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  1. 2018.05.01 살아있는 창자 - 일본어
  2. 2018.05.01 살아있는 창자 - 한국어

살아있는 창자(生きている腸:いきているはらわた)

운노 쥬자(海野十三)

일본어 원문



 妙な医学生

 医学生吹矢隆二は、その日も朝から、腸(はらわた)のことばかり考えていた。

 午後三時の時計がうつと、彼は外出した。

 彼の住んでいる家というのは高架線のアーチの下を、家らしい恰好にしただけの、すこぶる風変りな住宅だった。

 そういう風変りな家に住んでいる彼吹矢隆二という人物が、またすこぶる風変りな医学生であって、助手でもないくせに、大学医科にもう七年も在学しているという日本に一人とあって二人とない長期医学生であった。

 そういうことになるのも、元来彼が課目制の学科試験を、気に入った分だけ受けることにし、決して欲ばらないということをモットーにしているのによる。されば入学以来七年もかかっているのに、まだ不合格の課目が五つほど残っていた。

 彼は、学校に出かけることは殆どなく、たいがい例の喧騒の真只中にある風変りな自宅でしめやかに暮していた。

 いまだかつて彼の家をのぞいた者は、まず三人となかろう。一人は大家であり、他の一人は、彼がこれから腸(はらわた)のことについて電話をかけようと思っている先の人物――つまり熊本博士ぐらいのものであった。

 彼は青い顔の上に、ライオンのように房づいた長髪をのせ、世にもかぼそい身体を、てかてかに擦れた金ボタンつきの黒い制服に包んで駅前にある公衆電話の函に歩みよった。

 彼が電話をかけるところは、男囚二千七百名を収容している○○刑務所の附属病院であった。ここでは、看護婦はいけないとあってすべて同性の看護夫でやっている。男囚に婦人を見せてはよくないことは、すでに公知の事実である。

「はあ、こちらは○○刑務病院でございます」

「ああ、○○刑務病院かね。――ふん、熊本博士をよんでくれたまえ。僕か、僕は猪俣とでもいっておいてくれ」

 と、彼はなぜか偽名をつかい、横柄な口をきいて、交換嬢を銅線の延長の上においておびえさせた。

「ああ熊本君か。僕は――いわんでも分っているだろう。今日は大丈夫かね。まちがいなしかね。本当に腸(はらわた)を用意しておいてくれたんだね。――南から三つ目の窓だったね。もしまちがっていると、僕は考えていることがあるんだぜ。そいつはおそらく君に職を失わせ、そしてつづいて食を与えないことになろう。――いやおどかすわけではない。君は常に、はいはいといって僕のいいつけをきいてりゃいいんだ。――行くぜ。きっとさ。夜の十一時だったな」

 そこで彼は、誰が聞いてもけしからん電話を切った。

 熊本博士といえば、世間からその美しい人格をたたえられている○○刑務病院の外科長であった。彼は家庭に、マネキン人形のように美しい妻君をもってい、またすくなからぬ貯金をつくったという幸福そのもののような医学者であった。

 しかしなぜか吹矢は、博士のことを頭ごなしにやっつけてしまう悪い習慣があった。もっとも彼にいわせると、熊本博士なんか風上におけないインチキ人物であって、天に代って大いにいじめてやる必要のあるインテリ策士であるという。

 そういって、けなしている一方、医学生吹矢は、学歴においては数十歩先輩の熊本博士を百パーセントに利用し、すくなからぬその恩恵に浴しているくせに、熊本博士をつねに奴隷のごとく使役した。

「腸(はらわた)を用意しておいてくれたろうね」

 さっき吹矢はそういう電話をかけていたが、これで見ると彼は、熊本博士に対しまた威嚇手段を弄しているものらしい。しかし「腸(はらわた)を用意」とはいったいなにごとであるか。彼はいま、なにを企て、そしてなにを考えているのであろうか。

 今夜の十一時にならないと、その答は出ないのであった。


三番目の窓


 すでに午後十時五十八分であった。

 ○○刑務病院の小さな鉄門に、一人の大学生の身体がどしんとぶつかった。

「やに早く締めるじゃないか」

 と、一言文句をいって鉄門を押した。

 鉄門は、わけなく開いた。錠をかけてあるわけではなく、鉄門の下にコンクリの固まりを錘りとして、ちょっとおさえてあるばかりなのであったから。

「やあ、――」

 守衛は、吹矢に挨拶されてペコンとお辞儀をした。どういうわけかしらんが、この病院の大権威熊本先生を呼び捨てにしているくらいの医学生であるから、風采はむくつけであるが熊本博士の旧藩主の血なんか引いているのであろうと善意に解し、したがってこの衛門では、常に第一公式の敬礼をしていた。

 ふふんと鼻を鳴らして、弊服獅子頭の医学生吹矢隆二は、守衛の前を通りぬけると、暗い病院の植込みに歩を運んだ。

 彼はすたすたと足をはやめ、暗い庭を、梟(ふくろう)のように達者に縫って歩いた。やがて目の前に第四病舎が現われた。

(南から三番目の窓だったな)

 彼はおそれげもなく、窓下に近づいた。そこには蜜柑函らしいものが転がっていた。これも熊本博士のサーヴィスであろう――とおもって、それを踏み台に使ってやった。そして重い窓をうんと上につき上げたのである。

 窓ガラスは、するすると上にあがった。うべなるかな、熊本博士は、窓を支える滑車のシャフトにも油をさしておいたから、こう楽に上るのだ。

 よって医学生吹矢は、すぐ目の前なるテーブルの上から、やけに太い、長さ一メートルばかりもあるガラス管を鷲づかみにすることができた。

「ほほう、入っているぞ」

 医学生吹矢は、そのずっしりと重いガラス管を塀の上に光る街路燈の方にすかしてみた。ガラス管の中に、清澄な液を口のところまで充たしており、その中に灰色とも薄紫色ともつかない妙な色の、どろっとしたものが漬かっていた。

「うん、欲しいとおもっていたものが、やっと手に入ったぞ、こいつはほんとうに素晴らしいや」

 吹矢は、にやりと快心の笑みをたたえて、窓ガラスをもとのようにおろした。そして盗みだした太いガラス管を右手にステッキのようにつかんで、地面に下りた。

「やあ、夜の庭園散歩はいいですなあ」

 衛門の前をとおりぬけるときに、およそ彼には似つかわしからぬ挨拶をした。が、彼はその夜の臓品が、よほど嬉しかったのにちがいない。

「うえっ、恐れいりました」

 守衛は、全身を硬直させ、本当に恐れいって挨拶をかえした。

 門を出ると、彼は太いガラス管を肩にかつぎ下駄ばきのまま、どんどん歩きだした。そして三時間もかかって、やっと自宅へかえってきた。街はもう騒ぎつかれて倒れてしまったようにひっそり閑としていた。

 彼は誰にも見られないで、家の中に入ることができた。彼は電燈をつけた。

「うん、実に素晴らしい。実に見事な腸(はらわた)だ」

 彼は、ガラス管をもちあげ電燈の光に透かしてみて三嘆した。

 すこし青味のついた液体の中に彼のいう「腸(はらわた)」なるものがどろんとよどんでいる。

「あ、生きているぞ」

 薄紫色の腸(はらわた)が、よく見ると、ぐにゃりぐにゃりと動いている。リンゲル氏液の中で、蠕動をやっているのであった。

 生きている腸(はらわた)!

 医学生吹矢[#「医学生吹矢」は底本では「医学当吹矢」]が、もう一年この方、熊本博士に対し熱心にねだっていたのは、実にこの生きている腸(はらわた)であった。他のことはききいれても、この生きている腸(はらわた)の願いだけは、なかなかききいれなかった熊本博士だった。

「なんだい、博士。お前のところは、男囚が二千九百名もいるんじゃないか。中には死刑になるやつもいるしさ、盲腸炎になったりまた変死するやつもいるだろうじゃないか。その中から、わずか百C・M(ツェーエム)ぐらいの腸(はらわた)をごまかせないはずはない。こら、お前、いうことをきかないなら、例のあれをあれするがいいか。いやなら、早く俺のいうことをきけ」

 などと恐喝、ここに一年ぶりに、やっと待望久しかりし生きている腸(はらわた)を手にいれたのであった。

 彼はなぜ、そのような気味のわるい生きている腸(はらわた)を手に入れたがったのであろうか。それは彼の蒐集癖を満足するためであったろうか。

 否!


リンゲル氏液内の生態


 生きている腸(はらわた)――なんてものは、文献の上では、さまで珍奇なものではなかった。

 生理学の教科書を見れば、リンゲル氏液の中で生きているモルモットの腸(ちょう)、兎の腸(ちょう)、犬の腸(ちょう)、それから人間の腸(ちょう)など、うるさいほどたくさんに書きつらなっている。

 標本としても生きている腸(ちょう)は、そう珍らしいものではない。

 医学生吹矢が、ここにひそかに誇りとするものは、この見事なる幅広の大腸(ちょう)が、ステッキよりももっと長い、百C・M(ツェーエム)もリンゲル氏液の入った太いガラス管の中で、活撥な蠕動をつづけているということであった。こんな立派なやつはおそらく天下にどこにもなかろう。まったくもってわが熊本博士はえらいところがあると、彼はガラス管にむかって恭々しく敬礼をささげたのだった。

 彼は生ける腸(はらわた)を、部屋の中央に飾りつけた。天井から紐をぶら下げ、それにガラス管の口をしばりつけたものであった。下には、ガラス管のお尻をうける台をつくった。

 黴くさい医学書が山のように積みあげられ、そしてわけのわからぬ錆ついた手術具や医療器械やが、所もせまくもちこまれている医学生吹矢の室は、もともと奇々怪々なる風景を呈していたが、いまこの珍客「生ける腸(はらわた)」を迎えて、いよいよ怪奇的装飾は整った。

 吹矢は脚の高い三脚椅子を天井からぶら下げるガラス管の前にもっていった。彼はその上にちょこんと腰をかけ、さも感にたえたというふうに腕組みして、清澄なる液体のなかに蠢くこの奇妙な人体の一部を凝視している。

 ぐにゃ、、ぐにゃ、ぐにゃ。

 ぶるっ、ぶるっ、ぶるっ。

 見ていると腸(はらわた)は、人間の顔などでは到底表わせないような複雑な表情でもって、全面を曲げ動かしている。

「おかしなものだ。しかし、こいつはこうして見ていると、人間よりも高等な生き物のような気がする」

 と医学生吹矢は、ふと論理学を超越した卓抜なる所見を洩らした。

 それからのちの医学生吹矢は、彼自身が生ける腸(はらわた)になってしまうのではないかとおもわれるふうに、ガラス管の前に石像のように固くなったままいつまでも生ける腸(はらわた)から目を放そうとはしなかった。

 食事も、尾籠な話であるが排泄も彼は極端に切りつめているようであった。ほんの一、二分でも、彼は生きている腸(はらわた)の前をはなれるのを好まなかった。

 そういう状態が、三日もつづいた。

 その揚句のことであった。

 彼は連日の緊張生活に疲れ切って、いつの間にか三脚椅子の上に眠りこんでいたらしく自分の高鼾にはっと目ざめた。室内はまっくらであった。

 彼は不吉な予感に襲われた。すぐと彼は椅子からとびおりて、電燈のスイッチをひねった。大切な、生ける腸(はらわた)が、もしや盗まれたのではないかと思ったからである。

「ふーん、まあよかった」

 腸(はらわた)の入ったガラス管は、あいかわらず天井からぶらさがっていた。

 だが彼は、間もなく悲鳴に似た叫び声をあげた。

「あっ、たいへんだ。腸(はらわた)が動いていない!」

 彼はどすんと床の上に大きな音をたてて、尻餅をついた。彼は気違いのように頭髪をかきむしった。真黒い嵐のような絶望!

「ま、待てよ――」

 彼はひとりで顔を赭らめて、立ちあがった。彼はピューレットを手にもった。そして三脚椅子の上にのぼった。

 ガラス管の中から、清澄なる液をピューレット一杯に吸いとった。そしてそれを排水口に流した。

 そのあとで、薬品棚から一万倍のコリン液と貼札してある壜を下ろし、空のピューレットをその中にさしこんだ。

 液は下から吸いあがってきた。

 彼は敏捷にまた三脚椅子の上にとびあがった。そしてコリン液を抱いているピューレットを、そっとガラス管の中にうつした。

 液はしずかに、リンゲル氏液の中にとけていった。

 ガラス管の中をじっと見つめている彼の眼はすごいものであった。が、しばらくして彼の口辺に、微笑がうかんだ。

「――動きだした」

 腸(はらわた)は、ふたたび、ぐるっ、ぐるっ、ぐるっと蠕動をはじめたのであった。

「コリンを忘れていたなんて、俺もちっとどうかしている」

 と彼は少女のように恥らいつつ、大きな溜息をついた。

「腸(はらわた)はまだ生きている。しかし早速、訓練にとりかからないと、途中で死んでしまうかもしれない」

 彼はシャツの腕をまくりあげ、壁にかけてあった汚れた手術衣に腕をとおした。


素晴らしき実験


 彼は、別人のように活撥になっていた。

「さあ、訓練だ」

 なにを訓練するのであろうか。彼は、部屋の中を歩きまわって、蛇管や清浄器や架台など、いろいろなものを抱えあつめてきた。

「さあ、、医学史はじまっての大実験に、俺はきっと凱歌をあげてみせるぞ」

 彼は、ぼつぼつ独り言をいいながら、さらにレトルトや金網やブンゼン燈などをあつめてきた。

 そのうちに彼は、あつめてきた道具の真ん中に立って、まるで芝居の大道具方のように実験用器の組立てにかかった。

 見る見るガラスと金具と液体との建築は、たいへん大がかりにまとまっていった。その建築はどうやら生ける腸(はらわた)の入ったガラス管を中心とするように見えた。

 電気のスイッチが入ってパイロット・ランプが青から赤にかわった。部屋の隅では、ごとごとと低い音をたてて喞筒モートルが廻りだした。

 医学生吹矢隆二の両眼は、いよいよ気味わるい光をおびてきた。

 一体彼は、何を始めようというのであるか。

 電気も通じてブンゼン燈にも薄青い焔が点ぜられた。

 生ける腸(はらわた)の入ったガラス管の中には、二本の細いガラス管がさしこまれた。

 その一本からは、ぶくぶくと小さい泡がたった。

 吹矢隆二は、大きな画板みたいなものを首から紐でかけ、そして鉛筆のさきをなめながら、電流計や比重計や温度計の前を、かわるがわる往ったり来たりして、首にかけた方眼紙の上に色鉛筆でもってマークをつけていった。

 赤と青と緑と紫と黒との曲線がすこしずつ方眼紙の上をのびてゆく。

 そうしているうちにも、彼はガラス管の前に小首をかたむけ、熱心な眼つきで、蠕動をつづける腸(はらわた)をながめるのであった。

 彼は文字通り寝食を忘れて、この忍耐のいる実験を継続した。まったく人間業とはおもわれない活動ぶりであった。

 今朝の六時と、夕方の六時と、この二つの時刻における腸(はらわた)の状況をくらべてみると、たしかにすこし様子がかわっている。

 さらにまた十二時間経つと、また何かしら変った状態が看取されるのであった。

 実験がすすむにつれ、リンゲル氏液の温度はすこしずつのぼり、それからまたリンゲル氏液の濃度はすこしずつ減少していった。

 実験第四日目においては、腸(はらわた)を収容しているガラス管の中は、ほとんど水ばかりの液になった。

 実験第六日目には、ガラス管の中に液体は見えずになり、その代りに淡紅色のガスがもやもやと雲のようにうごいていた。

 ガラス管の中には、液のなくなったことを知らぬげに、例の腸(はらわた)はぴくりぴくりと蠕動をつづけているのであった。

 医学生吹矢の顔は、馬鹿囃の面のように、かたい笑いが貼りついていた。

「うふん、うふん。いやもうここまででも、世界の医学史をりっぱに破ってしまったんだ。ガス体の中で生きている腸(はらわた)! ああなんという素晴らしい実験だ!」

 彼はつぎつぎに新らしい装置を準備しては古い装置をとりのけた。

 実験第八日目には、ガラス管の中のガスは、無色透明になってしまった。

 実験第九日目には、ブンゼン燈の焔が消えた。ぶくぶくと泡立っていたガスが停った。

 実験第十日目には、モートルの音までがぴたりと停ってしまった。実験室のなかは、廃墟のようにしーんとしてしまった。

 ちょうどそれは、午前三時のことであった。

 それからなお二十四時間というものを、彼は慎重な感度でそのままに放置した。

 二十四時間経ったその翌日の午前三時であった。彼はおずおずとガラス管のそばに顔をよせた。

 ガラス管の中の腸(はらわた)は、今や常温常湿度の大気中で、ぐにゃりぐにゃりと活撥な蠕動をつづけていた。

 医学生吹矢隆二は彼の考案した独特の訓練法により、世界中のいかなる医学生も手をつけたことのなかったところの、大気中における腸(はらわた)の生存実験について成功したのであった。


同棲生活


 医学生吹矢は、目の前のテーブルの上に寝そべる生ける腸(はらわた)と、遊ぶことを覚えた。

 生ける腸(はらわた)は、実におどろいたことに、感情に似たような反応をさえ示すようになった。

 彼がスポイトでもって、すこしばかりの砂糖水を、生ける腸(はらわた)の一方の口にさしいれてやると、腸(ちょう)はすぐ活撥な蠕動をはじめる。そして間もなく、腸(ちょう)の一部がテーブルの上から彼の方にのびあがって、

「もっと砂糖水をくれ」

 というような素振りを示すのであった。

「あはあ、もっと砂糖水がほしいのか。あげるよ。だが、もうほんのちょっぴりだよ」

 そういって吹矢は、また一滴の砂糖水を、生ける腸(はらわた)にあたえるのだった。

(なんという高等動物だろう)

 吹矢はひそかに舌をまいた。

 こうして、彼が訓練した生ける腸(はらわた)を目の前にして遊んでいながらも、彼は時折それがまるで夢のような気がするのであった。

 前から彼は、一つの飛躍的なセオリーをもっていた。

 もしも腸(はらわた)の一片がリンゲル氏液の中において生存していられるものなら、リンゲル氏液でなくとも、また別の栄養媒体の中においても生存できるはずであると。

 要は、リンゲル氏液が生きている腸(はらわた)に与えるところの生存条件と同等のものを、他の栄養媒体によって与えればいいのである。

 そこにもっていって彼は、人間の腸(はらわた)がもしも生きているものなら、神経もあるであろうしまた環境に適応するように体質の変化もおこり得るものと考えたので、彼は生ける腸(はらわた)に適当な栄養を与えることさえできれば、その腸(はらわた)をして大気中に生活させることも不可能ではあるまい――と、机上で推理を発展させたのである。

 そういう基本観念からして、彼は詳細にわたる研究を重ねた。その結果、約一年前になってはじめて自信らしいものを得たのである。

 彼の実験は、ついに大成功を収めた。しかもむしろ意外といいたい簡単な勤労によって――。

 思索に苦しむよりは、まず手をくだした方が勝ちであると、さる実験学者はいった。それはたしかに本当である。

 でも、彼が思索の中に考えついた一見荒唐無稽の「生ける腸(はらわた)」が、こうして目の前のテーブルの上で、ぐるっ、ぐるっと生きて動いているかとおもうと、まったく夢のような気がするのであった。

 しかしもう一つ特筆大書しなければならないことは、こうして彼の手によって大気中に飼育せしめられつつあるところの腸(はらわた)が、これまで彼が予期したことがなかったような、いろいろ興味ある反応をみせてくれることであった。

 たとえば、今も説明したとおり、この生ける腸(はらわた)が砂糖水をもっとほしがる素振りを示すなどということはまったく予期しなかったことだ。

 それだけではない。腸(はらわた)と遊んでいるうちに彼はなおも続々と、この生ける腸(はらわた)がさまざまな反応を示すことを発見したのだ。

 細い白金の棒の先を生ける腸(はらわた)にあて、それからその白金の棒に、六百メガサイクルの振動電流を伝わらせると、彼の生ける腸(はらわた)は急にぬらぬらと粘液をはきだす。

 それからまた、吹矢は生ける腸(はらわた)の腸壁の一部に、音叉でつくった正しい振動数の音響をある順序にしたがって当てた結果、やがてその腸壁の一部が、音響にたいして非常に敏感になったことを発見した。まずそこに、人間の鼓膜のような能力を生じたものらしい。彼はやがて、生ける腸(はらわた)に話しかけることもできるであろうと信じた。

 生ける腸(はらわた)は、大気中に生活しているためにその表面はだんだん乾いてきた。そして表皮のようなものが、何回となく脱落した。この揚句の果には、生ける腸(はらわた)の外見は大体のところ、少し色のあせた人間の唇とほぼ似た皮膚で蔽われるにいたった。

 生ける腸(はらわた)の誕生後五十日目ころ――誕生というのは、この腸(はらわた)が大気中に棲息するようになった日のことである――においては、その新生物は医学生吹矢隆二の室内を、テーブルの上であろうと本の上であろうと、自由に散歩するようになるまで生育した。

「おいチコ、ここに砂糖水をつくっておいたぜ」

 チコというのは、生ける腸(はらわた)に対する愛称であった。

 そういって吹矢が、砂糖水を湛えてある平皿のところで手を鳴らすと、チコはうれしそうに、背(?)を山のように高くした。そしてチコに食欲ができると、彼の生き物はひとりでのろのろと灰皿の[#「灰皿の」はママ]ところへ匍ってゆき、ぴちゃぴちゃと音をさせて砂糖水をのむのであった。その有様は、見るもコワイようなものであった。

 かくて医学生吹矢隆二は、生ける腸(はらわた)チコの生育実験をまず一段落とし、いよいよこれより大論文をしたため、世界の医学者を卒倒せしめようと考えた。

 ある日――それはチコの誕生後百二十日目に当っていた。彼はいよいよその次の日から大論文の執筆にかかることとし、その前にちょっと外出してこようと考えた。

 いつの間にか、秋はたけ、外には鈴懸樹の枯葉が風とともに舗道に走っていた。だんだん寒くなってくる。彼一人ならばともかくも今年の冬はチコとともに暮さねばならぬので電気ストーヴなども工合のいいものを街で見つけてきたいと思ったのだ。

 また買い溜をしておいた罐詰もすっかりなくなったので、それも補充しておきたい。チコのために、いろんなスープをさがしてきてやろう。

 彼はこの百数十日というものを、一歩たりとも敷居の外に出なかったのである。

「ちょっと出かける。砂糖水は、隅のテーブルのうえに、うんと作っておいたからね」

 彼は急に外が恋しくなって、チコに食事の注意をするのもそこそこに、入口に錠をおろし、往来にとびだしたのだった。


誤算


 医学生吹矢隆二は、つい七日間も外に遊びくらしてしまった。

 一歩敷居を外に踏みだすと、外には素晴らしい歓喜と慰安とが、彼を待っていたのだ。彼の本能はにわかに背筋を伝わって洪水のように流れだした。彼は本能のおもむくままに、夜を徹し日を継いで、歓楽の巷を泳ぎまわった。そして七日目になって、すこしわれにかえったのである。

 チコの食事のことがちょっと気になった。日をくってみると、あの砂糖水はもうそろそろ底になっているはずだった。

「まあ一日ぐらいは、いいだろう」

 そう思って彼はまた遊んだ。

 その日の夕方、彼はなにを思ったか、足を○○刑務病院にむけた。そして熊本博士を訪問したのであった。

 博士は、吹矢があまりに人間臭い人間にかわって応接室に坐っているのを見て愕いた。

「この前の一件は、どうしたですか」

 と、博士はそっとたずねた。

「ああ、生きている腸(はらわた)のことだろう。あれはいずれ発表するよ、いひひひ」

「一件は何日ぐらい動いていましたか」

「あはっ、いずれ発表する、だがね熊本君。腸(はらわた)というやつは感情をあらわすんだね。なにかこう、俺に愛情みたいなものを示すんだ。本当だぜ。まったく愕いた。――時にあれは、なんという囚人の腸(はらわた)なんだ。教えたまえ」

「……」

 博士は返答をしなかった。

 いつもの吹矢だったら、博士が返答をしなかったりすると、頭ごなしにきめつけるのであるが、その日に限り彼はたいへんいい機嫌らしく、頤をなでてにこにこしている。

「それからね、熊本君。ホルモンに関する文献をまとめて、俺にくれんか。――ホルモンといえば、この病院にいた例の美人の交換手はどうした。二十四にもなって、独身で頑張っていたあの娘のことだよ」

 と、吹矢は変にいやらしい笑みをうかべて熊本博士の顔をのぞきこんだ。

「あ、あの娘ですか――」

 博士は、さっと顔色をかえた。

「あの娘なら、もう死にましたよ、盲腸炎でね、だ、だいぶ前のことですよ」

「なあんだ、死んだか。死んだのなら、しようがない」

 吹矢は、とたんにその娘のことに興味を失ったような声をだした。そしてまた来るといって、すたすたと室を出ていった。

 その夜更けの午前一時。

 医学生吹矢隆二は、ようやく八日目に、自宅の前に帰ってきた。

 彼はおもはゆく、入口の錠前に鍵をさした。

(すこし遊びすぎたなあ。生きている腸(はらわた)――そうだチコという名をつけてやったっけ。チコはまだ生きているかしら。なあに死んでもいいや。とにかく世界の医学者に腰をぬかさせるくらいの論文資料は、もう十分に集まっているからなあ)

 彼は、入ロの鍵をはずした。

 そして扉をひらいて中に入った。

 ぷーんと黴くさい匂いが、鼻をうった。それにまじって、なんだか女の体臭のようなものがしたと思った。

(おかしいな)

 室内は真暗だった。

 彼は手さぐりで、壁のスイッチをひねった。

 ぱっと明りがついた。

 彼は眩しそうな眼で、室内を見まわした。

 チコの姿は、テーブルの上にもなかった。

(おや、チコは死んだのか。それとも隙間から往来へ逃げ出したのかしら)

 と思ったが、ふと気がついて、出かけるときにチコのために作っておいた砂糖水のガラス鉢に眼をやった。

 ガラス鉢の中には、砂糖水がまだ半分も残っていた。彼は愕きの声をあげた。

「あれっ、今ごろは砂糖水がもうすっかりからになっていると思ったのに――チコのやつどうしやがったかな」 

 そういった刹那の出来事だった。

 吹矢の目の前に、なにか白いステッキのようなものが奇妙な呻り声をあげてぴゅーっと飛んできた。

「呀(あ)っ!」

 とおもう間もなく、それは吹矢の頸部にまきついた。

「ううっ――」

 吹矢の頸は、猛烈な力をもって、ぎゅっと締めつけられた。彼は虚空をつかんでその場にどっと倒れた。

 医学生吹矢の死体が発見されたのは、それから半年も経ってのちのことであった。一年分ずつ納めることになっている家賃を、大家が催促に来て、それとはじめて知ったのだ。彼の死体はもうすでに白骨に化していた。

 吹矢の死因を知る者は、誰もなかった。

 そしてまた、彼が残した「生ける腸(はらわた)チコ」に関する偉大なる実験についても、また誰も知る者がなかった。

「生ける腸(はらわた)」の実験は、すべて空白になってしまった。

 ただ一人、熊本博士は吹矢に融通した「生ける腸(はらわた)」のことをときおり思いだした。実はあの腸(はらわた)はどの囚人のものでもなかったのである。

「生ける腸(はらわた)」はいったい誰の腹腔から取り出したものであろうか。

 それは○○刑務病院につとめていた二十四歳の処女である交換手のものであった。彼女は盲腸炎で亡くなったが、そのとき執刀したのは熊本博士であったといえば、あとは説明しないでもいいだろう。

 処女の腹腔から切り放された「生きている腸(はらわた)」が医学生吹矢の首にまきついて、彼を殺したことは、彼の死をひそかに喜んでいる熊本博士もしらない。

 いわんや「生ける腸(はらわた)」のチコが、吹矢と同棲百二十日におよび、彼に非常なる愛着をもっていたこと、そして八日目にかえってきた彼の声を開き、嬉しさのあまり吹矢の首にとびつき、不幸にも彼を締め殺してしまった顛末などは、想像もしていないだろう。

 あの「生きている腸(はらわた)」が、まさかそういう女性の腸(はらわた)とは気がつかなかった医学生吹矢隆二こそ、実に気の毒なことをしたものである。

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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)

살아있는 창자(生きている腸)

운노 쥬자(海野十三)

번역 : 홍성필


기이한 의대생

의대생 후키야 류지(吹矢隆二)는 그 날도 아침부터 창자 생각만 하고 있었다.

오후 3시를 알리는 시계가 울리자 그는 외출했다.

그가 살고 있는 집은 고가 철도 밑을 집처럼 개조한, 매우 독특한 주택이었다.

그런 색다른 집에 살고 있는 후키야 류지라는 인물이, 이 또한 매우 색다른 의대생이어서, 조수도 아닌데도 의과대학에 벌써 7년이나 재학하고 있는, 일본에서는 둘도 없는 장기 의대생이었다.

그도 그럴 것이 본래 그가 과목별 학과시험 중 자신의 마음에 드는 과목만 치르기로 하고, 절대 욕심을 내지 않기로 다짐했기 때문이다. 그리하여 입학 이후 7년이나 지난 지금에도 아직 불합격 과목이 다섯 과목에 이른다.

후키야는 대부분 학교에 가지 않았고, 대개는 그 소란스럽기 짝이 없는 독특한 집에서 조용히 지내고 있었다.

지금까지 그의 집을 들여다본 사람은 아마도 세 명을 넘지 않을 것이다. 한 사람은 집주인이며, 다른 한 사람은 그가 지금부터 창자에 대해 전화를 걸려고 하는 인물 ― 즉 쿠마모토(熊本) 박사 정도이다.

그는 창백한 얼굴 위에 사자처럼 긴 더벅머리를 얹혀놓고 보기 드물 만큼 마른 몸매에, 반들반들 길이 든 금단추 달린 검은 제복을 입고서 역전 공중전화박스로 다가갔다.

그가 전화를 거는 곳은 남성 재소자 2,700 명을 수용하고 있는 ○○교도소 부속병원이었다. 여기서는 여성 간호사를 두지 못하게 되어 있어 모두 남성 간호사가 근무하고 있었다. 남성 죄수에게 여성을 보이면 좋지 않다는 사실은 자명하다.

"네에. ○○교도병원(矯導病院)입니다"

"○○교도병원인가? ―― 흠. 쿠마모토 박사를 불러주게. 내 말인가? 나는 그냥 이노마타라고 전해주게나"

그는 왠지 가명을 쓰며 건방진 말투로 교환수에게 전화선을 통해 겁을 주었다.

"그래, 쿠마모토 군인가? 나는 ―― 말 안 해도 알고 있지? 오늘은 괜찮겠어? 틀림 없겠지? 정말로 창자를 준비해주었다는 말이군. ―― 남쪽에서 세 번째 창문이었지. 만약 잘못되면 나도 생각이 있다구. 그건 아마도 자네가 직장을 잃고, 다음은 밥줄이 끊기겠지. ―― 아니, 협박이 아니야. 자네는 항상 ‘예, 예,’ 하며 내 말을 따르면 돼. ―― 지금 간다. 반드시. 오늘 11시에 말이야."

거기서 그는 누가 들어도 언짢게 여길 만한 통화를 마쳤다.

쿠마모토 박사라고 하면 사람들로부터 그 훌륭한 인격으로 칭송 받고 있는 ○○교도병원 외과 과장이었다. 그는 가정에 마네킹과도 같은 아름다운 부인을 두고 있으며, 또한 적지 않은 재산도 있는, 마치 행복 그 가체를 그림으로 그린 듯한 의학자였다.

그러나 왠지 후키야는 그런 박사를 무참히 짓밟아버린다는 나쁜 습관이 있었다. 물론 그의 말에 의하면 쿠마모토 박사 같은 인간은 말도 안 되는 사기꾼이며, 하늘을 대신해서 마음껏 괴롭혀줄 필요가 있는 지식인이라고 한다.

그토록 괴롭히고 있는 반면 의대생 후키야는 학력에 있어서 몇 발자국 앞서있는 쿠마모토 박사를 십분 이용하여 적지 않은 혜택을 누리고 있으면서도, 쿠마모토 박사를 항상 노예처럼 부려먹고 있었다.

"창자는 준비되어있겠지?"

방금 전 후키야는 그런 전화를 걸었으나, 이를 보면 그는 쿠마모토 박사에 대해 또다시 위협수단을 쓰고 있는 듯했다. 그러나 "창자를 준비"한다니 무슨 뜻일까. 그는 지금 무엇을 계획하고 또한 무엇을 생각하고 있는 것인가.

오늘 11시가 되어야만 그 답은 나올 것이다.


세 번째 창문

이미 오후 10시 58분이었다.

○○교도병원의 작은 철문에 한 대학생의 몸이 퉁 하고 부딪혔다.

"일찍도 닫았군."

한 마디 내뱉고는 철문을 밀었다.

철문은 쉽게 열렸다. 열쇠를 잠그는 것이 아니라 철문 밑에 콘크리트 덩어리를 살짝 받혀놓았을 뿐이었기 때문이다.

"안녕하쇼."

수위가 후키야의 인사를 받고는 넙죽 고개를 숙인다. 무슨 연유인지는 모르나 이 병원에서 근무하는 권위자인 쿠마모토 선생을 함부로 대하는 의대생이니, 외모는 볼품없으나 쿠마모토 박사의 고향 어른 자손이라도 되나 하고 좋게 해석하여, 따라서 이 철문에서는 항상 정중하게 경례를 붙이곤 하였다.

콧노래를 부르며 허름한 옷차림에 사자 머리를 한 의대생 후키야 류지는 수위 앞을 지나치자 어두운 병원 마당으로 들어섰다. 

그는 발걸음을 재촉하여 어두운 마당을 부엉이처럼 신속하게 지나갔다. 이윽고 눈앞에 제 4병동이 나타났다.

‘남쪽에서 세 번째 창문이었지.’

그는 아무런 거리낌 없이 창문 밑으로 다가갔다. 거기에는 귤상자 같은 것이 놓여있었다. 이것도 쿠마모토 박사가 배려해준 것이라고 생각하여 이를 발 받침대로 삼아 무거운 창문을 위로 끌어올렸다.

창문이 조용히 열렸다. 쿠마모토 박사가 사전에 창문을 받치는 롤러에도 기름을 쳐놓았기에 이처럼 쉽게 올라가는 것이다.

따라서 의대생 후키야는 바로 눈앞에 보이는 탁자 위에 놓여진, 상당히 굵고 길이 1미터 정도 되는 유리관을 잡을 수 있었다.

"그렇지. 들어 있다."

의대생 후키야는 그 둔탁하고 무거운 유리관을 담장 위에 있는 가로등에 비추어 보았다. 유리관 안에는 맑은 액체로 가득 차 있었으며, 그 속에는 회색이라고도 연보라색이라고도 할 수 없는 기이한 빛깔의 물컹거리는 무언가가 담겨 있었다.

"그래. 갖고 싶었던 것을 이제서야 손에 넣을 수 있게 됐어. 이건 정말 대단한걸?"

후키야는 회심의 미소를 짓고서 창문을 본래대로 닫았다. 그리고 훔쳐낸 굵은 유리관을 오른손에 지팡이처럼 들고서 땅바닥 위로 내려왔다.

"정말 밤에 산책하는 건 기분이 좋군요."

철문 앞을 지나칠 때에는 평소의 그답지 않은 인사를 했다. 그가 손에 넣은 물건이 워낙 마음에 들었던 것 같다.

"아이구, 조심해 가십시오."

수위는 단단히 긴장하며 인사했다.

문을 나서자 그는 굵은 유리관을 어깨에 매고 슬리퍼 차림으로 부지런히 걸어갔으며, 세 시간이 지나서야 겨우 집에 도착했다. 거리는 피로에 지쳐 쓰러진 것처럼 조용했다.

그는 아무도 모르게 집 안으로 들어올 수 있었다. 그는 전등을 켰다.

"좋아. 아주 훌륭해. 정말 대단한 창자야."

그는 유리관을 들어올려 불빛에 비춰보며 환호성을 질렀다.

약간 푸른 빛이 나는 액체 속에 그가 말하는 ‘창자’라는 것이 물컹거리며 들어있다.

"어, 살아있다."

연보랏빛 창자를 자세히 보니 꿈틀꿈틀 움직인다. 링거씨액 속에서 굼실거리고 있는 것이었다.

살아있는 창자!

의대생 후키야가 쿠마모토 박사에게 지난 1년 동안 끈질기게 요구한 것은 바로 이 살아있는 창자였다. 다른 청은 들어주어도 이 살아있는 창자에 대해서만은 좀처럼 들어주지 않았다.

"이봐, 어쩌자는 거야. 네가 있는 곳에는 남성 재소자가 2,900명이나 있잖아. 그 중에는 사형이 될 놈도 있고 맹장염에 걸려 죽는 놈도 있겠지. 그 중에서 불과 1미터 정도의 창자를 빼낼 수 없을 리가 있나. 이것 보라구. 내 말을 듣지 않으면 그걸 거시기하는 수가 있어. 그게 싫다면 어서 내 말을 따르라구."

이렇게 협박한 결과 1년여 만에 간신히 애타게 기다리던 살아있는 창자를 손에 넣을 수가 있었다.

그는 왜 이토록 징그럽기 짝이 없는 살아있는 창자를 원했는가. 그것은 그의 편집증 때문이었을까.

그렇지 않다!


링거씨액 속의 생물

살아있는 창자 ㅡㅡ 라고 하는 것이 문헌상으로는 그리 진귀하지 않다.

생리학 교과서를 보면 링거씨액 속에서 살아있는 모르모트 장기, 토끼 장기, 개의 장기, 그리고 인간의 장기 등 너무나도 많이 적혀 있다.

표본으로서도 살아있는 장기는 그리 보기 드문 것은 아니다.

의대생 후키야가 지금 남몰래 자랑스럽게 여기는 점은 이 훌륭한 크기를 가진 대장이 지팡이보다도 길어, 링거씨액이 든 1미터짜리 유리관 안에서 활발하게 요동치고 있다는 사실이다. 이토록 훌륭한 것은 아마도 이 세상 어디에도 없을 것이다. 참으로 우리 쿠마모토 박사도 대단하다며 그는 유리관을 보고 근엄하게 경의를 표하는 것이었다.

그는 살아있는 창자를 방 중앙에 장식했다. 천장에 끈을 걸어, 거기에 유리관 입구를 매달아 놓았으며, 아래쪽에는 유리관 받침대를 만들었다.

곰팡이 냄새 나는 의학서가 산더미처럼 쌓여있어, 그리고 알 수 없는, 녹이 슨 수술도구나 의료기기로 가득 찬 의대생 후키야의 방은 그 자체만으로도 기기괴괴한 모습이었으나 지금 이 ‘살아있는 창자’를 들여놓음으로써 그 모습은 더욱 괴기스러워졌다.

후키야는 천장에 매달아놓은 유리관 앞으로 높은 세발의자를 가져갔다. 그는 그 앞에 살짝 앉아 매우 감명 깊다는 듯 팔짱을 끼고서 맑은 액체 안에서 꿈틀거리는 기이한 인체의 일부를 응시하고 있다.

꿈틀, 꿈틀, 꿈틀.

가만히 보면 창자는 인간의 얼굴로써 도저히 나타낼 수 없는 복잡한 표정을 가지고 있어, 온 몸을 비틀어가며 움직인다.

"이상한 노릇이야. 이 녀석을 이렇게 보고 있으면 인간보다도 수준 높은 생물체처럼 느껴져."

의대생 후키야는 문득 논리학을 초월한 고차원적 소견을 말했다.

그로부터 후키야는 그 자신이 마치 살아있는 창자 자체가 되어버리지 않을까 싶을 정도로 유리관 앞에 석고상처럼 가만히 언제까지나 살아있는 창자로부터 눈을 떼려 하지 않았다.

식사도, 조금 저질이긴 하지만 배설마저도 그는 최소한도로 줄이고 있는 것처럼 보였다. 불과 1, 2분조차도 그는 살아있는 창자 앞을 떠나려 하지 않았다.

그런 상태가 사흘 동안 이어졌다.

그 다음 일이었다.

그는 연일 긴장했던 생활에 지쳐 어느새 세발의자 위에서 앉은 채로 잠이 들었는지, 본인의 코 고는 소리에 잠이 깼다. 방 안은 캄캄했다.

그에게 불길한 예감이 엄습했다. 그는 곧바로 의자에서 내려와 전등 스위치를 켰다. 귀중한 살아있는 창자가 설마 도난 당하지나 않았을까 했던 것이다.

"휴, 다행이야."

창자가 들어있는 유리관은 여전히 천장에 매달려 있었다.

그러나 그는 얼마 지나지 않아 비명과도 같은 소리를 질렀다.

"앗! 큰일이다. 창자가 움직이질 않아!"

후키야는 쿵 소리를 내며 엉덩방아를 찌었다. 그는 미친 듯이 머리를 쥐어뜯었다. 칠흑과도 같은 절망!

"자, 잠깐 ㅡㅡ"

그는 혼자서 얼굴을 붉히며 일어섰다. 그는 퓰렛 주사기를 손에 들고 세발 의자 위로 올라갔다.

유리관 속으로 맑은 액체를 퓰렛 주사기 가득히 빨아들이고는 그것을 배수구에 버렸다.

그 다음 약품 케이스 안에서 1만 배 콜린(choline)이라고 붙어있는 병을 가지고 내려와 빈 퓰렛 주사기를 꽂았다.

액체가 아래로부터 빨려 올라 온다.

그는 신속하게 다시 세발 의자 위로 뛰어올라 그 콜린이 든 퓰렛 주사기를 조용히 유리관 안으로 주입시켰다.

액체는 조용히 링거씨액 속으로 녹아들어갔다.

유리관 속을 가만히 바라보는 그의 눈은 예사롭지 않았다. 그러나 잠시 후 그의 입가에는 미소가 떠올랐다.

"ㅡㅡ 움직이기 시작했어."

창자는 또다시 꿈틀, 꿈틀, 꿈틀 하고 굼실거리기 시작한 것이다.

"콜린을 잊고 있다니 나도 정신이 없었나보군."

그는 소녀처럼 쑥스럽다는 듯이 크게 숨을 내쉬었다.

"창자는 아직 살아있다. 하지만 곧바로 훈련에 들어가지 않는다면 도중에 죽어버릴지도 모르겠어."

그는 셔츠 소매를 걷어붙이고 벽에 걸어두었던 수술복을 입기 시작했다.


훌륭한 실험

그는 딴 사람이 된 것처럼 활발해졌다.

"자, 훈련이다."

무슨 훈련을 하려는 것인가. 그는 방안을 돌아다니며 사관냉각기나 청정기, 발판 등 여러 가지 기구들을 끌어 모았다.

"자, 의학사상 최초의 대실험을 난 기필코 성공시키고야 말 테야."

그는 혼자서 중얼거리며, 이어서 레토르트, 금속망사, 분센버너 등을 가지고 왔다.

그러고서 그는 모아온 도구 한 가운데 서서, 마치 무대 도구담당처럼 실험용기를 조립하기 시작했다.

얼마 있자 유리와 금속부품들, 그리고 액체들로 이루어진 조립품은 어느 정도 완성되었다. 그 기구들은 아무래도 살아있는 창자가 든 유리관을 중심에 둘 것처럼 보였다.

전기 스위치가 들어가자 파일럿 램프가 파랑에서 빨강으로 바뀌었다. 방 구석에서는 딸가닥거리는 소리를 내며 펌프 모터가 돌아가기 시작했다.

의대생 후키야 류지의 두 눈은 드디어 사악하게 변하기 시작했다.

도대체 그는 무엇을 시작하려 하는가.

전기를 통해 분센버너에도 연푸른 불이 들어왔다.

살아있는 창자가 든 유리관 안으로 두 개의 가느다란 유리관이 꽂혀졌다.

그 중 한 쪽에서 부글부글 하며 작은 기포가 나왔다.

후키야 류지는 큰 화판 같은 것을 목에 끈으로 걸고는, 거기에 연필끝을 핥으면서 전류계나 비중계, 그리고 온도계 앞을 번가라서 왕래하며, 목에 건 방안지 위에 색연필로 표시를 적어갔다.

빨강, 파랑, 초록, 보라, 검은 색 곡선이 조금씩 방안지 위에서 뻗어간다.

그러는 동안에도 후키야는 유리관 앞으로 고개를 돌려 계속 요동치는 창자를 응시하고 있었다.

그는 말 그대로 식음을 전폐한 채 끈질긴 실험을 계속했다. 과연 인간으로서는 도저히 해낼 수 없는 끈기였다.

아침 6시와 저녁 6시, 이 두 시간대에 창자의 상황을 비교하면 분명 조금씩 변화가 보인다.

나아가 12시간이 더 지나면 다시 어떠한 변화를 찾아낼 수 있었던 것이었다.

실험이 계속해감에 따라 링거씨액 온도는 조금씩 상승하여, 이와 함께 링거씨액 농도는 조금씩 감소해갔다.

실험 제 4일째에 있어서는 창자를 수용하고 있는 유리관 내부에 들어있던 액체는 대부분 물처럼 되었다.

실험 제 6일째에는 유리관 내부에 액체가 사라지고, 그 대신 연분홍색 가스가 조금씩 구름처럼 움직이고 있었다.

유리관 안에는 액체가 없어졌다는 것도 모르는지 그 창자는 여전히 꿈틀꿈틀 요동치고 있었다.

의대생 후키야의 얼굴은 긴장된 웃음을 짓고 있었다.

"흠. 흠. 이제 여기까지만 해도 이미 세계 의학사를 멋지게 깨고도 남았다. 가스 안에서 살아있는 창자! 아아, 이 얼마나 위대한 실험인가!"

그는 연이어 오래된 장치를 새로운 것으로 바꾸어 설치했다.

실험 제 8일째, 유리관 내부에 있던 가스는 무색투명해졌다.

실험 제 9일째, 분센버너가 꺼지고 부글부글 끓어오르던 가스가 멈췄다.

실험 제 10일째, 모터 소리까지 완전히 멈추고 말았다. 실험실 내부에는 폐허처럼 정적이 흐르기 시작했다.

시간은 정확히 오전 3시였다.

그 이후 24시간 동안 그는 신중하게 지켜보며 그대로 방치시켜놓았다.

24시간이 지난 그 다음 날 오전 3시였다. 그는 천천히 유리관을 들여다보았다.

유리관에 들어있는 창자는 지금 상온온도인 대기중에서 꿈틀꿈틀 활발하게 요동치고 있다.

의대생 후키야 류지는 그가 고안한 독자적인 훈련법으로써 세계 어느 의학자도 시도해보지 못한, 대기중에서 창자를 생존시키는 실험에 드디어 성공한 것이었다.


동거생활

후키야는 눈앞에 놓인 탁자 위에 누워있는, 살아있는 창자와 놀 수 있는 방법을 배웠다.

살아있는 창자는 매우 놀랍게도 감정과도 같은 반응조차 표현할 수 있게 되었다.

그는 스포이트로 조금씩 설탕물을 살아있는 창자에게 한쪽 입을 통해 넣어주자, 장은 곧바로 활발하게 꿈틀거리기 시작한다. 그리고 즉시 창자 일부가 그가 있는 쪽으로 뻗쳐온다.

"설탕물을 더 달라"

마치 그렇게 말이라도 하는 것처럼 행동하는 것이다.

"그래. 설탕물을 더 먹고 싶니? 물론 주지. 하지만 아주 조금만 더 줄 거야."

그러면서 후키야는 다시 설탕물 한 방울을 살아있는 창자에게 주는 것이었다.

‘이렇게 놀라운 고등동물이라니’

후키야는 남몰래 경탄을 금하지 못했다.

이처럼 그가 훈련한 살아있는 창자를 눈앞에 두며 놀고 있으면서도, 때때로 그는 마치 꿈인 듯한 생각마저 들었다.

예전부터 그는 한가지 비약적인 이론을 가지고 있었다.

만약 창자 중 한 조각이 링거씨액 안에서도 생존할 수 있다면 링거씨액이 아닌 다른 영양매체 속에서도 생존할 수 있다는 이론이다.

핵심은 링거씨액이 살아있는 창자에게 공급하는 생존조건과 동등한 것을 다른 영양매체에 의해서 제공하면 되는 것이다.

나아가 그는 인간의 창자가 만약 살아있다면 신경 또한 있을 것이며, 뿐만 아니라 환경에 적응하듯 체질상 변화도 발생할 것이라고 예상했기에 그는 살아있는 창자에게 적당한 영양을 공급할 수만 있다면 그 창자를 대기중에서 생활하게끔 만드는 것도 불가능은 아니다 ㅡㅡ 이와 같이 상상으로 추리를 발전시켜나갔다.

그와 같은 기본관념을 가지고 그는 상세한 곳에 이르는 연구를 계속해 나아갔다. 그 결과 약 1년 전에 비로소 자신감과도 같은 것을 가질 수 있었던 것이다.

그의 실험은 드디어 대성공을 이루어냈다. 더구나 비교적 뜻밖이라고도 할 수 있을 정도로 쉬운 수고만으로 말이다.

사색으로 괴로워하기 보다는 우선 손을 써보는 자가 이긴다고 어느 실험학자는 말했다. 그건 분명 사실이다.

그러나 그가 사색 중에 생각해낸, 보기에 따라서는 황당무계한 ‘살아있는 창자’가 이렇게 눈앞에 놓인 탁자 위에서 꿈틀거리며 살아 움직이고 있다는 생각을 하니 도무지 꿈인지 의심하지 않을 수 없었다.

뿐만 아니라, 대서특필해야 할 점은 이렇게 그의 손에 의해 대기 중에서 사육되기 시작한 창자가, 그가 지금까지 예측하지 못했던, 여러 흥미로운 반응을 보여준다는 점이다.

예컨대 지금도 설명한 바와 같이, 이 살아있는 창자가 설탕물을 더 달라는 반응을 보인다는 점은 전혀 예측하지 못했다.

그것 만이 아니다. 창자와 놀면서 그는 이 창자가 다양한 반응을 보인다는 점을 발견한 것이다.

가느다란 금속 스틱 끝을 살아있는 창자에 대고는 그대로 600메가 사이클 정도 되는 진동전류를 흘려 보내자, 살아있는 창자는 갑자기 미끈미끈한 점액을 토해낸다.

한편 후키야는 살아있는 창자 속 내벽 일부에 소리굽쇠로 만든 정확한 진동수에 맞추어 음향을 순서에 따라 대 본 결과, 그 내벽 일부가 음향에 대해 매우 민감해졌다는 점도 발견했다. 우선 그 곳에 인간의 고막 같은 능력이 생겨난 듯하다. 그는 이윽고 살아있는 창자에게 말을 걸 수도 있다고 믿었다.

살아있는 창자는 대기중에서 생활하고 있었기 때문에 그 표면은 점점 건조해졌다. 그리고 표피와도 같은 것이 몇 번이고 떨어져 나갔다. 그러고 나자 살아있는 창자 표면은 조금 빛 바랜 사람 입술과 매우 흡사한 피부로 덥혔다.

살아있는 창자 탄생 50일경 ㅡㅡ 탄생이란 이 창자가 대기중에서 서식할 수 있게 된 날을 말한다 ㅡㅡ 에 있어서 그 신종 생물은 의대생 후키야 류지가 사는 방 안을, 탁자 위건 책 위건 간에 자유롭게 산책할 수 있을 정도로 성장했다.

"이봐 치코, 여기에 설탕물을 놔뒀다."

‘치코’란 살아있는 창자에 대한 애칭이었다.

그렇게 하면서 후키야가 설탕물이 담긴 접시가 있는 곳에서 손뼉을 치면, 치코는 반가운 듯 등(?)을 산처럼 부풀어 올렸다. 그리고 치코에게 식욕이 생기면 그 생물체는 혼자서 천천히 접시 쪽으로 기어가서는 쩝쩝 소리를 내며 설탕물을 마셨다. 그 행태는 매우 끔찍한 모습이었다.

그리하여 의대생 후키야 류지는 살아있는 창자인 ‘치코’에 대한 성장실험을 일단락 짓고, 드디어 이제부터 대논문을 써서 세계 의학자들을 졸도시키려고 생각했다.

어느날 ㅡㅡ 그날은 치코 탄생 120일째 되는 날이었다. 후키야는 드디어 다음날부터 대논문을 집필하기 시작하기로 하고, 그 전에 조금 외출을 하려고 마음먹었다.

어느새 가을은 깊어가고 바깥은 플라타너스 낙엽이 바람과 함께 거리에 흩날리고 있었다. 점점 추워진다. 후키야 혼자라면 모를까 올해 겨울은 치코과 함께 지내야 하므로, 쓸만한 전기난로도 찾아보아야겠다고 생각했다.

또한 예전에 사 모아두었던 통조림도 이제 동이 났기에 그것 또한 보충해두어야 한다. 치코를 위해 여러 가지 수프를 사 가자.

그는 근래 백 수 십일 동안 한 발자국도 집을 나서지 않았던 것이다.

"잠깐 나갔다 올게. 설탕물은 탁자 위 한 켠에 많이 만들어놓았으니까."

그는 갑자기 바깥이 그리워졌기에 치코에게 주의를 주는 것도 대충 하고 출입문을 잠그고는 거리로 나선 것이었다.


오산(誤算)

의대생 후키야 류지는 무려 7일간이나 바깥에서 놀고 지냈다.

한 발 문을 나서자 바깥에서는 화려한 환희와 위안이 그를 기다리고 있었던 것이다. 후키야의 본능은 급속도로 등줄기를 타고 홍수처럼 넘쳐 나왔다. 그는 본능이 명하는 대로 밤낮을 가리지 않고 환락의 거리를 휘지고 다녔다. 그리고 7일째가 되어서야 조금씩 정신이 돌아왔다.

치코가 식사를 제대로 하고 있는지 조금 걱정되었다. 날짜를 세어보니 그 설탕물도 이제는 바닥났음 분명하다.

"하루 정도는 괜찮겠지."

하고 그는 또다시 환락에 빠졌다.

그날 저녁, 그는 무슨 생각을 했는지 발걸음을 ○○형무병원으로 돌리고는 쿠마모토 박사를 방문했다.

박사는 후키야가 너무나도 사람냄새가 나는 인간으로 변하여 응접실에 앉아 있는 모습을 보고는 놀랐다.

"예전에 말했던 그 일은 어떻게 됐죠?"

박사는 조심스럽게 물었다.

"음, 살아있는 창자 말이지. 그 점에 대해서는 머지 않아 발표할 거야. 으흐흐흐."

"그 물체는 며칠 정도 움직이고 있었나요?"

"흐핫. 머지 않아 발표한다니까. 그러나 쿠마모토 군. 창자라는 놈은 감정을 나타내더군. 뭐라고 할까. 내게 애정 같은 감점을 표현하는 거야. 정말이라니까. 나도 얼마나 놀랐는지 모른다구. ㅡㅡ 그런데 그건 대체 어떤 재소자한테서 얻어낸 것인가? 알려주게."

"……"

박사는 대답하지 않았다.

평소 같았다면 박사가 대답하지 않거나 할 경우 버럭 화를 내곤 했으나 그날 따라 후키야는 매우 기분이 좋은 듯, 목을 더듬으며 싱글벙글 웃고 있다.

"그리고 말이야 쿠마무토 군. 호르몬에 관한 문헌을 정리해서 내게 주지 않겠나. ㅡㅡ 호르몬 이야기가 나와서 말인데, 이 병원에 있던 그 미인 교환수는 어떻게 됐나? 스물 넷이나 먹었으면서 독신으로 열심히 살아왔던 그 아가씨 말이야."

야부키는 어딘지 모르게 징그러운 웃음을 띄우며 쿠마모토 박사를 쳐다보았다.

"아, 그 아이요……"

박사는 순간 안색이 변했다.

"그 아이는 이미 죽었습니다. 맹장염이었거든요. 상, 상당히 오래된 일입니다."

"그래? 죽었어? 죽었다면, 어쩔 수 없지."

후키야는 그 말을 듣자마자 그 아가씨에 대해 흥미를 잃은 듯한 말을 했다. 그리고 다시 오겠다며 총총걸음으로 방을 나섰다.

새벽 1시.

의대생 후키야는 그제서야 8일째에 집 앞으로 돌아왔다.

그는 겸연쩍게 출입문 열쇠구멍으로 열쇠를 집어넣었다.

‘내가 너무 지나치게 놀았나. 살아있는 창자 ―― 그렇지. 치코라는 이름을 붙여줬었지. 치코는 아직 살아있을까. 죽어 있더라도 상관 없어. 어쨌든 세계 의학자들을 놀라게 할 만한 논문자료는 이제 충분이 모아놓았다.

그는 출입구 문을 열고 안으로 들어갔다.

퀘퀘한 곰팡이 냄새가 코를 찌른다. 거기에 섞여 어딘지 모르게 여자 체취와도 같은 것도 느낀 듯했다.

‘이상하다’

방안은 캄캄했다.

후키야는 손을 더듬어서 벽에 있는 스위치를 켰다.

순간 환하게 밝았다.

그는 쓸쓸한 듯한 눈으로 실내를 돌아보았다.

치코의 모습은 탁자 위에도 없었다.

‘이상하다? 치코는 죽었나? 아니면 틈새로 해서 바깥으로 도망쳤을까?"

이런저런 생각을 했으나, 문득 떠오르는 것이 있어, 나갈 때 치코를 위해 만들어 놓은 설탕물이 담긴 접시 쪽으로 눈을 돌렸다.

유리 접시 안에는 설망물이 아직 절반 정도나 남아 있었다 그는 놀라운 소리를 냈다.

"어? 지금쯤이면 설탕물도 바닥이 났을 줄 알았는데 ―― 치코 이 녀석은 도대체 어떻게 된 거야."

바로 그 순간.

후키야 눈 앞에 무언가 흰 지팡이와도 같은 것이 기이한 신음소리를 내며 휙 날라왔다.

"으악!"

소리도 낼 틈도 없이 그것은 후키야 머리에 휘감겼다.

"으으윽 ――"

후키야의 목은 강력한 힘으로 조여졌다. 그는 허공을 잡으며 그 자리에 쓰러지고 말았다.

의대생 후키야의 시신이 발견된 것은 그로부터 반 년이나 지난 후였다. 일 년치씩 내기로 되어 있는 집세를 주인이 독촉하러 왔을 때야 비로소 알게 되었다. 그의 시신은 이미 백골을 드러내고 있었다.

후키야의 사망원인을 아는 자는 아무도 없었다.

그리고 또한 그가 남긴 ‘살아있는 창자 치코’에 관한 위대한 실험에 대해서도 누구 하나 아는 자가 없었다.

‘살아있는 창자’에 대한 실험은 모두 백지가 되고 말았다.

단 한 사람, 쿠마모토 박사는 후키야에게 제공한 ‘살아있는 창자’에 대한 사실을 간혹 떠올리곤 하였다. 사실 그 창자는 어떤 재소자부터 얻는 것이 아니었다.

‘살아있는 창자’는 도대체 누구 뱃속에서 나온 것인가.

그것은 ○○형무병원에 근무하던, 스물 네 살 먹은 처녀 교환수로부터 얻어진 창자였다. 그녀는 맹장염으로 세상을 떠났으나, 그 때 집도한 의사가 쿠마모토 박사였다고 하면 그 다음 설명은 필요 없을 것이다.

처녀 뱃속에서 절단된 ‘살아있는 창자’가 의대생 후키야의 목을 졸라 그를 죽인 사실은 그의 죽음을 남몰래 기뻐하는 쿠마모토 박사도 모른다.

더군다나 ‘살아있는 창자’ 치코가 후키야와 120일에 걸친 동거생활 동안 그에게 대단한 애착을 가지고 있었다는 사실, 그리고 8일만에 돌아온 그의 목소리를 듣고는 너무 기쁜 나머지 후키야의 목을 향해 달려들어, 불행하게도 후키야를 목 졸라 죽이게 하고 말았다는 사실 또한 상상조차 못했을 것이다.

그 ‘살아있는 창자’가 설마 그와 같은 여성 몸에서부터 나온 창자라는 것을 눈치채지 못했던 의대생 후키야 류지야말로 대단히 불행하게 되고 말았다.

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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)