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  1. 2018.05.01 메두사의 머리 - 일본어
  2. 2018.05.01 메두사의 머리 - 한국어

메두사의 머리(メューサの首)

고사카이 후보쿠 (小酒井 不木) (1926)

일본어 원문


 T医科大学の四年級の夏休みに、わたしは卒業試験のため友人の町田(まちだ)と二人で伊豆山(いずさん)のS旅館に出かけました。六月末のことで避暑客もまだそんなに沢山はいませんでしたから、勉強するには至極適当であったけれども、勉強とは名ばかりで、わたしたちは大いに遊んでしまいました。

 あるいは東洋一と称せられる千人風呂(ぶろ)を二人で独占して泳いだり、あるいは三大湯滝に打たれたり、あるいは軽便鉄道の見える部屋で玉突きに興じたり、あるいは石ころばかりの海岸を伝い歩いて砂のないことを嘆いたり、あるいは部屋の中から初島(はつしま)を眺めてぼんやりしていたり、あるいは烏賊(いか)ばかり食わされて下痢を起こしたり、ときには沢山の石の階段を登って伊豆山神社に参拝したり、またときには熱海(あたみ)まで、月のいい夜道を歩いたりして、またたく間に数日を過ごしました。

 かれこれするうち、わたしたちは玉突き場で一人の若い女と親しくなりました。彼女は東京のYという富豪の一人息子が高度の神経衰弱にかかって、このS旅館に静養しているのに付き添っている看護婦でありました。息子は居間に籠(こも)り勝ちでありましたが、彼女はいたって快活で、もう三カ月も滞在していることとて、旅館の中をわがもの顔にはしゃぎまわり、のちにはわたしたちの部屋へも遠慮なく入ってきて長い間とりとめのない世間話をしていきました。

 彼女はトランプが大好きでしたから、わたしたちはたびたびゲームを行い、負けた者には顔なり身体(からだ)なりへ墨を塗ることにしました。で、たいていしまいには三人とも、世にも不思議な顔をしてお湯の中へ飛び込みました。のちにはわたしたちは彼女の身体へ蛇や蛙(かえる)のような気味の悪いものを書いたり、またはおかめの面などを書いて悪ふざけをしました。けれども、客があまり沢山いませんでしたから、わたしたちは互いに身体じゅういっぱいに落書きをされて平気でお湯へやって行きました。ひとたび湯滝に打たれると、念入りな落書きもみごとに洗い去られてしまいました。

 ある日の午後、わたしたち三人が例のごとく身体じゅうを面妖(めんよう)な墨絵に包まれて、笑い興じながらお湯にやって行きますと、一人の五十ばかりの白髪童顔の紳士が千人風呂に入っていました。いつもたいていの客はわたしたちの姿を見てかならずにっこりするのでありますが、その紳士はこうした悪戯(いたずら)を好まないとみえて、看護婦の胸に描かれた蟹(かに)の絵を見るなり、ぎょっとしたような顔をしてわきを向きました。しかし看護婦はそれに気がつかなかったとみえ、相変わらず愉快にはしゃぎながら、湯滝の壷(つぼ)へ下りていきましたが、わたしと町田とはちょっと変な気持ちになり、互いに顔を見合わせて続いて下りていきました。

 それきりわたしたちは、紳士のことを忘れてしまいました。ところが夕食後、わたしたち二人が伊豆山神社の階段を登ろうとすると、件(くだん)の紳士が上から下りてくるところでした。紳士は千人風呂の中にいたとは打って変わった馴(な)れ馴れしい態度で話しかけ、

「あなたがたはもう長らくご滞在ですか?」

 と訊(たず)ねました。

「いえ、まだ十日ばかりにしかなりません、あなたは?」

 とわたしが言うと、

「今日の正午(ひる)に着いたばかりです」

 その時、海から急に冷たい風がどっと吹いてきて、ぽつりぽつりと大粒な雨が落ちはじめ、なんだかいまにも大雨がありそうでしたから、わたしたちは神社に登ることをやめ、紳士とともにあたふたS旅館に引き上げました。

「どうです、わたしの部屋へ来ませんか」

 と紳士が言ったので、わたしたちは遠慮なく海に面した紳士の部屋に押しかけました。その時、雨は飛沫(しぶき)を飛ばすほどの大降りとなり、初島のあたりにはもはや何物も見えなくなって、夜の色がにわかに濃くなっていきました。

 わたしたちは明け放した障子の敷居のところに胡坐(あぐら)をかいて、いろいろな世間話をしましたが、突然紳士は真面目(まじめ)な顔をして、

「今日、一緒に風呂へお入りになった女の人はお近づきなのですか」

 と訊ねました。

 わたしはその看護婦について知っているだけのことを話し、そうして、トランプに負けた者にああした悪戯書きをするのであると説明しました。

 すると紳士は笑うかと思いのほか、夜目にもはっきりわかる真面目顔になり、しばらくの間黙って考え込みました。

 わたしはなんとなく気まずい思いをして町田と顔を見合わせ、雨に叩(たた)かれている海の上に目を放ちました。とその時、紳士は突然、

「こんなことを言うと変に思いになるかもしれませんが、よしそれが冗談であるにしても、若い女の身体へ絵を描(か)くことは決してなさるものではありませんよ」

 と言いました。

 紳士の声がいかにも鹿爪(しかつめ)らしかったので、わたしたちは思わずその顔に見入りました。

「それはまたなぜですか」

 と、町田が訊ねました。

 紳士はまたもやしばらく黙っていましたが、ちょっと軽い溜息(ためいき)をついて、

「うっかりすると、意外な悲劇が起こらぬとも限らないからです」

 と言いました。

 わたしは少々薄気味の悪い思いをしました。その時、湿っぽい風が吹いてきて、夏ながらぞっとするような感じを喚(よ)び起こしました。いったいこの紳士は何者であろう。なぜこんな気味の悪いことを言うのであろう。女の身体に絵を描くことがなぜ意外な悲劇を起こすのであろう。と、これらの疑問が浮かぶと同時に、わたしの心の中には一種の好奇心がむらむらと起こってきました。この紳士はきっと何か違った経験をしたことがあるに違いない。女の身体に絵を描いたことが何か意外な悲劇を起こしたに違いない。こう思うと、わたしはその事情が訊(き)いてみたくてなりませんでした。町田もちょうどわたしと同じような心持ちになったとみえて、

「意外な悲劇というのは、どんなことですか?」

 と訊ねました。

 すると紳士は、

「いや、こんな妙なことを言い出して、定めしあなたがたに変な思いをさせたことでしょう。実はわたし自身の経験から申し上げたのでして、言い出した以上、一通りわたしの経験を申し上げることにしましょう」

 と言って、次のような話を語りはじめました。その時、あたりはもうすっかり闇(やみ)に包まれていましたが、紳士は灯(あかり)を点(つ)けようともしませんでした。

 わたしはいまでこそなにもやらないで、こうしてぶらぶらしておりますが、実はあなたがたの先輩なのですよ。明治××年にT医科大学を卒業して産婦人科の教室に半年あまり厄介になり、両親の希望によって、すこぶる未熟な腕を持ちながら日本橋のK町に病院を建てて診察に従事しました。わたしも学生時代には、あなたがたのようによく温泉宿へ出かけては勉強したもので、やはり卒業試験前の夏休みは、ある温泉で暮らしたのでした。わたしもずいぶん茶目っけの多いすこぶる楽天的な人間でしたが、開業すると間もなく両親に死なれたのと、ある入院患者について奇怪な経験をしてから医業なるものに厭(いや)けが差し、さいわい自分一人の生活には困らぬだけの資産がありましたので、開業後半年にして病院を閉鎖し、家内も迎えず、ずっと独身でぶらぶら暮らしてきたのです。元来、人間として遊んでいるほど大きな罪悪はありませんが、とても二度と医者をやる勇気が出ないものですから、こうして勝手次第に諸々方々を飛びまわって、山川に親しむよりほかはありません。

 さて、お語はわたしの開業当時に戻ります。ある日、わたしの病院へ二十七、八の、大きな腹を抱えた患者が診察を受けに来ました。わたしは彼女を見るなり、どこかで以前に見たことのある女だと思いました。そうして、彼女のひどくやつれた、凄(すご)いほど美しい顔を眺めて、なんとなくぞっとするような感じを起こしました。彼女は自分のお腹(なか)が大きくなったので診察を受けに来たのですが、診察してみるとそれは妊娠ではなく、明らかに肝臓硬変症、すなわち俗に言う“ちょうまん”で、お腹の大きいのは腹水のためであり、黄疸(おうだん)は目につきませんでしたが、腹壁には“メデューサの首”の症候がはっきり現れておりました。あなたがたはもうお学びになったことですから、説明するまでもありませんが、メデューサとはいうまでもなくギリシャ神話の中のゴーゴンの伝説に出てくる怪物で、その髪の毛が蛇からできているそうです。肝臓硬変症の場合には、肝臓の血管の圧迫される関係上代償的に腹壁の静脈が怒張して、皮膚を透かして蛇がうねっているように見え、その静脈が臍(へそ)のところを中心として四方にうねり出る有様は、メデューサの頭をてっぺんから見るように思われ、メデューサの首と名づけられているのであります。え? なに? 講義のときにそんな説明は聞かなかったのですって? では、わたしの考えが間違っておりますかな  まあ、どうでもよろしい。とにかく、肝臓硬変にもとづく腹水に悩む患者の腹壁をよくご覧なさい。ギリシャの神話を読んだことのある者なら、たしかに患者の腹の中に、メデューサの首が宿っているのではないかと思いますから。

 さて、肝臓硬変症はなかなか治りにくいものです。腹水を取り去ることによって患者は一時軽快しますが、すぐまた水が溜(た)まってきて、結局はだんだん重って死んでしまいます。しかし、血管が圧迫されるために水が溜まるのですから、血液の流通をよくするために、手術によって腹内の血管と腹壁の血管とを結びつければ、患者の生命を長引かすことができるということでした。え? それをタルマ氏の手術といいますって? さあ、わたしのときにはそんな名があったかどうかよく記憶しませんが、もしそのタルマという人が発見した以前にわたしたちがそういう手術のあることを教わったとすると、それを数えた△△教授は実に偉い学者だと言わねばなりません。いずれにしても、たといその手術を行ったとしても、もとより完全に肝臓硬変の患者を救うことは困難ですから、わたしはその女を診察して思わずも顔を曇らせずにはおられませんでした。

 すると彼女は、わたしの心配そうな顔を見て、

「先生、妊娠でしょう?」

 と訊ねました。わたしはこれを聞いて、思わずも、

「いえ、違います」

 とはっきり答えました。

 彼女はしばらくの間、じっとわたしの顔を眺めておりましたが、

「先生、本当のことをおっしゃってください」

 と、窪(くぼ)んだ目を据えて申しました。

「本当です。妊娠ではありません」

 わたしはこう答えながらも、もし彼女が妊娠であってくれたなら、どんなにか心が楽だろうと思わずにはおられませんでした。そうして、わたしはその時彼女に肝臓硬変症だと告げる勇気がどうしても出ませんでした。わたしが内心大いに煩悶(はんもん)しているところを見て、やがて彼女は言いました。

「先生、どうかよくわたしのお腹を眺めてください。先生には、わたしのお腹の中に宿っている恐ろしい怪物の頭が見えないのでございますか」

「え?」

 と、わたしは全身に冷水を浴びせかけられたような気がして問い返しました。彼女は“メデューサの首”に気がついているのだ。こう思うと、わたしはなんだか痛いところへ触れられたような思いになりました。

「先生」

 と、彼女は診察用ベッドに相も変わらず仰向(あおむ)きになったまま、わたしの顔を孔(あな)の空くほど見つめて申しました。

「わたしのお腹の中にはたしかに恐ろしい怪物が宿っております。先生は、ギリシャ神話の中に出てくるメデューサの首の話をご承知でしょう。わたしのお腹の中にはメデューサの首が宿っているのですね。先生、よくご覧なすってください。メデューサの髪の毛の蛇が、わたしの皮膚の下でうねうね動いているのが見えましょう。どうです、動いているではありませんか」

 わたしはこれを聞いて、とんでもない患者が訪ねてきたことを悲しみました。彼女はたしかに発狂しているのだ。病気の苦しさのために精神に異常を来したのだ。と、考えながらも、彼女の言葉に少しも発狂者らしいところがないのを不審に思いました。恐らくヒステリーの強いのであろう。そうして、お腹の皮下の血管の有様と、お腹の大きくなったのを見て、メデューサの首を妊娠したものと思い込んだのであろうと考えました。しかし、彼女がメデューサの首だと認めているのは、彼女が肝臓硬変症であることを説明するに都合よく、なおまた彼女の妄想を打ち消すにも役立つから、いっそこの場で彼女の病気の真相を告げたほうが、メデューサの首を妊娠したなどという妄想に悩むよりも幸福であろうと思って、わたしは肝臓硬変症によって起こる症状を詳しく説明して聞かせました。

 ところが、わたしのこの説明はわたしの予期したのとまったく正反対の結果をもたらしました。すなわち彼女は、わたしの言葉を聞くなり、

「そーれご覧なさい。先生にも、わたしのお腹に宿っているのがメデューサの首であることがわかっているではありませんか。わたしがメデューサの首を孕(はら)んでいるということをわたしに言いたくないので、勝手にそんな病気の名前を拵(こしら)えて、わたしをごまかそうとなさるのでしょう。どうか先生、本当のことをおっしゃってください」

 彼女はまったく真面目でした。わたしはむしろ呆(あき)れるよりも気の毒になってきました。いったい、どうして彼女はそうした頑固な妄想を得たのであろうか。素人として自分の腹壁の血管を見ただけで、はたしてメデューサの首だと連想し得るものであろうか。いやいや、これには必ず何か深い理由(わけ)があるに違いない。彼女のこの妄想を除くには、まずその原因を知らねばならない。こう考えてわたしは、

「いったい、あなたはなぜメデューサの首を妊娠したのだと信ずるのですか。人間がそんな怪物を孕むということは絶対にあり得ないではありませぬか」

 と訊ねました。

 これを聞くと彼女は悲しそうな表情をしました。

「ああ、先生はちっとも、わたしに同情してくださらない。昔、中国の何とかいう女は鉄の柱によりかかって鉄の玉を妊娠して産み落としたというではありませぬか。わたしにも、メデューサの首を妊娠するだけの立派な理由があるのです」

「それはどういう理由ですか」

「では先生、一通りわたしの身の上話をしますから聞いてください。わたしはもと奇術師の△△一座に雇われていた女優でした。わたしの孤児であるということが、そうした運命にわたしを導いたのですが、ほかの人たちと違って身持ちがよかったために少しばかりのお金を貯(た)めることができました。ああいう社会へ入ると、とかく堕落しやすいのですが、わたしには生まれつきの妙な癖があって今日まで処女を保つことができたのです。その妙な癖というのは、さあ、なんといってよいのでしょう。先生はむろん、ギリシャ神話の中のナーシッサスの伝説をご承知でしょう。ナーシッサスが双子の妹を失って、悲しみのあまりある日泉を覗(のぞ)くと自分の姿が映り、それを妹だと思って懐かしんだというあの悲しい話を。わたしはちょうどナーシッサスが自分の身体に愛着の念を起こしたように、われとわが身体に愛着の念を起こすのでした。わたしの朋輩(ほうばい)たちが、恋だの男だのと騒いでいるのに、わたし一人は自分自身を恋人として男を近づけるのをかえって恐ろしく思いました。男を近づけて、その男のためにわたし自身の恋人、すなわち自分の身体を奪われることが惜しかったからです。わたしはいつも一人きりになると、鏡の前に坐(すわ)ってじっと、その奥にあるわたしの身体を見つめました。肩のあたりから、胸へかけての柔らかい曲線がいうにいえぬほど懐かしみを覚えさせて、思わずも鏡に接吻(せっぷん)するのが常でした。といって、わたしは肉体的・生理的に不具なところはありませんが、異性に対しては何の感じも起きませんでした。わたしの美貌(びぼう)――自分で言うのは変ですけれど――を慕って、わたしに近づいてくる男はかなりに沢山ありましたけれど、わたしはただ冷笑をもって迎えるばかりでした。手を握らせることさえわたしは許しませんでした。たまたま他人の身体がわたしの身体に偶然触れるようなことがあっても、わたしは自分の身体に対して、激しい嫉妬(しっと)を感じました。わたしは自分の容色を誇りました。しかし、それはただ自分の心を満足させるためでありまして、わたしは自分自身のためにわたしの容色が永遠に衰えないことを祈ったのであります。

 ところが、いまから一年ばかり前に、わたしは神経衰弱にかかって一座を引退し、×××温泉にまいりました。それはちょうど夏のことでしたが、山中のこととていたって涼しく、わたしの宿は避暑客で賑わっておりました。一月ばかり滞在するうちに、すっかり神経衰弱はよくなり、わたしの身体には肉がついてきましていっそう美しくなり、したがって毎日鏡の前で過ごす時間がかなりに長くなりました。いま申し上げたような理由で、他人に顔を合わすのがなんとなく厭であったので、特別室の湯に入るほかは部屋の中へ引っ込み勝ちにしておりましたが、そうすると他人の好奇心を刺戟(しげき)するとみえて、わたしを見たがる人が滞在客の中にもかなりに沢山ありました。

 部屋の中に引っ込み勝ちにしていた関係上、わたしは盛んに読書をしました。なかにもわたしはギリシャ神話を好みました。ところがある暑い日の午後、湯に入って紅茶を飲み、例のごとく神話の書物を開いてちょうどゴーゴンの伝説を読んでいますと、常になくしきりに眠けを催し、書物を開いたまま眠りました。すると、わたしは恐ろしい夢を見たのであります。夢の中でわたしがパーシュース(ペルセウス=ギリシャ神話の英雄)となってメデューサの首を切り落とすと、その恐ろしい首がわたしのお腹へ飛び込みました。はっと思ってわたしが跳ね起きますと、なんだか頭が重くて、時計を見ると三時間も寝たことがわかりましたので、びっくりして鏡に向かって髪を梳(と)きつけ、例のごとく裸になりますと、その時わたしは思わずもひやっという叫び声を上げました。わたしのお腹の上いっぱいに、メデューサの首がありありと現れているではありませんか。わたしは夢の中のことを思い、この不思議な現象を見て、生まれて初めての大きな驚きを感じました。わたしは一時気が遠くなるように覚えましたが、よくよくお腹を見ると、メデューサの首は墨で描かれたものでありまして、手に唾(つば)をつけてその上を擦(こす)るとよく消えましたから、わたしはさっそく手拭(てぬぐい)に湯を浸(し)ませてお腹の上に描かれたメデューサの首を拭い取ってしまいました。

 それからわたしが冷静になって考えますと、たしかにだれかが催眠剤によってわたしを眠らせ、メデューサの首の悪戯書きをしたに違いないと思いました。わたしは悪戯そのものよりも、他人がわたしの肉体に触れたということにいっそう腹が立ちました。それと同時にわたしは、メデューサの首がわたしの身体の中に飛び込んだという夢が正夢に思えて、身震いを禁ずることができませんでした。

 わたしは悪戯をした人間を憎みましたけれど、事を荒立てて穿鑿(せんさく)することを好みませんでした。で、わたしはそうそうその宿を引き払って東京に帰りましたが、メデューサの首がわたしの身体に飛び込んだという夢と、墨の線でお腹いっぱいに描かれたメデューサの首の印象とが、いつまでも消えないばかりか、日を経てますますそれがはっきりわたしの心に浮かびました。うねうねとした線で表された蛇の姿が、鏡を見るたびごとにお腹の上に幻覚として現れ、のちには鏡を見ることさえ恐ろしくなってきました。

 東京へ帰った当座はなんともありませんでしたが、二月ほど過ぎると身体に異常を覚えました。だんだん身体が痩(や)せていくような気がして息切れがはげしく、月経が止まりました。月経が止まると同時に、わたしのお腹が少しく膨らんできたように思われました。わたしはもしやメデューサの首を夢通りに妊娠したのではないかと思って、心配が日に日に増していきましたが、とうとうわたしの心配が現実となって現れました。

 ある日わたしが鏡に向かって膨らんだお腹をよく見ますと、皮膚の下にかすかに蛇のうねりが見えるではありませんか。いよいよメデューサの首がお腹に宿ったのだ! こう思うとわたしは気が違うかと思うほどびっくりしました。それからというもの、来る日も来る日も、わたしがいかに苦しい思いをしたかは先生にもお察しがつくだろうと思います。わたしはだんだん痩せました。肩から胸へかけての美しい曲線は見苦しく変化しました。メデューサの首のために、わたしの恋人すなわちわたしの身体が破壊されるかと思うと、どうにも我慢ができなくなって、ついにこうして先生のもとにお伺いしたわけでございます。先生、これでもまだ、先生はわたしがメデューサの首を孕んだのではないとおっしゃいますか」

 わたしはこの話を聞いて、なんと答えてよいか迷いました。わたしはもはや彼女に反抗する勇気がなくなってしまいました。

「それについて、先生にお願いがあるのです」

 と、彼女はいっそう力を込めて語りつづけました。

「わたしは今日までどうにか辛抱してきましたが、もうこれ以上メデューサの首のために、わたしの肉体の破壊されるのを許すことができなくなりました。ですからわたしの腹を断ち割って、メデューサの首を取り出していただきたいと思います。ね、先生、どうか気の毒だと思いになったら、わたしの願いを聞いてください」

 わたしはぎくりとしました。この恐ろしい難題にぶつかってわたしははげしい狼狽(ろうばい)を感じました。わたしはむしろこの場から逃げ出してしまおうかと思ったくらいでした。すると、わたしの狼狽を見て取った彼女は、

「先生、先生はたぶん、わたしのような妙な癖を持った者が、平気で他人に身を任せて手術を受けることを不審に思いになるでしょう。けれども、自分の容色の美を保つためならば、わたしはあらゆることを忍びます。メデューサの首を取り出してしまえば、わたしの容色を取り返すことができます。その喜びを思えばどんな犠牲でも払うのです。ね、先生、潔く手術を引き受けてください」

 わたしはなんとなく一種の威圧を感じました。とその時、わたしにある考えが電光のように閃(ひらめ)きました。そうだ、この女の腹水を去らせ、血液の循環をよくしさえすれば、それでメデューサの首も取れることになるのではないか。いっそ潔く手術を引き受けて肝臓硬変症に対する手術を行ってやろう。こう思うと、わたしは肩の荷を下ろしたような気持ちになりました。だが、この衰弱した身体がはたして手術に堪えるであろうか。

「よろしい。手術はしてあげましょう。しかし、あなたはたいへん衰弱しておいでになりますから、はたして手術に堪えることができるか、それが心配です」

「手術してもらって死ぬのなら本望です」

 と、彼女は言下に答えました。

「手術してもらわねば、しまいにはメデューサの首にこの身体を奪(と)られてしまうのですから、一日も早く、わたしのいわば恋敵ともいうべき怪物を取り除いてしまいたいのです」

「よくわかりました。それでは明日手術しましょう」

 と、わたしは答えました。

 翌日の午前に、わたしは手術を行うことに決心しました。わたしはその場合きっぱり引き受けたものの、とうてい彼女の容体では麻酔と出血には堪え得ないだろうと思って不安の念に駆られました。で、その晩はいろいろなことを考えて充分熟睡することができませんでした。

 いよいよ当日が来ました。わたしが手術前に彼女を訪ねますと、彼女は昨日とは打って変わった力のない声をして言いました。

「先生、弱い人間だとお笑いになるかもしれませんが、もし手術で死ぬようなことがあるといけませんから、わたしの死後のことをお願いしておきたいと思います。わたしの少しばかりのお金の処分は先生にお任せしますが、わたしの死骸(しがい)についてはわたしの申し上げるとおり処置していただきたいと思います。わたしがもし助かりましたならば、取り出していただいたメデューサの首を自分で焼いて眺めたいと思いますが、もし死んだ場合には、わたしの身体とともに焼いて、その燃えてなくなる姿をわたしに代わって先生に眺めていただきたいと思います」

 これを聞いて、わたしは言うに言えぬ恐怖を覚えました。もし手術が無事に済んで、麻酔から醒(さ)めたのちメデューサの首を見せてくれと言われたらどうしようかと考えました。いっそ彼女が手術中に死んでくれたほうが……というような考えさえ起こってきました。

「それに先生、実を言うと、わたしはまだもう一つ心に願っていることがあるのです。それは温泉宿でわたしのお腹に悪戯書きをした人間を捜し出し、思う存分復讐(ふくしゅう)してやりたいということです。しかし、それがだれであるかはもとよりわかりません。が、もしわたしが死にましたら、きっと復讐ができると思うのです。魂はどんなむずかしいことでもするということですから」

 わたしはそれを聞くと、ひょろひょろと倒れるかと思うほどの恐怖を感じました。なんという戦慄(せんりつ)すべき女の一念であろう。

「復讐といって、どんなことをするのですか」

 と、わたしが思わずも訊ね返しました。

「魂だけになったら、その人間に一生涯しがみついてやるのです」

 わたしはなんだか息苦しくなってきたので、

「よろしい、万事あなたの希望通りにします。しかし、死ぬというようなことは決してないと思います」

 こう言ってわたしは、彼女の病室を出て手術の準備をいたしました。

 ところが、わたしの予想は悲しくも裏切られ、彼女の心臓は麻酔にさえ堪え得ないで、手術を始めて五分経(た)たぬうちに死んでしまいました。こう言ってしまうとすこぶる簡単ですけれど、わたしがその間にいかに狼狽し、苦悶し、悲痛な思いをしたかは、あなたがたのお察しに任せておきます。

 かくて、彼女は自分の妄想の犠牲となって死んでいきました。もっとも、どうせ長くは生きることのできぬ身体でしたから、あえて、わたしが殺したとは言えませぬけれど、わたしにはどうしても、彼女の死に責任があるような気がしてなりませんでした。

 わたしは彼女の冷たくなった死骸を眺めて、彼女が生前に言った恐ろしい言葉を思い出してぎょっとしました。彼女ははたして、魂となって彼女のお腹にメデューサの首を描いた人間にしがみついているのであろうか。

 わたしはそれから、彼女の希望通りに××火葬場へ彼女の死骸を運んで、焼いてもらうことにしました。

 いよいよ彼女が煉瓦造(れんがづく)りの狭い一室に入れられて焼かれはじめたとき、わたしは恐ろしくはありましたけれど、約束通り彼女の焼ける姿を眺めることにしました。いやわたしは、なんとなく眺めずにはいられないような衝動に駆られたのです。

 いまから思えば、わたしはそれを見ないほうがよかったのです。といって、別に超自然的な出来事が起こったわけではありません。それはきわめて平凡な、当たり前のことでしたが、わたしのいやが上にも昂奮(こうふん)せしめられた心は、彼女の焼ける姿に恐ろしい妄覚を起こしたのです。

 彼女は身体じゅう一面に紅(あか)い焔(ほのお)に舐(な)められておりました。ところが、その焔の一つ一つが紅い蛇に見えたのです。いわば彼女の全体の燃えている姿が、一個の大きなメデューサの首に見えたのです。そうして幾筋とも知れぬ焔の蛇が、わたしが鉄窓から覗いたときにいっせいにわたしのはうにのめりかかってくるように思いました。

 あっと思ったが最後、わたしはその場に卒倒してしまいました。

 お話というのはこれだけですけれど、最後にぜひお耳に入れておかねばならぬ大切なことがあります。もはやお察しになったかもしれませんが、実は彼女のお腹ヘメデューサの首の悪戯書きをしたのは、かく申すわたし自身だったのです。わたしは卒業試験準備をするために、×××温泉へ行って彼女と同じ宿に泊まり合わせました。彼女は不思議な女として宿の人たちの評判となっていました。わたしは好奇心に駆られて彼女の様子をうかがっているうちに、彼女が一種の変態性欲、すなわちナルシシズムを持っていることを発見しました。そこで持ち前の悪戯気を起こして、彼女の肉体に墨絵を描いて驚かしてやろうと決心し、機会を狙(ねら)っていました。で、ある日、彼女が湯へ行ったあとでそっと彼女の部屋へ入って、紅茶の土瓶の中へ催眠剤を入れておくと、はたして彼女は紅茶を飲み、間もなく眠りました。そこでわたしは、硯箱(すずりばこ)を持って彼女に近寄り、何を描こうかと思ってふと傍らを見ると、ギリシャ神話の本が開いたままになり、メデューサの首の絵が出ておりましたので、これ究竟(くっきょう)と、それを描いてそっと忍び出たのであります。あくる日彼女が宿を去りましたので、さては自分の悪戯のためかと少しは気になりましたが、そのまま忘れておりました。ところが偶然にも、開業してからただいまお話ししたように彼女の訪問を受け、そうしてあの恐ろしい経験をしたのであります。すべてが偶然の集合でありながら、わたしはなんとなく彼女の死に関係があるように思い、焼場で卒倒してから一時頭がぼんやりしましたので、とうとう医業を廃することになりました。これというのも彼女の執念のせいかもしれません。ことによると、彼女の魂がいまもなおわたしの身体にしがみついているかもしれません。

 だからわたしは、若い女の身体に落書きをすると、意外な悲劇が起こらないとも限らぬと申し上げたのです。

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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)

메두사의 머리(メューサの首)

고사카이 후보쿠 (小酒井 不木) (1926)

번역 : 홍성필


T의과대학 4학년 여름 방학에 우리는 졸업시험을 위해 친구인 마치다(町田)와 함께 둘이서 이즈산(伊豆山)에 있는 S여관에 갔습니다. 6월 말이었기에 피서객도 아직 그리 많지 않았으므로, 공부하기에는 매우 좋았으나, 공부는 명분만 그럴 뿐, 저희들은 신나게 놀고 말았습니다.

동양에서 최고라고 하는 센닌(千人)온천을 단둘이서 독점하고 헤엄치거나 삼대온천폭포를 맞기도 하였으며, 철도가 보이는 방에서 당구를 치거나, 돌멩이만 수두룩한 해안을 걸으며 모래 없는 것을 개탄하기도 하고, 아니면 방안에서 하츠시마(初島)를 멍하니 바라보거나, 오징어만 먹은 탓에 설사를 하거나, 때로는 많은 돌계단을 올라 이즈산 신사를 참배하고, 또 어떤 때는 아타미(熱海)까지 달밝은 밤길을 산책하곤 하면서 눈 깜짝할 사이에 며칠이 흘렀습니다.

이것저것 하는 사이에 저희는 당구장에서 한 젊은 여인과 친해졌습니다. 그녀는 고도의 신경쇠약에 걸려, 여기 S여관에서 요양 중인 동경의 Y라고 하는 부유한 집 외동아들을 돌보고 있는 간호사였습니다. 아들은 거실에서 나오지 않았으나, 그녀는 매우 쾌활하여 벌써 3개월이나 머물고 있다면서 여관도 아무런 거리낌 없이 돌아다녔으며, 조금 지나자 저희들 방에도 자연스럽게 들어와 오랜 시간동안 부질없는 세상 이야기나 하고 나갔습니다.

그녀는 카드게임을 좋아했기에 저희들은 종종 게임을 하고, 진 쪽이 얼굴이나 몸에 먹을 칠하기로 하였습니다. 그러므로 대개 마지막에는 셋 모두 기이한 몰골을 하고 물속으로 뛰어들었습니다. 후에 저희들은 그녀의 몸에 뱀이나 개구리 같은 징그러운 것도 그리거나, 또는 합죽이 가면 같은 것을 그려 놀고 있었습니다. 그러나 손님이 그리 많지 않았기에, 저희들은 서로 몸에 잔뜩 낙서를 당해도 아무렇지 않게 탕으로 들어갔습니다. 한 번 온천 폭포를 몇 번 맞으면 아무리 심한 낙서라도 깨끗이 씻겨 내려갔습니다.

어느 날 오후, 저희들 셋이 여느 때와 같이 온몸을 괴물 같은 먹그림으로 범벅을 하고 웃으면서 온천으로 들어오자, 한 50세 정도의 백발을 한 동안(童顔)신사가 센닌온천에 들어와 있었습니다. 항상 대부분의 손님들은 저희들이 장난 친 모습을 보고는 웃음을 터뜨렸으나 이 신사는 이와 같은 장난을 좋아하지 않는 듯, 간호사의 가슴에 그려진 ‘게’ 그림을 보자 깜짝 놀란 얼굴로 고개를 돌렸습니다. 그러나 간호사는 눈치를 채지 못한 듯 여전히 밝게 웃으며 욕탕 안으로 들어갔으나, 마치다와 저는 조금 이상한 기분이 들어 서로 마주보고는 따라 들어갔습니다.

그것을 끝으로 저희들은 그 신사에 대해 잊고 말았습니다. 그러나 저녁식사가 끝나고 저희들 둘은 이즈산 신사 계단을 오르려 하자, 그 신사가 위에서 내려오고 있었습니다. 신사는 온천에서 보았던 모습과는 전혀 다른, 지나치게 친근한 태도로 말을 걸어 왔습니다.

“당신들은 벌써 오랫동안 계신가요?”

라고 물었습니다.

“아뇨, 아직 열흘 정도밖에 안 됐습니다.”

라고 제가 말하자,

“저는 방금 전 오후에 도착했습니다.”

그때 바다 쪽에서 갑자기 차가운 바람이 거세게 불어오고는 하나 둘 굵은 빗방울이 떨어지기 시작하여 왠지 금세 빗줄기가 굵어질 것 같았으므로, 저희들은 신사에 가는 것을 그만두고 신사와 함께 서둘러 S여관으로 돌아왔습니다.

“어떠세요? 제 방으로 오시지 않겠습니까?”

라고 신사가 말했으므로 저희들은 편안한 마음으로 바다 쪽 신사 방으로 들어갔습니다. 그 때 빗줄기는 물보라를 칠 정도로 큰 비가 내려 하츠시마 부근은 이미 아무 것도 보이지 않았고 날은 점점 어둑어둑해져갔습니다.

저희들은 열어 제친 미닫이 문턱에 걸터앉아 이런저런 이야기를 하고 있었는데, 불현듯 신사는 진지한 표정으로,

“오늘 함께 목욕탕에 들어오신 여성은 가까운 분이신가요?”

라고 물었습니다.

저희들은 그 간호사에 대해 알고 있는 점만을 말하고, 그리고 카드게임에서 진 쪽한테 그런 낙서를 한다고 설명했습니다.

그러자 신사는 웃을 줄 알았더니 어두운 가운데에도 알아볼 정도로 진지한 표정을 지으며 잠시 동안 말없이 생각에 잠겨있었습니다.

저는 조금 자리가 불편해져서 마치다와 얼굴을 마주보고는 비가 쏟아지는 바다 위로 시선을 돌렸습니다. 그 때 신사는 갑자기,

“이런 말을 하면 이상하게 생각할지 모르겠지만, 아무리 농담이라고 해도 젊은 여인의 몸에 그림 같은 것을 그려서는 안 됩니다.”

라고 말했습니다.

신사 목소리가 무척 심각했기에 저희들은 자신도 모르게 얼굴을 뚫어지게 쳐다보았습니다.

“그건 왜죠?”

라고 마치다가 물었습니다.

신사는 또다시 입을 다물고 있었으나, 짧은 한 숨을 내쉬고는,

“잘못하면 뜻밖의 비극이 일어날지도 모르기 때문입니다.”

라고 말했습니다.

저희들은 조금 섬뜩했습니다. 그때 습한 바람이 불어와, 여름인데도 소름이 끼쳤습니다. 도대체 이 신사는 누구일까. 왜 이런 기분 나쁜 소리를 하는 것일까. 여자 몸에 그림을 그리면 왜 뜻밖의 비극이 일어난단 말인가. 이와 같은 의문이 떠오름과 동시에, 제 마음속에는 일종의 호기심이 점점 생겨났습니다. 이 신사는 분명 어떤 색다른 경험을 한 일이 있을 거야. 이런 생각이 들자 저는 그 자초지정을 꼭 들어보고 싶었습니다. 마치다도 마침 저와 같은 심정이었는지,

“뜻밖의 비극이라는 건 어떤 걸 말씀하시는 거죠?”

라고 물었습니다.

그러자 신사는,

“아뇨. 이런 묘한 말을 하면 아마도 여러분들께서는 이상하게 생각하시겠죠. 사실 저 자신의 경험에서 말씀드린 건데, 말을 꺼낸 이상 처음부터 제 경험을 말씀드리도록 하지요.”

그렇게 말하고 다음과 같은 말을 했습니다. 그 때 주변은 이미 어둠에 휩싸였으나 신사는 불을 켜려고 하지도 않았습니다.

저는 지금까지 아무 일도 안 하고 이렇게 놀고 있지만, 사실은 여러분들 선배입니다. 메이지 xx년에 T의과대학을 졸업하고 산부인과 교실에 6개월 정도 신세를 지고, 부모님의 희망에 따라 매우 미숙한 재주를 가졌음에도 니혼바지(日本橋) K동에 병원을 세워 진찰에 종사했습니다. 저도 학창시절에는 여러분들처럼 자주 온천을 다니며 공부하곤 했기에, 역시 졸업시험 전인 여름방학 때는 어떤 온천에서 지냈습니다. 저도 매우 장난기 많고 무척이나 낙천적인 사람이었으나, 개업하자 곧바로 부모님이 돌아가셨다는 점과, 어떤 입원환자에 대해 기괴한 경험을 한 후, 의학이라는 것이 싫어져, 다행이 저 혼자 먹고 살만한 자산은 있었기에 개업 후 6개월 만에 병원 문을 닫고 결혼도 하지 않은 채 계속 홀몸으로 놀며 살아온 것입니다. 본래 인간으로서 놀고먹는 일만큼 큰 죄도 없다는 것을 알긴 하지만, 도저히 두 번 다시 의사를 할 용기가 안 나기에 이렇게 멋대로 돌아다니며 유람하는 수밖에 없습니다.

그럼 이야기를 제가 개업했던 당시로 돌아갑시다. 어느 날 제 병원으로 27~28세 정도 되는 배가 부른 한 환자가 진찰을 받으러 왔습니다. 저는 그녀를 보자마자 어딘가에서 예전에 본 적이 있다고 생각했습니다. 그리고 그녀의 매우 여윈, 그러나 무척이나 아름다운 얼굴을 바라보며 어딘지 모르게 소름이 돋았습니다. 그녀는 자기 배가 불러와서 진찰을 받으러 왔으나, 진단을 해보자 이는 임신이 아니라 간장견변증(肝臟硬變症), 즉 배가 나온 것은 복수(腹水) 때문이었으며, 황달은 확인하지 못했으나 복벽에는 ‘메두사의 머리’ 징후가 뚜렷하게 나타나 있었습니다. 여러분들은 이미 배웠으니 설명할 것도 없겠지만, 메두사란 물론 그리스 신화에서 고곤(Gorgon) 전설에 나오는 괴물이며, 그 머리카락이 뱀이라고 합니다. 간장경변증의 경우에는 간장 혈관에 압박당하기에 반대로 복벽 정맥이 부어올라 피부를 통해 뱀이 꿈틀거리는 것처럼 보여, 그 정맥이 배꼽 부위를 중심으로 해서 사방으로 뻗어가는 모습이 메두사의 머리를 꼭대기에서 보는 것처럼 생겼기에 메두사의 머리라고 이름이 붙은 것이죠. 뭐라고요? 강의 때 이런 말을 듣지 못하셨다고요? 그렇다면 제가 착각했나요. 아무튼 좋습니다. 여하튼 잔강경변로 인하여 복수가 찬 환자의 복벽을 잘 보세요. 그리스 신화를 읽은 적이 있는 사람이라면 분명 환자 뱃속에 메두사의 머리가 들어있는 것처럼 보일 것입니다.

그런데 간장경변증은 좀처럼 치료되지 않습니다. 복수를 빼내면 환자는 일시적으로 몸이 가벼워지기는 하지만, 다시 물지 차 와서, 결국 점점 무거워지고는 사망하고 맙니다. 그러나 혈관이 압박되기 때문에 물이 차는 것이므로, 혈액순환을 잘 해주기 위해 수술을 통해 복내혈관과 복벽혈관을 연결해주면 환자의 수명을 연장시킬 수 있습니다. 네? 이걸 타르마씨 수술이라고 한다고요? 글쎄요. 제가 있을 때에는 그런 이름이 있었는지 잘 기억이 안 나지만, 만약 그 타르마 씨라는 사람이 발견하기 전에 제가 그와 같은 수술을 배웠다면, 그것을 가르쳐준 △△교수는 실로 대단한 학자일 것입니다. 아무튼 설령 그 수술을 했다 하더라도 근본적으로 간장경변 환자를 살리기는 힘들므로 제가 그 여성을 진찰하고는 막막한 심정이었습니다.

그러자 그녀는 걱정스러운 제 얼굴을 보고서,

“선생님, 임신이죠?”

라고 물었습니다. 저는 이것을 듣고, 자신도 모르게

“아니요. 그렇지 않습니다.”

라고 분명히 대답했습니다.

그녀는 잠시 동안 가만히 제 얼굴을 보고 있었으나,

“선생님, 사실을 말씀해주세요.”

라고 피로에 지친 눈으로 말했습니다.

“정말입니다. 임신은 아닙니다.”

저는 이렇게 대답하면서도 만약 그녀가 임신이었다면 얼마나 마음이 편했을까 하는 생각을 하지 않을 수 없었습니다. 그리고 저는 그때 그녀에게 간장경변증이라고 말을 해줄 용기가 도저히 나지 않았습니다. 제가 속으로 크게 고민하고 있는 모습을 보고 그녀는 말했습니다.

“선생님, 제발 제 배를 봐 주세요. 선생님은 제 뱃속에 들어 있는 끔찍한 괴물 머리가 안 보이시나요?”

“네?”

저는 온몸에 찬물이라도 끼얹은 것 같아 되물었습니다. 그녀는 ‘메두사의 머리’를 알고 있다고 생각하자 저는 왠지 아픈 곳을 찔린 것만 같았습니다.

“선생님.”

그녀는 진찰용 침대 위에 여전히 누운 채로 제 얼굴을 뚫어지듯 바라보며 말했습니다.

“제 뱃속에는 분명 끔찍한 괴물이 있습니다. 선생님께서는 그리스 신화에 나오는 메두사의 머리를 알고 계시지요? 제 뱃속에는 메두사의 머리가 있어요. 선생님, 자세히 봐주세요. 메두사 머리카락인 뱀들이 제 피부 밑에서 꿈틀거리는 게 보이시죠? 어때요? 움직이잖아요.”

저는 이 말을 듣고 난감한 환자가 찾아왔다는 사실을 슬퍼했습니다. 그녀는 분명 착란증세가 있었으며 질병으로 인한 고통 때문에 정신이 이상해졌다고 생각하면서도 그녀의 말에 조금도 광인과도 같은 점이 없다는 사실을 이상하게 여겼습니다. 아마도 강한 신경성이며, 그리고 뱃속에 있는 피하혈관의 모습과 커진 배를 보고 메두사의 머리를 임신했다며 착각한다고 생각했습니다. 그러나 그녀가 메두사의 머리라고 생각하고 있는 것은 그녀가 간장경변증이라는 설명을 하기에 좋았으며, 또한 그녀의 망상을 반박할 만했기에 아예 이 자리에서 그녀의 질병에 대해 사실을 알려주는 편이 메두사의 머리를 임신했다는 망상 때문에 괴로워하는 것보다 행복할 것이라고 생각하여 저는 간장견변증에 의해 일어나는 증상을 자세하게 설명해주었습니다.

그러자 제 이 설명은 제가 예상했던 것과는 전혀 정반대의 결과를 초래했습니다. 즉, 그녀는 제 설명을 듣자,

“그것 봐요. 선생님도 제 뱃속에 있는 걸 메두사의 머리라고 알고 계시잖아요. 제 뱃속에 메두사의 머리가 들어앉아 있다는 사실을 제게 말하기 싫어서 선생님 멋대로 그런 병명을 만들고는 저를 속이려 하는 거죠? 제발 선생님, 사실을 말해주세요.”

그녀는 매우 진지했습니다. 오히려 어이가 없다기보다는 가여워졌습니다. 대체 왜 그녀는 그와 같은 완고한 망상을 갖게 되었을까요. 초보자로서 자신의 배에 나타난 혈관을 보기만 했다면 과연 메두사의 머리라고 연상할 수 있을까. 아니, 여기에는 분명 무슨 깊은 이유가 있을 것이다. 그녀의 이 망상을 제거하기 위해서는 우선 그 원인을 알아야 한다. 이렇게 생각하고서 저는,

“도대체 당신은 왜 메두사의 머리를 임신했다고 믿는 거죠? 인간이 그런 괴물을 임신한다는 일은 절대 있을 수 없잖아요?”

이렇게 물었습니다.

이 말을 듣자 그녀는 슬픈 표정을 지었습니다.

“아아, 선생님은 전혀 저한테 동정을 안 해주시는군요. 옛날 중국에 뭐라고 하는 여자는 쇠기둥에 기댔더니 쇠구슬을 낳았다고 하잖아요. 저도 메두사의 머리를 임신할 만한 훌륭한 이유가 있어요.”

“그건 어떤 이유인가요?”

“그럼 선생님, 한 번 제가 신상을 말씀드릴 테니 들어주세요. 저는 본래 기술사(奇術師) △△서커스단에 고용된 배우였어요. 제가 고아였다는 점이 그와 같은 운명으로 이끌었는데, 다른 사람들과 달리 외모가 좋았기 때문에 다소 돈을 모을 수 있었습니다. 그런 사회에 들어가면 쉽게 타락하기 십상인데 저는 선천적으로 묘한 버릇이 있어 지금까지 처녀를 지켜올 수 있었어요. 그 묘한 버릇이란, 글쎄요, 어떻게 말씀드릴까요. 선생님은 물론 그리스 신화 속에 나오는 나르시스 전설을 알고 계시죠? 나르시스가 쌍둥이 여동생을 잃고 슬픈 나머지 어느 날 연못을 들여다보자 자신의 모습이 비추어, 그것을 여동생이라 생각하고 그리워했다는 그 슬픈 이야기를 말이에요. 저는 마치 나르시스가 자신의 몸에 애착을 느낀 것처럼 저 자신과 제 몸에 대해 애착을 느꼈어요. 제 친구들이 사랑이다, 남자다, 하고 난리를 피우고 있는데도 저는 혼자서 자기 자신을 연인으로 생각하고 있었으며, 그랬기에 남자를 가까이 한다는 것을 두렵게 생각했지요. 남자를 가까이 해서 그 남자 때문에 저 자신의 연인, 즉 제 몸이 빼앗기기 싫었기 때문이에요. 저는 항상 혼자 있을 때는 거울 앞에 앉아서는 가만히 그 속에 있는 저 자신의 몸을 바라보았습니다. 어깨에서부터 가슴까지 걸친 부드러운 곡선이 말로 표현할 수 없을 정도로 그리움을 느끼게 하여, 저도 모르게 거울에 대고 입을 맞추곤 했습니다. 그렇다고 제가 육체적이나 생리적으로 비정상인 곳은 없었지만 이성에 대해서는 아무 것도 느낄 수 없었지요. 제 미모 - 제가 말하는 것도 이상하지만 - 를 사모해서 제게 접근하는 남자들은 상당히 많았지만 저는 그저 냉소로써 대할 뿐이었습니다. 손을 잡는 것조차도 저는 용납하지 않았어요. 어쩌다가 다른 사람의 몸이 제 몸에 우연히 닿는 일이 생긴다면, 저는 제 몸에 대해서 극심한 질투를 느꼈습니다. 저는 자신의 외모가 자랑스러웠어요. 하지만 그건 단지 제 마음을 만족시키기 위했을 뿐이며 저는 자기 자신을 위해 제 외모가 영원히 쇠퇴하지지 않도록 기도했어요.

그런데 지금부터 1년 전에 저는 신경쇠약에 걸려 서커스단을 은퇴하고 XXX온천에 갔습니다. 그건 마침 여름 무렵이었는데 산속이라 매우 시원하고 제가 묵었던 곳은 피서객으로 붐볐습니다. 한 달쯤 머무는 동안 신경쇠약은 완전히 회복되어 제 몸에는 살이 붙어서 훨씬 아름다워졌으며, 따라서 매일 거울 앞에서 지내는 시간이 길어졌습니다. 지금까지 말씀드린 이유로 다른 사람을 만나는 일이 싫었으므로 개인용 목욕탕에 들어가는 것 외에는 방안에서 지냈는데, 그러자 다른 사람의 호기심을 자극했는지 저를 보고 싶어하는 사람이 투숙객 중에도 상당히 많았지요.

방안에서 주로 지냈으므로 자연히 저는 독서를 많이 했습니다. 그 중에서도 그리스 신화를 좋아했습니다. 그런데 어느 더운 날 오후, 목욕탕에 들어가 홍차를 마시고 여느 때와 같이 신화 책을 펼치고는 마침 고곤의 전설을 읽고 있었더니 평소답지 않게 졸음이 오기에 책을 펼쳐놓은 채로 잠이 들었습니다. 그러자 저는 무서운 꿈을 꿨어요. 꿈속에서 제가 페르세우스(그리스 신화의 영웅)가 되어 메두사의 머리를 잘라냈더니 그 끔찍한 머리가 제 배로 뛰어 들어왔습니다. 저는 깜짝 놀라 깨어보니 왠지 머리가 무겁고, 시계를 보자 3시간이나 잠을 잤었다는 것을 알았기에 놀라서 거울을 보고는 머리를 빗고, 여느 때처럼 옷을 모두 벗었더니, 그 때 저는 저도 모르게 꺄악하고 소리쳤습니다. 제 배 위에 가득히 메두사의 머리가 생생하게 나타나 있잖아요. 저는 꿈속을 생각하고 이 기이한 현상을 보고 태어나서 처음으로 크게 놀랐습니다. 저는 한때 정신을 잃을 뻔했습니다만 자세히 배를 보자 메두사의 머리는 먹으로 그려진 것이어서 손에 침을 묻히고는 그 위를 문질렀더니 잘 지워졌기에 저는 재빨리 수건에 따뜻한 물을 적시고는 배 위에 그려진 메두사의 머리를 닦아내었습니다.

그리고는 제가 차분하게 생각하자 분명 누군가가 수면제로 저를 잠이 들게 하고 메두사의 머리를 장난으로 그렸다고 생각했습니다. 저는 장난 그 자체보다도 누군가가 제 육체에 손을 댔다는 사실이 너무나도 화가 났습니다. 그와 동시에 저는 메두사의 머리가 제 몸속으로 뛰어들었다는 꿈이 정말로 일어날 것만 같아서 경악을 금치 못했습니다.

저는 장난을 친 사람을 증오했지만 소란을 피우며 찾아내기는 싫었습니다. 그래서 저는 서둘러 그 숙소를 나와 동경으로 돌아왔습니다만, 메두사의 머리가 제 몸속으로 뛰어들었다는 꿈과 먹으로 배 가득히 그려진 메두사의 머리에 대한 인상이 언제까지나 지워지지 않았을 뿐만 아니라, 날이 가면 갈수록 점점 더 선명하게 기억이 남았습니다. 꿈틀꿈틀 거리는 선으로 그려진 뱀 모습이 거울을 볼 때마다 배 위에 환각으로 나타나, 그 후에는 거울을 보는 일조차 무서워졌습니다.

동경으로 돌아왔을 당시에는 아무렇지도 않았는데, 두 달쯤이 지나자 몸에 이상이 나타나기 시작했어요. 점점 살이 빠지는 것 같고 숨이 차기 시작했으며 월경이 멈췄습니다. 월경이 멈춤과 동시에 제 배가 조금씩 부풀어 오르는 것 같았어요. 저는 설마 메두사의 머리를 꿈에서처럼 임신한 것이 아닐까 하고 걱정이 나날이 늘어만 갔었는데, 결국 제 걱정이 현실이 되어 나타났지요.

어느 날 제가 거울을 보고 부풀어 오른 배를 자세히 보자 피부 밑에 어렴풋이 꿈틀거리는 배가 보이잖아요. 정말 메두사 머리가 배로 들어온 것이에요! 이렇게 생각하자 저는 미쳐버릴 것만 같았어요. 그리고는 날마다 제가 얼마나 고통을 겪었는지 선생님도 상상이 가실 거예요. 메두사의 머리 때문에 제가 사랑하는 연인, 즉 제 몸이 파괴된다는 생각을 하자 안절부절 할 수 없어, 결국 이렇게 선생님을 찾아 온 겁니다. 선생님, 이래도 아직 제가 메두사의 머리를 임신한 게 아니라고 말씀하실 건가요?”

이 말을 듣고 어떻게 대답해야 할지 망설였습니다. 저는 이미 그녀에게 반항할 용기를 잃고 있었습니다.

“이것에 대해서 선생님께 부탁이 있어요.”

그녀는 한층 더 힘을 주며 말을 이어갔습니다.

“저는 오늘까지 어떻게 해서든 참아왔지만 더 이상 메두사의 머리 때문에 제 육체가 파괴되는 것을 용납할 수 없게 되었어요. 그러니까 제 배를 갈라 메두사의 머리를 꺼내주셨으면 좋겠습니다. 선생님, 제발 저를 불쌍히 여기신다면 제 부탁을 들어주세요.”

저는 놀랐습니다. 이 끔찍한 난제에 맞닥뜨린 저는 심하게 당황했습니다. 저는 오히려 그 자리에서 도망쳐버릴까 하고 생각했을 정도였습니다. 그러자 제가 당황하는 모습을 알아차린 그녀는,

“선생님. 선생님은 아마 저처럼 묘한 버릇을 가진 사람이 태연하게 몸을 남에게 맡기고 수술 받는다는 일을 이상하게 생각하시겠죠. 하지만 제 외모를 유지하기 위해서라면 저는 어떤 일이라도 참아낼 거예요. 메두사의 머리만 꺼내버리면 저는 외모를 되찾을 수 있어요. 그 기쁨을 생각한다면 어떤 희생이라도 치루겠습니다. 선생님, 흔쾌히 제 수술을 맡아 주세요.”

저는 어쩐지 일종의 위압감을 느꼈습니다. 마침 그 때 제게 어떤 생각이 불꽃처럼 번뜩였습니다. 그래, 이 여자의 복수를 빼내고 혈액순환을 잘 해주면 그것으로 메두사의 머리도 빼낼 수 있지 않는가. 아예 흔쾌히 수술을 맡아 간장경변증에 대한 수술을 해주자. 이렇게 생각하자 저는 어깨가 씬 가벼워지는 것 같았습니다. 하지만 이 쇠약한 몸이 과연 수술을 견뎌낼 수 있을지가 문제였습니다.

“알겠습니다. 수술은 해드리도록 하죠. 그러나 당신은 지금 매우 쇠약한 상태이시니 과연 수술을 견뎌낼 수 있을지가 걱정입니다.”

“수술을 받고 죽는다면 더 이상 바랄 것이 없습니다.”

그녀는 의연하게 말했습니다.

“수술을 안 받는다면 끝내는 메두사의 머리한테 이 몸을 빼앗기는 것이 되니, 하루라도 빨리 제 이른바 연적(戀敵)이라고 할 수 있는 괴물을 꺼내버리고 싶은 거예요.”

“알겠습니다. 그렇다면 내일 수술을 합시다.”

그러게 저는 대답했습니다.

다음 날 오전에 저는 수술을 하기로 결심했습니다. 저는 그 때 즉시 수락했지만, 도저히 그녀 몸으로는 마취와 출혈을 견딜 수 없을 것 같아 불안에 사로잡혔습니다. 그래서 그 날 밤 여러 가지 고민을 하느라 충분히 수면을 취하지 못했습니다.

드디어 날이 밝았습니다. 저는 수술 전에 그녀를 찾아가자, 그녀는 어제와 전혀 달리 힘없는 소리로 말했습니다.

“선생님, 나약한 사람이라고 웃을지는 모르겠지만, 만약 수술에서 죽는 일이 있으면 안 되니까 제가 죽은 다음의 일을 부탁드리려고 해요. 저의 얼마 안 되는 돈에 대한 처분은 선생님께 맡기겠지만, 제 시신에 대해서는 제가 말씀드리는 대로 처리해주세요. 제가 만약 살았다면 꺼내주신 메두사의 머리를 제가 불태우며 바라보고 싶지만, 만약 죽은 경우에는 제 몸과 함께 불에 태워, 그리고 그 불에 타서 없어지는 제 모습을 저 대신 선생님이 봐주셨으면 해요.”

이 말을 듣고 저는 말할 수 없는 공포를 느꼈습니다. 만약 수술이 무사히 끝나고 마취에서 깨어난 뒤 메두사의 머리를 보여 달라고 하면 어떻게 할까 고민했습니다. 아예 그녀가 수술 중에 사망하는 게……라는 생각마저도 들었습니다.

“그리고 선생님. 사실 저는 아직 하나 더 마음에 원하는 것이 있어요. 그건 온천여관에서 제 배에 낙서를 한 인간을 찾아내서 마음껏 복수하고 싶다는 거예요. 그것이 누구인지는 모르겠지만, 만약 제가 죽으면 분명 복수할 수 있을 거예요. 영혼은 아무리 어려운 일도 할 수 있다고 하니까요.”

저는 그 말을 듣고는 비틀비틀 쓰러질 정도로 공포에 떨었습니다. 얼마나 소름 끼치는 여자의 집념일까요.

“복수라니, 어떤 일을 하려고요?”

저도 모르게 되물었습니다.

“영혼이 되면 그 인간한테 평생토록 붙어 다닐 거예요.”

저는 왠지 숨이 막혀왔습니다.

“알았습니다. 모두 당신이 말씀하신 대로 하겠습니다. 하지만 죽는다는 일은 절대 없을 겁니다.”

이렇게 말하고 저는 그녀의 병실을 나와 수술준비를 했습니다.

그런데 제 예상은 안타깝게도 빗나갔으며, 그녀의 심장은 마취조차도 견디지 못하고 수술을 시작하고 5분도 지나지 않아 사망하고 말았습니다. 이렇게 말하면 매우 쉽게 들리겠지만, 제가 그 동안에 얼마나 당황하고 고민했으며 비통한 마음을 느꼈는지는 당신 상상에 맡기겠습니다.

그리하여 그녀는 자신의 망상의 희생이 되어 죽어갔습니다. 물론 어차피 오래 살 수는 없는 몸이었으니 제가 죽였다고는 할 수 없겠지만, 제게는 아무리 해도 그녀의 죽음에 대해 책임이 있는 것 같이 느껴집니다.

저는 그녀의 차가워진 시신을 바라보며, 그녀가 생전에 말한 끔찍한 말을 떠올리고는 놀랐습니다. 그녀는 역시 영혼이 되어 그녀 배에 메두사의 머리를 그린 사람에게 매달려 있을까.

저는 그로부터 그녀의 소원대로 XX화장터로 그녀의 시신을 옮기고는 화장을 하도록 했습니다.

드디어 그녀가 벽돌로 만들어진 화장터 한 곳에서 불에 타오르기 시작했을 때 저는 두려웠지만 약속대로 그녀가 불타는 모습을 지켜보기로 했습니다. 아니, 저는 지켜보지 않고서는 견딜 수 없는 충동에 사로잡혔습니다.

지금 생각하면 그것은 안 보는 편이 좋았습니다. 그렇다고 해서 무슨 초자연적인 일이 일어난 것은 아닙니다. 그것은 지극히 평범하고 당연한 일이지만, 제 마음이 흥분하지 않을 수 없었던 것은 그녀가 불타는 모습에서 무서운 환각을 일으킨 것입니다.

그녀는 온몸에 불길에 휩싸이고 있었습니다. 그런데 그 불길 하나하나가 붉은 뱀처럼 보인 것입니다. 말하자면 그녀의 불타는 몸 전체의 모습이 하나의 메두사의 머리처럼 보였던 것입니다. 그리고 몇 갈래인지도 모르는 수많은 불뱀들이, 제가 철창 틈사이로 바라보았을 때에는 한 번에 제가 있는 쪽으로 덤벼드는 것처럼 보였습니다.

“악”하고 비명을 질렀으나 그것을 끝으로 저는 그 자리에서 졸도하고 말았습니다.

이야기라는 것은 이것뿐이지만, 마지막에 꼭 한 번 말씀드려두어야 할 중요한 것이 있습니다. 이미 눈치를 채셨을 지도 모르겠으나, 사실 그녀의 배위에 메두사의 머리를 낙서한 것은 다른 사람도 아닌 저 자신이었던 것입니다. 저는 졸업시험 준비를 위해 XXX온천에 가서 그녀와 같은 여관에 묵었습니다. 그녀는 불가사의한 여자라고 여관 사람들한테 소문이 났었습니다. 저는 호기심 때문에 그녀의 모습을 보고 있는 동안, 그녀가 일종의 변태성욕, 말하자면 나르시시즘을 가지고 있다는 사실을 발견했습니다. 그래서 제 특유의 장난기가 발송하여 그녀의 몸에 먹그림을 그려 놀래주려고 결심하고는 기회를 노리고 있었습니다. 그러던 어느 날, 그녀가 목욕탕에 간 후, 몰래 그녀의 방으로 들어가 홍차가 든 물병에 수면제를 넣어두었더니, 역시 그녀는 홍차를 마시자마자 잠이 들었습니다. 그러고 난 후 저는 벼루상자를 들고 그녀에게 다가가서 무엇을 그릴까 하고 문득 옆을 보자 그리스 신화 책이 펼쳐진 채로 놓여 있어, 메두사의 머리가 그려져 있기에, 바로 이것이라며 그것을 그리고는 몰래 빠져나왔습니다. 다음 날 그녀가 여관을 떠났으므로 어쩌면 자신이 저지른 장난 때문인가 하고 마음에 걸렸으나 그대로 잊고 지냈습니다. 그런데 우연히도 개업을 한 후 바로 말씀드린 것처럼 그녀가 방문하고, 그리고 그와 같은 끔찍한 경험을 한 것입니다. 모두가 우연의 집합이면서도 저는 어쩐지 그녀의 죽음에 관계된 것처럼 느껴져 화장터에서 졸도하고는 한때 머리가 멍했으므로 결국 의사업을 폐하게 되었습니다. 이것도 모두 그녀의 집념 때문인지도 모릅니다. 어쩌면 그녀의 영혼이 지금도 계속 제 몸에 매달려있는지도 모릅니다.

그래서 저는 젊은 여성 몸에 낙서를 하면 뜻밖의 비극이 일어날 지도 모른다고 말씀드리는 것입니다.

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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)