금주의 마음(禁酒の心:きんしゅのこころ) 다자이 오사무(太宰 治) (1943) 일본어 원문 私は禁酒をしようと思っている。このごろの酒は、ひどく人間を卑屈にするようである。昔は、これに依(よ)って所謂(いわゆる)浩然之気(こうぜんのき)を養ったものだそうであるが、今は、ただ精神をあさはかにするばかりである。近来私は酒を憎むこと極度である。いやしくも、なすあるところの人物は、今日此際(このさい)、断じて酒杯を粉砕すべきである。 日頃酒を好む者、いかにその精神、吝嗇(りんしょく)卑小(ひしょう)になりつつあるか、一升の配給酒の瓶(びん)に十五等分の目盛(めもり)を附し、毎日、きっちり一目盛ずつ飲み、たまに度を過して二目盛飲んだ時には、すなわち一目盛分の水を埋合せ、瓶を横ざまに抱えて震動を与え、酒と水、両者の化合醗酵(はっこう)を企てるなど、まことに失笑を禁じ得ない。また配給の三合の..