메두사의 머리(メューサの首) 고사카이 후보쿠 (小酒井 不木) (1926) 일본어 원문 T医科大学の四年級の夏休みに、わたしは卒業試験のため友人の町田(まちだ)と二人で伊豆山(いずさん)のS旅館に出かけました。六月末のことで避暑客もまだそんなに沢山はいませんでしたから、勉強するには至極適当であったけれども、勉強とは名ばかりで、わたしたちは大いに遊んでしまいました。 あるいは東洋一と称せられる千人風呂(ぶろ)を二人で独占して泳いだり、あるいは三大湯滝に打たれたり、あるいは軽便鉄道の見える部屋で玉突きに興じたり、あるいは石ころばかりの海岸を伝い歩いて砂のないことを嘆いたり、あるいは部屋の中から初島(はつしま)を眺めてぼんやりしていたり、あるいは烏賊(いか)ばかり食わされて下痢を起こしたり、ときには沢山の石の階段を登って伊豆山神社に参拝したり、またときには熱海(あたみ)まで、月のいい..