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  1. 2018.05.01 보기 드문 범죄 - 일본어
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보기 드문 범죄(稀有の犯罪)

고사카이 후보쿠 (小酒井 不木) (1927)

일본어 원문


       一


 悲劇というものは、しばしば、まるでお話にならぬような馬鹿々々しい原因で発生するものであります。ほんの一寸(ちょっと)した出来心や、まったく些細ないたずらから、思いもよらぬ大事件を惹き起すというようなことは、よく物語などにも書かれているのであります。

 これから私が御話しようとするのも、やはり馬鹿々々しい原因で、三人の宝石盗賊がその生命を失う物語であります。というと、察しのよい読者は「ハハア宝石を取り扱った探偵小説だな。今どき探偵小説の中へ宝石を持ち出すなんて古い古い」と仰(おっ)しゃるにちがいありません。実際そのとおりで、宝石とピストルにはお互いにもう厭き厭きしてしまいました。

 けれども、懐中時計が宝石を断念する事ができぬと同じように、探偵小説もなかなか宝石と絶縁することはむずかしいのであります。まったく、宝石の色と光とはたまらなくいいものです。じっと見ていると、しまいには一種の法悦を感ずるくらいでありますから、箕島(みのしま)、仙波(せんば)、京山(きょうやま)の三人が、共謀して、宝石専門の盗賊となったのも、あながち酒色に費す金がほしいばかりでなかったのであります。しかし、どうして三人が一しょになって仕事をする様になったか、また、三人がどういう生い立ちの者であるかというようなことは、この物語とは関係のないことですから、申し上げません。とにかく、三人は宝石に対する趣味を同じくして、他人の秘蔵している宝石を盗んだのですが、いつも一定の時日愛翫すると、それを売り払って、金にかえ、しばらくの間にその金を費い果してしまうのでした。

 して見ると彼等三人の宝石に対する趣味は、純なものだとはいわれません。それのみならず、彼等は、宝石を奪うためには、他人を傷つけたり、殺したりすることさえ敢(あえ)てしましたから、いわば彼等の趣味は悪趣味というべきものでした。

 こうした悪趣味は、そんなに長い間、青天白日の下で栄えるものではありませんが、不思議にも警察は、久しくその悪趣味を除くことに成功せず、実をいうと、彼等三人が、何処に住(すま)って、どんな容貌をしているかさえ知らなかったのであります。知っているのはこの物語の作者ばかりで、実は彼等は市内に二ヶ所の住居(すまい)即ち根城を持っていましたが、三人とも非常に変装に巧(たくみ)でありまして、単に風采を変えるのに秀でていたばかりでなく、他人の容貌に扮装することも、彼等にとっては極めて容易な業でありました。だから、警察には中々わからなかったのであります。何しろ盗賊にはいって、ただちにその家の主人公に扮装することなどがあるのですから、無理もありません。

 ところが、悪運が尽きたとでもいうのですか、それとも、阿漕(あこぎ)が浦で引く網も度重なれば何とやらの譬(たとえ)か、警察ではやっとのことで、彼等の二つの住居の中の一つを嗅ぎ出したのです。場所はS区B町という尼寺の多い町でして、まったく宝石盗賊などの住みそうもないように思われる場所なのです。しかも、いざというときには、うまく逃げられるように、警察の知らぬ秘密の通路などがこしらえられてありました。

 で、警察では、こんど、三人が何処かの邸宅にはいって宝石を盗んだならば、すぐこの根城を襲って彼等を取り押える手はずになっていたのであります。このことは、やはり作者が知っているだけで、彼等三人はちっとも知らなかったのであります。さればこそ、彼等がN男爵家にはいって、男爵の秘蔵していた青色のダイヤモンドを盗むなり、警察のために、その根城に踏みこまれ、しかも、妙な行きがかりから、三人とも生命を失うようなことになったのであります。

 N男爵家の青色のダイヤモンドは、彼等三人の久しく狙っていたところのものであります。それは時価少くとも二十万円の宝石でありまして、大きさは無名指の頭ぐらいですけれど、その色が南国の海の様に青く、たまらなく美しいのであります。実は彼等は、これを奪うなり、暫く日本から離れて、支那へでも渡ろうという計画を建てていたのですが、とかく、世の中のことは、予定通りにはまいらぬもので、とうとう支那よりももっと遠い、十万億の仏土を隔てたむこうまで旅行することになりました。


       二


 お話の順序としては、彼等が如何なる手段をもって、N男爵家の金庫の中にあったダイヤモンドをまんまと手に入れたかを語らねばなりませんが、そういう探偵小説はもういい加減に読者諸君が厭き厭きしておられるであろうから、私は、いきなり、三人が、B町の住居の一室で、盗んで来たダイヤモンドを中央のテーブルの上に置き、それを取り囲んで、うっとりと見つめながら思うままに賞翫している場面から述べはじめるのであります。いつも三人は、緑色のシェードをもった卓上電燈の光りで、宝石の魅力ある光をながめるのですが、今は丁度午前二時で、三人は一時間ほど前に、男爵邸でかなりに心身を疲労したせいか、青色の光の前で、まるで催眠術にでもかけられているように、ぼんやりした表情をしつつ、長い間、無言の行をつづけました。三人とも煙草がきらいなので、はたから見ると、頗(すこぶ)る手持無沙汰に見えますけれど本人たちはそれ程に思わないのでしょう。テーブルの上にのせた手を組んで、前かがみに椅子に腰かけ、宝石の光に刺戟されて、色々の追想にふけるのでした。秋の夜の戸外は至って寂しく、お寺の多い町の静けさは、人々に一種の鬼気を感ぜしめないではおきません。

「美しい!」と、箕島が小声でいいました。

「すごい!」と、仙波がいいました。

「素敵だ!」と、京山がいいました。

 それから、再び沈黙が続きました。

 凡そ三十分程鑑賞の沈黙が続いたとき、聴覚の最もよく発達した箕島は戸外にある一種の異様な物音をききました。もし三人の聴覚が同じ程度の鋭敏さであったならばこれから述べるような悲劇は起らなかったであろうに、仙波と京山の二人は、年は箕島と同じく三十五六歳でありながら、耳の発達が普通で、その時何の音をも聞かなかったのであります。

 だから箕島が、青色のダイヤモンドの方へ、フッと手をのばして、瞬く間に、口の中へ入れてぐっと嚥(の)みこんだ時には、箕島が戸外の物音を警察の追跡と直覚し、危険を恐れてダイヤモンドを体内にかくしたのだとは思わず、反対に箕島がそのダイヤモンドを独占しようとしたのだと誤解したのであります。

 仙波と京山とは、同時に箕島におどりかかりました。その時箕島が、その理由を説明すればよかったであろうに、箕島は三人の生命を完(まっと)うしなければならぬという方に気をとられ、いきなり卓上電燈のスイッチをひねって灯を消しました。ところが、この行為は、他の二人の疑惑を一層深めました。

「しッ!」といって箕島は、二人の注意を促そうとしましたが、もはや駄目でした。次の瞬間、椅子のたおれる音、テーブルの転がる音、卓上電燈の割れる音が聞えました。いうまでもなく、はげしい暗中の格闘がはじまったのです。

 一しきり、どたんばたんという音が続きましたが、そのうちに突然ピストルの音がしたかと思うと、それと同時に「うーん」とうめく声が聞えました。そうしてしばらくの間、ぴたりと物音がとだえましたが、その時室外に突然どやどや沢山の人の足音がしました。即ち警官たちが、N男爵邸の盗難の報に接して、かねて目星をつけていた三人の巣窟を襲ったのです。

 警官たちが、三人のいた室にはいるためには、相当の時間を要しました。即ち扉(ドア)を破らねばならなかったからです。室の中には火薬の煙のにおいが漂っておりました。そうして、警官たちが、懐中電燈をもって室内を照らして見ますと、家具の狼藉の中に、箕島――即ち、いましがたダイヤモンドを嚥(の)みこんだ箕島が、左の胸部から血を流して死んでおりました。


       三


 もし箕島がダイヤモンドを嚥みこんでいなかったならば、仙波も京山も生命を失うような悲劇を起さなかったでしょうが、箕島の腹の中にあるダイヤモンドを取り返そうと二人が計画したばかりに、はからずも悲運を招くことになりました。

 B町の巣窟の秘密の通路から首尾よく逃げ出した仙波と京山の二人は、第二のかくれ家に来て、「ほッ」と一息つきました。

「貴様が箕島を殺したばっかりに、折角手に入れたダイヤモンドを、みすみす捨ててしまった」と、京山は残念そうな顔をしていいました。

 この京山の言葉によると、ピストルを発射したのは仙波だと見えます。

「仕方がないよ。箕島の奴、俺等二人を出し抜いて、自分一人でダイヤモンドをせしめようとしたんだもの。奴にとられるよりはまだましだ」と、仙波は、箕島を殺したことを左程後悔もせず、またダイヤモンドを失ったことをあまり惜しがりもしないような態度で言いました。

「これでいよいよ日本の土地を離れることが出来るのだと思って喜んでいたのに、すっかり計画がくるってしまった」と、京山は吐き出すようにいいました。

「まあそんなに悲観するな」と仙波は諭(さと)しました。仙波は甚だ気が短かい性分でして、だからこそ、一時の激情に駆られて、久しく親密にしていた箕島を殺したわけですが、京山が甚だしく悄気(しょげ)かえっているのを見ると、先ず自分から落ついて、京山をなぐさめるより外はありませんでした。

「でも惜しいよ」と、京山はなおもあきらめられませんでした。

「おいおい」と仙波は京山の注意を促すようにいいました。「おれの身にもなってくれ。おれは人殺しをして、今日から日蔭ものだよ。もっとも、つかまった時には貴様にも、まきぞえを食わしてやるつもりだがな、まあまあ当分はつかまらぬつもりだから心配せぬでもいい。それよりも、何か新らしい仕事を計画しようよ」

「新らしい仕事よりも、おれはあの箕島の嚥みこんだダイヤモンドを取りかえしたいと思うんだ。何とかよい方法はないものかなあ」

 京山はどこまでも青色の宝石に未練を残しておりました。

 いわれて見れば仙波にしても、まんざら惜しくないこともありません。といって今ごろは警察の手に渡ってしまったであろうところの箕島の死骸の中から、問題のダイヤモンドを取りかえすことは、到底不可能のことであります。

「駄目だよ。箕島の身体はもう、こっちのものでないからな。それにしても、どうして警察の奴等が俺等の巣を嗅ぎ出したのだろう。ことによると、箕島の奴め、警察に密通して、あの場合、俺等二人を警察の手に渡して、ずらかるつもりだったかも知れん」と、仙波は、どこまでも、箕島の行動を誤解しております。

「だから、宝石が箕島に占領されたかと思うと、いよいよ残念じゃないか」と、やっぱり、京山にも箕島の真意がわかっておりません。

「それもそうだなあ」と、仙波も考えはじめました。「けれど、とてもとてもとり戻す手段はないじゃないか」

「そこを何とか工夫して見ようじゃないか。貴様は俺より人間の身体の中のことはずっと委(くわ)しいはずだから、一つよく考えて見てくれ」

 仙波はもと、T医科大学の病理学教室の小使をしていたことがあって、人間の解剖に馴れていたので、京山はこういったのです。仙波は人間の解剖をたえず見ていたので、自然殺伐な性質が養われたわけですが、いかに人体の内部のことにくわしくても、箕島の体内にはいったダイヤモンドを取り返す妙案は浮びそうにもありません。

「待てよ」と仙波は腕を組み、眼を閉じて、しばらくの間考えこみました。朝が近づいたと見えて、街から荷車のとおる音が聞えて来ました。二人は別に疲れた様子もなく一生懸命に考えました。

 やがて、仙波の顔にはあかるい表情がうかびました。

「あるよ、妙案が」と、仙波はにこにこしながらいいました。

「どんなことだい?」と京山は息をはずませました。

「まあ、ゆっくり聞け」と、仙波は得意気にいいました。「箕島の死骸は、今日、大学の法医学教室へ運ばれて、解剖されるにちがいない。おれは病理学教室にいる時分、時々法医学教室へもいったが、法医学教室は教授と助手二人と小使との四人きりで、解剖は教授がやることもあるし、助手がやることもあるのだ。殺人死骸が外から運ばれてくると、とりあえず解剖室に置いて、すぐさま、解剖の始まることもあるが、大ていは、四五時間の後か、或は教授の都合により、翌日に行われるのだ。だから、こんども、その間に、うまく教室へしのびこんで、死体の腹を開いて、胃の中から、ダイヤモンドを取り出せばいい」

「なる程なあ」と、京山もこの妙案に力づけられていいました。「けれど、夜分ならともかく、今日の昼中解剖が行われて警察の人間がそばに居たら、盗みにはいることも出来ないじゃないか」

「それもそうだ」と、仙波は再び考えこみました。そうして暫くの後、何思ったか、じっと京山の顔を見つめて、にこりとしながら「いいことがある」と叫びました。

「何だい、俺の顔ばかり、じろじろながめて」

「その貴様の顔が入用なんだよ。というのは、貴様に白い鬘(かつら)をきせて、胡麻塩(ごましお)の口髭と頤髭とをつけると、法医学教授の奥田博士とそっくりの顔になるんだ。だから、教授に扮装して教室へ入りこみ、ダイヤモンドを取り出してくればよい」

「なるほど、もしそうだったら、そいつは面白い」と、これまで三人のうちで扮装の一ばん巧だった京山は、一種の誇りを感じていいました。が、次の瞬間、急に顔を曇らせました。

「けれど、俺は解剖のことをちっとも知らないんだから駄目じゃないか。もし沢山の人がいたら、何とも仕ようがないじゃないか」

「そこだよ、貴様の腕を見せるところは、つまり、教授に扮装して、助手に命令し、万事助手にやらせて見ておればよいのだ」

「けれど、そうすれば、ダイヤモンドをその助手にとられてしまうじゃないか」

「無論ぼんやりしていてはいけない。即ちその助手に命じて、胃と腸は都合によって自分で研究して見たいからといって、胃腸を切り出させ、それを貰って逃げてしまえばよいのだ」

「そうか。しかし、同じ教授が二人おればすぐ見つかってしまうじゃないか」

「それで、俺が力を貸してやろうと思うんだ」と、仙波もいつの間にか、真剣になりました。

「先ず、貴様と一しょに警察のものだと偽って法医学教室をたずねる。教授に逢って二三世間話をし、その間に貴様が教授の声色(こわいろ)や癖を研究する。それから突然二人で教授を縛り上げて猿轡(さるぐつわ)をかませる。そうして貴様が持って行った扮装道具で手早く教授に扮装して解剖室へ行く。その間、俺は教授室の中から鍵をまわして本物の教授の番をしている。貴様は解剖室で助手に命じて胃腸を切り出させ、一寸自分の室へ行ってくるといって、そいつをもって帰ってくる。そこですぐさまもとの服装にかえり、臓物を新聞紙に包んで法医学教室を抜け出す。どうだい? これなら、そんなにむずかしいことはないじゃないか」

「うまいうまい」と、京山は、はや計画が成功したかのように、うれしそうな顔をしていいました。まったくこの計画が成功すれば二十万円を二人でわけることが出来るのですから嬉しいにちがいありません。「それじゃ、そういうことにして準備に取りかかろう。これから一寝(ひとね)入りしたら貴様すまぬが自働電話をかけて、解剖が何時にはじまるかきいてくれよ。それとも、解剖はもうはじまったかも知れぬかな?」と、不安そうな顔をしました。

「大丈夫だよ。九時より前にはじまることは決してないよ」と、仙波は自信をもっていいました。


       四

 九時少し前、仙波は法医学教室へ自働電話をかけに行って、にこにこしながら、帰って来ました。二人とも熟睡と朝食との為に、溌溂とした元気でおりました。

「どうだった?」と京山がたずねました。

「上首尾さ」と、仙波は答えました。「午後の正三時に解剖が行われるというのだ」

「そりゃ都合がいい」と、京山も嬉しそうにいいました。「時に、電話で、どういって先方へたずねたのかい?」

「別にむずかしいことはなかったさ」と、いいながらも仙波は少なからず得意です。

「こちらは警察のものだが、昨晩、S区B町で殺された死骸はもう着きましたかとたずねたのさ。すると、小使の声で、今朝早く着きましたという返事よ。〆(しめ)たと思ってね。それから、解剖は何時からですかというと、午後の三時からだという答えなんだ。万事工合よく行ったよ」

 それから二人は扮装に必要な道具を吟味しました。そうして、午後二時四十分ごろ法医学教室をたずねた時には、二人はまったく、私服の警察官らしい姿になっておりました。

 だから、二人は教授室へ、何の疑惑もなく迎え入れられました。京山は教授の顔を一目見るなり、なるほど自分の顔に似たところがあると思い、同時に教授の態度や声色が極めて真似し易いことを知りました。

 教授との二三の会話の後、いま、解剖室には警察や検事局の人が立合って、教授の行くのを待っているばかりであるということがわかりました。で、仙波はすばやく京山に合図をして、あッと思う間に教授に猿轡(さるぐつわ)をはめ、教授をしばり上げました。そうして五分たたぬうちに、京山は、白い手術衣をつけた奥田博士になり切ってしまいました。

 贋の奥田博士が廊下に出るなり、むこうから、同じく白服を着た男が来ました。京山は直覚的に、それが助手であると知りました。

「先生、もう皆様(みなさん)がお待ち兼ねですから、呼びにまいりました」

「そうかね、今一寸手が離せなかったものだから」と贋博士は鷹揚(おうよう)な態度でいいました。

 助手は敬意を表する為、教授の後にまわって歩こうとしました。京山ははッと驚きました。解剖室がどこにあるかわからないので、思わずもその場に立ちどまってしまいました。が、さすがはこれまで幾度(いくたび)となく扮装したことのある京山ですから、突嗟(とっさ)の間に、ある考えを思いつきました。

「実は今日の解剖は君たち二人にやってもらうことにしたよ。だから、そのつもりで一足先へ行って、もう一人の助手にそういってくれたまえ」

 助手は怪訝(けげん)そうに教授の顔を見上げていいました。「矢野君は今日留守で御座いますから、先生と御一緒に解剖するはずで御座いましたが」

「いや、そうそう」と京山は、内心ぎくりとしながら答えました。「ついうっかりしていた。実はねえ、あの死骸は少し怪しいと思うところがあるから、腹の中の……五臓を僕自身で検(しら)べて見たいと思うのだ。だから君面倒だが、真先に腹の中のものみんな取出してくれぬか」

『五臓』などという言葉をこれまで一度も先生の口からきいたことがないので、助手は不審に思いましたが、矢野助手の不在を忘れるくらいだから、先生今日はどうかしてるなと思いました。

「承知しました」こういって助手が先になって走り出そうとすると、

「あ、君一寸」と贋教授はよびとめました。「君、僕はここで待っているが、腹の中のものだけ切り出して持って来てくれぬか。何だか今日は気分がすぐれないから」

 少々京山も臆病になって来ました。

「でも先生、先生の口から、一応検事にそのことを仰(おっ)しゃって下さらなければ困ります。先生がそばにいて下されば、私がすぐ切り出して差上げます」

 この最後の言葉に急に力づけられた京山は、「よし、それでは挨拶に行こう」と助手のあとから、解剖室にはいりました。

 解剖室の中には検事をはじめ、その他の司法官、警察官など数人の人が、鹿爪(しかつめ)らしい顔をして立っていました。京山は何となく気がひける思いをしましたが、折角ここまで事を運んで、やり損なっては何にもならぬと思い、勇を鼓して、かるくみんなに目礼をしました。

 が、中央の解剖台上の死体を見るに及んで顔をそむけずにはおられませぬでした。死体の顔と局部はガーゼで蔽(おお)ってありましたが、胸の創(きず)がまる出しになって、そこから血がにじみ出ていたので、これまで一度も、かようなものを見たことのない京山は、少なからず内心の平衡を失いました。

「この死骸は」と、いきなり京山はいい出しました。その声が少し調子外れでありましたから、みんなは一斉に教授の顔を正視しました。すると教授は一層興奮してしまいました。「腹の中にダイ……いや大事な……証拠をもっていると思いますので、先ず腹の中のものだけを切り出して、それを僕自身で検べて見ようと思います。おい君!」と、助手の方に向い、「大急ぎで取り出してくれたまえ」

 もとより誰も教授の言葉にさからうものはありませんでしたから、何か質問されやしないかと、はらはらしていた京山は、この後幾分か安心の呼吸をすることが出来ました。けれども、彼は全身に汗のにじみ出たことを感じました。

 助手は教授の命令のままに、腹壁を開いて、手早く、腹部内臓の切り出しに取りかかりました。京山は、はじめはおそろしいような気になりましたが、段々見ているうちに、不思議なもので、何ともなくなりました。そうして幾十分かの後腹部内臓の全部が、琺瑯(ほうろう)鉄器製の大盆の上に取り出されたときには、そばにあったピンセットを取り上げて、臓器の一部分に、もっともらしく触れて見るだけの勇気が出ました。

 贋教授はやがて、大盆を取り上げましたが、思ったより重いのにびっくりして下に置きました。

「僕が御室(おへや)まで持って行きましょうか」と、助手がいいました。

「それには及ばぬ」こういって再び持ち上げましたが、その瞬間、ふと、これが昨日まで一しょに語った箕島の『はらわた』であるかと思って、気がぼーっとしました。もしその時、助手が、

「先生!」

 と叫ばなかったなら、或は彼はその盆を床の上に落したかも知れません。

 助手は言葉を続けました。「胸部の解剖はどうしましょうか?」

「どしどしやってくれたまえ。僕はじきかえって来る」

 こういって京山は逃げるようにして、解剖室を出ました。


       五


「重い重い。まったく、くたびれてしまった」と、京山は、大きな新聞紙の包をテーブルの上に投(ほう)り出して、ぐったりと椅子に腰掛けました。

「自業自得だよ。胃腸だけでいいものを、余分のものまでとってくるんだから」と、仙波は、たしなめるようにいいました。でも、二人の顔には、予定どおり事を運んで、首尾よくダイヤモンドを取りかえした満足の表情がうかんでおりました。

「だって、俺は、胃腸という言葉を忘れてうっかり五臓といってしまったんだ」

「馬鹿、五臓といや、胸の臓器もはいるのだよ」

「でも、あの助手は俺の言葉をすっかりのみこんで、とにかく、目的をとげさせてくれたよ。だが、今ごろは教室で大騒ぎをしていることだろう」

「まったくだ。けれど、教授は俺が番をしている間、神妙にしていたよ。それにしても切出しは随分長くかかったもんだ」

「俺も本当に気が気でなかった。……時にぼつぼつダイヤモンドの取り出しにかかろうか。これからは、貴様の仕事だぞ」と、京山は促すようにいいました。

「よし来た」こういって、仙波は新聞紙を解きにかかりました。解いて行くにつれ、生々しい血潮のしみがあらわれましたので京山は妙な気分になりましたが、仙波は平気の平左で手ぎわよくあしらって行きました。

 やがて比較的乾いた内臓があらわれました。

「これが脾臓(ひぞう)で、これが肝臓だ。こいつが馬鹿に重いんだよ。これが胃で、この中にダイヤモンドがあるはずだ」

 こういって彼は、指をもって胃袋の上面を触れました。

「ダイヤモンドは外からさわって見てもわかるはずだ」

 暫くさわっていましたが、

「おや、おかしいぞ!」といいました。この言葉に、京山も思わず全身を緊張させて仙波の血に染った指の先を見つめました。

「おい、鋏(はさみ)とナイフを取ってくれ」と仙波がいいましたので、京山がそれを渡すと、手早く仙波は胃袋を切り開きました。

「無い。腸の方へ行ったのかしら」

 こういって、仙波は何となくあわてた様子をして、十二指腸、小腸、大腸、直腸を切り開き、次で、その内容を調べて見ましたがダイヤモンドは姿を見せませんでした。

 二人は暫くの間、互いに顔を見合せました。腹立たしさと絶望とのために、二人の顔は急に蒼ざめました。

「ないんだよ、おい!」と、気の早い仙波は額に青い筋を立てていいました。

「ないはずがあるものか」と、京山は、不審そうな顔をしました。

「だってないじゃないか」

「もっと捜して見い。その大きな肝臓とやらの中にはないのか」

「こんなところへ行くものか」

「それじゃ、箕島が、口の中へふくんでいただろうか」

 そういえば、そうと考えられぬこともないので、仙波は、

「畜生、また奴に一ぱい食わされたのかな。奴め、どこまでも祟りやがる」

 といいながら、あたかも、箕島に復讐するかのように、ナイフをもって、肝臓や脾臓を寸断々々(ずたずた)に切りました。そうして、残った臓器の塊を、あちらこちらにひっくりかえしながら、なおもナイフを突きさすのでした。

「おい、よせよ。無いものは仕方がないじゃあないか。俺はもうあきらめたよ。折角貴様の力でここまでやって来たが、こんどはよっぽど悪運につけこまれたんだ。貴様もあきらめてしめえ」と吐き出すようにいいました。

 妙なものです。始めは京山の方があきらめかねて事を企てたのですに、今は、仙波の方があきらめかねるのでした。そうして依然として、寸断の行為(しぐさ)を続けました。

「いい加減にしないか」と京山は声を強めていいました。

 と、その時仙波は何思ったか、怖ろしいものでも見つけたかのように、そのうちの一つの臓器をじっと見つめていましたが、やがて、手に取り上げて見るなり、

「やッ」と叫びました。「これ、貴様、とんでもないものを持って来たな」と、怖ろしい眼をしていいました。

「何だ?」

「こりゃ貴様、子宮だぞ!」

「え?」

「え? もないもんだ。これ、よく聞け、貴様がもってきたのは女のはらわただぞ」

「女?」

「そうよ、男に子宮はない」

「だって」

「だってじゃない。女と男と間違える奴があるか。一目でわかるじゃないか」

「でも、顔と局部には白いきれがあててあった」

「髪があるじゃないか、髪が」

「髪はなかったようだ」

「嘘いえ。それに乳房でもわかるじゃないか」

「それが、乳房も大きくなかったようだ」

「おい、おい」と仙波の声は荒くなりました。

「人を馬鹿にするなよ、人を」

「何を?」と、京山もいささか憤慨しました。

「貴様、助手をだまして、箕島のダイヤモンドをせしめ、俺には別の死骸のはらわたを持って来たな? 道理でながくかかったと思った」

 身に覚えのないことをいわれて京山の怒りは急に膨脹しました。

「何だと? いわして置けば、きりがない。貴様先刻から、あちら、こちらにいじくりまわしていたが、俺の知らぬ間にダイヤモンドを取り出して、俺がはらわたの事を知らぬと思って、子宮だなどといって、うまくごまかすのだろう」

 ぱッと仙波は京山にとびつきました。次の瞬間はげしい格闘がはじまり、やがて二発の銃声が起って、二人は死体と化してしまいました。


 翌日の新聞には、「稀有の犯罪」と題してT大学法医学教室の奥田教授の奇禍と鑑定死体の腹部臓器の盗難顛末が報ぜられておりました。それによると、S区B町の尼寺にその前夜強盗がはいって、尼さんの胸を短刀で刺し殺して金員を強奪して行ったのであるが、その尼さんの死体の臓器を二人の男が持って行ったのであって、何の目的であるのか判らないということでした。なお、焼場の死体の臓器を盗む犯罪はよくあるが、法医学教室へ強奪に来るのは稀有の犯罪だと書き加えられてありました。

 これで読者諸君にも、臓器の間違いの理由はわかったことと思いますが、ここに当然起る疑問は、箕島の死体がどうなったかということです。これは翌日の新聞にも出ていなかったのです。というのは、警察は三人組の他の二人をさがす為に、秘密に行動したからでありました。箕島の死体は警察医によってB町の三人の巣窟で解剖され、その結果、当然、胃の中から青色のダイヤモンドが発見されました。そうして宝石は首尾よくN男爵の手にかえりました。

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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)

보기 드문 범죄(稀有の犯罪)

고사카이 후보쿠 (小酒井 不木) (1927)

번역 : 홍성필


1.

비극이란 종종 마치 말도 안 되는 엉뚱한 원인으로 발생하기도 합니다. 매우 작은 호기심이나 사소하기 짝이 없는 장난으로 인해 생각지도 않은 큰 사건을 일으킨다는 이야기는 책에서도 자주 나옵니다.

지금부터 말씀드리려는 것은 역시 엉뚱한 원인으로 세 명의 보석강도가 그 생명을 잃는다는 이야기입니다. 이렇게 쓰면 감이 좋으신 독자 분들께서는 “아아, 보석을 다룬 추리소설이군. 요즘 추리소설에서 보석을 들먹이다니 너무나 구식이야.”라고 말씀하시는 분들도 계시겠지요. 사실 말씀 그대로 보석과 권총에 대해서는 이미 질릴 대로 질렸습니다.

하지만 손목시계가 보석을 포기할 수 없는 것처럼 추리소설도 좀처럼 보석과 인연을 끊기는 어렵습니다. 정말 보석 색과 빛깔은 사람을 매료합니다. 가만히 보고 있으면 끝내는 일종의 황홀경에 빠질 정도이니 미노시마(箕島), 센바(仙波), 교야마(京山)의 세 명이 공모하여 보석전문 도둑이 된 것도 그저 유흥비로 쓰기 위한 돈이 필요했기 때문만은 아닙니다. 그러나 왜 셋이서 함께 일을 하게 되었는지, 그리고 셋이 어떻게 자라왔는지 하는 것은 본 내용과 관련이 없으므로 말씀드리지는 않겠습니다. 아무튼 셋은 보석에 대한 취향이 같았으므로 다른 사람들이 가지고 있는 보석을 훔쳤는데, 항상 어느 정도 즐긴 후에는 팔아치워 돈으로 바꾸고는 얼마 지나지 않아 그 돈을 탕진하고 말았습니다.

이렇게 보면 그들 세 명의 보석에 대한 애착은 순수하다고 할 수 없겠지요. 뿐만 아니라 그들은 보석을 빼앗기 위해 다른 사람을 해하게 하거나 살인까지도 서슴지 않았기에 이른바 취미는 악취미라고 해야겠습니다.

이와 같은 악취미는 백일천하에서 얼마 버틸 수 없겠지만, 이상하게도 경찰은 오랫동안 그 악취미를 제거하는 데에 실패했고, 사실을 말하자면 그들 셋이 어디에 살고 어떤 얼굴인지조차 모르고 있었던 것입니다. 알고 있는 것은 이 이야기의 필자뿐이며, 사실 그들은 시내 두 곳의 거주지 즉, 아지트를 가지고 있었습니다, 세 명 모두 매우 분장술에 능했는데, 단순히 외모를 바꾸는 것만 잘한 것이 아니라 다른 사람으로 변장하는 것도 그들에게 있어서는 식은 죽 먹기였습니다. 그래서 경찰들도 좀처럼 잡지 못했던 것입니다. 오죽하면 도둑으로 들어와서도 곧바로 그 집 주인으로 변장할 때도 있으니 그럴 만도 하겠지요.

그런데 운이 다 했다고나 할까요. 아니면 꼬리가 길면 밟힌다고 해야 할까요. 경찰은 간신히 그들의 두 아지트 중 하나를 찾아냈습니다. 장소는 S구 B동이라는 비구니 절이 많은 동네로서, 전혀 보석 도둑들이 살 것 같지 않는 곳인데다가, 급할 때는 도망칠 수 있도록 경찰이 모르는 비밀 통로 같은 것도 있는 곳이었습니다.

그래서 경찰에서는 이번에 세 명이 어디 저택에 들어가 보석을 훔치기만 한다면 곧바로 아지트를 덮쳐서 그들을 체포할 작전을 세웠습니다. 이 점 또한 필자만 알고 있을 뿐, 그들 셋은 전혀 모르고 있었습니다. 그랬기에 그들이 N남작 집에 들어가 남작이 가지고 있던 청색 다이아몬드를 훔치자마자 경찰이 아지트를 습격하였고, 기묘한 이유로 결국 세 명 모두 생명을 잃게 된 것입니다.

N남작 집에 있는 청색 다이아몬드는 그들 셋이 오랫동안 노리고 있었던 것입니다. 그 물건은 시가로 최소한 2억이나 되는 보석이었으며 크기는 손가락 약지 끄트머리 정도 되었으나, 그 빛깔이 남쪽나라 바다처럼 푸르고 매우 아름다웠습니다. 사실 그들은 이 보석을 훔치면 잠시 일본을 떠나 중국에라도 가려던 계획을 세우고 있었으나, 역시 세상일은 마음먹은 대로 되는 법이 없어, 결국 중국보다 훨씬 머나먼 저승길까지 여행하게 된 것입니다. 


2.

이야기 순서대로라면 그들이 어떠한 수단으로 N남작 집에 있는 금고 속에 들어 있던 다이아몬드를 성공적으로 손에 넣었는지를 말해야 하지만 그런 추리소설은 이미 독자 여러분들도 질릴 대로 질렸을 테니, 저는 갑자기 세 명이 B동 아지트에 있는 탁자에 둘러 앉아 그들이 훔쳐온 다이아몬드를 탁자 중앙에 올려놓고 매료당한 표정으로 감상하고 있는 장면부터 시작하려고 합니다. 항상 이들 세 사람은 녹색 갓이 씌워진 탁상전등 불빛으로 보석의 아름다운 빛을 감상하곤 하는데, 때마침 시간이 새벽 2시인데다가 불과 1시간 전에 N남작의 집에서의 일로 상당히 심신에 피로를 느껴서인지 세 사람은 푸른 보석 빛깔 앞에서 마치 최면술에라도 걸린 것처럼 멍한 표정으로 오랜 시간 동안 묵언수행을 계속했습니다. 세 명 모두 담배를 싫어했으므로 옆에서 보면 매우 심심해보이지만 본인들은 전혀 그런 생각을 안 하나봅니다. 탁자에 올려놓은 손을 가지런히 모은 채로 구부정하게 의자에 앉아서는 보석 빛에 자극을 받아 사색에 잠기는 것입니다. 소슬한 가을 밤, 바깥은 쓸쓸하고 절이 많은 동네의 고요함은 사람들에게 일종의 기이한 마음을 느끼게 합니다.

“아름답다!”라고 미노시마가 작은 소리로 말했습니다.

“굉장해!”라고 센바가 말했습니다.

“멋지다!”라고 교야마가 말했습니다.

그리고 또다시 침묵이 흘렀습니다.

30분 정도 감상하며 침묵이 이어졌을 때 청각이 가장 발달한 미노시마가 문밖에서 수상한 소리를 들었습니다. 만약 세 명의 청각이 모두 예민했다면 지금부터 말하는 비극은 일어나지 않았겠으나 센바와 교야마, 두 사람은 나이가 미노시마와 비슷한 서른 대여섯이면서도 청각의 발달이 평범하여 그 때 아무런 소리도 듣지 못했던 것입니다.

그래서 미노시마가 푸른 색 다이아몬드를 재빨리 집어 들고는 눈 깜짝할 사이에 입속에 넣고 삼켜버리자 두 사람은 미노시마가 문밖에서 들리는 소리를 경찰의 추격이라고 하면서 보석을 독점하려 했다고 오해한 것입니다.

센바와 교야마는 동시에 미노시마한테 덤벼들었습니다. 그 때 미노시마가 그 이유를 설명하면 좋았을 것을, 미노시마는 세 명의 목숨을 지켜야 한다는 데에 여념이 없어 갑자기 탁자 위에 있던 전등을 꺼버리고 말았습니다. 하지만 그 행위는 다른 두 사람의 의혹을 한층 더 깊게 만들었습니다.

“쉿!” 미노시마는 두 사람에게 주의를 주려고 했으나 이미 때는 늦었습니다. 다음 순간 의자가 쓰러지는 소리, 탁자가 뒹구는 소리, 탁상 전등이 깨지는 소리가 들렸습니다. 두말할 것 없이 어둠 속에서 극심한 격투가 시작한 것입니다.

엎치락덮치락 하며 요란한 소리가 계속됐습니다만, 그러는 와중에 갑자기 권총소리가 났고 동시에 신음소리가 들렸습니다. 그리고 잠시 동안 조용해졌으나 그 때 문밖에서 쿵쾅쿵쾅 하고 사람들 발소리가 났습니다. N남작 집에서 도난신고를 받은 경찰들이 예전부터 지목하고 있었던 세 명의 아지트를 곧바로 덮친 것입니다.

경찰들이 셋이 있던 방으로 들어오는 데에 상당한 시간이 걸렸습니다. 곧바로 문을 부수지 않았기 때문입니다. 방안에는 화약 연기와 냄새가 났습니다. 경찰들이 회중전등을 들고 실내를 비춰보자 가구더미 속에 미노시마, 즉 방금 전 다이아몬드를 삼킨 미노시마가 왼쪽 흉부에서 피를 흘리고 죽어 있었습니다.


3.

만약 미노시마가 다이아몬드를 삼키지 않았다면 센바와 교야마도 목숨을 잃게 되는 비극은 일어나지 않았겠지만 미노시마 뱃속에 있는 다이아몬드를 되찾으려고 둘이 계획하는 바람에 안타깝게도 비극을 초래하게 되었습니다.

B동 아지트에 있던 비밀통로를 통해 성공적으로 도망친 센바와 교야마는 제2의 아지트에 와서 한숨을 돌렸습니다.

“네가 미노시마를 죽이는 바람에 기껏 손에 넣은 다이아몬드를 버리고 말았잖아”라고 교야마는 안타까운 표정을 지으며 말했습니다.

교야마의 말에 의하면 권총을 쏜 것은 센바처럼 보입니다.

“할 수 없잖아. 미노시마 그 놈이 우리 둘을 빼놓고 자기 혼자 다이아몬드를 독차지하려고 했으니까 그랬지. 그 놈한테 빼앗기는 것보다는 차라리 낫다고.”라고 센바는 미노시마를 죽인 것을 그다지 후회하지도 않고, 또한 다이아몬드를 잃은 것도 별로 안타까워하지 않는 것처럼 말했습니다.

“이제 드디어 일본 땅을 떠날 수 있다고 기뻐했는데 완전히 엉망이 되고 말았어.”라고 교야마는 내뱉듯이 말했습니다.

“뭐 그렇게 낙심하지 마.”라고 센바는 위로했습니다. 센바는 매우 성격이 급한 편이기에 순간의 격정을 억누르지 못하고 오랫동안 친하게 지냈던 미노시마를 죽인 것이겠으나, 몹시 힘이 빠진 교야마를 보고 있노라니 우선 스스로 침착해지고 교야마를 위로할 수밖에 없었습니다.

“하지만 너무 아까워.”라고 교야마는 여전히 포기하지 못한 눈치입니다.

“이런, 이봐.”라고 센바는 교야마에게 주위를 환기시키듯 말했습니다. “내 입장도 생각해줘. 난 사람을 죽였으니 오늘부터는 숨어 다녀야 해. 물론 잡히면 너도 끌어들일 생각이지만, 뭐 당분간은 잡히지 않을 테니 걱정은 마. 그것보다 무슨 새로운 일을 계획하자.”

“새로운 일보다 난 그 미노시마가 삼켜버린 다이아몬드를 되찾고 싶어. 무슨 좋은 방법이 없을까?”

교야마는 어디까지나 푸른빛 보석에 미련이 남아 있었습니다.

듣고 보니 센바가 생각하기에도 아까운 것은 마찬가지였습니다. 하지만 지금쯤은 경찰 손으로 건너갔을 미노시마 시신에서 문제의 다이아몬드를 되찾는 일은 도저히 불가능한 일입니다.

“안 돼. 미노시마 몸은 이미 우리 것이 아니니까 말이야. 그런데 어떻게 경찰 놈들이 우리 아지트를 찾아냈을까. 어쩌면 미노시마 그 녀석이 경찰에 밀고해서 그 때 우리 둘을 경찰한테 넘겨주고 도망칠 생각이었는지도 몰라.”라고 센바는 어디까지나 미노시마의 행동을 오해하고 있었습니다.

“그렇다면 보석을 미노시마가 가지고 있게 되면 더더욱 속상하잖아.” 교야마 역시 미노시마의 진심을 모르고 있었습니다.

“그것도 맞는 말이야.”라고 센바도 동감하기 시작했습니다. “하지만 아무리 생각해봐도 손을 쓸 도리가 없잖아.”

“한번 연구해보자고. 넌 나보다 인간의 몸에 대해서는 훨씬 많이 아니까 잘 생각해봐.”

센바는 본래 T의과대학 병리학교실에서 직원으로 근무한 적이 있기에 인간 해부에는 조금 익숙했으므로 교야마가 이렇게 말한 것입니다. 센바는 인간 해부를 많이 봐왔기 때문에 자연히 살벌한 성미가 몸에 뱄는데, 아무리 인체 내부에 대해 안다고 하지만 미노시마의 몸속으로 들어간 다이아몬드를 되찾을 묘안이 떠오를 것 같지는 않았습니다.

“잠깐만.” 하고 센바는 팔짱을 끼고 눈을 감고는 잠시 사색에 잠겼습니다. 아침이 다가오는 듯, 거리에서 짐차가 지나가는 소리가 들려왔습니다. 둘은 그리 지치지도 않고 열심히 생각했습니다.

이윽고 센바 얼굴이 밝아졌습니다.

“묘안이 있어.”라고 센바는 웃으며 말했습니다.

“어떤 건데?”라고 교야마는 흥분했습니다.

“아무튼 잘 들어봐.”라고 센바는 의기양양하게 말했습니다. “미노시마의 시신은 오늘 틀림없이 대학 법의학교실로 운반되고 부검을 받겠지. 난 병리학교실에 있을 때 가끔 법의학교실에도 가봤는데, 법의학교실에는 교수와 조수 두 명, 그리고 병원 직원 도합 네 명이 있으며, 부검은 교수가 할 때도 있고 조수가 할 때도 있어. 살인사건의 시신이 외부에서 들어오면 일단 부검실에 놓고 곧바로 부검이 시작될 때도 있지만 대개는 4~5시간 뒤, 어떤 때는 교수 사정 때문에 다음 날에 하기도 하거든. 그러니 이번에도 그 동안 몰래 교실에 들어가서는 시체 배를 열어 위장에서 다이아몬드를 꺼내면 돼.”

“그렇군.” 하고 교야마도 이 묘안에 힘을 얻었습니다. “하지만 밤이라면 또 모를까 오늘 낮에 부검이 시작되고 경찰들이 주변에 있다면 훔치러 들어갈 수도 없잖아.”

“그것도 그러네.”라고 센바는 다시 생각에 잠겼습니다. 그리고 잠시 후 무슨 생각을 했는지 가만히 교야마 얼굴을 바라보며 웃고는 “좋은 생각이 났어.”

“뭐야? 사람 얼굴만 쳐다보고 말이야.”

“바로 네 얼굴이 필요해서 그래. 무슨 말이냐 하면, 너한테 흰 가발을 씌우고 깨로 만든 콧수염과 턱수염을 붙이면 법의학교수인 오쿠다(奧田)박사와 꼭 닮았겠어. 그러니 교수로 분장하고 교실에 들어가서 다이아몬드를 꺼내오면 되잖아.”

“그래? 만약 그렇다면 참 재미있겠군.” 하고 지금까지 셋 중에서 가장 변장을 잘했던 교야마는 일종의 자부심을 느끼며 말했습니다. 하지만 다음 순간 갑자기 표정이 어두워졌습니다.

“그래도 난 해부에 대해서 전혀 모르니까 안 되잖아. 만약에 많은 사람들이 있다면 어쩔 도리가 없어.”

“바로 그거야. 네 실력을 보여줄 때가 된 거야. 그러니까 교수로 분장해서 조수한테 명령하고 모든 걸 조수한테 시키면 돼.”

“하지만 그렇게 하면 다이아몬드까지 그 조수한테 빼앗길 거잖아.”

“물론 멍하니 서 있기만 하면 안 되지. 곧바로 그 조수한테 명령해서 위장과 장은 자기가 연구해보고 싶다고 해서 위장을 절단하게 하고 그걸 가지고 도망치면 돼.”

“그렇지. 하지만 같은 교수가 둘이나 있으면 들키지 않을까?”

“그래서 내가 도와주려는 거야.”라고 센바도 어느새 진지해졌습니다.

“우선 너랑 함께 경찰에서 왔다면서 법의학교실을 가는 거야. 교수와 만나 이런저런 이야기를 나누고 그 동안에 네가 그 동안에 목소리나 버릇을 연구하는 거야. 그리고 갑자기 둘이서 교수를 묶어놓고 입을 막는 거지. 그러고는 네가 가지고 온 분장도구로 재빨리 교수로 변장해서 부검실로 간다. 그 동안 나는 교수실 안쪽에서 열쇠를 잠그고 진짜 교수를 지키고 있을게. 넌 부검실에서 조수한테 위장을 절단시키고 잠깐 내 방에 다녀온다고 하고 그걸 가지고 오는 거야. 여기서 재빨리 본래 옷을 갈아입고 내장을 신문지에 싸서 법의학교실을 빠져 나간다. 어때? 이거라면 그리 어렵지 않겠지?”

“기가 막히다.”라고 교야마는 벌써 계획이 성공한 것처럼 기뻐했습니다. 정말로 이 계획이 성공한다면 2억 원을 둘이서 나눌 수 있으니 분명 기뻤을 것입니다. “그럼 그렇게 하기로 하고 준비를 시작하자. 지금부터 잠깐 눈을 붙이고 난 다음에 너는 전화를 걸어서 부검이 몇 시에 시작하는지 물어봐. 근데…… 혹시 벌써 시작한 건 아닐까?”라고 불안한 표정을 지었습니다.

“괜찮아. 9시 이전에 시작하는 일은 절대 없어.” 라고 센바는 자신 있게 말했습니다.


4.

9시 조금 전. 

센바는 법의학교실로 전화를 걸러 가서는 웃으며 돌아왔습니다. 둘 모두 숙면과 아침 식사 덕분에 기운이 넘쳐났습니다.

“어땠어?”라고 교야마가 물었습니다.

“아주 잘 됐어.”라고 센바는 물었습니다. “오후 3시 정각에 부검이 시작한다는 거야.”

“좋았어.”라고 교야마도 기쁜 듯이 말했습니다. “그런데 뭐라고 하면서 그쪽에 물었지?”

“별로 어려울 건 없었어요.”라고 말하면서도 센바는 적지 않게 자랑스러워한다.

“여긴 경찰인데 어젯밤 S구 B동에서 살해된 시신은 벌써 도착했냐고 물었지. 그러자 거기 직원 목소리로 오늘 아침 일찍 도착했다고 하는 거야. 다행이라고 생각했지. 그리고 부검은 몇 시부터냐고 했더니 오후 3시부터라더군. 모두 잘 되고 있어.”

둘은 분장에 필요한 도구를 점검했습니다. 그리고 오후 2시 40분경 법의학교실을 찾았을 때 둘은 완전히 사복경찰과도 같은 모습이었습니다.

덕분에 둘은 아무 의심도 받지 않은 채 교수실로 침입할 수 있었습니다. 교야마는 교수 얼굴을 한 번 보자마자 역시 자신과 닮은 구석이 있다고 생각하고는 동시에 교수 태도나 목소리가 지극히 흉내 내기 쉽다는 사실도 알았습니다.

부검실에서 경찰과 검찰청 사람들의 입회하에 교수를 기다리고 있다는 것을 알고 있었기에 교수와 두세 마디 나눈 후 센바는 재빨리 교야마에게 신호를 보내 순식간에 교수 입을 막고 끈으로 묶었습니다. 그리고 5분도 채 지나지 않아 교야마는 흰 수술복을 입은 오쿠다 박사로 변장하고 말았습니다.

가짜 오쿠다 박사가 복도로 나가자 저쪽에서 역시 흰 옷을 입은 사내가 다가왔습니다. 교야마는 직감적으로 그가 조수라는 사실을 알았습니다.

“선생님. 모두 벌써부터 기다리고 계시기에 모시러 왔습니다.”

“그런가? 지금 좀 바빴거든.”라고 가짜 박사는 당당한 태도로 말했습니다.

조수는 경의를 표하기 위해 교수 뒤에 서서 걸어가려 했습니다. 교야마는 깜짝 놀랐습니다. 부검실이 어딘지 모르기에 멈춰서고 만 것입니다. 그러나 지금까지 변장의 경험이 풍부한 교야마였으므로 머릿속에 문득 어떤 생각이 떠올랐습니다.

“사실 오늘 부검은 자네들 둘이 해줬으면 하네. 그렇게 알고 먼저 가서 다른 조수에게 그렇게 전해주게.”

조수는 이상하다는 듯이 교수 얼굴을 올려다보았습니다. “야노(矢野)는 오늘 안 나와서 선생님과 함께 부검할 예정이었는데요?”

“아, 그렇지.”라고 교야마는 내심 당황하며 대답했습니다. “잠시 깜빡했군. 사실 그 시신은 좀 수상한 곳이 있어서 뱃속에 있는……오장(五臟)을 내가 직접 조사하려고 하네. 그러니 수고스럽지만 자네가 우선 뱃속에 있는 것을 모두 꺼내주지 않겠나.”

‘오장(五臟)’이라는 말을 지금까지 한 번도 선생님한테 들은 적이 없기에 조수는 이상하게 느껴졌습니다만. 야노 조수가 없다는 것도 잊을 정도이니 선생님이 오늘은 좀 평소와 다르다고만 생각하였습니다. 

“알겠습니다.”라고 말하고 조수가 앞서서 뛰어가려 하자,

“아, 이봐. 잠깐.” 하고 가짜 교수는 불러 세웠습니다. “자네, 난 여기서 기다리고 있을 테니 뱃속에 있는 것만 가지고 와 주지 않겠나. 왠지 오늘은 마음이 내키지 않아.”

교야마도 다소 겁이 나기 시작했던 것입니다.

“하지만 선생님. 선생님께서 직접 검사님한테 이 일을 말씀해주시지 않으면 곤란합니다. 선생님이 계시면 제가 곧바로 잘라내 드리겠습니다.”

이 마지막 말을 듣고는 갑자기 힘이 난 교야마는 “좋아. 그렇다면 인사를 가도록 하지.” 하고 조수 뒤를 따라 부검실로 들어갔습니다.

부검실 내에는 검사를 비롯해 기타 사법관, 경찰 몇 명이 굳은 표정으로 서 있었습니다. 교야마는 주눅이 들었으나 기껏 여기까지 와서 물러설 수는 없다며 용기를 내어 가볍게 인사를 했습니다.

그러나 중앙 부검대 위에 있는 시체를 보게 되자 고개를 돌리지 않을 수 없었습니다. 시신 얼굴과 국부는 거즈로 덮여 있었으나 가슴 흉터가 드러나 있고 거기서부터 피가 흐르고 있었기에, 지금까지 한 번도 그런 것을 본 적이 없는 교야마에게 있어서는 적지 않게 당혹스러웠습니다.

“이 시신은.”하고 갑자기 교야마는 말을 꺼냈습니다. 그 목소리가 뒤집혀 있었기에 모두 교수의 얼굴을 쳐다보았습니다. 그러자 교수는 한층 흥분하고 말았습니다. “뱃속에 다이…… 아니, 그, 중요한…… 증거를 갖고 있는 것 같으므로 우선 뱃속에 있는 것만을 채취하여 그것을 저 자신이 조사해보려고 합니다. 이봐, 자네!”라고 조수를 보고는, “서둘러 채취해주게.”

본래 그 누구도 교수의 말은 거역하지 않는 법이기에, 무슨 질문이라도 하지 않을까 하고 긴장했던 교야마는 어느 정도 안도의 숨을 내쉴 수 있었습니다. 그러나 그는 온몸이 식은땀으로 젖어 있다는 사실을 알고 있었습니다.

조수는 교수의 명령대로 복부를 절개하고 재빨리 복부 내장을 채취하기 시작했습니다. 교야마는 처음에는 섬뜩했으나 점점 보고 있는 동안에 이상하게도 아무렇지도 않게 되었습니다. 그리고 몇 십 개나 되는 후복부 내장 모두가 에나멜로 만들어진 큰 철제 쟁반 위에 놓였을 때에는 곁에 있던 핀셋을 들고 장기 일부를 그럴 듯하게 만져볼 용기까지 생겼습니다.

가짜 교수는 이윽고 큰 쟁반을 들었으나 생각보다 무거웠기에 깜짝 놀라 다시 내려놓았습니다.

“제가 방까지 가져다 드릴까요?”라고 조수가 말했습니다.

“그럴 필요까지는 없네.” 이렇게 말하고 다시 들어 올렸으나 그 순간 문득 이것이 어제까지 함께 지내던 미노시마의 ‘창자’라고 생각하자 정신이 혼미해졌습니다. 만약 그 때 조수가,

“선생님!”

하고 소리치지 않았다면, 어쩌면 그 쟁반을 바닥 위에 떨어뜨렸을지도 모릅니다.

조수는 말을 이었습니다. “흉부 해부는 어떻게 할까요?”

“계속 해주게. 난 곧 돌아오겠네.”

이렇게 말을 남기고 교야마는 도망치듯 부검실을 빠져나왔습니다.


5.

“정말 무겁네. 완전히 지쳐버렸어.”라고 교야마는 큰 신문지 다발을 탁자 위에 내던지고는 의자에 철퍼덕 앉았습니다.

“자업자득이야. 위장만으로 됐는데 쓸데없는 것까지 가져와서 말이야.”라고 센바는 나무라듯 말했습니다. 하지만 그들 얼굴에는 예정대로 일이 풀려 성공적으로 다이아몬드를 되찾은 것에 대한 만족스러움이 가득하였습니다. 

“왜냐하면 난 위장이라는 말을 깜빡하고 나도 모르게 ‘오장’이라고 해버렸거든.”

“바보야. 오장이라고 하면 가슴에 있는 내장까지 모두 들어간다고.”

“하지만 그 조수는 내 말을 그대로 믿고 아무튼 일을 잘 해줬잖아. 하지만 지금쯤 교실에서는 난리가 났겠지.”

“그러게 말이야. 하지만 교수는 내가 지키고 있는 동안 얌전히 있었어. 그런데 채취하는 시간이 꽤 오래 걸렸네.”

“나도 정말 걱정이었지. ……자, 이제 서서히 다이아몬드를 꺼내볼까? 이제부터는 네가 할 차례야.”라고 교야마는 재촉하듯 말했습니다.

“내게 맡겨 둬.”라고 말하고 센바는 신문지를 풀기 시작했습니다. 풀어감에 따라 생생한 피에 젖은 얼룩이 나왔기에 교야마는 묘한 기분이 들었으나, 센바는 태연하게 아무렇지도 않다는 듯이 다루어 갔습니다.

이윽고 비교적 물기가 마른 듯한 내장이 드러났습니다.

“이게 비장이고 이게 간장. 이게 무척 무겁거든. 이게 위장이고 이 속에 다이아몬드가 들어있을 거야.”

이렇게 말하고 그는 손가락으로 위장 표면을 만졌습니다.

“다이아몬드는 밖에서 만져도 알아볼 수 있을 거야.”

잠시 만지고 있었으나,

“어? 이상하다!”라고 말했습니다. 이 말에 교야마도 갑자기 온몸이 긴장되어 피에 물든 센바의 손끝을 바라보았습니다.

“이봐. 가위와 칼을 줘봐.”라고 센바의 말에 따라 교야마가 건네주자 재빨리 센바는 위장을 절개했습니다.

“없어. 장에까지 내려갔나?”

이렇게 말하고 센바는 조금 서두르는 듯이 십이지장, 소장, 대장, 직장을 절개하고는 그 내용물을 살펴봤으나 다이아몬드는 보이지 않았습니다.

둘은 잠시 동안 서로의 얼굴을 마주보았습니다. 분노와 절망 때문에 두 얼굴은 갑자기 창백해졌습니다.

“야! 없단 말이야!”라고 성미가 급한 센바가 이마에 핏줄을 세웠습니다.

“없을 리가 있나.”라고 교야마도 이상하다는 표정을 지었습니다.

“잘 봐. 없잖아.”

“더 잘 찾아봐. 그 큰 간장이라는 것 속에는 없어?”

“이런 데에 갈 리가 있나.”

“그렇다면 미노시마가 입에 물고 있었나?”

그 말을 들으면 그럴 수도 있다는 생각이 들었기에 센바는,

“제기랄. 또 저 놈한테 한 방 먹었군. 그 녀석은 끝까지 속을 썩이네.”

라고 말하면서 마치 미노시마에게 복수를 하듯이 칼을 가지고 간장이나 비장을 산산조각 내었습니다.

“이봐. 그만해. 없는 걸 어쩌겠어. 난 포기했다고. 기껏 네 힘으로 여기까지 왔지만 이번에는 재수가 없어도 보통 없는 게 아니야. 너도 포기해라.”라고 내뱉듯 말했습니다.

이상한 일입니다. 처음에는 교야마가 포기하지 못해 일을 계획했으나 지금은 센바가 오히려 포기를 못하고 있는 것입니다. 그리고 여전히 내장들을 찢어내고 있었습니다.

“이제 그만 하라니까.”라고 교야마는 힘주어 말했습니다.

그때 센바는 무슨 생각을 했는지 끔찍한 것이라도 발견한 것처럼 내장 중 하나를 가만히 쳐다보고 있고는 손으로 들어보더니,

“으악!” 하고 소리쳤습니다. “이게, 너, 웃기는 걸 가지고 왔구먼.”하고 무서운 눈으로 말했습니다.

“뭔데?”

“야, 이 자식아. 자궁이야!”

“뭐?”

“‘뭐’ 좋아하네. 잘 들어. 네가 가지고 온 건 여자 내장이란 말이야.”

“여자?”

“그럴 리가.”

“그럴 리가라니. 여자와 남자를 못 알아보는 놈이 어디 있어. 보면 알잖아.”

“하지만 얼굴과 국부에는 흰 거즈가 덮여 있었어.”

“머리카락이 있잖아, 머리카락이.”

“머리카락은 없었어.”

“웃기지 마. 더구나 젖가슴을 보면 알거 아냐.”

“그게 젖가슴도 크지 않았던 것 같애.”

“야, 이 자식아.”라고 센바 목소리는 거칠어졌습니다.

“너 지금 나를 우습게 보는 거지?”

“뭐라고?”하고 교야마도 다소 화가 났습니다.

“너 이 자식, 조수를 속이고 미노시마의 다이아몬드를 뺏고 나서, 나한테는 다른 시체 창자를 가지고 왔잖아? 어쩐지 오래 걸린다 했더니!”

뜻밖의 말을 듣고 교야마의 분노는 갑자기 커졌습니다.

“무슨 소리야? 듣자듣자 하니 끝이 없군. 네 놈이 아까부터 여기저기 건드리더니, 내가 모르는 사이에 다이아몬드를 꺼내고는 내가 창자에 대해서 모른다는 걸 알고 자궁이라고 하면서 속이려는 게지?”

갑자기 센바는 교야마한테 달려들었습니다. 다음 순간 극심한 격투가 벌어지고 잠시 후 두 발의 총성이 울리고서 둘은 시체로 변해버리고 말았습니다.


다음 날 신문에는 ‘보기 드문 범죄’라는 제목으로 T대학 법의학교실의 오쿠다 교수가 당한 재난과 감정시신의 복부장기 도난에 대한 전말이 보도되었습니다. 이에 따르면 S구 B동에 있는 비구니 절에 전날 밤 강도가 침입하여 비구니 가슴을 칼로 찔러 죽이고는 금품을 빼앗고 도망쳤는데, 그 비구니 시신의 장기를 두 사내가 가져갔으나, 무슨 목적인지 모른다는 것입니다. 한편 화장터에서 시신의 장기를 훔치는 범죄는 가끔 있으나, 법의학교실에 침입하는 것은 보기 드문 범죄라고 덧붙여졌습니다.

이제 독자 여러분도 장기가 뒤바뀐 경위는 아시겠지만, 여기에 당연히 드는 의문은 미노시마의 시체가 어떻게 되었는가 하는 점입니다. 이는 다음날 신문에서 실리지 않았습니다. 그 이유는 경찰이 3인조 중에서 남은 두 명을 찾기 위해 비밀리에 행동했기 때문입니다. 미노시마 시신은 경찰에 의해 B동에 있는 아지트에서 해부되고, 그 결과 당연히 위장 안에서 푸른색 다이아몬드가 발견되었습니다. 그리고 보석은 무사히 N남작에게 돌아갔습니다.



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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)