시켰네. 점점 힘이 빠졌던 심장은 내 혈액이 닿자마자 갑자기 힘차게 30회 정도 뛰더니 다시 힘이 빠지고는, 이번에는 완전히 멈추고 말았네. 즉 심장은 죽었던 것일세. 영원히 죽고 말았지. 그러나 곡선만은 선명하게 찍히고 분석연구를 해보자 비애와도 고통과도 분노와도 공포와도 그 어느 것에도 속하지 않으면서 또한 모든 종류와 닮은 성질을 가지고 있는 것처럼도 보였다네.

그럼 실연곡선을 만든 나는 실연의 반대 감정인 연애곡선도 얻고 싶다는 생각하기에 이르렀네. 그야말로 끊일 줄을 모르는 과학자의 욕망일세. 그러나 과거에는 연애를 느껴도 지금은 실연밖에 느끼지 않는 내가 어떻게 연애곡선을 만들 수 있으랴. 이는 도저히 불가능하다. 이렇게 생각하고 포기하려 하였으나 만들어보고자 하는 호기심은 커져만 갔으며, 잠시 후에는 일종의 강박관념에 사로잡혀 버리더군. 그렇다고 해서 이는 자네한테 매우 실례되는 말이지만 자네와는 달리 유키에 씨 외에는 그 누구에게도 사랑을 느끼지 않았던 내가 이제 와서 누구에게 참된 사랑을 느낄 수 있단 말인가. 실제로 나는 참된 사랑을 유키에 씨 이외의 사람에게는 느끼지 못했다. 그렇다면 도저히 연애곡선은 얻을 수 없다는 말이 되네. 하지만 그런 생각이 들다가도 일단 사로잡힌 강박관념은 쉽게 사라지지 않았지. 그래서 하는 수 없이 실연으로 하여금 연애가 되게 하는 방법이 없을까 하고 나는 열심히 생각했네. 생각하고 또 생각하고……. 나는 정말 미칠 정도로 생각했지.

그런데 공교롭게도 얼마 전 어떤 사람으로부터 자네와 유키에 씨가 드디어 결혼한다는 사실을 전해 들었네. 그러자 마치 달궈진 숯에 불이 붙은 것처럼 실연의 슬픔은 내 몸속에서 불타올랐지. 말하자면 나는 실연에 있어서 절정에 도달한 것일세. 그 때 나는 이 절정에 달한 실연을 그대로 응용하여 연애곡선을 쓸 수 있다는 신념을 얻었네.

자네는 수학에서 마이너스와 마이너스를 곱하면 플러스가 된다는 것을 배웠겠지. 나는 이 원리를 응용하여 실연을 연애로 바꾸려고 했네. 즉, 실연의 절정에 도달한 내 혈액을 실연의 절정에 도달한 여성 심장에 주입시키면 그 때 그려진 곡선이야말로 연애의 극치를 나타내는 것이라고 생각한 것일세. 이렇게 말하면 실연의 절정에 도달한 여자를 어디서 데려와야 하는가를 자네는 묻겠지. 그러나 걱정할 필요는 없네. 무엇보다 내가 이상과 같은 원리를 생각해낸 것도 사실은 실연의 절정에 도달한 여자를 찾았기 때문이며, 그 여자는 바로 자네와 유키에 씨의 결혼을 편지로 알려준 장본인일세.

자네도 아마 짚이는 구석이 있겠지. 그 편지 발송인이야말로 자네 결혼에 의해 실연의 극치에 도달한 사람일세. 자네는 많은 여성을 사랑한 적이 있으니 여자 마음을 어느 정도 알고 있겠지만, 그 여성도 내가 유키에 씨 하나를 사랑하듯, 한 남자밖에 참된 사랑을 느끼지 않았기에 자네들의 결혼에 의해 실연의 절정에 도달한 것일세. 마찬가지로 자네 결혼에 의해 실연을 느낀 나와 그 여자가 하나의 곡선을 만들어낸다면 그야말로 앞서 말한 원리에 의해 바로 연애곡선이 아니겠는가. 더구나 그 여성은 절망한 나머지 죽으려 하고 있네. 이보게. 죽음보다 더한 힘이 이 세상에 있다고 생각하는가. 나는 그 여성의 결심을 듣고 실연에 대한 내 감정이 오히려 부족다는 사실을 알고 부끄러웠다네. 나는 그 여성을 위해 용기를 얻을 수 있었네. 그리고 오늘 밤 그 여성을 직접 만나, 그녀의 결심을 듣고 내 마음 속에 있는 생각을 털어놓았더니, 흔쾌히 죽음에 응할 테니 꼭 심장을 꺼내서 내 피를 주입하고 완성된 곡선을 기념으로 자네에게 보내달라며 안달이더군. 나도 결심하고 드디어 연애곡선 제조에 들어가려 하네.

자네! 나는 지금 이 편지를 연구실 전기심동계 옆에 놓인 책상에서 쓰고 있네. 설마 생리학연구실에서 깊은 밤에 연애곡선을 만들이라고 생각하지 않을 테니 어떠한 방해도 받지 않고 연구를 수행할 수 있지. 밤은 조용히 흘러만 가네. 실험용으로 기르고 있는 개가 마당 구석에서 방금 전 두세 번 짖은 다음에는 겨울을 앞둔 밤바람이 연구실 유리창에서 희미한 소리를 내고 있을 뿐이네. 내게 심장을 제공한 여성은 지금 내 발밑에서 깊은 잠에 빠져 있네. 조금 전에 내가 연애곡선 제조 순서와 계획에 대한 말을 끝내자 그녀는 기뻐하며 다량의 모르핀을 복용한 것일세. 그녀는 이제 다시 일어나지 않네. 그녀가 모르핀을 복용하자마자 나는 로크씨액에 가열을 시작하고 전기심동계 준비를 끝내고서 이 편지를 쓰기 시작했네. 몰핀을 복용한 후 그녀는 기뻐하듯 내가 준비하는 모습을 보고 있었으나 이 편지를 쓰기 시작할 무렵, 결국 잠에 빠져들고 말았네. 이 얼마나 아름다운 죽음인가. 지금 그녀는 작은 숨소리를 내고 있으나 이제 두 번 다시 그녀의 목소리를 들을 수 없다는 생각을 하자 편지를 쓰는 손이 떨려오는군. 나는 아마도 두서없이 써왔겠으나 지금 다시 읽어볼 틈이 없다네. 나는 지금부터 그녀의 심장을 꺼내야 하기 때문이지.


40분 걸렸군. 간신히 지금 그녀 심장을 꺼내고 상자 속에 연결한 후 로크씨액을 주입시키고 있다. 수술할 때 그녀의 심장은 계속 박동하고 있었네. 이는 그녀의 유언을 따랐기 때문일세. 그녀는 연애곡선을 완성하기 위해 심장이 아직 움직이고 있을 때 적출해주기를 원했네. 메스를 댈 때 혹시 그녀가 잠에서 깨어나지 않을까 하기도 했으나 심장을 절단하기까지 그녀는 안락한 잠을 자고 있었네. 지금도 아직 조그맣게 숨소리를 내고 있지 않을까 할 정도라네. 전등 불빛에 비춰진 그녀의 죽은 모습은 그저 아름답다는 말밖에 안 나오는군.

심장은 지금 매우 활발하게 움직이네. 어서 내 피를 주입해달라는 듯 말일세. 자, 드디어 이제부터 내 혈액을 채취할 순서라네. 연애곡선을 완성시키는 것과 그녀의 비장한 소망을 만족시키기 위해 나는 지금까지 아무도 시도하지 않았던 혈액유통법을 해보려는 것일세. 지금까지는 주사바늘로 왼팔 정맥에서 피를 뽑고 왔었지만, 이번만은 내 요골(撓骨)동맥에 유리관을 꽂고는 그대로 고무관으로 연결하여 내 동맥으로부터 내 혈액이 직접 그녀의 심장 속으로 들어가도록 하려는 것일세. 그녀가 살아있는 심장을 제공해 준 마음에 대해 이 정도로 보답하는 것은 당연하지. 그리고 또한 연애곡선을 완성시키기 위해서도 필요하네.


20분 걸렸다.

이제 간신히 내 동맥혈을 그녀의 심장 속으로 보낼 수 있게 되었네. 혈액은 힘껏 뻗어 나오기에 조금도 응고를 일으키지 않은 채 실험은 계속되었네. 심장은 힘차게 박동하네. 그 뛰는 모습을 바라보고 있노라면 왼손에 통증도 느껴지지 않는군. 왼손 상처에 조금씩 피가 번져온다. 그 피를 닦아내기 위해 거즈를 옆에 두고 있네. 저런, 종이에 피가 묻었군. 용서하게. 그녀의 심장으로 흘러 들어가는 내 피는 또다시 돌아오지 않네. 내 혈액은 점점 줄어간다. 머리가 선명해졌군. 잠시 손을 멈추고 그녀 심장을 관찰하며 옛 생각에 잠기도록 하겠네.


10분이 지났다.

온몸에 땀이 흘러나왔다. 빈혈 때문이겠지. 자, 이제부터 스위치를 돌려 아크 등을 켜고는 감열지를 회전시킨다. 나는 자리에 앉은 채로 스위치를 넣을 수 있도록 준비해 둔 것일세. 전등이 켜져 있어도 곡선제조에는 지장이 없으니.


전기심동계가 움직이고 있다. 심동계 소리 이외에 묘한 소리가 들려온다. 이것도 빈혈 때문이야!

곡선은 지금 그려지고 있다. 자네에게 바쳐질 연애곡선이 지금 만들어지고 있는 것일세. 그러나 나는 그 곡선을 현상할 수 없네. 여차하면 나는 이대로 내 온몸의 혈액을 쏟아 부을 작정이니 말일세. 혈액을 모두 뽑힌 후 내가 쓰러지면 아크 등이나 사진 장치, 실내 전등 스위치가 모두 한 번에 꺼지도록 해놓았으니 머지않아 두 시체는 어둠 속에 잠길 것일세.


펜을 든 손이 심하게 떨려온다. 눈앞에 어두워지기 시작했다. 나는 마지막 힘을 다해 자네에 한 마디 해주기로 하겠네. 사실 이 편지를 쓰기 전에 교실주임과 동료 앞으로 편지를 써놨으니 이것이 내 마지막 유서가 되는 셈이네. 연애곡선은 내일 아침 동료 손에 의해 현상되고 자네에게 보내줄 터이니 영원히 보존해주기 바라네.

자네는 이미 내게 심장을 제공한 여성이 누구인지 짐작하고 있겠지. 나는 지금 무한한 기쁨을 느끼고 있다네. 스스로 곡선을 볼 수는 없으나, 참된 연애곡선이 완성되어가고 있다는 것을 나는 믿어 의심치 않네. 내 피가 다했을 때 그녀의 심장은 정지하네. 이것이 연애의 극치가 아니고 무엇이란 말인가.

……저런. 내 피가 줄어들었는지 그녀의 심장은 지금 막 정지하려 하는군. 자네! 자네와의 사랑 없는 정략결혼을 혐오하고 그녀의 참된 연인이었던 내게 달려온 유키에 씨의 심장은 바로 지금 멈추려 하고 있다……



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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)


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