황금풍경(黄金風景:おうごんふうけい) 다자이 오사무(太宰 治) (1939) 일본어 원문 海の岸辺に緑なす樫(かし)の木、その樫の木に黄金の細き鎖のむすばれて ―プウシキン― 私は子供のときには、余り質(たち)のいい方ではなかった。女中をいじめた。私は、のろくさいことは嫌(きら)いで、それゆえ、のろくさい女中を殊(こと)にもいじめた。お慶は、のろくさい女中である。林檎(りんご)の皮をむかせても、むきながら何を考えているのか、二度も三度も手を休めて、おい、とその度毎にきびしく声を掛けてやらないと、片手に林檎、片手にナイフを持ったまま、いつまでも、ぼんやりしているのだ。足りないのではないか、と思われた。台所で、何もせずに、ただのっそりつっ立っている姿を、私はよく見かけたものであるが、子供心にも、うすみっともなく、妙に疳(かん)にさわって、おい、お慶、日は短いのだぞ、などと大人びた、い..