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  1. 2018.04.30 [희곡] 봄의 낙엽 - 일본어
  2. 2018.04.30 [희곡] 봄의 낙엽 - 한국어

봄의 낙엽(春の枯葉:はるのかれは)

一幕三章

다자이 오사무(太宰 治) (1948)

일본어 원문


 人物。


野中弥一(のなかやいち) 国民学校教師、三十六歳。

節子(せつこ)   その妻、三十一歳。

しづ   節子の生母、五十四歳。

奥田義雄(おくたよしお) 国民学校教師、野中の宅に同居す、二十八歳。

菊代(きくよ)   義雄の妹、二十三歳。

その他  学童数名。


 所。

津軽半島、海岸の僻村。


 時。

昭和二十一年、四月。



[#改ページ]




     第一場


舞台は、村の国民学校の一教室。放課後、午後四時頃。正面は教壇、その前方に生徒の机、椅子二、三十。下手(しもて)のガラス戸から、斜陽がさし込んでいる。上手(かみて)も、ガラス戸。それから、出入口。その外は廊下。廊下のガラス戸から海が見える。

全校生徒、百五十人くらいの学校の気持。


正面の黒板には、次のような文字が乱雑に、秩序無く書き散らされ、ぐいと消したところなどもあるが、だいたい読める。授業中に教師野中が書いて、そのままになっているという気持。

その文字とは、

「四等国。北海道、本州、四国、九州。四島国。春が来た。滅亡か独立か。光は東北から。東北の保守性。保守と封建。インフレーション。政治と経済。闇。国民相互の信頼。道徳。文化。デモクラシー。議会。選挙権。愛。師弟。ヨイコ。良心。学問。勉強と農耕。海の幸。」

等である。


幕あく。


舞台しばらく空虚。


突然、荒い足音がして、「叱(しか)るんじゃない。聞きたい事があるんだ。泣かなくてもいい。」などという声と共に、上手(かみて)のドアをあけ、国民学校教師、野中弥一が、ひとりの泣きじゃくっている学童を引きずり、登場。


(野中)(蒼(あお)ざめた顔に無理に微笑を浮べ)何も、叱るんじゃないのだ。なんだいお前は、もう高等科二年にもなったくせに、そんなに泣いて、みっともないぞ。さあ、ちゃんと、涙を拭(ふ)け。(野中自身の腰にさげてあるタオルを、学童に手渡す)

(学童)(素直にタオルで涙を拭く)

(野中)(そのタオルを学童から取って、また自分の腰にさげ)よし、さあ歌ってごらん。叱りやしない。決して叱らないから、いまお前たちが、あの、外のグランドで一緒に歌っていた唱歌を、ここで歌ってごらん。低い声でかまわないから、歌ってごらん。叱るんじゃないんだよ。先生は、あの歌を、ところどころ忘れたのでね、お前からいま教えてもらおうと思っているのだ。それだけなんだから、安心して、さあ、ひとつ男らしく、歌って聞かせてくれ。(言いながら、最前列の学童用の椅子に腰をおろす。つまり観客に対しては、うしろ向きになる)


学童は、観客に対して正面を向き、気を附けの姿勢を執り、眼をつぶって、低く歌う。

はる、こうろうの花のえん、

めぐるさかずき、影さして、

ちよの松がえ、わけいでし、

むかしの光、いまいずこ。


(学童)(歌い終ってうつむく)

(野中)(机に頬杖(ほおづえ)をつき)ありがとう。いや、先生はね、お前たちも知っているように、唱歌はあまり得意でないのでね、その歌も、うろ覚えでね、おかげで、やっといまはっきりと思い出した。悲しい歌だね。ちかごろお前たちは、よくその唱歌ばかり歌っているようだが、誰か先生が教えてくれたの?

(学童)(首を振る)

(野中) 誰も教えてくれなくても、自然に覚えたの?

(学童)(だまっている)

(野中) この歌の意味が、よくわかって歌っているの? いや、この歌が、お前たちのいまの気持に一ばんぴったりするから、それだから歌っているの?

(学童)(うなだれたまま、だまっている)

(野中) 決して叱りやしないから、思っている事をそのまま言ってごらん。先生もね、いまいろいろ考えているんだ。さっきもあんな工合に、(と、ちょっと正面の黒板を指差し)さまざま黒板に書いて、新しい日本の姿というものをお前たちに教えたつもりだが、しかし、どうも、教えたあとで何だか、たまらなく不安で、淋(さび)しくなるのだ。僕には何もわかっていないんじゃないか、という気さえして来るのだ。かえって、お前たちに教えてもらわなければならぬことがあるんじゃないかとも考えられてな。それで、どうなんだい? お前たちは、あの歌を、どんな気持で歌っているのか、それをまず正直に、先生に教えてくれないか? やっぱり、淋しくてたまらないから、あんな歌をうたいたくなるのかね? それとも、何か、いたずらの気持で歌っているのかね? どうなんだい?

(学童)(だまっている)

(野中) なんとか一言(ひとこと)でいいから、言ってくれよ。まさか、お前たちは、腹の中で先生を笑っているのじゃあるまいな。(ひとりで低く笑い、立ち上り)もういい。帰ってよろしい。しかし、気持を暗くするような歌は、あまり歌わんほうがいいな。他の生徒たちにも、そう言ってやるように。とにかく、いま僕たちは、少しでも気持を明るく持つように努めなければいけないのだから。もう、よし。お帰り。


学童、無言で野中教師にお辞儀をし、上手(かみて)の出入口から退場。野中は、それを見送り、しばらくぼんやりしている。やがて、ゆっくり教壇の方に歩いて、教壇に上り、黒板拭きをとって、黒板の文字を一つ一つ念入りに消す。

消しながら、やがて小声で、はる、こうろうの花のえん、めぐるさかずき、影さして、と歌う。

舞台すこし暗くなる。斜陽が薄れて来たのである。


くすくす忍び笑いして、奥田菊代、上手の出入口より登場。


(菊代) なかなかお上手(じょうず)ね、先生。

(野中)(おどろき、振りかえって菊代を見つけ、苦笑して)なんだ、あなたか。(黒板を拭き終って正面を向き)ひやかしちゃいけません。

(菊代) あら、本当よ。本当に、お上手よ。すばらしいバリトン。

(野中)(いよいよ口をゆがめて苦笑し)よして下さい、ばかばかしい。僕んところは親の代(だい)から音痴(おんち)なんです。(語調をかえて)何か御用? 奥田先生なら、ついさっき帰ったようですよ。

(菊代) いいえ、兄さんに逢いに来たんじゃないんです。(たわむれに、わざと取り澄ました態度で)本日は、野中弥一先生にお目にかかりたくてまいりました。

(野中) なあんだ、うちで毎日、お目にかかってるじゃないか。

(菊代) ええ、でも、同じうちにいても、なかなか二人きりで話す機会は無いものだわ。あら、ごめん。誘惑するんじゃないわよ。

(野中) かまいませんよ。いや、よそう。兄さんに怒られる。あなたの兄さんは、まじめじゃからのう。

(菊代) あなたの奥さんだって、まじめじゃからのう。


二人、笑う。野中教師ゆっくり教壇から降り、下手(しもて)のガラス戸に寄り添って外を眺(なが)める。菊代は学童の机の上に腰をかける。華美な和服の着流し。


(野中)(菊代のほうに背を向け、外の景色を眺めながら)もう、すっかり春だ。津軽の春は、ドカンと一時(いっとき)にやって来るね。

(菊代)(しんみり)ほんとうに。ホップ、ステップ、エンド、ジャンプなんて飛び方でなくて、ほんのワンステップで、からりと春になってしまうのねえ。あんなに深く積っていた雪も、あっと思うまもなく消えてしまって、ほんとうに不思議で、おそろしいくらいだったわ。あたしは、もう十年も津軽から離れていたので、津軽の春はワンステップでやって来るという事を、すっかり忘れていて、あんなに野山一めんに深く積っている雪がみんな消えてしまうのには、五月いっぱいかかるのじゃないかしらと思っていたの。それが、まあ、ねえ、消えはじめたと思ったら、十日と経たないうちに、綺麗(きれい)に消えてしまったじゃないの。四月のはじめに、こんな、春の青草を見る事が出来るなんて、思いも寄らなかったわ。

(野中)(相変らず外の景色を眺めながら)青草? しかし、雪の下から現われたのは青草だけじゃないんだ。ごらん、もう一面の落葉だ。去年の秋に散って落ちた枯葉が、そのまんま、また雪の下から現われて来た。意味ないね、この落葉は。(ひくく笑う)永い冬の間、昼も夜も、雪の下積になって我慢して、いったい何を待っていたのだろう。ぞっとするね。雪が消えて、こんなきたならしい姿を現わしたところで、生きかえるわけはないんだし、これはこのまま腐って行くだけなんだ。(菊代のほうに向き直り、ガラス戸に背をもたせかけ、笑いながら冗談みたいな口調で)めぐり来(きた)れる春も、このくたびれ切った枯葉たちには、無意味だ。なんのために雪の下で永い間、辛抱(しんぼう)していたのだろう。雪が消えたところで、この枯葉たちは、どうにもなりやしないんだ。ナンセンス、というものだ。


菊代、声立てて笑う。


(野中)(わざとまじめな顔になって)いや、笑いごとじゃありませんよ。僕たちだって、こんなナンセンスの春の枯葉かも知れないさ。十年間も、それ以上も、こらえて、辛抱して、どうやら虫のように、わずかに生きて来たような気がしているけれども、しかし、いつのまにやら、枯れて落ちて死んでしまっているのかも知れない。これからは、ただ腐って行くだけで、春が来ても夏が来ても、永遠によみがえる事がないのに、それに気がつかず、人並に春の来るのを待っていたりして、まるでもう意味の無い身の上になってしまっているんじゃないのかな。

(菊代)(あっさり)案外、センチメンタルね、先生は。しっかりなさいよ。先生はまだお若いわ。これからじゃないの。

(野中)(ちょっと本気に怒ったみたいに顔をしかめ)くだらん事を言っちゃいけない。僕はもう三十六です。都会の人たちと違って、田舎者(いなかもの)の三十六と言えば、もう孫が出来ている年頃だ。からかっちゃいけません。

(菊代) でも、先生にはまだお子さんがおひとりも無いじゃないの。だから、どこかお若く見えるわ。奥さんだって、あんなにお綺麗で、あたしより若いくらい。いくつ違うのかしら。

(野中) 誰とですか?

(菊代) あたしと、よ。

(野中)(興味無さそうに)女房は、三十一です。

(菊代) じゃあ、あたしと八つも違うのね。ずいぶん若く見えるわ。家附き娘だけあって、貫禄(かんろく)はあるし、どこから見たって立派な奥さんだわ。先生は果報者ね。あんな奥さんだったら、養子もまんざらでないでしょう?

(野中)(いよいよ、不機嫌そうに)なぜ、あなたは、そんなつまらない事ばかり言うのです。よしましょう、もう、そんな話は。何かきょう僕に用事でもあって来たのですか?

(菊代)(平然と)お金を持って来たのよ。

(野中) お金を?

(菊代) そうよ。(帯の間から、白い角封筒を出し、歩いて野中教師の傍に寄り)先生、黙って、ね、何もおっしゃらずに、黙って、受け取って頂戴(ちょうだい)!

(野中)(無意識の如く払いのけ)なに、なんですか?

(菊代) いいのよ、先生。平気な顔して受け取ってよ。そうして、おすきなように使って頂戴。誰にも言っちゃ、いやよ。

(野中)(腕組みして苦笑する)わかりました。しかし、僕も、落ちたものだな。菊代さん、まあいいから、その封筒はそちらへ引込めて下さい。


菊代、封筒を持てあまして、それを、傍の学童の机の上にそっと置く。


(野中) 御承知のように、僕のところは貧乏です。ひどく貧乏です。どんな人でも、僕の家に間借りして、同じ屋根の下に住んでみたら、田舎教師という者のケチ臭いみじめな日常生活には、あいそが尽きるに違いないんだ。殊(こと)につい最近、東京から疎開(そかい)して来たばかりの若い娘さんの眼には、もうとても我慢の出来ない地獄絵のように見えるかも知れない。しかし、御心配無用なんだ。あなたたちの御同情は、ありがたいけれども、しかし、僕たちの家庭にはまた僕たちの家庭のプライドがあるんだ。かえって僕たちは、あなたたちに同情しているくらいなんだ。そんな、お金なんか、そんな、そんな心配は今後は絶対にしないで下さい。僕たちはあなたたちから毎月もらっている部屋代だって、高すぎると思っているんです。気の毒に思っているんだ。さあ、もう、わかったから、そんなお金なんか、ひっこめて下さい。一緒に家へ帰りましょう。菊代さん! でも、あなたは、(しげしげと菊代の顔を見つめて)いいひとですね。御好意だけは、身にしみて有難く頂戴しました。(軽く笑って)握手しましょう。


野中教師、右手を差し出す。ぴしゃと小さい音が聞えるほど強く菊代はその野中の掌(てのひら)を撃つ。


(菊代)(嘲笑(ちょうしょう)の表情で)ああ、きざだ。思いちがいしないでね。間(ま)が抜けて見えるわよ。あたしは何でも知っている。みんな知っている。そんな事をおっしゃっても、あなたたちは、本当はお金がほしいんです。気取らなくたっていいわよ。あなたも、それからあなたの奥さんも、それからお母さんも、みんなお金がほしいのよ。ほしくてほしくて仕様が無いのよ。そのくせ、あなたたちは貧乏じゃない。貧乏だ、貧乏だとおっしゃっているけれども、貧乏じゃない。ちゃんとしたお家(うち)もあれば土地もあるし、着物だって洋服だってたくさんたくさん持っている。それでも、お金がほしいんだ。慾が深いのよ。ケチなのよ。お金よりも、よいものがこの世の中に無いと思い込んでしまっているんだ。それにくらべて、まあ、あたしたちの生活は、どうでしょう。兄は、前からずっとこの土地にいたのだから、あのひとは、べつだけれども、あたしは父とふたりで東京へ出て、大戦がはじまる前だってちっとも楽じゃ無かったし、いよいよ大戦がはじまって、あたしも父の工場に出て職工さんたちと一緒に働くようになった頃から、もう、あたしたちは生きているのだか死んでいるのだか、何が何やら、無我夢中でその日その日を送り迎えして、そのうちに綺麗に焼かれて、いまはあたしたちのものと言ったら、以前こちらに疎開させてあった行李(こうり)五つだけ、本当にもうそれだけなのよ。父がひとり東京に踏みとどまって頑張(がんば)って、あたしだけ、兄のところへやっかいになりに来たのだけれども、本当にあたしには何も無いのよ。何も無いから仕方なくこんないやらしい派手な着物なんかを行李の底から引っぱり出して着ているのだけど、田舎の人たちの眼から見ると、あたしたちがおそろしくぜいたくなお洒落(しゃれ)の衣裳(いしょう)道楽をしているみたいに見えているんじゃないかしら。ところが、それはあべこべで、地味(じみ)な普段着も何も焼いてしまって、こんな十六、七の頃に着た着物しか残っていないので、仕方なく着ているのだわ。お金だって、そのとおり、同じことよ。あたしたちには、もう何も無いのよ。いいえ、兄はあんな真面目(まじめ)くさった性質だから或(ある)いはお金をいくらかためているかも知れないけど、あたしたちにはもう何も無いのよ。手にはいったお金は、もうその場でみんな使ってしまうし、父もあたしも十年間、東京でそんな暮しをして来たのだわ。でも、あたしは、そのあいだ一度だって、お金をほしいと思った事は無かったわ。無ければ無いで、またどんなにかして切り抜けてやって行けたのだもの。だけど、田舎では、そうはいかないのね。田舎では人間の価値を、現金があるか無いかできめてしまうのね。それだけが標準なのだわ。もう冗談も何も無く、つめたく落ちついてそう信じ切ってしまっているのだから、おそろしいわ。ぞっとする事があるわ。どんなにお上品に取りすましていたって、心の中では、やっぱりそうなのだから、いやになるわ。もしあたしにいま一文(いちもん)もお金が無いという事がわかったら、あなたの奥さんも、お母さんも、それから、あなただって、どんなにいやな顔をするでしょう。いいえ、それにきまっているわ。しんそこから、あたしという女を軽蔑(けいべつ)し、薄きたない気味(きび)の悪いものに思うにきまっていますよ。あたしは、うっかり、自分の貧乏を口にすることも出来やしない。あなたたちは違うのよ。あなたたちは、ご自分のことを貧乏だの何だのと言っても、そりゃもうちゃんとした財産のあることが誰にもわかっているのだから、物価が高くて困るとか、このさきどうしようなんておっしゃっても、それはご愛嬌(あいきょう)にもなるけれど、それをもし、あたしたちが言ったらどうでしょう。冗談にもご愛嬌にもなりやしない。ただもう浅間(あさま)しい、みじめな下等な人種として警戒されるくらいのものなのだわ。ばかばかしい。だからあたしたちは、お金のありったけを気前よくぱっぱっと使って見せなければならなくなるのよ。そうするとあなたたちはまた、東京で暮して来た奴等(やつら)は、むだ使いしてだらしがないと言うし、それかと言って、あなたたちと同様にケチな暮し方をするともう、本物(ほんもの)の貧乏人の、みじめな、まるでもう毛虫か乞食(こじき)みたいなあしらいを頂戴するし、いったい、あなたの奥さんなんて、どこが偉くてあんなに気取っているの? 何か、あたしたちと人種が違うの? ひどく取り澄まして、あたしが冗談を言っても笑わず、いつでもあたしたちより一段と高いところにいるひとみたいに振舞っているけど、あれはいったい何さ。美人だって? 笑わせやがる。東京の三流の下宿屋の薄暗い帳場に、あんなヘチマの粕漬(かすづけ)みたいな振(ふる)わない顔をしたおかみさんがいますよ。あたしには、わかっている。あんなひとこそ、誰よりも一ばんお金をほしがっているんだ。慾張っているんだ。ケチなんだ。亭主よりも親よりも、お金だけを尊敬しているんだ。あたしには、わかる。先生、そのお金は、どうぞ奥さんに渡してやって下さい。先生、あたしの味方になってね! あたしは復讐(ふくしゅう)したいんです。先生、その封筒の中には、あなたの奥さんの一ばん喜ぶものがはいっているんです。全部、新円です。あたしが自分でもうけたお金ですから、誰にも遠慮は要(い)らないんです。


二、三の学童の口笛が聞える。はる、こうろうの花のえん、の曲の合奏である。


(菊代)(その口笛に聞耳を立て)おや、あたしのお友だちが迎えに来た。行かなくちゃいけない。それじゃあ、お願いしてよ。いいでしょう? 奥さんにね、あたしからだって言わないで、先生から何とか上手(じょうず)に嘘(うそ)ついて奥さんにあげてよ。あのお澄ましの奥さんが、どんな顔をするか、ああ愉快だ。


菊代、上手(かみて)の出入口に向って走り去る。野中教師、はっと気を取り直して呼びとめる。


(野中) お待ちなさい、菊代さん。どこへ行くのです。


菊代、戸口のところに立ち上り、野中教師のほうにくるりと向き直る。口笛は、なお聞えている。


(菊代)(ほがらかに)お友だちのところへ。

(野中) それじゃあの歌は、あなたが教えてやったのですね?

(菊代)(むしろ得意そうに)そうよ。あたしたちは音楽会をひらくのよ。音楽会をひらいてもうけるのよ。新円をかせぐのよ。はる、こうろう、も、それから、唐人(とうじん)お吉(きち)も、それから青い目をした異人さんという歌も、みんなあたしが教えたのよ。きょうはこれからみんなでお寺に集ってお稽古(けいこ)。うちへ帰るのがおそくなるでしょうから、兄さんにそう言ってね、日本の文化のためですからってね。


菊代、くすくす笑いながら退場。口笛はなお続く。舞台また少し暗くなる。

野中教師、菊代を二、三歩追いかけ、それから立ちどまり、引返して机の上の角封筒を取り上げ、上衣のポケットに入れて、少し考え、また取り出して封筒の中をしらべる。大型の紙幣、一枚二枚と黙って数える。十枚。あたりを見まわす。また数え直す。

――舞台、静かに廻る。


     第二場


舞台は、国民学校教師、野中弥一宅の奥の六畳間。ここは、奥田義雄、同菊代の兄妹が借りている。

部屋の前方は砂地の庭。草も花もなし。きたなげの所謂(いわゆる)「春の枯葉」のみ、そちこちに散らばっている。


舞台とまる。


弥一の義母しづ、庭の物干竿(ものほしざお)より、たくさんの洗濯物を取り込みのさいちゅう。

菊代の兄、奥田義雄は、六畳間の縁側にしゃがんで七輪(しちりん)をばたばた煽(あお)ぎ煮物をしながら、傍に何やら書籍を置いて読んでいる。

斜陽は既に薄れ、暮靄(ぼあい)の気配。


第一場と同じ日。


(しづ)(洗濯物を取り込み、それを両腕に一ぱいかかえ、上手(かみて)に立ち去りかけて、ふと縁側のほうを見て立ちどまり)あら、奥田先生、お鍋(なべ)が吹きこぼれていますよ。

(奥田)(あわてて鍋の蓋(ふた)を取り、しづの方を見て苦笑し)妹がまたきょうも、どこかへ飛び出して、帰らないものだから、どうも。

(しづ) おや、おや。それでは、お兄さんもたいへんですね。(笑いながら縁側に近寄り)何を煮ていらっしゃるの?

(奥田)(いそいでまた鍋の蓋をして)いや、これは見せられません。何でもかんでもぶち込んで煮て、そうして眼をつぶって呑(の)み込んでしまうつもりなんです。

(しづ)(声を立てて笑って)本当に、男の方の炊事はお気の毒で、見て居られませんわ。あとで、おしんこか何か持って来てあげましょう。

(奥田)(まじめに)いいえ、何も要りません。学生の頃から十何年間、こんな生活ばかりして来たので、かえって妹と一緒にいて妹のへんに気取った料理などを食べるのは、不愉快なくらいなんです。(書籍を持って立ち上り、部屋へはいって、電燈をつける。それから縁側に面した机に向ってあぐらをかき、つまり、観客に正面を向いて坐って、書籍を机の上に置き、無意識の如くパラパラ書籍のペエジをもてあそびながら、ぶっきらぼうに)女のこさえた料理なんて、僕はいちどもおいしいと思ったことが無いんです。

(しづ)(洗濯物を縁側にそっと置いて、自身も浅く縁側に腰をかけ)それはまあ。(鷹揚(おうよう)に笑って、それからしんみり)お母さんが亡くなって、もう何年になりますかしら。

(奥田)(べつに何の感慨も無げに)僕がここの小学校にはいったとしの夏に死んだのですから、もう二十年にもなります。

(しづ) もう、そんなになりますかねえ。わたくしどもも、お母さんのお葬式の時の事は、よく覚えていますよ。(洗濯物を一枚一枚畳みながら)いまの、あの、妹さんがお父さんに手をひかれて、よちよち歩いてお焼香(しょうこう)した時の姿が、まだどうしても忘れられません。あれを見てわたくしどもは、ああ、母親というものは、小さい子供を残しては、死んでも死にきれないと思いました。

(奥田)(冷静に)しかし、母は、自殺したのです。

(しづ)(顔を挙げて)まあ、そんな、あなた、決してそんな。

(奥田) 野中先生から聞きました。おもてむきは、心臓麻痺(まひ)という事になっているけれども、たしかに自殺だ。うちで使っていた色の黒い料理人と通じて、外聞(がいぶん)が悪くなって自殺したのだ。だから、妹の菊代の本当の父は、どっちだかわからない。それで僕のうちでは、旅館をやめて、この土地を引払い青森へ行き、僕が青森の師範学校へはいるようになったら、こんどは、父は僕ひとりを残して妹と二人で東京へ行ってしまった。よっぽど父は、この津軽地方には、いたくなかったらしい、と野中先生に聞かせていただきました。

(しづ) まあ、あのひとは、なんというおそろしい事を言うんでしょう。みんな、もう、根も葉も無い事です。だいいち、あなたのお母さんが亡くなった頃には、あの人はまだ、この村に来てやしません。あのひとが、わたくしどものうちへ養子に来てから、まだ十年も経っていないのですよ。その前は、あの人の生れた黒石のうちにいて、黒石の小学校の先生をしていたのですし、この村のそんな、二十年も昔の事など知っているわけはないじゃありませんか。ばかばかしい。

(奥田)(軽く)いいえ、でも、土地に新しく来た人というものは、へんにその土地の秘密に敏感なものですよ。

(しづ)(さびしく笑って)でたらめですよ。そんな馬鹿らしい事ってあるものですか。(ふと語調を変えて)あの人はその時、お酒を飲んでいませんでしたか? あなたにそれを言った時に。

(奥田)(ぼんやり)ええ、酔っていました。

(しづ) そうでしょう? (意気込んで)それにきまっています。あの人は若い時に、哲学だか文学だかをやった事があるんだそうで、そのためにひどい神経衰弱になって、それがまだすっかりなおっていないんでしょうね、いまでもお酒を飲むと、まるでもう気違いみたいなへんな事を口走って、ご自分が夢で見た事を、そのままげんざい在った事みたいに、それはもう、しつっこく言い張ったりして、いつもわたくしどもは泣かされていますのです。そんなまあ、料理人と、どうのこうのなんて、よくもまあ。

(奥田)(苦笑しながら)でも、その、色の黒い料理人というのは、たしかにうちにいましたね。函館の男だとかいって、ちょっとこう一曲(ひとくせ)ありそうな、……子供心にも覚えています。

(しづ)(やや鋭く)およしなさい、ばからしい。ご人格にかかわりますよ。

(奥田) 僕は平気です。過去の事なんか、どうだっていいんです。

(しづ) よかあ、ありませんよ。だいいち、あの人も、失礼じゃありませんか。げんざい、奥田家(おくたけ)のご総領に向って、そんなおそろしい事を言うなんて、まるで、鬼です。

(奥田) 鬼は、ひどい。(快活に笑う)

(しづ)(急(せ)きこんで)鬼ですとも。鬼以上かも知れない。あなたには、あの人の真のおそろしさが、まだわかっていらっしゃらないのです。お酒を飲むと、もう、まるで気違いですし、意地くねが悪いというのか、陰険というのか、よそのひとには、ひどくあいそがいいようですけど、内の者にはそりゃもう、冷酷というのでしょうか、残忍というのでしょうか、いいえ、ほんとう、本当でございますよ。げんにあなた、こないだだって、……。

(奥田)(さえぎるように)でも、野中先生は、正直ないいお方ですよ。(微笑して)僕なんかが、こんな事を言うのは、それこそ失礼かも知れませんが、これは、お母さんも、また奥さんも、一つ考え直さなければならないところがあるんじゃありませんか。

(しづ) まあ! (洗濯物を押しのけて、奥田のほうにからだをねじ向け)たとえば? たとえば、それは、どんなところでしょうか。

(奥田) たとえば、……さあ、……(口ごもる)

(しづ)(勢い込んで)わたくしは、もう、これだからいやなんです。誰ひとり、わたくしどもの、ひと知れぬ苦労をわかってくれやしないんですものねえ。養子を迎えた家の者たちのこまかい心遣(こころづか)いったら、そりゃもうたいへんなものなんです。殊(こと)にもあんな、まあ一口に言うと、働きの無い、万事に劣った人間を養子に迎えて、この野中の家を継がせ、世間のもの笑いにならないよう、何とかしてわたくしどもの力で、あのひとのボロを隠してあげたいと思って、よそさまへは、あのひとの悪いところは一言(いちごん)も言わず、かえって嘘ついてあの人をほめて聞かせたりして来ましたのに、あの人はまあ何と思っているのやら、剛情、とでもいうんでしょうかねえ、素直なところが一つも無くて、あれで内心は、ご自分の出た黒石の山本の家が自慢で自慢でならないらしく、それはまあ黒石の山本の家は、お城下まちの地主さんで、こんな田舎(いなか)の漁師まちの貧乏な家とは、くらべものにならないくらい大きい立派なお屋敷に違いございませんけれど、なあに地主さんだって、今では内証はみんな火の車だそうじゃありませんか。昔からあの家は、お仲人(なこうど)の振れ込みほどのことも無く、ケチくさいというのか、不人情というのか、わたくしどもの考えとは、まるで違った考えをお持ちのようで、あのひとがこちらへ来てからまる八年間、一枚の着換えも、一銭の小遣いもあのひとに送って来た事が無いんですよ。そんなにむごくされても、あの人は、やっぱり生れた家に未練があるのか、いつだったか、あの黒石の兄さんが、何とか議員に当選した時の、まあ、あの人の喜びようったら、あさましくて、あいそが尽きました。議員なんて、何もそんなに偉いものではないと思いますがねえ。わたくしどもの野中家(のなかけ)は、それはもうこんな田舎の貧乏な家ですけれども、それでも、よそさまから、うしろ指一本さされた事も無く、先祖代々この村のために尽して、殊にも、わたくしの連れ合いは、御承知のように、この津軽地方の模範教員として、勲章までいただいて居りますし、それに、わたくしどもの死んだ長男は、東京帝大の医科にはいって、もう十年もそれ以上も、昔の話でございますけど、あれが卒業間際(まぎわ)に死んだ時には、帝大の先生やら学生さんやら、たくさんの人からおくやみ状をいただき、また、こんな片田舎にまで、わざわざご自身でお墓まいりに来て下さった先生さえあったのです。本当にもう、あれが生きていたら、あれさえ生きていてくれたら。(泣く)いまごろはもうあれも、立派なお医者になって、わたくしどもも、いまのような、こんな苦労をしなくても、……(くどくどと、涙まじりの愚痴(ぐち)になる)

(奥田)(もてあまし気味で)しかし、そんな事をおっしゃったって、……。お母さん。僕の、考え直さなければいけないところというのも、つまり、そんなところなんです。ここの、野中のお宅のご主人は、いまは、あの野中先生なんでしょう? 過ぎ去った事よりも、現在が大事じゃありませんか。僕には、養子というものは本来どんな姿のものであるべきか、その道徳上の本質がよくわからないんですけれども、しかし、あなたたちのように、客間の正面に、あんな大きなお父さんのお写真と、それからお兄さんのお写真を、これ見よがしに掲げたりなんかして置いては、野中先生もあれで気の弱いお方ですから、何だか落ちつかない気持になるんじゃないでしょうか。

(しづ)(顔を挙げて)それは、あの人が劣っているせいです。いたらないせいです。わたくしどもが、あの写真を二つ並べて飾ってあるのは、あの人にも、死んだ父や兄に負けないくらいの人物になってもらいたいという、つまり、あの人をはげます意味で、それで、……。

(奥田) だから、それが、(笑い出して)いや、きりがないですね、こんな事を言い合っていても。(立ち上り、縁側に出て、鍋を七輪からおろし、かわりに鉄瓶(てつびん)をかける。この動作の間に、ひとりごとのように)これからも一生、野中家(け)だ、山本家だ、と互いに意地を張りとおして、そうして、どういう事になるのかな? 僕には、わからん。わからん。

(しづ)(興覚めた様子で)あなたも、いまにお嫁さんをおもらいになったら、おわかりでしょう。(立ち上り、襟元(えりもと)を掻(か)き合せ)おお、寒い。雪が消えても、やっぱり夕方になると、冷えますね。(そそくさと洗濯物をかかえ込んで)お邪魔しました。


風吹き起り、砂ほこりが立つ。春の枯葉も庭の隅で舞う。

しづ、上手(かみて)より退場。


(奥田)(縁側に立って、それを見送り)おしんこか何かとどけてくれると言ったが、あの工合いじゃあてにならん。(ひとりで笑って)さあ、めしにしようか。


奥田、鍋を部屋のなかに持ち運び、障子(しょうじ)をしめる。障子に、奥田の、立って動いて、何やら食事の仕度をしている影法師が写る。ぼんやり、その奥田の影法師のうしろに、女の影法師が浮ぶ。

その女の影法師は、じっと立ったまま動かぬ。外は夕闇(ゆうやみ)。

国民学校教師、野中弥一、酔歩蹣跚(すいほまんさん)の姿で、下手(しもて)より、庭へ登場。右手に一升瓶、すでに半分飲んで、残りの半分を持参という形。左手には、大きい平目(ひらめ)二まい縄でくくってぶらさげている。


(野中) 奥田せんせい。やあ、いるいる。おう、菊代さんもいるな。こいつあ、いい。大いにやろう。酒もあり、さかなもある。


障子の女の影法師、ふっと掻き消すようにいなくなる。

同時に、障子があいて、奥田が笑いながら顔を出す。


(奥田) ああ、お帰り。(縁側に出る)いいご機嫌ですね。きょうは、どこか、ご招待でもあったんですか?

(野中) ご招待? ご招待とは情ない。(縁側にどかりと腰をおろし)いかに我等国民学校教員が常に赤貧(せきひん)洗うが如しと雖(いえど)も、だ、あに必ずしも有力者どもの残肴余滴(ざんこうよてき)にあずからんや、だ。ねえ、菊代さん、そうじゃありませんか。(腕をのばして障子を左右一ぱいにあけ放つ)菊代さん! おや、いないのか。

(奥田) 妹は、まだ帰って来ないんです。また、れいの文化会でしょう。

(野中)(少し落ちつき)そう。それは僕も知っているんだが、……しかし、いま、たしかに、……。

(奥田)(静かに)きょうは、ずいぶんお酔いになっていらっしゃるようですね。まあ、お上りなさいませんか。

(野中)(急にまた元気づいて)ああ、上らせてもらおう。(サンダルのようなものを脱いで縁側に上り、よろめき)きょうは、ひとつ、盛大にやろうじゃないか。このたびの教員大異動に於(お)いて、君も僕も、クビにならず、まず以(もっ)て無事であった。これを祝する意味に於いて、だ、(一升瓶とさかなを両手にぶらさげ部屋にはいり、部屋の上手(かみて)の襖(ふすま)をあけ)おうい、おうい。節子! (と母屋(おもや)に呼びかける)


野中の妻、節子、登場。しかし、襖の外にしゃがんでいる形なので観客からは見えぬ。


(野中)(その襖の外の節子に平目(ひらめ)を手渡しながら)たったいま、浜からあがった平目だ。刺身(さしみ)にしてくれ。奥田先生と今夜は、ここで宴会だ。いいかい、刺身をすぐに、どっさり持って来てくれ。どっさりだよ。待て、待て。一まいは刺身に、一まいは焼く、という事にしたらいい。もの惜しみをしちゃいけねえ。お前たちも、食べろ。いいかい、お母さんにも、イヤというほど食べさせろ。


節子、無言で静かに襖をしめる。


(野中)(にやにや笑いながら一升瓶を持ったまま奥田の机の傍に坐り)どうも、ねえ、漁師まちの先生をしていながら、さかなが食えねえとは、あまりにみじめすぎるよ。

(奥田)(部屋の中央に持ち運んだ鍋(なべ)やら茶碗(ちゃわん)やらを、また部屋の隅(すみ)に片づけながら)さかなは、どうです、いま。新円になってから、すこしは安くなりましたか。

(野中)(苦笑して)安くならねえ。漁師の鼻息ったら、たいしたものさ。平目一まいの値段が、僕たちの一箇月分の給料とほぼ相似たるものだからな。このごろの漁師はもう、子供にお小遣いをねだられると百円札なんかを平気でくれてやっているのだからね。

(奥田) そう、そうらしいですね。(部屋の中央に据(す)えた小さな食卓も部屋の隅に取片づけ)子供たちにあんな大金を持たせるのは、いい事じゃないと思いますがね。子供たちの間で、このごろ、ばくちがはやっているそうじゃありませんか。

(野中) そうらしい。何もかも、滅茶苦茶さ。(語調をかえて)君、その食卓は、そこに置いといたほうがいいよ。金(かね)の話なんか、つまらない。飲もう。茶呑茶碗を二つ貸してくれ。


奥田、またその小さい食卓を部屋の中央に据えて、それから、茶呑茶碗を取りに縁側へ出る。


(野中)(その間に、ふと、傍の机の上にある奥田の読みかけの書籍を取り上げて)フランス革命史、なんだ、こんなものを読んでいるのか。よせ、よせ。歴史は繰り返しやしねえ。(軽く書籍を畳の上にほうり出す)歴史は繰り返すなんて、どだい、あれは、君、弁証法を知らんよ、なんてね、僕もこれは一つ、社会党へでもはいって出世をしようかな。つまらない。飲もう! 飲んで鬱(うつ)を晴らそう。汝(なんじ)、無力なる国民学校教師よ。


二人、小さい食卓をはさんであぐらを掻き、野中は、二つの茶呑茶碗に一升瓶の酒をつぐ。


(野中) 乾盃! (ぐっと飲む)

(奥田)(飲みかけて、よす)なんですか? これは。ガソリンのようなにおいがしますね。(そのまま茶碗を食卓の上に置く)

(野中) サントリイ。

(奥田) え?

(野中) サントリイウイスキイ。(と言いながら一升瓶を目の高さまで持ち上げ、電燈の光にすかして見て)無色透明なるサントリイウイスキイ。一升百五十円。

(奥田) 冗談じゃない。

(野中) いや、そこが面白いところさ。僕だって知ってるよ、これは薬用アルコールに水を割っただけのものさ。しかしだね、僕にこれをサントリイウイスキイだと言って百五十円でゆずってくれた人は、だ、いいかね、そのひとは、この村の酒飲みのさる漁師だが、このひと自身も、これをサントリイウイスキイという名前の、まことに高級なる飲み物であると信じ切っているんだから愉快じゃないか。つまり、その漁師は、青森あたりにさかなを売りに行って、そうして帰りに青森の闇屋にだまされて、三升、いや、四升かも知れん、サントリイウイスキイなる高級品を仕入れて来て、そうしてきょう朝っぱらから近所の飲み仲間を集めて酒盛りをひらいていた、そこへ僕が、さかなをゆずってもらいに顔を出したというわけだ。たちまち彼等は僕をつかまえ、あなたならばたしかに知っているに違いないが、これはサントリイといってわれらの口には少しもったいなすぎる酒だ、ぜひとも先生に一ぱい飲んでいただきたい、と言って大きい茶碗になみなみとついで突きつける。見ると、かくのごとく無色透明、しかも、この匂い。僕もさすがに躊躇(ちゅうちょ)したよ。れいの、あの、メチルかも知れないしねえ。しかし、僕は、あの漁師たちの、一点疑うところ無き実に誇らしげな表情を見て、たまらなくなり、死を決した。うむ、死を決した。この愚かで無邪気な、そうして哀(かな)しい漁師たちと一緒に死のうと覚悟した。僕は飲んだよ。そんなに味がわるくない。しかも、気持よく、ぽっと酔う。そこでだ、僕は、彼等から一升をわけてもらって、彼等と共に大いに飲んだ。やはり、サントリイに限る、サントリイを飲むと、他の酒はまずくて飲まれん、なんて僕はお世辞を言ってね、そうして妙に悲しかったよ。(言いながら、自分で注いで自分で飲む)あ、そうだ、煙草もあるんだ。吸い給(たま)え。たくさんあるんだ。(上衣(うわぎ)のポケットから、バラの紙巻煙草を一つかみ取り出し、食卓の上に置く)やっぱり、あの漁師たちから、わけてもらって来たんだ。まったく、あいつらのところには、何でもあるなあ。

(奥田)(ほとんど無表情で煙草を一本とり)いただきます。(ズボンのポケットから、マッチを取り出し煙草に点火する)

(野中) みんなあげる。みんなあげるよ。僕には、まだまだたくさんあるんだ。(さらに酒をひとりで注いで飲んで)

あなたじゃ

ないのよ

あなたじゃ

ない

あなたを

待って

いたのじゃない

という歌を知っているかね。これはね、「ドアをひらけば」というこの頃の流行歌だがね、知らんのか、君は。聞いた事が無いのかね。これは意外だ。怠慢の二字に尽きる。フランス革命史なんかよりは、現代の流行歌のほうが、少くとも我々にとっては重大ではないか。いやしくも君、国民学校の教師でありながら、君、(言いながら、また酒を注いで飲んで)現代の流行歌一つご存じないとは、君。

(奥田) 大丈夫ですか? そんなに飲んで。

(野中) 大丈夫、だいじょうぶ。これは君、サントリイウイスキイという高級品じゃないか。馬鹿にするな。君もそんなに気取ってないで一口(ひとくち)まあ、こころみてごらん。

あなたじゃ

ないのよ

あなたじゃ

ない

あなたを

待って

いたのじゃない

ちょっといいね、これは。失恋の歌だそうだよ。あわれじゃないか。まあ一つ飲め。(一升瓶を持ち上げる)

(奥田)(それを制して)いや、僕のはまだここに一ぱいあります。(苦笑しながら、申しわけみたいにちょっと自分の茶碗に口をつけ、すぐまたそれを卓の上に置き)どうも、これは。

(野中) いのちが惜しいか。(笑う)


上手(かみて)の襖しずかにあく。

野中の妻、節子、大きいお皿二つを捧げてはいって来る。一つのお皿には刺身、一つのお皿には焼(や)き肴(ざかな)。


(野中) やあ、来た、来た。おう、こりゃまた豪華だね。多すぎるぞ、これあ。

(節子)(にこりともせず、食卓の上を片づけて、その二つの皿を置き)これで、全部でございます。

(野中) 全部? (顔を挙げて、節子の顔を見る)お母さんは? 食べないのか?

(節子)(まじめに)あの、わたくしどもは、ごはんはもう、すみました。

(野中)(憤然と)そうか。(矢庭(やにわ)に食卓をひっくりかえす)久しぶりの平目(ひらめ)じゃないか。お母さんにも、お前にも、みんなに食べてもらいたくて買って来たんだ。それを、なんだ。きたないものみたいにして、気味(きび)のわるいものみたいにして、一口も食べてくれないとは、あまり、あんまり、ひどいじゃないか。(泣き声になる)


節子、無言で、その辺に散らばった肴を皿の上に拾い集める。


(野中) やめろ! 拾うのは、やめてくれ。それは皆、捨てちまえ! 拾い集めてもらって、また食べるなんて、あまり惨(みじ)めだ。惨めすぎる。少しは、こっちの気持も察してくれよ。(上衣の内ポケットから、白い角封筒を出し、節子の手もとにほうってやって)まだ、七、八百円は残っている筈(はず)だ。新円だぞ。それで肴を買って来い。たったいま買って来い。ケチケチするな。鯛(たい)でも鮪(まぐろ)でも、漁師の家にあるものを全部を買って来い。ついでに甚兵衛(じんべえ)のところへ寄って、このサントリイウイスキイがまだ残っていたら、もう一升ゆずってもらって来い。これからまた僕は飲み直すんだ。そうして、ぜひとも、お母さんとお前に、肴を食べてもらうんだ。

(節子)(角封筒のほうには目もくれず、黙ってうなだれている。やがて静かに面を挙げて)あの、お伺(うかが)いしたい事がございます。

(野中)(たじろぎ)何だ。何か文句があるのか。

(節子)(緊張した声で)あなたは、いったい、……。


この時、舞台下手(しもて)より庭先へ、学童二名駈(か)け込み、「先生! 奥田先生!」と叫ぶ。

奥田教師、縁側に出る。学童二名、息せき切って何やら奥田教師に囁(ささや)く。


(奥田)(それを聞いて)そうか、よし。すぐ行く。(部屋へはいって、壁にかけてある自身の上衣をとって着ながら野中に)妹が警察に挙げられました。ばくちです。麻雀賭博(マージャンとばく)を学校の子供たちに教えてやっていたのです。たぶん、そんな事じゃないかと思っていました。ちょっと警察に行って来ます。(会釈(えしゃく)して、縁側に出て、はきものを捜す)

(野中)(蹌踉(そうろう)と立ち上り)僕も行く。

(奥田)(靴をはきながら)だめ、だめ。あなたはもう、どだい、歩けやしませんよ。(学童たちに向い)さ、行こう。


奥田教師、学童二名と共に舞台下手(しもて)に走り去る。


(野中)(夢遊病者の如くほとんど無表情で歩き、縁側から足袋(たび)はだしで降りて)僕も行く。


野中教師、ほとんど歩行困難の様子だが、よろめき、よろめき、足袋はだしのまま奥田教師たちのあとを追い下手に向う。

節子、冷然と坐ったままでいたのであるが、ふと、膝元(ひざもと)の白い角封筒に眼をとめ、取りあげて立ち、縁側に出てはきものを捜し、野中のサンダルをつっかけ、無言で皆のあとを追う。

――舞台、廻る。


     第三場


舞台は、月下の海浜。砂浜に漁船が三艘あげられている。そのあたりに、一むらがりの枯れた葦(あし)が立っている。

背景は、青森湾。


舞台とまる。


一陣の風が吹いて、漁船のあたりからおびただしく春の枯葉舞い立つ。


いつのまにやら、前場の姿のままの野中教師、音も無く花道より登場。

すこし離れて、その影の如く、妻節子、うなだれてつき従う。


(野中)(舞台中央まで来て、疲れ果てたる者の如く、かたわらの漁師に倒れるように寄りかかり)ああ、頭が痛い。これあ、ひどい。


節子、無言で野中に寄り添い、あたりを見廻し、それから白い角封筒をそっと野中に差し出す。角封筒は月光を受けて、鋭く光る。


(野中)(力弱くそれを片手で払いのけるようにして)それは、お前から、菊代さんにやってくれ。


節子、そのままの形で、黙って野中の顔を見つめている。


(野中) いやなら、いい。(節子の手から封筒をひったくり、自身の上衣のポケットにねじ込み)僕から、返してやる。(急にまた、ぐたりとなって)しかし、お前は、強いなあ。……負けた、負けた。僕は、負けたよ。お前たちのこんな強さは、いったい、何から来ているのだろうなあ。男女同権どころじゃない。これじゃ、あべこべに男のほうからお助けを乞(こ)わなくちゃいけねえ。いったい、なんだい? お前たちのその強さの本質は、さ。封建、といったってはじまらねえ。保守、といってみたってばかげている。どだいそんな、歴史的なものじゃあ無えような気がする。有史以前から、お前たちには、そんな強さがあったんだ。そうしてまた、これから、この地球に人類の存在するかぎり、いや、動物の存続する限り、お前たちは、永久に強いんだ。

(節子)(落ちついて)あなたは、はずかしくないのですか?

(野中)(呻(うめ)く)ううむ、ちえっ、ちくしょう! (顔を挙げて)全人類を代表してお前に言う。お前は、悪魔だ!

(節子)(冷く)なぜですか!

(野中) わからんのか? 人が死ぬほど恥かしがっているその現場に平気で乗り込んで来て、恥かしくありませんかと聞ける奴(やつ)あ悪魔だ。

(節子) あなたは、はずかしがっていません。

(野中) どうしてわかる? どうして、それがわかるんだ。

(節子)(無言)

(野中) イエス答をなし給わず、か。お前のその、何も物を言わぬという武器は、強いねえ。あんまり、いじめないでくれよ。ああ、頭が痛い。

(節子) これから、どうなさるのですか?

(野中) 死ぬんだ。死にゃあいいんだろう? どうせ僕は、野中家(け)の面(つら)よごしなんだから、死んで申しわけを致しますですよ。(崩れるように、砂の上にあぐらを掻(か)き)ああ、頭が痛い。切腹だ。切腹をして死んでしまうんだ。

(節子) ふざけている時ではございません。菊代さんを、あなたは、どうなさるおつもりです。

(野中) どうもこうも出来やしねえ。ああ、頭が痛い。(頭をかかえ込んで、砂の上に寝ころび)負けたんだよ、僕たちは。僕と菊代さんは、お前たちに叛逆(はんぎゃく)をたくらんだが、お前たちは意外に強くて、僕たちは惨敗を喫したんだ。押せども、引けども、お前たちは、びくともしねえ。

(節子) だって、あなたたちは、間違った事をしているのですもの。

(野中) 聖書にこれあり。赦(ゆる)さるる事の少き者は、その愛する事もまた少し。この意味がわかるか。間違いをした事がないという自信を持っている奴(やつ)に限って薄情だという事さ。罪多き者は、その愛深し。

(節子) 詭弁(きべん)ですわ。それでは、人間は、努めてたくさんの悪い事をしたほうがいいのですか?

(野中) そこだ! 問題は。(笑う)何が、そこだ! だ。僕はいま罪人なんだ。人を教える資格なんか無いのに、どうも、永く教員なんかしていると、教壇意識がつきまとっていけねえ。いったい、この国民学校の教員というものの正体は何だ。だいいち、どだい、学問が無い。外国語を自由に読める先生が、この津軽地方には、ひとりもいない。外国語どころか、源氏物語だって読めやしない。なんにも知らねえ癖(くせ)に、それでも、教壇に立って、自信ありげに何か教えていやがる。学問が無くても、人格が立派とでもいうんならまだしも、毎日の自分の食べものに追われて走り廻っている有様で、人格もクソもあるもんか。学童を愛する点に於いては、学童たちの父母(ちちはは)に及びもつかぬし、子供の遊び相手、として見ても、幼稚園の保姆(ほぼ)にはるかに劣る。校舎の番人としては、小使いのほうが先生よりも、ずっと役に立つし、そもそもこの、先生という言葉には、全然何も意味が無い。むしろ、軽蔑感を含んでいる言葉だ。どうせからかうつもりなら、いっそもう、閣下(かっか)とでも呼んでもらいたい。僕たちの社会的の地位たるや、ほとんどまるで乞食坊主と同じくらいのものなんだ。国民学校の先生になるという事はもう、世の中の廃残者、失敗者、落伍者(らくごしゃ)、変人(へんじん)、無能力者、そんなものでしか無い証拠だという事になっているんだ。僕たちは、乞食だ。先生という綽名(あだな)を附けられて、からかわれている乞食だ。おい、奥田先生だって、やっぱり同じ事なんだぜ。あきらめろ、あきらめろ。

(節子)(鋭く)なんですの? (幽(かす)かに笑い)へんな事をおっしゃいますわね。

(野中) 知ってるよ。お前のあこがれのひとは、誰だか。

(節子) まあ! そんな。よして下さい! 下劣ですわ。

(野中) なんでも無いじゃないか。人間は皆、あこがれのひとを二人や三人持っているものだ。で、どうなんだい? その後の進行状態は。

(節子) わたくしには、あなたのおっしゃる事が、ちっともわかりません。

(野中) よし、それじゃ、わかるように言ってやろう。お前は、きょう僕の帰る前に、奥田先生の部屋に行っていたね。

(節子)(はっきり)ええ、まいりました。奥田先生がおひとりで晩ごはんのお仕度(したく)をしていらっしゃるという事を母から聞いて、何かお手伝いでもしようかと思ってお部屋をのぞいてみました。

(野中) それは、ご親切な事だ。お前にもそれだけの愛情があるとは妙だ。いいことだ。美談だ。しかし、僕が外から声をかけたとたんに、お前はふっと姿をかき消したが、あれは、どういうご親切からなんだい?

(節子) いやだったからです。

(野中) へんだね。

(節子)(泣き声になり)いったい、なんとお答えしたらいいのです。

(野中) まあ、いいや。よそう。つまらん。どうせお前には、かないっこないんだ。ああ、あ。世は滔々(とうとう)として民主革命の行われつつあり、同胞ひとしく祖国再建のため、新しいスタートラインに並んで立って勇んでいるのに、僕ひとりは、なんという事だ。相も変らず酔いどれて、女房に焼きもちを焼いて、破廉恥(はれんち)の口争いをしたりして、まるで地獄だ。しかし、これもまた僕の現実。ああ、眠い。このまま眠って、永遠に眼が覚めなかったら、僕もたすかるのだがなあ。(眠った様子)

(節子)(野中の肩に手をかけて)もし、もし。(肩をゆすぶる)

(野中)(なかば、うわごとの如く)殺せ! うるさい! あっちへ行け!


奥田教師、上手(かみて)より、うろうろ登場。


(奥田) あ、おくさん! (寝ている野中を見ていよいよ驚き)どうしたんです、これあ。

(節子) あなたの後を追ってここまで来て、寝てしまいました。それよりも、菊代さんは? いかがでしたの?

(奥田) いや、それがね、あの子供たちを途中で見失ってしまいましてね。とにかく、僕ひとり警察の前まで行って、それとなく中の様子をうかがって見たんですが、ばかに静かで、べつに変った事も無いようなんです。へたに騒ぎ立てて恥をかいてもつまりませんし、さっきの生徒たちを捜して、もういちどよく聞きただそうと思って、引返して来たところなんです。ことによったら、あいつ、……。

(節子) え?

(奥田) いや、べつに、……。

(節子) 奥田先生! わたくしどもは、菊代さんに何か悪い事でもしたのでしょうか。

(奥田)(あらたまって)なぜですか?

(節子) ばくちで警察に挙げられたなんて、嘘(うそ)です。わたくしには、もうみな、わかりました。(急に泣き出す)あんまりですわ。あんまりですわ。なぜ、わたくしどもはこんなに、菊代さんにからかわれなければならないのです。

(奥田) すみません。実は、僕も、警察の前まで行って、すぐこれあ菊代に一ぱい食わされたなと思ったのですが、しかし、もしそうだとしても、なんのために、子供たちまで使って、こんな、ばからしい狂言を、……。

(節子) それは、わかっています。菊代さんは、野中をけしかけて酒や肴(さかな)を買わせて、そうしてわたくしや母にまでごちそうさせて、それから、そのお金は実は菊代さんがばくちでもうけたお金だという事を知らせて、いい気持でごちそうになっている母やわたくしがみっともなく狼狽(ろうばい)するさまを、かげでごらんになってあざ笑うつもりだったのでしょうけれど、でも、それにしても、策略があくどすぎます。あんまり、意地がわるすぎます。

(奥田) すると? あの金は?

(節子) ご存じじゃなかったのですか? 菊代さんのお金です。

(奥田) そうですか。いや、いかにも、あいつのやりそうないたずらだ。(笑う)

(節子) まだあります。野中にたきつけて、わたくしとあなたと、……。

(奥田)(まじめになり)しかし、おくさん。妹はばかな奴(やつ)ですが、そんな、くだらない事は言わない筈(はず)です。

(節子) でも、野中はさっき、わたくしを疑っているような、いやな事を言いました。

(奥田) それじゃあ、それは野中先生ひとりの空想です。野中先生は少しロマンチストですからね。いつか僕と議論した事がありました。野中先生のおっしゃるには、この世の中にいかにおびただしく裏切りが行われているか、おそらくは想像を絶するものだ、いかに近い肉親でも友人でも、かげでは必ず裏切って悪口や何かを言っているものだ、人間がもし自分の周囲に絶えず行われている自分に対する裏切りの実相を一つ残らず全部知ったならば、その人間は発狂するだろう、という事でした。しかし僕はそれに反対して、人間は現実よりも、その現実にからまる空想のために悩まされているものだ。空想は限りなくひろがるけれども、しかし、現実は案外たやすく処理できる小さい問題に過ぎないのだ。この世の中は、決して美しいところではないけれども、しかし、そんな無限に醜悪なところではない。おそろしいのは、空想の世界だ、とまあ言ったのですが、どうも、野中先生の空想には困ります。

(節子)(変った声で)でも、それが本当だったら?

(奥田)(どぎまぎして)え? 何がですか?

(節子) 野中のその空想が。

(奥田) おくさん! (怒ったように)何をおっしゃるのです。

(節子)(声を挙げて泣き)わたくしは今まで何一つ悪い事をした覚えがありません。それなのに、なぜみなさんがわたくしをこんなにいじめるのでしょう。わたくしは自身の楽しみは一つもせずに、野中の家のために努めて来ました。家の名誉を大事に守るというのは悪い事ですか? 教えて下さい。あすの生活の不安の無いように、辛抱してむだ遣(づか)いをつつしむというのは悪い事ですか? 田舎女は田舎女らしく、音楽会や映画にも行かず家(うち)の中で黙って針仕事をしている事は、わるい事ですか? 小説も読まず酒も飲まず行儀をよくして男のひとと間違いを起さないというのは、悪い事ですか? 野中が先刻、間違いをしない人間は薄情だと言いましたが、そんなら人間は間違いをしたほうが正しいのですか? 先生、わたくしは田舎くさくて頭の悪い女です。何もわかりません。教えて下さい。わたくしが先生を好きだったとしたら、かりにそうだったとしたら、かえってわたくしが正しいのですか? わたくしは口が下手(へた)です。よく言えないんです。わたくしは、言葉を知らないのです。ただ、わたくしは、こらえて来ました。辛抱して来ました。自分で自分のすきな事を言ったりおこなったりするのは悪い事だと思って来ました。先生、教えて下さい。わたくしはもう、何がどうなのか、わからなくなって来たのです。わたくしのどこがいけなくて、みんながわたくしをこんなにいじめるのですか。

(奥田) おくさん。善悪の彼岸という言葉がありますね。善と悪との向う岸です。倫理には、正しい事と正しくない事と、それからもう一つ何かあるんじゃないでしょうかね。おくさんのように、ただもう、物事を正、不正と二つにわけようとしても、わけ切れるものではないんじゃないですか?

(節子) よくわかりませんけれど、それでは、わたくしが何か間違いを起しても?

(奥田)(笑って)それあいけません。どだい、不自然ですよ。それこそ、おくさんの空想の領域です。おくさんは、野中先生をずいぶん大事にしていらっしゃる。それがまた、おくさんの生き甲斐(がい)なのでしょう? ばかばかしい空想はやめましょう。おくさん、今夜は、どうかしていますね。現実の問題にかえりましょう。(語調をあらためて)僕たちは、お宅から引越します。問題は、それだけです。僕は学校の宿直室へ行きますし、妹は、あれは、東京へまた帰ったほうがいいだろうと思います。


遠くから、はる、こうろうの花のえん、の合唱が聞える。学童たちの声にまじって、菊代らしき女の声もまじる。


間。


(節子)(冷静になり、顔を挙げて、はっきり)そうお願い致します。

(奥田)(かえってまごつき)なんですか?

(節子)(それにかまわず、遠くの歌声に耳を傾け)ああやって歌をうたって遊ぶのが、都会ふうで、そうして文化的とかいうもので、日本はこれから、男も女もみんな、菊代さんのようにならなければならないのでしょうか。わたくしのような、旧式な田舎女は、もう、だめなのでしょうか。わたくしには、やっぱりどうしても、わかりませんわ。なぜ、人間は、都会ふうでなければいけないのです。なぜ、田舎くさいのは、だめなんです。

(奥田) 人間がだめになったんですよ。張り合いが無くなったんですよ。大理想も大思潮も、タカが知れてる。そんな時代になったんですよ。僕は、いまでは、エゴイストです。いつのまにやら、そうなって来ました。菊代の事は、菊代自身が処理するでしょう。僕たち二十代の者は、或る点では、あなたたちよりもずっと大人(おとな)かも知れません。自己に就(つ)いての空想は、少しも持っていません。

(節子)(しずかに)それは、どんな意味ですの?

(奥田) 妹は妹、僕は僕、という事です。いや、人は人、僕は僕、と言ってもいいかも知れない。おくさん、あんまり他人の事は気にしないほうがいいですよ。

(節子) でも、菊代さんは、わたくしどもをいじめます。野中をそそのかして、わたくしどもの家庭を、……。

(奥田)(笑って)引越しますよ、すぐに。

(節子)(にくしみを含めて)たすかりますわ。


歌声すこしずつ近くなる。

風吹く。枯葉舞う。


(奥田) 寒くなりましたね。(寝ている野中のほうを顎(あご)でしゃくって)どうしますか? ずいぶん今夜は飲んだからなあ。

(節子) 悪いお酒じゃないんですか? 頭が痛い痛いと言っていましたけど。

(奥田) だいじょうぶでしょう。あれと同じ酒を、漁師たちが朝から飲んでいて、それでなんとも無いようですから。

(節子) でも、あの人たちと野中とでは、からだがまるで違いますもの。

(奥田) 試験台にはなりませんか。(笑う)どれ、僕が背負って行ってやろうかな?

(節子)(それをさえぎって、鋭く)いいえ。わたくしが致します。もう、お手数(てすう)はかけません。

(奥田) 他人は他人、旦那(だんな)は旦那ですか。(いや味なく笑う)そのほうがいいんです。それじゃ僕はちょっと、あの(と歌声のほうを指さし)チンピラの音楽団のほうへ行って、妹をつかまえて、事の真相を問いただしてみましょう。つまらない悪戯(いたずら)をしやがって。(言いながら気軽に上手(かみて)より退場)


風さらに強く吹く。

歌声いよいよ近づく。


(節子)(奥田を見送り、それから、しゃがんで野中の肩をゆすぶる)もし、もし。風邪(かぜ)をひきますよ。さ、一緒に帰りましょうね。(野中の手をとり)まあ、こんなに冷くなって。すみませんでしたわね。わたくしが悪かったのよ。あなた、どうなさったの? (顔を近寄せる)あなた! (狂乱の如く野中の顔、胸、脚など撫(な)でまわし)もし、あなた! (突然立ち上って上手に走り)奥田先生! 奥田せんせい! (また馳(は)せかえり、野中の死体に武者振りついて泣く)すみません、すみません。あなた、もういちど眼をあいて。わたくしは、心をいれかえたのよ。これからはお酒のお相手でも何でもしようと思っていましたのに、あなた! (号泣する)


風。枯葉。歌声。

――幕。



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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)

봄의 낙엽(春の枯葉)

1막 3장

다자이 오사무(太宰 治) (1948)

번역 : 홍성필


인물

노나카 야이치   초등학교 교사 36세

         세츠코   그의 처       31세

         시즈   세츠코의 생모 54세

오쿠다 요시오   초등학교 교사 노나카 집에 동거함. 28세

         키쿠요   요시오의 누이동생 23세

기타 학생 몇 명.


장소

쓰가루 반도 해안의 벽촌


1946년 4월



제1장


무대는 마을 초등학교 한 교실. 방과 후 오후 4시경. 정면에는 교단. 그 전방에 학생들 책상과 걸상이 20~30. 왼쪽 유리문에서 햇살이 비춘다. 오른쪽도 유리문으로부터 바다가 보인다. 전교생 150 명 정도 되는 학교 규모.

정면 칠판에는 다음과 같은 글이 난잡하고 무질서하게 적혀 있으며, 힘줘서 지운 곳도 있으나, 대개 읽을 수 있다. 수업 중에 교사 노나카가 쓰고 그대로인 것처럼 보인다.

그 글자들이란,

“四等國(사등국), 北海道(홋카이도), 本州(혼슈), 四國(시코쿠), 九州(큐슈), 四島國(사도국), 봄이 왔다. 멸망이냐, 독립이냐. 빛은 동북지방에서부터. 동북지방의 보수성. 보수와 봉건. 인플레이션. 정치와 경제. 어둠. 국민 상호간의 신뢰. 도덕. 문화. 민주주의. 의회. 선거권. 사랑. 사제. 착한 아이. 양심. 학문. 공부와 농경. 해산물.

등이다.


막이 열린다.

무대 잠시 공허.

갑자기 거친 발자국 소리가 나더니 “혼내는 게 아니야. 묻고 싶은 게 있어. 울지 않아도 돼.” 등의 목소리와 함께 오른쪽 문을 열고 초등학교 교사 노나카 야이치가 혼자 울고 있는 학생을 데리고 등장.


[노나카] (파랗게 질린 얼굴에 억지로 미소를 띠며) 무슨 혼을 내는 게 아니야. 그게 뭐냐. 벌써 고등과 2학년이나 되었으면서 그렇게 울고. 보기 안 좋다. 자아, 어서 눈물을 닦아. (노나카 자신이 허리에 차고 있던 수건을 학생에게 건네준다.)


[학생] (얌전히 수건으로 눈물을 닦는다.)


[노나카] (그 수건을 학생으로부터 건네받고 다시 자신의 허리에 차고는) 그래. 자아, 노래를 불러봐. 혼내지 않을 테니. 절대 혼내지 않을 거야. 지금 너희들이 저 바깥 운동장에서 함께 부르던 노래를 한 번 불러봐. 조용하게 불러도 상관없으니까 한 번 해보렴. 나무라는 게 아니야. 선생님은 그 노래를 몇 군데 잊어버려서 말이야. 너한테 배우려고 하는 거야. 그뿐이니까 마음 놓고, 자아, 어디 한 번 남자답게 들려줘. (말하면서 제일 앞줄 학생용 걸상에 앉는다. 즉, 관객에서 보면 뒤를 돌아보게 된다)


학생은 관객에 대해 정면을 바라보고 차렷 자세로 눈을 감고 조용히 부른다.

봄날 높은 누각(樓閣)에서의 꽃놀이

주고받던 술잔 생각 사무치누나

천대를 이어온 소나무 가지 사이로 비쳐들던

지난 날 영화로운 모습은 지금 어디에


[학생] (노래를 마치고는 고개를 숙인다)


[노나카] (책상에 턱을 궤고) 고맙다. 아니, 선생님은 말이야, 너희들도 알겠지만 노래는 잘 못하거든. 그 노래도 어렴풋이 기억하고 있어. 덕분에 이제 확실하게 생각났다. 슬픈 노래구나. 요즘 너희들은 자주 그 노래만 부르고 있는 것 같은데, 선생님께서 가르쳐주셨니?


[학생] (고개를 젓는다)


[노나카] 아무도 안 가르쳐줬는데 그냥 알게 됐어?


[학생] (가만히 있는다)


[노나카] 절대 혼내지 않을테니 마음속에 있는 걸 그대로 말해봐. 선생님도 지금 여러 가지 생각하고 있어. 아까도 저렇게 (라며 잠시 정면으로 보이는 칠판을 가리키고) 다양하게 칠판에 적고는 새로운 일본 모습이라는 것을 너희들에게 가르친다고는 하는데, 하지만 아무래도 가르친 다음에 왠지 모르게 무척 불안하고 쓸쓸해지거든. 선생님 스스로도 전혀 모르고 있는 게 아닐까 하기도 해. 오히려 너희들에게 배워야 할 점도 있지 않을까 하는 생각도 들어서 말이야. 그런데 어때? 너희들은 그 노래를 어떤 심정으로 부르고 있는지, 그걸 우선 솔직하게 선생님한테 말해줄 수 있겠니? 역시 무척이나 쓸쓸해서 그런 노래를 부르고 싶어지니? 아니면 무슨 장난기로 부르니? 응?


[학생] (가만히 있다)


[노나카] 무슨 말 한마디라도 해봐. 설마 너희들은 마음속으로 선생님을 비웃고 있는 건 아니겠지? (혼자 조용히 웃고는 일어선다) 이제 됐어. 돌아가도 돼. 하지만 마음을 우울하게 만드는 노래는 별로 안 부르는 게 좋겠다. 다른 학생들한테도 그렇게 전하도록. 아무튼 지금 우리들은 조금이라도 마음을 밝게 갖도록 노력해야만 하니까. 그럼 됐어. 돌아 가.


학생. 말없이 노나카 선생에게 고개를 숙이고 오른쪽 출입구로부터 퇴장. 노나카는 그 모습을 바라보고는 멍하니 있다. 이윽고 천천히 교단 쪽으로 걸어가, 교단 위로 오르고는 칠판지우개로 칠판 글씨를 하나하나 꼼꼼히 지운다.

지우며 이윽고 조용히 ‘봄날 높은 누각(樓閣)에서의 꽃놀이 주고받던 술잔 생각 사무치누나’ 라고 노래한다.

무대는 조금씩 어두워진다. 석양이 저물어가는 것이다.

몰래 조용히 웃고는 오쿠다 키쿠요. 오른쪽 출입구로부터 등장.


[키쿠요] 꽤 잘 부르시네요, 선생님.


[노나카] (놀라며 뒤돌아서서 키쿠요를 보고는 쓴 웃음을 지으며) 아아, 당신이었군요. (칠판을 다 지우고는 정면을 돌아보고) 놀리면 못 써요.


[키쿠요] 어머. 정말이에요. 정말로 잘 하시네요. 멋진 바리톤이세요.


[노나카] (점점 더 얼굴을 찡그리고 쓴 웃음을 지으며) 됐어요. 그만 두세요. 저희 집은 대대로 음치거든요. (말투를 바꾸고) 무슨 볼일이라도? 오쿠다 선생님이라면 방금 전 가신 것 같던데요.


[키쿠요] 아뇨. 오빠를 만나러 온 건 아니에요. (장난 기 섞이게 일부러 정중한 자세로) 오늘은 노나카 야이치 선생님을 뵈러 왔습니다.


[노나카] 아, 그래요? 집에서 매일 뵙고 있잖아요?


[키쿠요] 네에. 그래도 같은 집에 있으면 좀처럼 단둘이서 말할 기회가 없잖아요. 어머, 죄송. 유혹하고 있는 건 아니에요.


[노나카] 상관없습니다. 아니, 관둡시다. 오빠한테 혼나요. 당신 오빠는 고지식한 분이시라서 말이외다.


[키쿠요] 당신 부인께서도 고지식한 분이시라서 말이외다.


둘 웃는다. 노나카 교사 천천히 교단에서 내려와 왼쪽 유리문 쪽으로 다가가 바깥을 바라본다. 키쿠요는 학생용 책상 위에 앉는다. 아름다운 평상 일본 전통의상을 입고 있다.


[노나카] (키쿠요 쪽에 등을 보이며 바깥 풍경을 바라보면서) 벌써 봄이네요. 츠카루의 봄은 한꺼번에 갑자기 찾아오더군요.


[키쿠요] (차분하게) 정말 그래요. 조금씩 찾아오는 게 아니라 단번에 봄이 되더라고요. 그렇게 많이 쌓였던 눈도 순식간에 사라지고, 너무 신기해서 무서울 정도였어요. 저는 벌써 10년이나 쓰가루를 떠나 있었으니 쓰가루의 봄은 단번에 찾아온다는 사실을 모두 잊고 있기에, 그토록 산에 가득 쌓여있던 눈이 사라지는 건 5월 내내 걸릴 거라고 생각했었거든요. 그런데 글쎄. 녹나보다 했더니 열흘도 지나지 않아 깨끗이 사라졌잖아요. 4월 초에 이렇게 봄에 나는 풀잎들을 볼 수 있을 줄은 정말 생각지도 못했어요.


[노나카] (여전히 바깥 풍경을 바라보면서) 풀잎이요? 하지만 눈 밑에서 나타난 건 풀잎만은 아니에요. 저길 봐요. 모두 낙엽이에요. 작년 가을에 떨어진 낙엽이 그대로 다시 눈 밑에 나타나기 시작했군요. 의미가 없군요, 이 낙엽은. (조용히 웃는다) 오랜 겨울 동안 낮에도 밤에도 눈 밑에 깔려 참고 있으면서 무엇을 기다리고 있었을까. 소름이 끼칩니다. 누이 사라지고 저렇게 지저분한 모습을 나타냈다고 해서 되살아나는 것도 아니고 저건 그대로 썩어갈 뿐이죠. (키쿠요 쪽을 돌아보고 유리 문에 등을 기대고는 웃으며 농담 같은 말투로) 또다시 봄이 찾아 왔건만 저 지치고 지친 낙엽들에게는 무의미합니다. 무엇 때문에 눈 밑에서 오랫동안 참고 있었을까요. 눈이 나라졌다고 해도 이 낙엽들은 어쩔 수가 없습니다. 넌센스라는 거겠죠.


키쿠요, 소리 내어 웃다.


[노나카] (일부러 진지한 표정을 지으며) 아니, 웃을 일이 아니에요. 우리들도 저런 난센스 같은 낙엽일지도 모르니까요. 10년 동안, 그 이상 참으며 어쨌든 벌레처럼 간신히 살아온 것이겠지만, 그러나 어느새 낙엽처럼 떨어져 죽고 말았는지도 모릅니다. 이제부터는 썩어져갈 뿐 봄이 와도 여름이 와도 영원히 살아날 일은 없는데도 그것도 알지 못한 채 자기 딴에는 봄이 오는 것을 기다리거나 해서, 마치 이미 의미 없는 처지가 되고만 게 아닐까요.


[키쿠요] (단백하게) 의외로 감상적이시군요, 선생님은. 힘내세요. 선생님은 아직 젊잖으신데, 이제부터잖아요.


[노나카] (조금 심각하게 화를 내는 듯 얼굴을 찌푸리고) 무슨 말도 안 되는. 저는 벌써 서른여섯입니다. 도시 사람들과 달리 촌에서 서른여섯이라고 하면 이미 손주가 있을 나이예요. 놀리지 마세요.


[키쿠요] 그래도 선생님한테는 아직 아이가 한 명도 없잖아요? 그러니까 어딘지 모르게 젊어 보여요. 사모님도 그렇게 아름다우시고 저보다 젊게 보여요. 얼마나 차이가 나시나요?


[노나카] 누구하고요?


[키쿠요] 저랑요.


[노나카] (흥미가 없다는 듯이) 아내는 서른하나예요.


[키쿠요] 그렇다면 저랑 여덟 살이나 차이가 나네요. 정말 젊어 보이시네요. 좋은 집안 따님이셔서 관록도 있으시고 훌륭하세요. 선생님은 복도 많으세요. 저런 사모님이라면 양자를 두셔도 될 것 같더군요.


[노나카] (더욱 앉잖다는 듯이) 왜 당신은 그런 시시한 말만 하는 거죠? 이제 그런 얘기는 그만 합시다. 오늘은 제게 무슨 볼 일이라도 있어서 오셨나요?


[키쿠요] (태연하게) 돈을 가지고 왔어요.


[노나카] 돈이요?


[키쿠요] 그래요. (가슴 띠 속에서 흰 봉투를 꺼내고는 걸어가 노나카 교사 옆에 가서는) 선생님. 아무 말씀 마시고. 알았죠? 그냥 가만히 받아 주세요!


[노나카] (무의식인 듯 뿌리치고) 이, 이게 뭐예요?


[키쿠요] 괜찮아요, 선생님. 아무렇지도 않게 받아주세요. 그리고 좋을 대로 써주세요. 아무한테도 말씀하시면 안 돼요.


[노나카] (팔짱을 끼고 쓴 웃음을 짓는다) 알겠습니다. 그렇지만 저도 참 타락했군요. 키쿠요 씨. 알았으니까 그 봉투는 일단 집어넣으세요.


키쿠요. 봉투를 만지작거리다가 그것을 옆에 있는 학생 책상 위에 살며시 놓는다.


[노나카] 아시는 바와 같이 저희 집은 가난합니다. 매우 궁핍하죠. 어떤 사람이든 저희 집에서 사글세로 같은 지붕 아래 살아보면, 시골 교사라고 하는 치사하고 딱한 일상생활에 진저리가 날 것입니다. 특히 최근 동경에서 막 피난 온 젊은 여자분들 눈에는 도저히 참을 수 없는 지옥처럼 보일 지도 모릅니다. 그러나 걱정할 필요 없습니다. 당신들의 동정은 감사하지만 그러나 저희 가정에도 또한 저희 가정만의 자존심이 있습니다. 오히려 저희들은 당신들을 동정심을 느낄 정도입니다. 그런 돈 같은, 그런, 그런 걱정은 다음부터 절대 하지 말아주세요. 저희들은 당신들로부터 매달 받고 있는 사글세조차도 비싸다고 생각합니다. 안타깝게 생각하고 있어요. 자아, 이제 아셨으면 그런 돈 같은 건 집어넣어 주세요. 함께 돌아갑시다. 키쿠요 씨! 그러나 당신은 (지긋이 키쿠요 얼굴을 바라보며) 좋은 분이시군요. 호의만은 뼈저리도록 고맙게 받겠습니다. (살짝 웃으며) 악수합시다.


노나카 교사, 오른손을 내민다. 찰싹 하고 작은 소리가 들릴 정도로 세게 키쿠요는 그 노나카 손바닥을 때린다.


[키쿠요] (조소하는 표정으로) 아아, 멋 부리긴요. 착각하지 마세요. 시시해보여요. 저는 다 알고 있어요. 모두 알고 있죠. 그렇게 말해도 당신들이 사실은 돈이 갖고 싶은 거예요. 폼 잡으실 필요 없어요. 당신도, 사모님도, 그리고 어머님도 모두 돈이 갖고 싶은 거예요. 너무너무 갖고 싶어 어쩔 줄을 몰라 하는 거예요. 그러면서도 당신들은 가난하지 않지요. 가난하다, 가난하다 하지만 가난하지 않아요. 제대로 된 집도 있고 땅도 있으며 옷도 갖가지로 많이 가지고 있죠. 그래도 돈이 갖고 싶은 거예요. 욕심이 많은 거예요. 구두쇠죠. 돈 보다도 더 좋은 것이 이 세상에는 없다고 생각하는 거라구요. 그에 비해 참, 당신들의 생활은 어떤가요? 오빠는 예전부터 여기에 살고 있었으니 그렇다고 치더라도, 저는 아버지와 둘이서 동경을 나와 전쟁이 시작하기 전에도 편하지 않았으며, 드디어 전쟁이 시작하고는 저도 아버지 공장에 나가 직공들과 함께 일하기 시작했을 무렵부터 벌써 저희들은 살았는지 죽었는지 뭐가 뭔지도 모르는 채로 정신없이 하루하루를 보내며, 그러는 사이에 깨끗이 모든 것이 타버리고는 지금 우리들이 가지고 있는 거라고는 예전에 이쪽으로 옮겨놓았던 짐짝 다섯 개뿐. 정말로 그것뿐이에요. 아버지가 홀로 동경에 머물면서 고생하고 저만 오빠한테 신세지러 왔지만 정말로 저한테는 아무 것도 없어요. 아무 것도 없으니 하는 수 없이 이런 보기 흉하게 화려한 옷 같은 걸 짐짝에서 꺼내 입고 다니지만, 시골 사람들 눈에는 저희들이 엄청난 사치라도 하는 것처럼 보고 있지 않을까요? 그런데 그건 정반대예요. 얌전한 평상복은 모두 타버려서 이런 열여섯 일곱에 입었던 옷밖에 안 남아 있기에 할 수 없이 입고 있는 거예요. 돈도 역시 마찬가지예요. 저희들은 이제 아무 것도 없다구요. 오빠는 그렇게 고지식하니 어쩌면 돈을 어느 정도 모았는지는 모르지만, 저희들은 이제 아무 것도 없어요. 들어온 돈은 모두 그 자리에서 써버리고, 아버지나 저는 10년 동안 동경에서 그런 생활을 해왔지요. 하지만 저는 그 동안 단 한 번이라도 돈이 갖고 싶다고 생각한 적은 없었어요. 없으면 없는 대로 어떻게 해서든 이겨내 해왔거든요. 하지만 시골에서는 그럴 수가 없잖아요. 시골에서는 인간의 가치를 현찰이 있는지 없는지로 평가하더군요. 그것만이 표준인 거예요. 이제 농담도 아무 것도 없이 냉담하고도 침착하게 그렇다고 믿고 있는 걸 보면 끔찍해요. 오싹할 때가 있어요. 아무리 고상하게 모르는 척해도 속으로는 역시 그러니까 짜증나요. 만약 제게 돈 한 푼 없다는 걸 알면 당신 사모님도, 어머님도, 그리고 당신도 얼마나 싫은 표정을 지을까요? 아뇨. 분명 그러실 거예요. 진심으로 저라는 여자를 경멸하고 지저부한 밥맛없이 볼 게 틀림없다구요. 저는 경솔하게 자신의 가난한 처지를 말할 수도 없어요. 당신들과는 달라요. 당신들은 자신들을 스스로 가난하다 뭐라 해도 그야 제대로 된 재산이 있다는 건 누구나 알고 있으니 물가가 비싸 곤란하다거나 장차 어떻게 하면 좋을까 해도 그건 애교라도 되겠지만, 그걸 만약 제가 말하면 어떻게 될까요? 농담도 애교도 되지 않아요. 그저 치사하고 비참한, 못난 인종들이라며 경계하게 될 거예요. 바보 같애. 그래서 저희들은 돈을 힘 닿는 데까지 펑펑 써보여야만 하는 거예요. 그러면 또 당신들은 동경에서 살다온 인간들은 씀씀이가 헤프다고 하고, 그렇다고 당신들처럼 자린고비처럼 생활하면 정말 가난한 사람의, 처참하고 마치 무슨 송충이나 걸음뱅이 쳐다보듯 하는데, 대체 당신 사모님은 뭐가 잘나서 그렇게 으쓱대요? 무슨 우리들과는 인종이 달라요? 무척이나 어깨에 힘을 주고 제가 농담을 해도 웃지 않고 항상 저희들보다 높은 곳에 있는 사람처럼 하던데 그건 대체 뭐죠? 미인이라구? 웃기지 말아요. 동경 삼류 하숙집 어두컴컴한 곳에서 장부 뒤지는 사람 중에 저런 수세미 절여놓은 것처럼 생긴 아줌마가 있어요. 자는 알고 있어요. 저런 사람이야말로 어느 누구보다도 제일 돈을 좋아하지요. 욕심이 많거든요. 쫀쫀한 거예요. 남편보다도 부모보다도 돈만을 존경하고 있는 거죠. 나는 알 수 있어요. 선생님, 그 돈은 어서 사모님께 갖다 드리세요. 선생님, 제 편이 되어줘요. 저는 복수하고 싶은 거예요. 선생님, 그 봉투에는 당신네 사모님이 제일 좋아하는 게 들어있어요. 모두 새 돈이에요. 제가 혼자서 번 돈이니까 아무 걱정할 필요 없어요.


두 세 학생이 휘파람을 불고 있다. ‘봄날 높은 누각(樓閣)에서의 꽃놀이’ 곡 합창이다.


[키쿠요] (그 휘파람 소리에 귀를 기울이며) 어머, 제 친구들이 마중 왔네. 가야 해요. 그럼 부탁했어요. 아셨죠? 사모님한테는 제가 줬다고 하지 말고 선생님이 알아서 잘 둘러대서 사모님한테 드리세요. 그 으쓱대는 사모님이 어떤 표정을 지을까요? 아아, 재미있네요.


키쿠요 오른쪽 출입구 쪽으로 뛰어간다. 노나카 교사, 순간 정신을 차린 듯 불러 세운다.


[노나카] 잠깐 기다려요, 키쿠요 씨. 어딜 가시는 거예요?


키쿠요, 입구 쪽에 서서는 노나카 교사 쪽으로 휙 돌아선다. 휘파람은 계속 들려온다.


[키쿠요] (해맑은 목소리로) 친구한테요.


[노나카] 그럼 저 노래는 당신이 가르쳐준 거군요?


[키쿠요] (오히려 자랑스럽다는 듯이) 그래요. 저희들은 음악회를 열 거예요. 음악회를 열어서 돈을 벌 거라구요. 새 돈을 벌 거예요. ‘봄날 높은 누각에서의 꽃놀이’도, 그리고 ‘당 나라 사람 오키치’도, 그리고 파란 눈을 한 외국사람 노래도 모두 제가 가르쳐줬어요. 오늘은 이제부터 모두 절에서 모여 연습해요. 집에 들어가는 시간이 늦어질 테니 오빠한테 그렇게 전해주세요. 일본 문화를 위해서라고 하면서 말이에요.


키쿠요 킥킥 웃으며 퇴장. 휘파람소리는 계속 들려온다. 무대는 다시 조금 어두워진다.

노나카 교사, 키쿠요를 두 세 발자국 좇아가서는 멈춰선 후 뒤돌아 책상 위에 놓인 봉투를 꺼내어 윗도리 주머니 속에 넣고는 잠시 생각하고 다시 꺼내서 봉투 속을 본다. 큰 지폐를 한 장, 두 장 하고 묵묵히 센다. 열 장. 주위를 돌아본다. 다시 센다.


- 무대, 조용히 회전한다.


제2장


무대는 초등학교 교사 노나카 야이치 집 안쪽 여섯 첩(疊) 방. 여기는 오쿠다 요시오, 키쿠요 남매가 사용하고 있다.

방 전방에는 모래가 깔린 마당. 풀도 꽃도 없다. 지저부한 이른바 ‘봄의 낙엽’들만이 여기저기 흩어져 있다.

무대 멈춘다.

야이치의 장모인 시즈. 마당에 있는 바지랑대에서 많은 빨래를 걷고 있는 중.

키쿠요의 오빠 오쿠다 요시오는 여섯 첩 방 툇마루에 쭈그리고 않아 화로에 대고 부채질을 하며 무언가를 찌면서 곁에 무슨 책을 두고 읽고 있다.

해는 많이 기울고 희미해졌다.

제1장과 같은 날.


[시즈] (빨래를 걷고는 그것을 두 팔로 한 아름 안은 채 오른쪽으로 사라지려하다가 문득 툇마루 쪽을 보고는 멈춰 서서) 어머, 오쿠다 선생님, 냄비가 넘쳐요.


[오쿠다] (서둘러 냄비 뚜껑을 들고 시즈 쪽을 보며 쓴 웃음을 짓고는) 여동생이 또 오늘도 어딘가로 뛰쳐나가 돌아오지 않으니, 이것 참.


[시즈] 저런 저런. 그럼 오빠도 힘들겠네요. (웃으며 툇마루 쪽으로 다가선다) 뭘 끓이세요?


[오쿠다] (서둘러 다시 냄비뚜껑을 닫고는) 아니, 이건 보여드릴 수 없어요. 닥치는 대로 집어넣고 끓이고는 두 눈 딱 감고 삼켜버릴 작정입니다.


[시즈] (소리 내어 웃고는) 정말 남자들이 밥 해먹는 건 딱해서 못 봐주겠군요. 나중에 장아찌라도 갖다 드릴게요.


[오쿠다] (진지하게) 아뇨. 아무 것도 필요 없습니다. 학생시절부터 십여 년간 이런 생활만 해왔기에 오히려 여동생과 함께 지내며 걔가 해주는 멋 떨어진 요리 같은 걸 먹는 건 불쾌할 정도입니다. (책을 들고 일어서서 방으로 들어가고는 전등을 켠다. 그리고는 툇마루 쪽을 바라보는 책상 앞에 앉아 책상다리를 하고 앉고는, 즉 관객을 정면으로 바라보며 앉아 책을 책상 위에 놓고는 무의식적으로 책장을 이리저리 넘기며 무뚝뚝하게) 여자가 만든 요리 같은 걸 전 한 번도 맛있다고 생각해본 적이 없어요.


[시즈] (빨래를 툇마루에 얌전히 놓고 자기도 툇마루에 앉으며) 어머, 그래요? (느긋하게 웃고는 천천히) 어머님이 돌아가시고 벌써 몇 년이나 됐죠?


[오쿠다] (그리 대수롭지 않다는 듯이) 제가 여기 초등학교에 들어간 다음 해 여름에 돌아가셨으니 벌써 20년이나 되는군요.


[시즈] 벌써 그렇게 됐군요. 저희들도 어머니 장례식 저희들도 어머니 장례식 때는 잘 기억하고 있지요. (빨래를 한 장 한 장 개면서) 지금 그 여동생이 아버님 손에 끌려 아장아장 걸으며 분향하고 있는 모습을 아무리 해도 잊을 수가 없습니다. 그걸 보고 저희들은, “아아 어머니란 어린 아이를 남기고는 죽을 래야 죽을 수도 없다”고 생각했죠.


[오쿠다] (냉정하게) 하지만 어머니는 자살했습니다.


[시즈] (얼굴을 들며) 아니, 그런, 이봐요. 절대 그런.


[오쿠다] 노나카 선생님으로부터 들었습니다. 겉으로는 심장마비라고 되어 있으나 분명 자살이다, 집에서 일하던, 피부가 검은 요리사와 정을 통하고, 소문이 나빠지니 자살했다, 그래서 우리 집에서는 여관을 그만 두고 여기 땅을 팔아치운 다음 아오모리로 가서, 내가 아오모리에 있는 사범학교에 들어가자, 이번에는 아버지는 나를 혼자 버려두고 남동생과 둘이 동경으로 가버렸다, 정말 아버지는 이 쓰가루 지방에는 있고 싶지 않았던 것 같다며 노나카 선생님이 말씀하시더군요.


[시즈] 어머, 그 분은 그렇게 끔찍한 말씀을 하시다니요. 정말 모두 뜬금없는 소리예요. 무엇보다 당신 어머님이 돌아가셨을 무렵에는 그 사람은 아직 이 마을에 오지도 않았어요. 그 사람이 저희 집에 양자로 온지는 아직 10년도 안 된 걸요. 그 전에는 그 사람은 자신이 태어난 쿠로이시(黑石) 집에 있으면서 쿠로이시 초등학교에서 선생님을 하고 있었으며, 이 마을에 그렇게 20년이나 된 옛날 이야기들을 알 리가 없잖아요. 말도 안 됩니다.


[오쿠다] (대수롭지 않다는 듯이) 아뇨. 하지만 새로 이사 온 사람들은 유독 그 지역에 대한 비밀에 민감한 법입니다.


[시즈] (쓸쓸하게 웃고는) 거짓말이에요. 그런 말도 안 되는 일이 있을 리가 없잖아요. (문득 말투를 바꾸고는) 그 분은 그 때 술을 드시고 있지 않았나요? 당신한테 그 말을 했을 때 말이에요.


[오쿠다] (허공을 바라보며) 예, 취해있었습니다.


[시즈] 그렇죠? (자신감 있게) 분명 그랬을 거예요. 그 사람은 젊었을 때 철학인지 문학인지를 한 적이 있다면서, 그 때문에 심한 신경쇠약 증세를 보이더니, 그게 아직 완전히 낫지 않았나보죠. 지금도 술을 마시면 마치 미친 사람처럼 이상한 말을 하며 자기가 꿈에서 본 일들을 그대로 실제 있었던 것처럼 몇 번이고 되풀이 하시니 저희들은 항상 골치를 썩고 있어요. 그런데 피부가 검은 요리사와 어쩌구 저쩌구라니 그것, 참.


[오쿠다] (씁쓸하게 웃으면서) 그래도 그 색이 검은 요리사는 분명 우리 집에 있었지요? 하코다테 출신인가 하고 좀 끼가 있어 보이는……. 어린 마음에도 기억이 납니다.


[시즈] (약간 날카롭게) 그만 두세요. 말도 안 돼. 정신 차리세요.


[오쿠다] 저는 괜찮습니다. 과거사 같은 건 어떻더라도 상관 없으니까요.


[시즈] 괜찮긴요. 무엇보다 그 사람도 참 무례하군요. 지금 오쿠다 집안의 종손한테 그런 끔찍한 말을 하다니. 악마가 따로 없군요.


[오쿠다] 악마는 좀 심했군요. (쾌활하게 웃는다)


[시즈] (급하게) 악마이고말고요. 악마 이상인지도 몰라요. 당신은 그 사람의 진짜 끔찍함을 아직도 모르시는 거예요. 술을 마시면 이건 무슨 마치 정신병자이고, 고약하다고 할까요. 잘 모르는 사람한테는 무척 친절한 것 같은데 집안사람들한테는 정말 냉혹하다고 해야 할지 잔인하다고해야 할지. 아니, 정말이에요. 글쎄 불과 얼마 전에도…….


[오쿠다] (말을 가로막듯이) 하지만 노나카 선생님은 좋은 분이세요. (웃으며) 저 같은 사람이 이런 말을 하는 건 그야말로 실례일지 모르겠지만, 이건 어머님도, 그리고 사모님도 한 번 다시 생각해봐야 할 부분이 있지 않을까요?


[시즈] 어머나! (빨래들을 밀어놓고 오쿠다 쪽으로 몸을 비틀어서는) 예를 들자면요? 예를 들면 그건 어떤 점 말이죠?


[오쿠다] 예를 들면……. 글쎄……. (말을 더듬는다)


[시즈] (힘 있게) 전 이제 그래서 짜증이 나요. 누구 하나 우리의 남모를 고통을 몰라준다니까요. 양자를 맞이한 집 사람들이 신경 쓰는 걸 보면 그건 정말 대단하다고요. 특히 저런, 뭐, 한 마디로 말하자면 일도 안 하고 매사에 덜 떨어진 인간을 양자로 받아들여 이 노나카 집안의 대를 물려주고, 세상 사람들한테 웃음거리가 되지 않도록 어떻게든 저희들의 힘으로 그 사람의 흠집을 감춰주고 생각해서, 남들한테는 그 사람의 단점은 한 마디도 꺼내지 않고, 오히려 거짓말을 해가며 그 사람을 칭찬해왔는데도 그 사람은 정말 무슨 생각을 하고 있는지, 고집쟁이라고나 하는 걸까요. 착한 점은 하나도 없으면서 그래도 내심 자신이 나온 쿠로이시에 있는 야마모토 집안이 너무나도 자랑스러워하고……. 그야 물론 쿠로이시에 있는 야마모토 집안은 큰 도시에서 유지라서 여기 시골 어촌에 있는 가난한 집과는 비교도 되지 않을 만큼 크고 훌륭한 집은 분명하지만, 그깟 유지라고 해봤자 요즘은 다들 빚더미에 앉았다고 하잖아요. 옛날부터 그 집은 중개인들이 말하는 것처럼 대단하지도 않고, 구두쇠라고 해야 할지, 인정머리 없다고 해야 할지, 아무튼 저희들 생각과는 전혀 다른 생각을 가지고 있는 것 같아, 그 사람이 여기에 오고 8년 내내 갈아입을 옷 하나, 십원 딱지 하나 보내온 적이 없어요. 그런 대접을 받으면서도 그 사람은 역시 태어난 집에 미련이 있는지, 언제였더라…… 그 쿠로이시 씨의 형님이 무슨 의원에 당선됐을 때도 그 사람이 좋아하는 꼴 하고는……. 너무나 한심해서 정나미가 떨어졌습니다. 의원이라는 게 뭐가 그리 대단한 거라고요. 저희 노나카 집안에서는 그야 뭐 이런 촌구석 가난한 집이지만, 그래도 남들한테 흉한 꼴은 안 보이고 살아왔고, 조상 대대 이 고장을 위해 노력했고요. 특히 저희 집 양반은 아시는 바와 같이 여기 쓰가루 지방에서 모범교원으로 훈장까지 받았고, 더구나 제 죽은 큰 녀석은 동경제국대학 의대까지 들어가고, 벌써 10년 이상이나 된 옛날 얘기지만요. 그 녀석이 졸업을 앞두고 죽었을 때는 동경제국대학 교수님이나 수많은 학생들한테서까지 많은 위로장을 받았고요, 그리고 이런 촌에까지 손수 와주신 교수님도 계셨어요. 정말 그 놈이 살아 있었다면, 그 놈만 살아 있었다면. (울다) 지금쯤은 이제 그 놈도 훌륭한 의사선생님이 되어 저희들도 지금 같은 이런 고생을 안 해도……(계속 눈물 섞인 넋두리가 이어진다)


[오쿠다] (상관없다는 투로) 하지만 그런 말씀을 아무리 해도……. 어머님. 제가 말한 ‘다시 생각해봐야 할 부분’이란 말하자면 바로 그런 거예요. 여기 노나카씨 댁 가장은 지금 그 노나카 선생님이시잖아? 지나간 일보다도 현재가 중요하지 않을까요. 제게는 양자라는 것은 본래 어떤 모습이어야 하는지 그 도덕상의 볼질은 잘 모르겠지만, 그래도 그 집처럼 거실 정면에 그렇게 큰 아버님 사진과 오라버니 사진을 보란 듯이 걸어놓거나 하면, 노나카 선생님도 꽤 마음이 약하신 분이니 왠지 불안해 하지 않을까요?


[시즈] (얼굴을 들고) 그건 그 사람이 모자라서 그런 거예요. 부족해서 그런 거라고요. 저희가 그 두 장의 사진을 나란히 걸어놓은 건 그 사람도 돌아가신 아버님이나 오라버니 같은 사람이 되어 달라는, 그러니까 격려하는 의미로, 그래서…….


[오쿠다] 그러니까 그게 (웃으며) 아니, 이런 말을 계속 해도 끝이 없군요. (일어서서 뒷마루 쪽으로 나가 냄비를 화로 위에서 내려놓고는 대신 쇠병을 올려놓는다. 이 동작을 하면서 혼잣말처럼) 이제부터도 평생동안 노나카 집안이다, 야마모토 집안이다 하며 서로 고집을 부려가며, 그리고 어떻게 될까? 난 모르겠어. 정말 모르겠어.


[시즈] (김이 샜다는 표정으로) 당신도 이제 색시를 얻으면 알게 되겠죠. (일어서서 옷깃을 오므리고) 아이 추워. 눈이 녹이도 역시 저녁이 되면 추워지네요. (서둘러 빨래를 끌어안고) 실례했습니다.


바람이 일어나고 모래바람이 일어난다. 봄의 낙엽도 마당 구석에서 휘날린다.

시즈 오른쪽으로 퇴장.


[오쿠다] (툇마루에 서서 그것을 바라보며) 짠지인지 뭔지를 갖다 준다더니 저 모습을 보면 믿을 게 못돼. (혼자 웃고는) 자, 밥을 먹어볼까.


오쿠다, 냄비를 방안으로 가지고 들어가고 미닫이를 닫는다. 미닫이문에 오쿠다가 일어서 왔다 갔다 하며 식사 준비를 하는 모습의 그림자가 비친다. 그 오쿠다 그림자 뒷편에 여자 그림자가 떠오른다.

그 여자 그림자는 가만히 선 채로 움직이지 않는다. 바깥은 해 진 저녁.

국민학교 교사인 노나카 야이치, 갈지자를 그리며 왼쪽에서부터 걸어 들어온다. 오른손에 댓병을 들고 있다. 이미 절반을 마셨다. 나머지 절반을 가지고 온 것처럼 보인다. 큰 광어를 끈으로 묶어서 들고 있다.


[노나카] 오쿠다 선생님. 아아, 계시는군. 어? 키쿠요 씨도 계시네. 이것 참 잘 됐어. 거하게 한 번 마셔보자고. 술도 있고 안주도 있어.


미닫이에 비치던 여자 그림자가 쓰윽 사라진다.

동지에 미닫이가 열리고는 오쿠다가 웃으며 얼굴을 내민다.


[오쿠다] 아, 다녀오셨어요? (툇마루로 나간다) 기분이 좋으신가보네요. 오늘은 어디에 초대 받으셨었나보죠?


[노나카] 초대? 초대는 무슨. (툇마루에 덜컥 앉는다) 아무리 우리 국민학교 선생이 항상 가난하다고는 하지만 말이오. 절대 힘 있는 자들의 부스러기들은 취하지 않는다 이 말이오. 이봐요, 키쿠요 씨, 그렇죠? (팔을 뻗어 미닫이를 죄우로 힘껏 열어 제친다) 키쿠요 씨! 어? 안 계신가?


[오쿠다] 동생은 아직 안 들어왔어요. 아직 그 문화회겠죠.


[노나카] (조금 차분하게) 그렇지. 그건 나도 알고 있는데……. 그런데 지금 분명히…….


[오쿠다] (조용히) 오늘은 많이 취하셨나보네요. 자, 어서 들어오지 않으시겠어요?


[노나카] (갑자기 또다시 힘을 내어) 아아, 들어가야죠. (샌들 같은 것을 벗고는 툇마루 위에서 비틀거리며) 오늘은 어디 한 번 거하게 마셔봅시다. 이번에 교원 대이동에 있어서 자네도 나도 잘리지 않고 일단 무사했지. 이를 축하하는 의미에서 말이야 (댓병과 안주를 두 손에 들고 방으로 들어가서는 방 오른쪽 미닫이를 열고는) 어이, 이봐, 세츠코!

(안채를 향해 부른다)

노나카의 처 세츠코 등장. 그러나 미닫이 바깥쪽에 앉아 있으므로 관객한테서는 보이지 않는다.


[노나카] (그 미닫이 바깥에 있는 세츠코에게 광어 건네며) 방금 전 바닷가에서 잡힌 광어야. 회를 떠주게. 오쿠다 선생님과 오늘 밤 여기서 연회를 열거야. 알았어? 회를 빨리 듬뿍 갖다줘. 듬뿍이야. 아, 잠깐, 잠깐. 한 마리는 회로, 나머지 한 마리는 구웠으면 좋겠다. 째째하게 아끼면 안돼. 너희들도 먹어라. 알았어? 어머니한테도 질컷 드시게 하라고.


세츠코, 말없이 조용히 미닫이를 닫는다.


[노나카] (싱글싱글 웃으며 댓병을 든 채로 오쿠다 책상 옆에 앉더니) 아무래도 어촌에서 선생님을 하면서 회를 못 먹는다는 건 너무나 딱하다지.


[오쿠다] (방 중앙으로 들고 온 냄비나 밥그릇을 다시 구석으로 치우면서) 생선은 어때요? 화폐개혁이 있고 좀 싸졌나요?


[노나카] (씁쓸하게 웃으며) 싸지기는. 어부들의 입김이라는 게 대단해. 광어 한 마리 가격이 우리들 한 달 치 월급과 거의 맞먹으니 말이야. 요즘 어부들은 아이들이 용돈을 조르면 아무렇지도 않게 100엔짜리 지폐도 준다더구먼.


[오쿠다] 음. 그렇다는군요. (방 중앙에 놓인 작은 식탁도 구석으로 치우며) 아이들에게 그렇게 큰돈을 주는 건 안 좋다고 생각해요. 아이들 사이에서는 요즘 도박이 유행이라잖아요.


[노나카] 그런 것 같아. 이도저도 엉망진창이야. (말투를 바꾸고) 자네, 그 식탁은 여기에 놔두는 게 좋겠어. 돈 얘기 같은 건 재미없다. 마시자. 물컵 두 개를 빌려주게.


오쿠다, 다시 그 작은 식탁을 방 중앙으로 옮겨오고 물컵 두 개를 가지러 툇마루 쪽으로 나온다.


[노나카] (그러는 동안 문득 오쿠다가 읽다 만 책상 옆에 있는 책을 집고는) 프랑스 혁명사? 뭐야, 이런 걸 읽고 있나? 관둬, 관둬. 역사는 되풀이되지 않아. (가볍게 책을 바닥 위로 내던진다) 역사는 되풀이된다니, 무슨 소릴, 그건 자네, 변증법을 몰라서 그래, 뭐, 이러면서 말이야, 나도 어디 한 번 사회당에라도 들어가 출세해볼까? 쓸데없는 소리. 마시자! 마시고 회포를 풀어보자. 그대 무력한 국민학교 교사여!


둘이서 작은 식탁을 사이에 두고는 책상다리를 하고 두 물컵에 댓병에 든 술을 따른다.


[노나카] 건배! (죽 들이킨다)


[오쿠다] (마시다가 만다) 뭐예요, 이건? 휘발류 같은 냄새가 나는군요. (그대로 물컵을 식탁 위에 놓는다)


[노나카] 선토리(SUNTORY).


[오쿠다] 네?


[노나카] 선토리 위스키. (라고 말하면서 댓병을 눈높이까지 들어올리고 전등빛에 비추어보며) 무색투명한 선토리 위스키. 댓병 150엔.


[오쿠다] 말도 안돼요.


[노나카] 아니, 그게 재미있는 점이야. 나도 알고 있어. 이건 약품용 알콜에 물을 섞었을 뿐이지. 그런데 말이야. 내게 이걸 선토리 위스키라고 하고 150엔으로 팔아준 사람은 말이야, 잘 들어. 이 마을 술주정뱅이 어부인데, 이 양반 자신도 이걸 선토리 위스키라는 이름의 진짜 고급 술인줄 알고 믿어 의심치 않으니 재미있지 않나. 그러니까 그 어부는 아오모리 근처에 생선을 팔러 갔다가 돌아오는 길에 아오모리에 있는 암시장 장사꾼한테 속아 댓병으로 세 병, 아니, 네 병인지도 몰라. 선토리 위스키라고 하는 고급품을 사 들여와서는, 그리고 오늘 아침부터 근처에 사는 술친구들을 끌어 모아 술잔치를 벌이고 있었는데, 거기에 내가 생선을 사러 얼굴을 내밀었다 이거야. 그러자마자 그들이 나를 잡고는, 당신이라면 분명 알테지만 이건 ‘선토리’라고 해서 우리들이 입에 대기는 조금 아까운 술이다, 꼭 선생님께 한 잔 드리고 싶다, 이러면서 큰 사발에 가득 채우고는 들이대더라고. 보니까 이처럼 무색투명. 더구나 이 냄새. 아무리 나라도 잠깐 주저했지. 혹시 그 메틸알콜일지도 모르지 말이야. 하지만 난 그 어부들의 조금도 의심 없고 자랑스럽다는 표정을 보고는 참을 수 없어 죽음을 결심했지. 음. 죽을 결심을 했어. 이 어리석고 철없는 그리고 서글픈 어부들과 함께 죽고자 각오한 거야. 난 마셨어. 그리 맛은 나쁘지 않아. 더구나 기분 좋게 취하기까지 했거든. 그래서 난 그들로부터 댓병 하나를 달라고 하고는 그들과 함께 거하게 마셨지. 역시 선토리는 좋다, 선토리를 마시면 다른 술은 맛이 없어 못 마시겠다, 뭐, 이런 칭찬까지 해가면서 말이야. 그런데 이상하게 서글프더군. (말하면서 자기가 술을 따르고는 마신다) 아, 그렇지. 담배도 있어. 피워보게. 많이 있거든. (윗도리에서 까치담배를 한 줌 꺼내고는 식탁 위에 놓는다) 역시 그 어부들한테서 얻어논 거야. 정말 그 친구들한테는 없는 게 없더구먼.


[오쿠다] (거의 무표정으로 담배 한 까지를 들고는) 감사합니다. (바지 주머니에서 성냥을 꺼내고는 담배에 불을 붙인다)


[노나카] 다 주지. 다 줄게. 나한테는 아직 많이 있거든. (계속 술을 자작하며 마신다)

당신이

아니랍니다

당신이

아니에요

당신을

기다리고

있던 게 아니에요

라는 노래를 알고 있나? 이건 말이야 ‘문을 열면’이라는 요즘 유행가인데 자네는 모르나? 들어본 적이 없어? 이거 뜻밖이군. 게으르기 짝이 없어 프랑스혁명사보다는 현대 유행가 쪽이 적어도 우리에게는 중요하지 않나? 그래도 자네, 자네는 국민학교 교사이면서 말이야. (말하면서 또 술을 자작하고 마신다) 현대 유행가 하나 모른다니 말이야, 자네.


[오쿠다] 그렇게 드셔도 괜찮으세요?


[노나카] 괜찮아. 괜찮고말고. 자네, 이건 말이야 산토리 위스키라는 고급품 아닌가. 걱정할 것 없어. 자네도 괜히 멋부리지 말고 한 먹음 맛이라도 보라고.

당신이

아니랍니다

당신이

아니에요

당신을

기다리고

있던 게 아니에요

좀 괜찮지? 이건 실연에 대한 노래라더군. 가엾잖나. 한 잔 하라고. (댓병을 집어든다)


[오쿠다] (이를 막으며) 아니, 저는 아직 여기 한 잔 있습니다. (씁쓸하게 웃고는 살짝 입을 물컵에 대고는 다시 그것을 식탁 위에 놓고) 이건 좀.


[노나카] 목숨이 아까운가? (웃는다)


오른쪽 미닫이가 열린다.

노나카의 처인 세츠코, 큰 접시 두 개를 들고 들어온다. 한 접시에는 회가, 다른 한 쪽에는 생선구이.


[노나카] 어, 왔구먼, 왔어. 이거 정말 호화롭구나. 근데 너무많지 않나?


[세츠코] (웃지도 않고 식탁 위를 치우고는 그 두 접시를 놓고서) 이게 전부입니다.


[노나카] 전부? (얼굴을 들어 세츠코 얼굴을 본다) 어머님은? 안 잡수신데?


[세츠코] (진지하게) 그게, 저희들은 이미 저녁을 먹었습니다.


[노나카] (분연히) 그런가? (갑자기 식탁을 뒤집어엎는다) 모처럼의 광어 아닌가. 어머님한테도 너한테도 먹어줬으면 해서 사 왔던 거야. 그걸 뭐? 더러운 것 취급하듯이 한입도 먹어주지 않는다니 이건, 이러면 너무하잖아? (울먹인다)


세츠코, 말없이 주변에 흩어진 안주들을 접시에 주워 담는다.


[노나카] 그만 둬! 줍지 말란 말이야. 그건 다 버려버려! 주워서 다시 먹는다니, 비참하지 않나? 너무 비참하다고. 조금은 내 마음도 헤아려주지 그래? (윗도리 속주머니에서 흰 봉투를 꺼내고는 세츠코 손 맡으로 던져주고는) 아직 7, 8백 엔은 남아 있을 거야. 새로 나온 돈이야. 그걸로 안주를 사와. 지금 당장 사오라고. 쩨쩨하게 굴지 마. 도미라도 참치라도 어부 집에 있는 건 몽땅 사와. 간 김에 진베에 집에도 들러서 이 산토리 위스키가 남아 있으면 한 병 더 사가지고 와. 이제부터 나는 다시 마실 거야. 그리고 꼭 어머님과 너한테 안주를 먹여주고 말테야.


[세츠코] (봉투는 쳐다보지도 않고 묵묵히 고개를 숙이고 있다. 이윽고 조용히 얼굴을 들더니) 저, 물어볼 게 있어요.


[노나카] (당황하며) 뭐야? 불만이라도 있는 거야?


[세츠코] (긴장한 목소리로) 당신은 도대체…….


이 때 무대 왼쪽에서 마당 쪽으로 학생 두 명이 뛰어들어오며 “선생님! 오쿠다 선생님!” 하고 소리친다.

오쿠다 선생, 툇마루로 나온다. 학생 두 명, 헐떡거리며 오쿠다 선생에게 무언가를 속삭인다.


[오쿠다] (그것을 듣고는) 그렇군. 알았어. 바로 갈게. (방으로 들어가 벽에 걸어 두었던 자신의 윗도리를 입으며 노나카에게) 여동생이 경찰에게 잡혔답니다. 도박이에요. 마작도박을 학교 애들한테 가르쳐주고 있었답니다. 그렇게 되지나 않을까 짐작은 했었습니다. 잠깐 경찰서에 다녀오겠습니다. (살짝 고개를 숙이고 툇마루로 나와 신발을 찾는다)


[노나카] (비틀거리며 일어선다) 나도 갈게.


[오쿠다] (신발을 신으며) 안 돼요. 선생님은 지금 걸으실 수 없어요. (학생들에게) 자, 가자.


오쿠다 선생, 학생 두 명과 함께 무대 왼쪽으로 달려간다.


[노나카] (몽유병자처럼 거의 무표정으로 걸어가더니 툇마루에서 버선발로 내려오더니) 나도 갈게.


노나카 선생, 거의 걸을 수 없으나 비틀비틀 거리며 버선발로 오쿠다 선생 뒤를 좇는다.

세츠코, 앉은 채로 있었으나 문득 바닥에 떨어진 흰 봉투를 보고는 집어 들고 일어서서 툇마루로 나와 신발을 찾고 노나카의 샌들을 신고는 말없이 뒤를 좇는다.



- 무대 회전



제3장


무대는 달밤의 바닷가. 모래사장에 어선이 세 척이 올라와 있다. 그 주변에 한 무리의 죽은 갈대들이 서 있다.

배경은 아오모리 만(灣).

무대, 멈춘다.

한줄기 바람이 불고 어선 부근에 많은 봄의 낙엽들이 휘날린다.

어느새 앞 장면의 모습대로 노나카 선생, 소리 없이 객석 뒤편에서 무대로 연결된 통로로 등장.

조금 떨어져 그림자처럼 세츠코가 고개를 숙인 채 따라온다.


[노나카] (무대 중앙까지 와서 지친 것처럼 곁에 서 있는 어부한테 쓰러지듯 기댄다) 아아, 머리가 아파. 아아, 죽겠다.


세츠코, 말없이 노나카에게 다가가고는 주위를 돌아보고, 그리고 흰 봉투를 살며시 노나카에게 준다. 봉투는 달빛을 받아 날카롭게 빛난다.


[노나카] (힘없이 한 손으로 뿌리치며) 그건 네가 키쿠요 씨한테 줘라.


세츠코 동작을 멈추고 가만히 노나카 얼굴을 바라본다.


[노나카] 싫으면 됐어. (세츠코 손에서 거칠게 빼앗고 자신의 윗도리 주머니에 쑤셔넣고는) 내가 돌려주지. (갑자기 또 다시 힘이 빠지고는) 근데 넌 참 강해……. 졌어. 졌다고. 난 졌단 말이야. 네 그 강함은 대체 어디서 오는 걸까. 남녀평등 정도가 아니야. 이렇게 되면 남자 쪽에서 도와달라 그래야 해. 대체 뭐야? 네 그 힘의 본질 말이야. 봉건……이라고 해도 아니고, 보수……라고 해봤자 웃길 따름이지. 도무지 그런 역사적인 게 아닌 것 같다고. 유사이전 너희들한테는 그런 힘이 있었어. 그리고 또한 이제부터 이 지구에 인류가 존재하는 한, 아니, 동물이 존속하는 한 너네들은 영원히 강할 거야.


[세츠코] (침착하게) 당신은 부끄럽지도 않아요?


[노나카] (신음소리를 낸며) 우우욱. 쳇. 젠장할! (얼굴을 들고) 전인류를 대표해서 네게 말하노라. 넌 악마야!


[세츠코] (차갑게) 왜죠?


[노나카] 몰라서 묻나? 사람이 죽을만큼 부끄러워 하고 있는그 현장에 태연하게 다가와서는 부끄럽지 않냐고 물을 수 있는 놈은 악마야.


[세츠코] 당신은 부끄러워하고 있지 않아요.


[노나카] 어떻게 알지? 어떻게 그걸 아냐고.


[세츠코] …….


[노나카] ‘예수는 말씀이 없으셨다’냐? 넌 그 아무 말도 안 한다는 무기는 강해. 너무 괴롭히지 마. 아아, 머리가 아프다.


[세츠코] 이제부터 어쩔 생각이세요?


[노나카] 죽을 거야. 죽으면 될 거 아냐? 어차피 난 노나카 집안에 먹칠을 할 뿐이니까 죽음으로 사과해 드리리이다. (허물어지듯 모래 위에서 책상다리를 하고 앉고는) 아아, 머리가 아파. 할복이야. 할복하고 죽어버릴 거야.


[세츠코] 장난할 때가 아니에요. 키쿠요 씨를 당신은 어쩔 생각이세요?


[노나카] 뭘 어떻게 한단 말이야. 아아, 머리가 아파. (머리를 움켜쥐고 모래 위에 뒹굴며) 졌단 말이야. 우리들은. 나와 키쿠요 씨는 너희들한테 대한 반역을 꾀했지만, 너희들은 의외로 강해서 우리들은 참패를 하고 말았어. 밀어 봐도 당겨 봐도 너희들은 꿈쩍 달싹하지 않아.


[세츠코] 왜냐하면 당신들은 잘못된 일을 하고 있잖아요.


[노나카] 성경에서 가라사대, 사함을 받은 일이 적은 자는 적게 사랑하느니라. 이 뜻을 이해해? 잘못한 일이 없다고 자신하고 있는 자가 무정하다는 소리지. 그의 많은 죄가 사하여졌도다 이는 그의 사랑함이 많음이라.


[세츠코] 궤변이에요. 그렇다면 인간은 열심히 많은 죄를 짓는 게 좋다는 뜻인가요?


[노나카] 문제는 그거야! (웃는다) 뭐가 ‘그거야!’냐. 난 지금 죄인이야. 사람을 가르칠 자격이 없는데도 오랫동안 학교 선생을 하고 있으면 교단의식이 따라다녀서 안 돼. 대체 이 국민학교 교사라는 것의 정체는 뭐야? 일단 도무지 학문이 없어. 외국어를 자유롭게 읽을 수 있는 선생이 이 쓰가루 지방에는 하나도 없어. 외국어는커녕 겐지모노가타리(源氏物語:일본 고전문학 중 하나 - 역자 주)조차도 읽지 못해. 아무것도 모르는 주제에 그래도 교단에 서서 잘난 척하면서 뭔가를 가르치고 있어. 학문이 없어서 인격이 훌륭하다면 또 모를까, 매일 자기 먹을거리를 좇아다니고 있는 꼴이니 인격이고 뭐고 있긴 뭐가 있어? 학생을 사랑한다는 것에 대해서는 학부모들한테 못 미치고, 아이들의 놀이상대로 봐서도 유치원 선생들보다 훨씬 못 해. 학교 경비를 하더라도 급사들이 선생들보다 훨씬 도움이 되며, 무엇보다 선생이라는 말에는 아무런 의미가 없어. 오히려 경멸감까지 내포된 말이야. 어차피 놀릴 거라면 아예 ‘각하’라고 불러줬으면 좋겠어. 우리 사회적 지위란 마치 무슨 땡중 같은 거라니까. 국민학교 선생이 된다는 건 이미 이 세상에서의 패배자, 실패자, 낙오자, 변태, 무능력자, 그런 것에 불과하다는 증거가 되어 버렸다고. 우리들은 거지야. 선생이라는 별명을 붙여가며 놀림을 당하는 거지라고. 이봐, 오쿠다 선생님도 역시 같은 처지야. 포기해. 포기하라니까.


[세츠코] (날카롭게) 뭐라고요? (슬쩍 웃으며) 이상한 말씀을 하시는군요.


[노나카] 알고 있어. 네가 사모하는 사람이 누구인지 말이야.


[세츠코] 어머! 그런. 집어치우세요. 저질이에요.


[노나카] 그러면 또 어때. 인간은 모두 사모하는 사람을 둘이나 셋 정도는 가지고 있는 법이야. 그런데 어때? 그 후의 진척상황은?


[세츠코] 저는 당신이 하시는 말씀을 전혀 모르겠습니다.


[노나카] 좋아. 그럼 알아들을 수 있게 말을 해주지. 넌 오늘 내가 돌아오기 전 오쿠다 선생 방에 갔었지?


[세츠코] (단호하게) 네. 갔었어요. 오쿠다 선생님이 혼자 저녁을 차리고 계시다는 걸 어머니한테 들어서, 뭔가 도움이라도 드리려고 방에 들렸었죠.


[노나카] 그것 참 친절하시군. 너한테도 그 정도의 애정이 있다니 신기하다. 좋은 일이야. 미담이지. 하지만 내가 바깥에서 말을 걸자마자 갑자기 자취를 감추던데, 그건 어떤 친절이지?


[세츠코] 싫었기 때문이에요.


[노나카] 이상하네.


[세츠코] (울먹이며) 도대체 어떻게 대답하란 말이에요?


[노나카] 아냐. 좋아. 관두자. 재미없어. 어차피 너한테는 못 당한다니까. 아아, 아. 세상은 도도하게 민주혁명이 이루어지고, 동포들은 모두 조국 재건을 위해 새롭게 출발선상에 줄지어 서서 힘을 내고 있는데, 나는 도대체 뭔가. 여전히 술에 취하고 마누라한테 질투하며 파렴치한 말다툼이나 벌이고 있다니 마치 지옥이야. 아니, 이것도 또한 나의 현실. 아아, 졸리다. 이대로 잠이 들어 영원히 눈을 뜨지 않는다면 얼마나 좋을까. (잠이 든 것처럼 보인다)


[세츠코] (노나카 어깨에 손을 걸고) 이봐요. 이봐요. (어깨를 흔든다)


[노나카] (거의 잠고대처럼) 죽여! 시끄러! 저리 가!


오쿠다 선생, 오른쪽에서 천천히 등장.


[오쿠다] 아, 사모님! (자고 있는 노나카를 보고 더욱 놀라며) 이게 대체 어떻게 된 거예요?


[세츠코] 당신 뒤를 좇아서 여기까지 와서는 잠이 들고 말았어요. 그것보다 키쿠요 씨는? 어떠셨어요?


[오쿠다] 아니, 께 말이에요. 그 아이들을 도중에 놓쳤어요. 아무튼 저 혼자 경찰 앞에까지 가서 슬쩍 안을 들여다보았는데 너무 조용하고 특별히 이상한 점도 없는 것 같더군요. 괜히 소란을 피우다가 창피를 당할 수도 없고, 아까 그 학생들을 찾아 다시 한 번 자세히 물어보려고 되돌아오는 참이에요. 어쩌면 그 자식…….


[세츠코] 네?


[오쿠다] 아, 아뇨…….


[세츠코] 오쿠다 선생님! 저희들은 키쿠요 씨한네 무슨 나쁜 일이라도 했나요?


[오쿠다] (정색을 하고) 왜요?


[세츠코] 도박으로 경찰에 잡혔다는 건 거짓말이에요. 저는 이제 모두 알았어요. (갑자기 울기 시작한다) 너무해요. 너무하다고요. 왜 우리들은 이렇게 키쿠요 씨한테 놀림을 당해야 하죠?


[오쿠다] 죄송합니다. 실은 저도 경찰서 앞에까지 갔다가 곧바로 이건 키쿠요한테 한방 먹었다고 생각했지만, 그러나 그렇다고 해도 무엇 때문에 아이들까지 써서 이런 말도 안 되는 연극을…….


[세츠코] 그건 알고 있습니다. 키쿠요 씨는 제 남편을 꼬셔서 술이나 안주를 사게 하고, 그리고 저나 어머니한테 대접을 한 후, 그리고 그 돈은 사실은 키쿠요 씨가 도박으로 딴 돈이라는 사실을 알려서, 기분 좋아하고 있는 어머니나 제가 당황하는 모습을 몰래 훔쳐보면서 비웃으려고 했겠지만, 그래도 잔꾀가 잔인합니다. 너무나도 비겁해요.


[오쿠다] 그럼 그 돈은?


[세츠코] 모르고 계셨나요? 키쿠요 씨 돈이에요.


[오쿠다] 그렇군요. 아니, 가만히 보면 그 녀석 다운 짓이군요. (웃는다)


[세츠코] 아직 더 있어요. 노나카 씨한테 이간질을 해서 저와 선생님을…….


[오쿠다] (심각하게) 하지만 사모님. 제 누이는 바보 같는 녀석이지만 그런 쓸데없는 소리는 하지 않았을 거예요.


[세츠코] 하지만 이 사람은 방금 전 저를 의심하고 있는 듯한 이상한 말을 했어요.


[오쿠다] 그렇다면 그건 노나카 선생님 혼자만의 공상이에요. 노나카 선생님은 조금 로맨티스트시니까요. 언젠가 저와 토론한 적이 있었습니다. 노나카 선생님의 말씀에 의하면 이 세상에 얼마나 많은 배신이 행해지고 있는지는 아마도 상상을 초월할 것이다, 아무리 가끼운 가족이나 친구라도 뒤에서는 반드시 배신을 하고 욕이나 뒷말을 하고 있을 것이다, 인간이 만약 자신 주위에 끊임없이 이루어지고 있는 자신에 대한 배신의 실상을 남김없이 모두 알아차렸다면 그 인간은 발광하고 말 것이다, 이런 내용이었습니다. 그러나 저는 그 말에 반대하며, 인간은 현실보다도 그 현실에 얽힌 공상 때문에 번민하는 것이다, 공상은 끊임없이 펼쳐지지만, 그러나 현실은 의외로 쉽게 처리할 수 있는 작은 문제에 지나지 않는다, 이 세상에는 절대 아름다운 곳은 아니지만, 그러나 그토록 한없이 추악한 곳 또한 아니다, 무서운 것은 공상의 세계다, 뭐, 이렇게 말했었는데, 아무래도 노나카 선생님 공상을 들으면 당황합니다.


[세츠코] (이상한 목소리로) 하지만 그게 진짜라면요?


[오쿠다] (어쩔 줄을 몰라 하며) 네? 뭐가요?


[세츠코] 이 사람의 그 공상이.


[오쿠다] 사모님! (화가 난 것처럼) 무슨 말씀을 하시는 거예요?


[세츠코] (소리 내며 울면서) 저는 지금까지 무엇 하나 나쁜 짓을 한 기억이 없어요. 그래도 왜 다른 사람들이 저를 이렇게 괴롭히는 걸까요? 저는 제 즐거움은 하나도 하지 않은 채 노나카 집안을 위해서 노력해 왔어요. 가문의 명예를 소중하게 지킨다는 것이 나쁜 일인가요? 가르쳐주세요. 내일 생활에 대한 불안함이 없도록 참고 낭비를 억제한다는 것은 나쁜 일인가요? 시골 여자는 시골 여자답게 음악회나 영화도 보러가지 않고 집안에서 묵묵히 바느질을 하고 있는 것은 나쁜 일인가요? 제 남편이 방금 전 잘못을 저지르지 않는 사람은 무정하다고 했는데, 그렇다면 사람은 잘못을 저지르는 것이 옳은 건가요? 선생님, 저는 촌스럽고 머리가 나쁜 여자예요. 아무 것도 모른다고요. 가르쳐주세요. 제가 선생님을 좋아한다고 한다면, 가령 그렇다고 한다면 오히려 제가 옳은 건가요? 저는 말주변이 없어요. 말을 잘 할 수가 없어요. 저는 말을 모릅니다. 그저 저는 참아왔어요. 인내해 왔습니다. 저는 제가 하고 싶은 말을 하거나 화를 내거나 하는 것은 나쁜 일이라고 생각해 왔어요. 선생님, 가르쳐주세요. 저는 이제 뭐가 뭔지 도무지 알 수 없게 되었어요. 제 어디가 나쁘기에 모두가 저를 이렇게 괴롭히는 거죠?


[오쿠다] 사모님. ‘선악의 피안(彼岸)’이라는 말이 있죠? 선과 악의 중간입니다. 윤리에는 옳은 일과 옳지 않은 일, 그리고 또 하나가 있는 게 아닐까요? 사모님처럼 그저 사물을 정 ․ 부정으로 나누려 해도 나눌 수 있는 건 아니잖아요?


[세츠코] 잘 모르겠지만, 그렇다면 제가 무슨 잘못을 저질러도?


[오쿠다] (웃으며) 그건 안 되죠. 무엇보다 부자연스럽습니다. 그야말로 사모님의 공상의 영역입니다. 사모님은 노나카 선생임을 매우 아끼고 계십니다. 그게 또한 사모님의 삶에 있어서 보람 아닌가요? 말도 안 되는 공상은 그만 합시다. 사모님, 오늘 밤은 좀 이상하시군요. 현실 문제로 돌아갑시다. (다시 침착한 말투로) 저희들은 댁에서 다른 곳으로 이사를 가겠습니다. 문제는 그 뿐입니다. 저는 학교 숙직실로 갈 거고, 누이 그 녀석은 다시 동경으로 돌아가는 편이 나을 것 같습니다.


멀리서 ‘봄날 높은 누각(樓閣)에서’ 라는 합창이 들려온다. 학생들 목소리에 섞여 키쿠요 같은 여자 목소리도 섞여 있다.

틈.


[세츠코] (침착하게 얼굴을 들고 또박또박) 그렇게 해주시길 당부드립니다.


[오쿠다] (오히려 당황하며) 뭐라고요?


[세츠코] (무시하며 멀리서 들려오는 노랫소리에 귀를 기울이며) 저렇게 노래 부르며 노는 것이 세련되고, 그리고 문화적이라고 하는 거고, 일본은 이제부터 남녀 모두 키쿠요 씨처럼 되어야 하나요? 저 같은 구식 시골 여자는 이제 안 되나요? 저는 아무래도 잘 모르겠어요. 왜 사람은 세련되어야 하죠? 왜 촌스러운 건 안 되는거죠?


[오쿠다] 인간이 타락한 거예요. 보람이 없어진 거죠. 큰 이상도 큰 사상도 뻔한, 그런 시대가 된 겁니다. 전 지금은 이기주의자입니다. 어느새 그렇게 되고 말았습니다. 키쿠요 일은 키쿠요 자신이 처리하겠죠. 저희들 20대 사람들은 어떻게 보면 사모님 세대보다 훨씬 어른일지도 모릅니다. 자신에 대한 공상은 조금도 갖고 있지 않거든요.


[세츠코] (조용히) 그건 무슨 뜻이죠?


[오쿠다] 누이는 누이, 나는 나라는 뜻입니다. 아니, 사람은 사람, 나는 나라고 해도 될지 모르겠습니다. 사모님, 너무 다른 사람 일은 신경 쓰지 않는 게 좋을 겁니다.


[세츠코] 하지만 키쿠요 씨는 저희들을 괴롭혀요. 이 사람을 이간질 시켜서 저희 가정을…….


[오쿠다] (웃으며) 이사할 거예요. 곧바로.


[세츠코] (증오를 품으며) 그렇게 해주시면 고맙죠.


노랫소리가 조금씩 가까워진다.

바람이 분다. 낙엽이 흩날린다.


[오쿠다] 쌀쌀해졌군요. (자고 있는 노나카 쪽을 턱으로 가리키며) 어떻게 하시겠어요? 오늘은 꽤 드셨으니까요.


[세츠코] 나쁜 술 아닌가요? 머리가 많이 아프다고 하던데.


[오쿠다] 괜찮겠죠. 그것과 똑같은 술을 어부들이 아침부터 마셔도 아무렇지도 않다고 하니까요.


[세츠코] 하지만 그 사람들과 이 사람은 몸이 전혀 다르잖아요.


[오쿠다] 시험대가 되지 않을까요? (웃는다) 어디, 제가 업어드릴까요?


[세츠코] (이를 뿌리치고 날카롭게) 아니요. 제가 하겠어요. 이제 더 이상 폐를 끼치진 않을 거예요.


[오쿠다] 남은 남, 남편은 남편이군요. (비웃듯이 웃는다) 그게 좋겠죠. 그럼 저는 잠깐 저기 (라고 노랫소리가 나는 쪽을 가리키며) 양아치들 음악단 쪽에 가서 누이를 잡아들이고는 이 일의 신상을 캐묻도록 하죠. 쓸데없는 장난을 치고는, (말하면서 경쾌하게 오른쪽으로 퇴장)


바람은 더욱 강하게 분다.

노랫소리가 점점 더 가까워진다.


[세츠코] (오쿠다가 가는 것을 지켜보고서는 쭈그리고 앉아 노나카의 어깨를 흔든다) 이봐요. 여보. 감기 걸리겠어요. 자, 같이 돌아갑시다. (노나카 손을 잡고) 어머, 이렇게 차가워지다니. 미안해요. 내가 잘못했어요. 당신 왜 그래요? (얼굴을 가까이 댄다) 여보! (미친 듯이 노나카의 얼굴, 가슴, 다리 등을 더듬으며) 이봐요, 여보! (갑자기 일어나서 오른쪽으로 달려가서는) 오쿠다 선생님! 오쿠다 선생님! (다시 달려와서 노나카 시신을 부등켜안고 운다) 미안해요. 잘못했어요. 여보, 다시 한 번 눈을 떠봐요. 전 이제 마음을 고쳐먹었어요. 이제는 술 상대든 뭐든 하려고 했는데……. 여보! (통곡한다)


바람. 낙엽. 노랫소리.


- 막


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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)