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기우(奇遇)

아쿠타가와 류노스케 (芥川龍之介)(1921)

일본어 원문


支那(シナ)へ旅行するそうですね。南ですか? 北ですか?

小説家 南から北へ周(めぐ)るつもりです。

編輯者 準備はもう出来たのですか?

小説家 大抵(たいてい)出来ました。ただ読む筈だった紀行や地誌なぞが、未だに読み切れないのに弱っています。

編輯者 (気がなさそうに)そんな本が何冊もあるのですか?

小説家 存外ありますよ。日本人が書いたのでは、七十八日遊記、支那文明記、支那漫遊記、支那仏教遺物、支那風俗、支那人気質、燕山楚水(えんざんそすい)、蘇浙小観(そせつしょうかん)、北清(ほくしん)見聞録、長江(ちょうこう)十年、観光紀游、征塵録(せいじんろく)、満洲、巴蜀(はしょく)、湖南(こなん)、漢口(かんこう)、支那風韻記(しなふういんき)、支那――

編輯者 それをみんな読んだのですか?

小説家 何、まだ一冊も読まないのです。それから支那人が書いた本では、大清一統志(たいしんいっとうし)、燕都遊覧志(えんとゆうらんし)、長安客話(ちょうあんかくわ)、帝京(ていきょう)――

編輯者 いや、もう本の名は沢山です。

小説家 まだ西洋人が書いた本は、一冊も云わなかったと思いますが、――

編輯者 西洋人の書いた支那の本なぞには、どうせ碌(ろく)な物はないでしょう。それより小説は出発前(まえ)に、きっと書いて貰えるでしょうね。

小説家 (急に悄気(しょげ)る)さあ、とにかくその前には、書き上げるつもりでいるのですが、――

編輯者 一体何時(いつ)出発する予定ですか?

小説家 実は今日(きょう)出発する予定なのです。

編輯者 (驚いたように)今日ですか?

小説家 ええ、五時の急行に乗る筈なのです。

編輯者 するともう出発前には、半時間しかないじゃありませんか?

小説家 まあそう云う勘定(かんじょう)です。

編輯者 (腹を立てたように)では小説はどうなるのですか?

小説家 (いよいよ悄気(しょげ)る)僕もどうなるかと思っているのです。

編輯者 どうもそう無責任では困りますなあ。しかし何しろ半時間ばかりでは、急に書いても貰えないでしょうし、………

小説家 そうですね。ウェデキンドの芝居だと、この半時間ばかりの間(あいだ)にも、不遇の音楽家が飛びこんで来たり、どこかの奥さんが自殺したり、いろいろな事件が起るのですが、――御待ちなさいよ。事によると机の抽斗(ひきだし)に、まだ何か発表しない原稿があるかも知れません。

編輯者 そうすると非常に好都合ですが――

小説家 (机の抽斗を探しながら)論文ではいけないでしょうね。

編輯者 何と云う論文ですか?

小説家 「文芸に及ぼすジャアナリズムの害毒」と云うのです。

編輯者 そんな論文はいけません。

小説家 これはどうですか? まあ、体裁の上では小品(しょうひん)ですが、――

編輯者 「奇遇(きぐう)」と云う題ですね。どんな事を書いたのですか?

小説家 ちょいと読んで見ましょうか? 二十分ばかりかかれば読めますから、――


×          ×          ×


 至順(しじゅん)年間の事である。長江(ちょうこう)に臨んだ古金陵(こきんりょう)の地に、王生(おうせい)と云う青年があった。生れつき才力が豊な上に、容貌(ようぼう)もまた美しい。何でも奇俊(きしゅん)王家郎(おうかろう)と称されたと云うから、その風采(ふうさい)想うべしである。しかも年は二十(はたち)になったが、妻はまだ娶(めと)っていない。家は門地(もんち)も正しいし、親譲りの資産も相当にある。詩酒の風流を恣(ほしいまま)にするには、こんな都合(つごう)の好(い)い身分はない。

 実際また王生は、仲の好(い)い友人の趙生(ちょうせい)と一しょに、自由な生活を送っていた。戯(ぎ)を聴(き)きに行く事もある。博(はく)を打って暮らす事もある。あるいはまた一晩中、秦淮(しんわい)あたりの酒家(しゅか)の卓子(たくし)に、酒を飲み明かすことなぞもある。そう云う時には落着いた王生が、花磁盞(かじさん)を前にうっとりと、どこかの歌の声に聞き入っていると、陽気な趙生は酢蟹(すがに)を肴に、金華酒(きんかしゅ)の満(まん)を引きながら、盛んに妓品(ぎひん)なぞを論じ立てるのである。

 その王生がどう云う訳か、去年の秋以来忘れたように、ばったり痛飲を試みなくなった。いや、痛飲ばかりではない。吃喝嫖賭(きっかつひょうと)の道楽にも、全然遠のいてしまったのである。趙生を始め大勢の友人たちは、勿論この変化を不思議に思った。王生ももう道楽には、飽きたのかも知れないと云うものがある。いや、どこかに可愛い女が、出来たのだろうと云うものもある。が、肝腎(かんじん)の王生自身は、何度その訳を尋ねられても、ただ微笑を洩らすばかりで、何がどうしたとも返事をしない。

 そんな事が一年ほど続いた後(のち)、ある日趙生が久しぶりに、王生の家を訪れると、彼は昨夜(ゆうべ)作ったと云って、元(げんしんたい)の会真詩(かいしんし)三十韻(さんじゅういん)を出して見せた。詩は花やかな対句(ついく)の中に、絶えず嗟嘆(さたん)の意が洩らしてある。恋をしている青年でもなければ、こう云う詩はたとい一行(いちぎょう)でも、書く事が出来ないに違いない。趙生は詩稿を王生に返すと、狡猾(こうかつ)そうにちらりと相手を見ながら、

「君の鶯鶯(おうおう)はどこにいるのだ。」と云った。

「僕の鶯鶯(おうおう)? そんなものがあるものか。」

「嘘をつき給え。論より証拠はその指環じゃないか。」

 なるほど趙生(ちょうせい)が指さした几(つくえ)の上には、紫金碧甸(しこんへきでん)の指環が一つ、読みさした本の上に転がっている。指環の主は勿論男ではない。が、王生(おうせい)はそれを取り上げると、ちょいと顔を暗くしたが、しかし存外平然と、徐(おもむ)ろにこんな話をし出した。

「僕の鶯鶯なぞと云うものはない。が、僕の恋をしている女はある。僕が去年の秋以来、君たちと太白(たいはく)を挙げなくなったのは、確かにその女が出来たからだ。しかしその女と僕との関係は、君たちが想像しているような、ありふれた才子の情事ではない。こう云ったばかりでは何の事だか、勿論君にはのみこめないだろう。いや、のみこめないばかりなら好(い)いが、あるいは万事が嘘のような疑いを抱きたくなるかも知れない。それでは僕も不本意だから、この際君に一切の事情をすっかり打ち明けてしまおうと思う。退屈でもどうか一通り、その女の話を聞いてくれ給え。

「僕は君が知っている通り、松江(しょうこう)に田を持っている。そうして毎年秋になると、一年の年貢(ねんぐ)を取り立てるために、僕自身あそこへ下(くだ)って行く。所がちょうど去年の秋、やはり松江へ下った帰りに、舟が渭塘(いとう)のほとりまで来ると、柳や槐(えんじゅ)に囲まれながら、酒旗(しゅき)を出した家が一軒見える。朱塗りの欄干(らんかん)が画(えが)いたように、折れ曲っている容子(ようす)なぞでは、中々大きな構えらしい。そのまた欄干の続いた外には、紅い芙蓉(ふよう)が何十株(なんじっかぶ)も、川の水に影を落している。僕は喉(のど)が渇(かわ)いていたから、早速その酒旗の出ている家へ、舟をつけろと云いつけたものだ。

「さてそこへ上(あが)って見ると、案(あん)の定(じょう)家も手広ければ、主(あるじ)の翁(おきな)も卑しくない。その上酒は竹葉青(ちくようせい)、肴(さかな)は鱸(すずき)に蟹(かに)と云うのだから、僕の満足は察してくれ給え。実際僕は久しぶりに、旅愁(りょしゅう)も何も忘れながら、陶然(とうぜん)と盃(さかずき)を口にしていた。その内にふと気がつくと、誰(たれ)か一人幕の陰から、時々こちらを覗(のぞ)くものがある。が、僕はそちらを見るが早いか、すぐに幕の後(うしろ)へ隠れてしまう。そうして僕が眼を外(そ)らせば、じっとまたこちらを見つめている。何だか翡翠(ひすい)の簪(かんざし)や金の耳環(みみわ)が幕の間(あいだ)に、ちらめくような気がするが、確かにそうかどうか判然しない。現に一度なぞは玉のような顔が、ちらりとそこに見えたように思う。が、急にふり返ると、やはりただ幕ばかりが、懶(ものう)そうにだらりと下(さが)っている。そんな事を繰(く)り返している内に、僕はだんだん酒を飲むのが、妙につまらなくなって来たから、何枚かの銭(ぜに)を抛(ほう)り出すと、また舟へ帰って来た。

「ところがその晩舟の中に、独りうとうとと眠っていると、僕は夢にもう一度、あの酒旗の出ている家(うち)へ行った。昼来た時には知らなかったが、家(うち)には門が何重(なんじゅう)もある、その門を皆通り抜けた、一番奥まった家(いえ)の後(うしろ)に、小さな綉閣(しゅうかく)が一軒見える。その前には見事な葡萄棚(ぶどうだな)があり、葡萄棚の下には石を畳(たた)んだ、一丈ばかりの泉水がある。僕はその池のほとりへ来た時、水の中の金魚が月の光に、はっきり数えられたのも覚えている。池の左右に植わっているのは、二株(ふたかぶ)とも垂糸檜(すいしかい)に違いない。それからまた墻(しょう)に寄せては、翠柏(すいはく)の屏(へい)が結んである。その下にあるのは天工のように、石を積んだ築山(つきやま)である。築山の草はことごとく金糸線綉(きんしせんしゅうとん)の属(ぞく)ばかりだから、この頃のうそ寒(さむ)にも凋(しお)れていない。窓の間には彫花(ちょうか)の籠(かご)に、緑色の鸚鵡(おうむ)が飼ってある。その鸚鵡が僕を見ると、「今晩は」と云ったのも忘れられない。軒の下には宙に吊(つ)った、小さな木鶴(もっかく)の一双(ひとつが)いが、煙の立つ線香を啣(くわ)えている。窓の中を覗いて見ると、几(つくえ)の上の古銅瓶(こどうへい)に、孔雀(くじゃく)の尾が何本も挿(さ)してある。その側にある筆硯類(ひっけんるい)は、いずれも清楚(せいそ)と云うほかはない。と思うとまた人を待つように、碧玉の簫(しょう)などもかかっている。壁には四幅(しふく)の金花箋(きんかせん)を貼って、その上に詩が題してある。詩体はどうも蘇東坡(そとうば)の四時(しじ)の詞(し)に傚(なら)ったものらしい。書は確かに趙松雪(ちょうしょうせつ)を学んだと思う筆法である。その詩も一々覚えているが、今は披露(ひろう)する必要もあるまい。それより君に聞いて貰いたいのは、そう云う月明りの部屋の中に、たった一人坐っていた、玉人(ぎょくじん)のような女の事だ。僕はその女を見た時ほど、女の美しさを感じた事はない。」

「有美(ゆうび)閨房秀(けいぼうのしゅう) 天人(てんじん)謫降来(たくこうしきたる)かね。」

 趙生(ちょうせい)は微笑しながら、さっき王生(おうせい)が見せた会真詩(かいしんし)の冒頭の二句を口ずさんだ。

「まあ、そんなものだ。」

 話したいと云った癖に、王生はそう答えたぎり、いつまでも口を噤(つぐ)んでいる。趙生はとうとう待兼ねたように、そっと王生の膝を突いた。

「それからどうしたのだ?」

「それから一しょに話をした。」

「話をしてから?」

「女が玉簫(ぎょくしょう)を吹いて聞かせた。曲(きょく)は落梅風(らくばいふう)だったと思うが、――」

「それぎりかい?」

「それがすむとまた話をした。」

「それから?」

「それから急に眼がさめた。眼がさめて見るとさっきの通り、僕は舟の中に眠っている。艙(そう)の外は見渡す限り、茫々とした月夜(つきよ)の水ばかりだ。その時の寂しさは話した所が、天下にわかるものは一人もあるまい。

「それ以来僕の心の中(うち)では、始終あの女の事を思っている。するとまた金陵(きんりょう)へ帰ってからも、不思議に毎晩眠りさえすれば、必ずあの家(うち)が夢に見える。しかも一昨日(おととい)の晩なぞは、僕が女に水晶(すいしょう)の双魚(そうぎょ)の扇墜(せんつい)を贈ったら、女は僕に紫金碧甸(しこんへきでん)の指環を抜いて渡してくれた。と思って眼がさめると、扇墜が見えなくなった代りに、いつか僕の枕もとには、この指環が一つ抜き捨ててある。してみれば女に遇(あ)っているのは、全然夢とばかりも思われない。が、夢でなければ何だと云うと、――僕も答を失してしまう。

「もし仮に夢だとすれば、僕は夢に見るよりほかに、あの家(うち)の娘を見たことはない。いや、娘がいるかどうか、それさえはっきりとは知らずにいる。が、たといその娘が、実際はこの世にいないのにしても、僕が彼女を思う心は、変る時があるとは考えられない。僕は僕の生きている限り、あの池だの葡萄棚(ぶどうだな)だの緑色の鸚鵡(おうむ)だのと一しょに、やはり夢に見る娘の姿を懐しがらずにはいられまいと思う。僕の話と云うのは、これだけなのだ。」

「なるほど、ありふれた才子の情事ではない。」

 趙生(ちょうせい)は半ば憐(あわれ)むように、王生(おうせい)の顔へ眼をやった。

「それでは君はそれ以来、一度もその家(うち)へは行かないのかい。」

「うん。一度も行った事はない。が、もう十日ばかりすると、また松江(しょうこう)へ下(くだ)る事になっている。その時渭塘(いとう)を通ったら、是非あの酒旗(しゅき)の出ている家へ、もう一度舟を寄せて見るつもりだ。」

 それから実際十日ばかりすると、王生は例の通り舟を艤(ぎ)して、川下(かわしも)の松江へ下って行った。そうして彼が帰って来た時には、――趙生を始め大勢の友人たちは、彼と一しょに舟を上(あが)った少女の美しいのに驚かされた。少女は実際部屋の窓に、緑色の鸚鵡(おうむ)を飼いながら、これも去年の秋幕(まく)の陰(かげ)から、そっと隙見(すきみ)をした王生の姿を、絶えず夢に見ていたそうである。

「不思議な事もあればあるものだ。何しろ先方でもいつのまにか、水晶の双魚の扇墜が、枕もとにあったと云うのだから、――」

 趙生はこう遇う人毎(ひとごと)に、王生の話を吹聴(ふいちょう)した。最後にその話が伝わったのは、銭塘(せんとう)の文人瞿祐(くゆう)である。瞿祐はすぐにこの話から、美しい渭塘奇遇記(いとうきぐうき)を書いた。……


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小説家 どうです、こんな調子では?

編輯者 ロマンティクな所は好(い)いようです。とにかくその小品(しょうひん)を貰う事にしましょう。

小説家 待って下さい。まだ後(あと)が少し残っているのです。ええと、美しい渭塘奇遇記(いとうきぐうき)を書いた。――ここまでですね。


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 しかし銭塘(せんとう)の瞿祐(くゆう)は勿論、趙生(ちょうせい)なぞの友人たちも、王生(おうせい)夫婦を載(の)せた舟が、渭塘(いとう)の酒家(しゅか)を離れた時、彼が少女と交換した、下(しも)のような会話を知らなかった。

「やっと芝居が無事にすんだね。おれはお前の阿父(おとう)さんに、毎晩お前の夢を見ると云う、小説じみた嘘をつきながら、何度冷々(ひやひや)したかわからないぜ。」

「私(わたし)もそれは心配でしたわ。あなたは金陵(きんりょう)の御友だちにも、やっぱり嘘をおつきなすったの。」

「ああ、やっぱり嘘をついたよ。始めは何とも云わなかったのだが、ふと友達にこの指環(ゆびわ)を見つけられたものだから、やむを得ず阿父さんに話す筈の、夢の話をしてしまったのさ。」

「ではほんとうの事を知っているのは、一人もほかにはない訳ですわね。去年の秋あなたが私の部屋へ、忍んでいらしった事を知っているのは、――」

「私。私。」

 二人は声のした方へ、同時に驚いた眼をやった。そうしてすぐに笑い出した。帆檣(ほばしら)に吊った彫花(ちょうか)の籠には、緑色の鸚鵡(おうむ)が賢そうに、王生と少女とを見下している。…………


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編輯者 それは蛇足(だそく)です。折角の読者の感興をぶち壊すようなものじゃありませんか? この小品が雑誌に載るのだったら、是非とも末段だけは削(けず)って貰います。

小説家 まだ最後ではないのです。もう少し後(あと)があるのですから、まあ、我慢して聞いて下さい。


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 しかし銭塘の瞿祐は勿論、幸福に満ちた王生夫婦も、舟が渭塘を離れた時、少女の父母が交換した、下(しも)のような会話を知らなかった。父母は二人とも目(ま)かげをしながら、水際(みずぎわ)の柳や槐(えんじゅ)の陰に、その舟を見送っていたのである。

「お婆さん。」

「お爺さん。」

「まずまず無事に芝居もすむし、こんな目出たい事はないね。」

「ほんとうにこんな目出たい事には、もう二度とは遇(あ)えませんね。ただ私は娘や壻(むこ)の、苦しそうな嘘を聞いているのが、それはそれは苦労でしたよ。お爺さんは何も知らないように、黙っていろと御云いなすったから、一生懸命にすましていましたが、今更(いまさら)あんな嘘をつかなくっても、すぐに一しょにはなれるでしょうに、――」

「まあ、そうやかましく云わずにやれ。娘も壻も極(きま)り悪さに、智慧袋(ちえぶくろ)を絞ってついた嘘だ。その上壻の身になれば、ああでも云わぬと、一人娘は、容易にくれまいと思ったかも知れぬ。お婆さん、お前はどうしたと云うのだ。こんな目出たい婚礼に、泣いてばかりいてはすまないじゃないか?」

「お爺さん。お前さんこそ泣いている癖に……」


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小説家 もう五六枚でおしまいです。次手(ついで)に残りも読んで見ましょう。

編輯者 いや、もうその先は沢山です。ちょいとその原稿を貸して下さい。あなたに黙って置くと、だんだん作品が悪くなりそうです。今までも中途で切った方が、遥(はるか)に好かったと思いますが、――とにかくこの小品(しょうひん)は貰いますから、そのつもりでいて下さい。

小説家 そこで切られては困るのですが、――

編輯者 おや、もうよほど急がないと、五時の急行には間(ま)に合いませんよ。原稿の事なぞはかまっていずに、早く自動車でも御呼びなさい。

小説家 そうですか。それは大変だ。ではさようなら。何分(なにぶん)よろしく。

編輯者 さようなら、御機嫌好う。



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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)

기우(奇遇)

아쿠타가와 류노스케 (芥川龍之介)(1921)

번역 : 홍성필


 편집자 : 중국으로 여행하신다면서요. 남쪽인가요, 북쪽인가요?

 소설가 : 남쪽으로 해서 북쪽으로 돌 생각입니다.

 편집자 : 준비는 이제 다 끝나셨나요?

 소설가 : 대략 끝났습니다. 다만 읽기로 한 기행문이나 지도 등을 아직 다 읽지 못해서 좀 난처한 거죠.

 편집자 : (관심 없다는 듯이) 그런 책이 많나 보죠?

 소설가 : 생각보다 많이 있습니다. 일본인이 쓴 것으로는 팔십 칠일 유기(八十七日遊記), 중국 문명기, 중국 만유기(漫遊記), 중국 불교유물, 중국 풍속, 중국인 기질, 연산초수(燕山楚水), 소절소관(蘇浙小觀), 북청(北淸) 견문록, 장강 십년, 관광 기유(紀游), 정진록(征塵錄), 만주, 파촉, 호남, 한구, 중국 풍운기(風韻記), 중국…….

 편집자 : 그걸 다 읽으셨어요?

 소설가 : 아뇨, 아직 한 권도 안 읽었습니다. 그리고 중국인이 쓴 책으로서는 대청일통지(大淸一統志), 연도유람지(燕都遊覽志), 장안객화(長安客話), 제경…….

 편집자 : 아이고, 이제 책 이름은 됐습니다.

 소설가 : 아직 서양인이 쓴 책은 한 권도 말씀드리지 않은 것 같은데…….

 편집인 : 서양인이 쓴 중국 책 같은 건, 어차피 제대로 된 책이 있겠어요? 그것보다 소설은 출발 전에 꼭 써주시는 거겠죠?

 소설가 : (갑자기 힘이 빠진다) 글쎄요, 아무튼 그 전에 쓰려고 하긴 하는데 말이죠…….

 편집자 : 대체 언제 출발할 예정이신데요?

 소설가 : 사실은 오늘 출발할 예정입니다.

 편집자 : (놀란 듯이) 오늘이요?

 소설가 : 네에. 5시 급행열차에 탈 예정입니다.

 편집자 : 그렇다면 이제 출발시간까지 30분밖에 없잖아요?

 소설가 : 뭐, 그렇게 되는군요.

 편집자 : (화를 내며) 아니, 그럼 소설은 어떻게 되는데요?

 소설가 : (점점 더 힘이 빠진다) 저도 어떻게든 되겠지 하고 있어요.

 편집자 : 그렇게 무책임하면 곤란하네요. 하지만 어차피 30분이라면 갑자기 쓸 수도 없을 테고…….

 소설가 : 그러게요. 베데킨트의 희곡에서는 이 30분 사이에도 불우한 음악가가 갑자기 등장한다거나, 어떤 부인이 자살한다거나, 여러 가지 사건들이 일어나지만 말이에요……. 잠깐만요. 어쩌면 책상 서랍 안에 아직 발표하지 않은 원고가 있을지도 모릅니다.

 편집자 : 그렇다면 매우 다행이죠.

 소설가 : (서랍 속을 찾으며) 논문은 안 될까요?

 편집자 : 어떤 논문이죠?

 소설가 : ‘문예에 미치는 저널리즘의 해악’이라는 거예요.

 편집자 : 그런 논문은 안 돼요.

 소설가 : 이건 어떨까요? 뭐, 외형상으로는 소품이긴 합니다만…….

 소설가 : ‘기우(奇遇)’라는 제목이군요. 어떤 내용이죠?

 소설가 : 잠깐 읽어볼까요? 20분 정도면 읽을 수 있을 거예요.

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 원 나라 지순(至順) 때의 일이다. 장강에 임한 고금릉(古金陵) 땅에 왕생(王生)이라는 청년이 살았다. 선천적으로 힘이 좋았으며 용모 또한 아름답다. 당시 기준(奇俊) 왕가랑(王家郞)이라고 불렸다고 하니 그 풍채도 짐작이 간다. 더구나 나이는 스물이었으나 부인은 아직 없다. 집안은 가문도 좋고 상속 받은 자산도 상당히 있다. 시주(詩酒) 풍류를 즐길 수 있는, 이런 속 편한 팔자도 없다.

 실제로 또한 왕생은 사이좋은 벗인 조생(趙生)과 함께 유유자적한 생활을 보내고 있었다. 연극을 보러갈 때도 있고, 도박을 하러 가기도 한다. 어떤 날은 진회(秦淮) 부근에 있는 술집에서 밤새도록 마실 때도 있다. 꽃무늬 술잔을 앞에 놓고 어딘가로부터 들려오는 노랫소리에 귀를 기울이고 있으면, 활달한 조생은 게 요리를 안주 삼아 금화주(金華酒)를 잔뜩 마시며 연신 일품이라며 술맛을 논한다.

 그 왕생이 어찌된 영문인지 작년 가을 이후 술을 딱 끊고 말았다. 술만이 아니다. 모든 방탕한 생활에서부터 멀어지고 만 것이다. 조생을 비롯하여 많은 벗들은 물론 이 변화를 이상하게 생각했다. 왕생도 이제 노는 일이 질렸는지도 모른다고 하는 자가 있다. 아니, 어딘가에 아리따운 여인이라도 생겼을 것이라고 말하는 자도 있다. 그러나 막상 왕생 자신은 몇 번이고 그 이유를 물어도 그저 미소를 지을 뿐 가타부타 말이 없다.

 그런 일이 1년 정도 이어진 후, 어느 날 조생이 모처럼 왕생 집을 방문하자 그는 간밤에 지었다고 하여 원체(元體) 회진시(會眞詩) 삼십운(三十韻)을 보여주었다. 시는 화려한 댓구 사이에 끊임없이 한탄하는 모습이 엿보인다. 사랑을 하고 있는 청년이 아니고서야 이런 시는 단 한 줄이라도 쓸 수 없음이 분명하다. 조생은 시를 왕생에게 돌려주자 교활하게 상대방을 슬쩍 보면서,

 “자내의 앵앵(鶯鶯)은 어디 있나?” 라고 물었다.

 “내 앵앵? 그런 게 어디 있나.”

 “거짓말 말게나. 무엇보다 증거가 저 반지 아니겠나.”

 그러고 보니 조생이 가리킨 책상 위에는 자금벽전(紫金碧甸) 반지가 하나, 읽고 있던 책 위에 놓여 있다. 반지 주인은 물론 남자가 아니다. 그러나 왕생은 그것을 집어 들자 살짝 표정이 어두워졌으나, 하지만 여전히 태연하고 천천히 이런 이야기를 하기 시작했다.

 “내게 앵앵 같은 건 없으나 내가 사랑하는 여인은 있네. 내가 작년 가을 이후 자네들과 함께하지 못한 건 분명히 그 여인이 생겼기 때문일세. 그러나 그 여인과 나 사이는 자네들이 상상하는 그런 흔한 남녀관계가 아니라네. 이렇게 말을 하면 도무지 무슨 뜻인지 모르겠지. 아니, 모르기만 하면 상관없으나 설혹 모든 것이 거짓말이라며 의심을 품을지도 모르겠군, 그렇게 되는 것을 나도 원하는 바가 아니니, 이참에 자네한테 일체 사정을 모두 털어놓으려 하네. 지루하더라도 처음부터 그 여인 이야기를 좀 들어주게나.

 “나는 자네가 알고 있는 바와 같이 송강에 논을 가지고 있네. 그리하여 매년 가을이 되면 소작료를 징수하러 스스로 그 곳으로 내려가네. 그런데 마침 작년 가을, 역시 송강에 갔다가 오는 길에 배가 위당(渭塘) 부근까지 오자, 버드나무나 홰나무에 둘러싸이고 주점 간판을 내놓은 집이 한 채 보이더군. 붉은 난간이 마치 한 폭의 그림을 그려놓은 것처럼 생긴 모습으로 보아 상당히 큰 집 같더구먼. 또한 그 난간으로 이어진 곳에는 수 십 그루의 연꽃들이 강물을 수놓고 있었네. 난 갈증이 났기에 서둘러 그 간판을 내놓은 집 앞으로 배를 대라고 했네.

 “그렇게 들어가 보니 예상대로 집도 넓었으며 주인 어르신도 점잖은 분이셨네. 더구나 술은 죽엽청(竹葉靑), 안주는 농어와 게였으니 내가 얼마나 만족했는지는 짐작이 갈 걸세. 실제로 난 오랜만에 객지에서 느끼는 쓸쓸함 같은 것도 잊은 채로 거나하게 술잔을 기울였네. 그러던 중 문득 보니 누군가가 천막 뒤 그늘에서 가끔 이쪽을 바라보는 시선이 있지 않은가. 그런데 내가 그쪽으로 눈을 돌리자마자 곧바로 뒤로 숨어버리고는, 다시 고개를 돌리면 또 가만히 이쪽을 본다네. 무슨 비취 머리 장식이나 금 귀걸이가 천막 사이에서 반짝이는 것 같았지만, 정말 그랬는지는 확실하지가 않으이. 사실 한 번은 옥과 같은 얼굴이 살짝 보인 것 같기도 했네. 하지만 갑자기 뒤돌아보자 역시 그저 천막만이 내려져 있을 뿐이었네. 그런 일을 되풀이하는 사이에 나는 점점 흥이 깨졌기에 엽전을 몇 개 내던져놓고 서둘러 다시 배를 타고 왔다네.

 “그런데 그날 밤 뱃속에서 홀로 잠시 졸았더니 나는 꿈속에서 다시 한 번 그 주점 간판이 나와 있는 집을 간 게 아닌가. 낮에 왔을 때는 몰랐는데 집에는 문이 몇 겹으로 있었으며, 그 문을 모두 지나고 가장 깊숙한 집 뒤편에는 작은 수각(綉閣)이 한 채 보이는데, 그 앞에는 훌륭한 포도선반이 있고, 포도선반 밑에는 돌로 만들어진 연못이 있더군. 내가 그 연못가에 갔을 때 물속 금붕어가 달빛으로도 선명하게 셀 수 있었다는 것이 지금도 기억나네. 연못 좌우에는 분명 두 그루의 노송나무였고 그 주위를 푸른 잣나무로 둘러싸여 있었네. 그 밑으로는 천공(天工)처럼 돌로 가산(假山)이 쌓여 있었으며, 거기에 난 풀들은 모두 금사 과에 속한 것이었기에 요즘 같은 늦가을 추위에도 시들지 않았더군. 창가에는 꽃문양 바구니에 녹색 앵무새가 자라고 있으이. 그 앵무새가 나를 보자 ‘안녕하세요’ 라고 말했던 것도 잊지 못하겠네. 처마 끝에 매달린 작은 나무 학 한 쌍이 연기 나는 향을 물고 있었네. 창문 속을 들여다보니 책상 위에 있는 고동병에 공작 꼬리가 몇 개나 꽂혀 있었으며, 그 곳에 있는 필구류는 모두 청초하다고밖에 할 수가 없더구먼. 그런가하면 다른 쪽에는 사람을 기다리듯 벽옥 자수도 걸려있었으며, 벽에는 네 가지 복을 상징하는 금화선이 걸려 있고, 그 위에 시가 적혀 있더군. 시체는 아무래도 소동파 사시의 시에서 따온 것 같았네. 서는 아마 조송설(趙松雪)을 배운 것으로 보이는 필법이었네. 그 시도 모두 기억하지만 지금 선보일 필요도 없을 걸세. 그것보다 자네한테 들어주었으면 하는 건, 그와 같은 방안에 홀로 앉아 있던, 마치 옥과도 같은 여인에 대한 것이네. 나는 그 여인을 보았을 때만큼 여인의 아름다움을 느낀 적이 없다네.”

 “‘유미규방수(有美閨房秀)하고 천인적강래(天人謫降来)하노라’였군”

 조생은 미소를 지으며 방금 전 왕생이 보여준 회진시 시작 두 줄을 읊었다.

 “뭐, 그렇다고 할 수 있네.”

 말하겠다고 했으면서도. 왕생은 그렇게 대답하고는 언제까지나 입을 다물고 있다. 조생은 결국 참다못해 조용히 왕생 무릎을 찔렀다.

 “그래서 어떻게 됐나?”

 “그러고는 함께 이야기를 나누었네.”

 “그 다음에는?”

 “그 다음에는 갑자기 잠에서 깨어났지 뭔가. 깨고 난 후 생각해보니 그대로 나는 배 안에서 잠을 자고 있었네. 배 밖은 그저 망망한 달빛에 물든 강물뿐이었네. 그 때의 적적함을 아무리 말해도 천하에 그 마음을 알아 줄 이는 없을 걸세.

 “그 이후 내 마음 속으로는 시종 그 여인 생각을 하고 있네. 그런데 다시 금릉으로 돌아와서도 이상하게 매일 밤, 잠만 자면 반드시 그 집이 꿈에 보이더군. 더구나 그저께 밤 같은 경우는 내가 여인한테 수정으로 만들어진 한 쌍의 붕어가 그려진 부채를 선물했더니, 여인은 내게 자금벽전의 반지를 뽑아 주었네. 그런가보다 하고 눈을 떠보니 부채가 사라진 대신에 어느새 내 머리맡에는 이 반지가 하나 뽑혀 있지 않은가. 그러고 보니 여인을 만나고 있는 것은 완전히 꿈만 같지는 않으이. 꿈이 아니라면 무엇이냐고 묻는다면……. 나도 할 말이 없네만.

 “만약 꿈이라고 한다면 나는 꿈에서 말고는 그 집에 사는 아낙을 본 적은 없네. 아니, 아낙이 있는지조차도 제대로 모르고 있네. 그러나 아무리 그 아낙이 사실은 이 세상에 없다고 한들 내가 그녀를 생각하는 마음이 변하리라고는 생각되지 않으이. 나는 내가 살아가는 한 그 연못이나 포도선반이나 푸른빛 앵무새들과 함께 역시 꿈에 보이는 아낙 모습을 그리워 아니 할 수 없을 걸세. 내 말은 이것으로 끝이네.”

 “과연 흔한 남녀관계는 아니구먼.”

 조생은 한 편으로 가엾다는 듯이 왕생을 바라보았다.

 “그렇다면 자네는 그날 이후 한 번도 그 집에는 안 갔단 말인가?”

 “음. 한 번도 간 적이 없네. 그러나 이제 열흘 후에는 다시 송강으로 내려가게 되어 있네. 그 때 위당을 지나면 꼭 그 술집 간판을 내걸고 있는 집에 다시 한 번 배를 대 볼 생각일세.”

 그로부터 실제로 열흘이 지난 후 왕생은 여느 때처럼 배를 내어 송강까지 내려갔다. 그리고는 그가 돌아왔을 때 조생을 비롯하여 많은 벗들은 그와 함께 배에서 내린 소녀의 아름다움에 경탄을 금하지 못했다. 소녀는 실제로 자신의 방 창문에 푸른 앵무새를 기르며, 그것도 작년 가을, 천막 그늘에서 몰래 왕생 모습을 훔쳐보는 꿈을 끊임없이 꾸고 있었다고 한다.

 “기이한 일이로세. 더구나 그 쪽도 어느새 수정 물고기 한 쌍이 그려진 부채가 머리맡에 있었다니 말이오…….”

 조생은 만나는 사람마다 왕생 이야기를 해주었다. 마지막으로 그 이야기가 전해진 것은 전당(錢塘)의 문인 구우(瞿祐)였다. 구우는 곧바로 이 이야기를 듣고는 아름다운 위당기우기(渭塘奇遇記)를 남겼다…….

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  소설가 : 어떻습니까?

 편집자 : 낭만적인 부분이 좋군요. 아무튼 그 소품을 받도록 하지요.

 소설가 : 잠깐만요. 아직 뒷부분이 조금 더 남았습니다. 그……. ‘아름다운 위당기우기를 남겼다…….’까지 읽었죠?

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 그러나 위당 구우는 물론 조성 등의 벗들도 왕생부부를 태운 배가 위당 주점을 떠날 때 그가 소녀와 나눈 다음과 같은 대화를 알지 못했다.

 “이제야 연극이 무사히 끝났어. 난 네 아버님께 매일 밤 네 꿈을 본다고 하는, 소설 같은 거짓말을 하면서도 얼마나 가슴이 조마조마했는지 모른다고.”

 “저도 그건 걱정했어요. 당신은 금릉에 계신 친구분들께도 역시 거짓말을 하셨나요?”

 “응. 역시 거짓말을 했지. 처음에는 아무런 말도 안 했지만, 어떤 친구가 이 반지를 찾아냈기에 부득이 하게 아버님께 말씀드릴 꿈 이야기를 하고 말았어.”

 “그렇다면 사실을 알고 있는 사람은 아무도 안 계신 거군요? 작년 가을 당신이 제 방으로 몰래 들어온 것을 알고 있는 건…….”

 “저요. 저요.”

 둘은 목소리가 들려온 쪽으로 동시에 놀란 눈을 돌렸다. 그리고는 곧바로 웃음을 터뜨렸다. 돛대에 매달아 놓은 꽃무늬 바구니에는 푸른 앵무새가 영리한 표정으로 왕생과 소녀를 내려다보고 있다…….

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 편집자 : 그건 사족입니다. 독자의 감흥을 엉망으로 만들어놓을 뿐이잖습니까. 이 소품을 잡지에 실을 거라면 꼭 마지막 부분은 편집해 달라고 해야겠군요.

 소설가 : 아직 끝나지 않았어요. 조금 더 있으니 잠깐만 참고 들어주세요.

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 그러나 위당 구우는 물론 행복에 겨운 왕생 부부도 배가  위당 주점을 떠날 때 그가 소녀의 부모가 나눈 다음과 같은 대화를 알지 못했다. 부모는 둘 모두 손으로 햇살을 가린 채 물가에 심어진 버드나무나 홰나무 사이로 그 배가 떠나는 모습을 지켜보고 있었던 것이다.

 “이보게 임자.”

 “예, 영감님.”

 “일단 무사히 연극도 끝났으니 이렇게 좋을 수가 없구먼.”

 “그러게 말이에요. 이제 두 번 다시 만날 수가 없겠군요. 다만 저는 딸과 사위가 하는 억지스러운 거짓말을 듣고 있는 것이 참으로 어려웠습니다. 영감님도 모른 척하고 듣고 있으라고 하시기에 열심히 참고 있었습니다만, 이제 와서 그런 거짓말을 하지 않더라도 함께 보내주었을 텐데 말이에요…….”

 “그래도 잔소리는 하지 말게. 딸이나 사위 모두 나름대로 머리를 짜 내서 한 거짓말이오. 저 사위 입장에서는 그렇게라도 하지 않으면 외동딸을 쉽게 주지 않을 거라고 생각한지도 모르지. 임자, 임자는 대체 왜 그러나. 이렇게 좋은 혼례 날에 울고만 있으니 말이오.”

 “영감님, 영감님도 울고 계시면서…….”

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 소설가 : 이제 대여섯 장 정도로 끝납니다. 내친 김에 다 읽어보도록 하죠.

 편집자 : 아뇨. 그 다음은 됐습니다. 충분합니다. 잠깐 그 원고 좀 이리 주세요. 이대로 당신한테 맡겨뒀다가는 점점 더 작품이 나빠질 것 같습니다. 지금까지 들어봐도 차라리 도중에서 끝내는 편이 훨씬 더 좋았던 것 같은데 말이에요……. 아무튼 이 소품은 가져갈 테니 그렇게 알아 두십시오.

 소설가 : 거기서 끝나면 곤란한데요…….

 편집자 : 어? 이제 서두르지 않으면 5시 급행을 놓칩니다. 원고 같은 건 그냥 두시고 어서 자동차라도 부르시죠.

 소설가 : 그런가요? 이거 큰일이군요. 그럼 안녕히 가세요. 아무쪼록 잘 부탁드립니다.

 편집자 : 안녕히 계세요. 건강하시고요.

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Posted by 문학관 관리인 위어조자(謂語助者)